こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
重量100g以上のドローンを飛行する上で人口集中地区(DID)では法規制があるのはご存知の通り。
そのため、多くの人が人口集中地区のエリアに入っているかの確認をします。
しかし実際には、人口集中地区のエリアによる規制以外にもドローンの飛行方法で法規制があります。
そこで今回のブログ記事では…
- 人口集中地区(DID)のエリアではない飛行方法の法規制
- 実際にドローンの飛行方法の違反で書類送検になった事案
- ドローンの飛行方法で違反しないためには
この3つを中心に「ドローンの飛行方法でも航空法違反になる」について情報シェアします。
ドローンはおもちゃではなく、航空法の法律の対象となっています。人口集中地区のエリアだけではない理解が必要ですね。
このページに書いてあること
人口集中地区(DID)の確認だけではNG、ドローン飛行方法の違反で書類送検の事案も
まずは結論から書いていきます。
200g以上のドローンを飛行させる場合、主に航空法では
- 特定のエリアの飛行禁止
- 特定の飛行方法の禁止
この2つを規定しています。
一般的に認識されているのが禁止飛行エリア、つまり代表的なのが人口集中地区(DID)エリアでの飛行禁止です。
しかし上記の通り、航空法では飛行方法でも禁止しています。
たとえ禁止エリア以外の場所でドローンを飛行させたとしても、誤った飛行方法をしていたら航空法違反。
実際に飛行方法の禁止(飲酒での飛行)によって警察に捕まり書類送検となった事案もあります。
何が飛行方法の禁止なのかの法律を理解しなければなりませんので、順を追って説明していきます。
人口集中地区(DID)のエリアではない飛行方法の法規制
「人口集中地区だけを気をつければいい!」と多くの人が勘違いしています。
国土地理院のウェブサイトなどで「どこが人口集中地区なのか」を赤いマップでチェックしますよね。
たとえば下のようなマップです。
この赤いエリアが人口集中地区であって、航空法によって禁止飛行エリアの1つとして規定されています。
「禁止エリアではない赤い場所はドローンは大丈夫!」そう思ってしまうのは大きな誤りです。
エリアがOKだったとしてもドローンの飛行方法の禁止に引っかかるような飛行をしていたら違反対象となってしまうからです。
10項目の禁止飛行方法
飛行禁止エリアとは別に、以下の10項目が飛行禁止方法となっています。
- アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
- 飛行前確認を行うこと
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
このすべてに該当しないことが必須条件となるわけです。
この1つでも該当した飛行を行った場合には、たとえ人口集中地区以外の場所だったとしても航空法違反となります。
例えば以下のような飛行をした場合…
- 人口集中地区ではないエリア
- 日没後の夜間飛行
これは飛行方法の禁止事項にある「05)夜間飛行」に該当するため、航空法違反となります。
同様に…
- 人口集中地区ではないエリア
- 人または物件から30m以内の飛行
離陸時から着陸時まで30m以内の飛行をおこなった場合も「07)30m以内の飛行」の禁止事項に該当するため、航空法違反になります。
つまり「人口集中地区(DID)でなければ、どのような飛行をしてもいい」というわけでは一切ありません。飛行方法の禁止だけでも航空法違反になります。
実際にドローンの飛行方法の違反で書類送検になった事案
人口集中地区(DID)の禁止エリアで飛行させて書類送検になった事案は、過去に何度もニュースになっているので知っているひとが多いかもしれません。
しかし、禁止飛行方法に違反をして書類送検や逮捕になった事案はいくつも存在します。
目視外飛行による航空法違反の疑いで書類送検
茨城県で目視外飛行をした29歳男性が「買ったドローンを試したかった」と言って
- 人口集中地区ではないエリアでドローンを飛行
- 目の届かない場所まで飛行させる
- 民家に墜落して警察が調べて書類送検
目視外飛行をさせたことで航空法違反として書類送検になった事案です。
空き地で夜間飛行をした男性が書類送検
2016年5月、福島県白河市で空き地で夜間飛行をさせたとして、近隣住民に警察通報されて、航空法違反で51歳男性を書類送検されています。
飲酒してドローン操縦、56歳男性を書類送検
愛知県で飲酒した男性の飛行では
- 缶ビール・缶チューハイを8本飲酒
- その後、ドローンを飛行させる
- 近くの住宅に墜落して窓を傷つける
アルコールや薬物用で正常に操縦できない状態でドローンを飛行させると、このように航空法違反になります。
この他にも複合ケースと考えれる事案もある
上記以外にも飛行禁止方法によって警察から書類送検される事案はあります。
最近では、複合的に禁止飛行方法に該当するケースもあるように見受けられます。
改造したドローンを飛ばしたとして、宮城県警登米署は14日、登米市の無職の男(71)を航空法違反の疑いで仙台地検登米支部に書類送検した。発表によると、男は6月12日午前6時25分頃、同市登米町内の高台で、カメラ部分が故障した機体に小型のカメラ付きドローンを取り付け、国土交通省が認めていない改造ドローン(全長約50センチ)を飛ばした疑い。(中略)操縦不能となり、約1・2キロ離れた民家2階の網戸にぶつかり、住民が同署に通報した。
改造したドローンを飛行することは、人口集中地区(DID)等の飛行禁止エリアではなければ、特に飛行するのは問題ないはずです。
しかし航空法違反となっているため、このケースでは民家に墜落時に
- 「物件から30m以内の飛行」になった
- さらに改造して危険な飛行物だったので「他人に迷惑を及ぼすような飛行」方法となった
と考えられます。警察の判断による書類送検ですが、今後、検察がどのようにジャッジするのかが気になるところです。
ドローンの禁止飛行方法で違反しないためには
どうすれば禁止飛行方法に抵触しない方法として、この3つのポイントを記載します。
point01:飛行禁止エリアだけでない、禁止飛行方法もあることを理解する
そもそもなのですが、飛行禁止エリアだけは十分に注意するひとが多いものの、禁止飛行方法がごっそりと抜けてしまっています。
- 人口集中地区(DID)ではない場所でも、禁止飛行方法は法適用される
- 禁止飛行方法だけでも航空法違反で書類送検・逮捕される
この2つはしっかりと認識しましょう。
point02:最新情報を国土交通省から得て、印刷して持ち歩く
国土交通省航空局からドローン飛行ルールのリーフレットが出ています。
このリーフレットを印刷して持ち歩きましょう。そして、常に禁止飛行方法に該当しないかを確認することです。
また、航空法や飛行ルールはちょこちょこと改正しています。「飲酒時の禁止」は2019年に加わりましたし、今後、ドローンの登録制度もスタートします。
ドローンを手に持つ限り、最新の情報を得るようにしなければなりません。知らなかった…では許されない法律ですから。(上記で飲酒して捕まったひとも「知らなかった」では済まされてませんよね…)
point03:中途半端な解釈ではなく、より深く理解するようにする
禁止飛行方法の項目を知っていたとしても、それを中途半端な解釈にすると誤認識をする可能性があります。
例えば「人や物件から30m以上離して飛行する」という飛行ルール。
以下の4つはすべて誤りであって違反になります。
- 離発着時は30mを離れていなくてもOKで、上空に上がったあとに30m離れればOK → 違反
- 電柱や電線、駐車されているクルマからは30m離さなくてOK → 違反
- 私有地なら30mは関係なく、真横に隣家があってもOK → 違反
- 正面が30m離れていれば、後方の30mは関係ない → 違反
この4つがなぜ違反なのかはわからないのでしたら、より30mについて理解するようにしましょう。
人口集中地区(DID)の確認だけではNG
まとめです。
人口集中地区(DID)だけを気にするのはNGです。それ以外のエリアにも「禁止飛行方法」は適用されます。
そして過去に禁止飛行方法によって航空法違反の疑いで書類送検されている事案は存在します。
ドローンの禁止飛行方法で違反しないためには、禁止飛行方法を理解して、常に最新情報を得るように心がけることです。
ドローンはおもちゃではありません。航空法の対象となっています。
ドローンを手に持つ限り、法律と隣合わせであることの認識を持つことが、法律違反を侵さない、書類送検や逮捕されない、ゆくゆくは他者に迷惑をかけないことに繋がります。
ドローン飛行は、人口集中地区(DID)の飛行禁止エリアだけではないこと、改めて認識しましょう。
あとがき
「人口集中地区ではないから、許可なくても飛行OKなんです」と言いながら、民家の真横からドローンを離陸して、電線や電柱をかわしながら飛んでいく…
そんなのを見てしまったのが、このブログ記事をつくるキッカケです。
年々とドローンは複雑になっていき、理解する情報量が多くなっているのも事実です。さらに2022年からライセンス化やドローン登録制度などがスタートする予定です。
しっかりと法律やルールについていかないとですね。