こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
「東京都内でドローンを飛ばしたいけど、規制は有るの?どこなら飛ばせるの?」
そう疑問に思う方は、きっと多いのではないでしょうか?
私自身も東京在中のため「東京でドローンってどうなんだろう?」と考えていたんですよね。しかし、やっぱりドローンは法律や規制が気になるところ。
今回のブログ記事では…
- ドローンに関わる航空法の基礎!
- 東京に存在するドローン規制や制限は?
- ドローンを東京で飛行できる場所は?
の3つを中心に「東京都内でドローンを飛行する全情報」をシェアしたいと思います。
ドローン規制を無視すると大変痛い目をみます。
ドローンの現場にいる私からガチな1次情報をお届けして、少しでも違反にならないよう避けたいものですね。
このページに書いてあること
ドローンの規制、東京都内で有るところ、無いところは?
結論からです。
残念ながら東京都内でドローンを飛行できる場所は、ほとんどありません!
2016年に航空法が改正されたから、早4年が経過しました。その間に、ドローンによる事故や事件が発生して、あらゆる法律や場所で規制が入っています。
- 航空法
- 小型無人機等飛行禁止法
- 公園条例
- 道路交通法
- 民法 など
「ドローンを自由に飛ばしたい!」と思ったとしても、東京都内はもとより近郊エリアでは、ほぼドローンを自由に飛行させるのは法律的に困難です。
墜落事故や接触事故などが起きて、人に怪我をさせたりしている現状を考えると、やはり「空を飛ぶ物体」は危険であるというのは仕方ありません。
ただ唯一、東京都内だとしてもドローンの規制をクリアできる方法があります。
それは航空法の適用しない「重量200g未満のドローン」を使用すること、なおかつ「土地の管理者の許可を得ている場所」で飛行することです。
これなら東京都内だとしても、多少のエリア制限はありますがドローンを飛行できます。
では、「なぜ東京都内に限らず、どのようなドローン規制があるのか」「東京都内でも飛行できる重量200g未満のドローンとは何なのか?」
順におって解説していきます。
ドローンに大きく関わる「航空法」の基礎知識
2016年に航空法が改正されてから、ドローンは重量によって航空法が適用されるようになりました。
具体的には…
- 重量200g未満のドローン → 航空法の規制対象外
- 重量200g以上のドローン → 航空法の規制対象
航空法の対象になるのは「重量が200g以上のドローン」になります。一般的に「空撮をする専用のドローン」が該当してきます。
まずは重量200g以上のドローンについて、どのような航空法の規制があるのかを、ざっくり説明しますね。
航空法:人口集中地区のドローン規制
まず東京都内で大きな影響を受けるのが、人口集中地区でのドローン飛行禁止です。
航空法では…
第百三十二条
何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。(略)
二 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空
この記載のある「人又は家屋の密集している地域の上空」というのが、人口集中地区にあたります。
でも「人口集中地区とは何?」と聞き慣れないワードですよね。
人口集中地区とは…
市区町村の区域内で人口密度が4,000人/km²以上の基本単位区(平成2年(1990年)以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定される。ただし、空港、港湾、工業地帯、公園など都市的傾向の強い基本単位区は人口密度が低くても人口集中地区に含まれる。
英語による”Densely Inhabited District”を略して「DID」とも呼ばれる。
ひとことでまとめてしまうと、ある一定の数値で人口密度が高い、ということです。
人口密度が高い…となると東京都内は非常に雲行きが怪しくになりますね。
簡単に言うと、この画像の赤い部分が人口集中地区です。
ほとんどの東京を埋め尽くしている赤色のエリア。つまり、この時点で東京都内のほとんどの場所で、航空法によるドローン規制がかかっていると言えます。
たとえ都内にある公園も、河川敷である多摩川も、荒川も、江戸川も。そのすべてにおいて対象となっています。
「もっとよく見たい」という方のために、国土地理院のマップをリンクしておきますね。
「赤色ではない場所だったらいいんでしょ?」と思って、なんとか見つけようとするかもしれませんが、ちょっと待ってください。
航空法には、さらに別のドローン規制があります。
航空法:人または物件から30m以上飛行するドローン規制
ドローンを飛行させる上で、離発着を含めて、人や物件から30m以上を離さなければなりません。
第百三十二条の二
無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。(略)
七 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
この条文に記載のある「距離を保って」というのが30m以上になります。
人または物件というのが何が対象になるのか?という疑問が湧いてきますよね。
- 人 :第三者であって通行人・作業員など
- 物件:人工物であって電柱・電線・ガードレール・クルマ・民家など
これらを30m以上、つまり直径で60m以上の距離を離さなければなりません。
通常の街中を考えるにあたって、どんなに東京の田舎だとしても、ガードレールや電線は存在しているのは容易に想像ができます。
その状況下で、直径60m以上を離すというのは、現実的にない、といえます。
航空法:空港等の周辺の上空のドローン規制
ドローンは空を飛ぶ物体です。当然のごとく、飛行機やヘリコプターとの干渉が発生します。
そのため航空法では、空港等の周辺ではドローン規制があります。
第百三十二条
何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。(略)
一 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
東京には、多数の空港があるのはご存知でしょうか?
- 羽田国際空港
- 調布飛行場
- 立川飛行場
特にヤバいのが羽田国際空港です。複数の滑走路から数多くの飛行機が離発着をするため、広域に渡ってドローンの飛行制限エリアが対象になっています。
航空機との接触は常識的にありえないのですが、ヘリコプターとの接触は容易に考えられます。
そう言った意味で、空港付近ではドローンの規制がかかるのは至って普通であって、ドローンが法律的に飛行できないのは仕方ありません。
その他にある航空法は…
航空法のすべてを説明すると、恐ろしく長くなってしまうため、上記該当しそうな3つを解説しました。
ただ、実際には、航空法には数多くのドローン飛行の規制が存在します。
無人航空機の飛行の方法
飛行させる場所に関わらず、無人航空機を飛行させる場合には、以下のルールを守っていただく必要があります。
- アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
- 飛行前確認を行うこと
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
東京都内だけではないにしろ、ドローンを飛行させるというのは、非常に大変なことです。
それだけ事件や事故に対して、法律的なドローンの規制をかけなければ無法地帯化してしまう…かもしれません。
航空法を違反すると、どうなるのか?
もし人口集中地区でドローンを飛ばしてしまった場合、どのようになるのでしょうか?
航空法では、罰金刑として罰金最大50万円以下に処されます。
「え、本当に?遊びだから大丈夫でしょ」と舐めてかかってしまうのは危険です。
実例からいうと、無許可で人口集中地区で飛行させて、警察に捕まって書類送検。その後の判決で、罰金20万+前科一犯です。
「知らなかった」では済まされないので要注意です。
東京エリアに該当する条例等のドローン規制は?
ここから先は、航空法以外のドローン規制についてです。
ドローンの飛行は危険行為として認識している行政自治体が多いため、航空法以外にもあらゆる条例や法律の対象となっています。
河川管理者のドローン規制(河川法)
例えば、東京都民ならお馴染みの多摩川。「ここでドローンを飛ばせないかな?」と考えますよね。
人口集中地区の赤いマップを見たとしても…
東京の西側になりますが、拝島のあたりは、航空法の人口集中地区の対象外になっているのが分かります。
「お、ラッキー」と思うのは早合点です。
多摩川を管理している京浜河川事務所では、いかなるドローンも飛行禁止をしています。
河川(多摩川・鶴見川・相模川)でドローンやラジコン飛行機を飛ばしたいのですが、飛ばすことはできますか?
京浜河川事務所の管理する河川(民有地、自治体管理の公園等(占用地)を除く。)においては、ドローン、ラジコン飛行機等の無人航空機(航空法施行規則第209条の3第1項第4号に規定する模型航空機を含む。)(以下「無人航空機等」という。)の飛行は、航空法及び『無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン』の注意事項を守って飛行させることができる場所はごく限られていることから、航空法による許可または承認の有無にかかわらず、原則「飛行させることができません。」
少し長い説明文でしたが、一番最後の「飛行させることができません」とのことです。
同様に荒川や江戸川でも「ドローンを禁止」しているため、実質的に東京都内にある河川敷でドローンを飛行させるのはできません。
都立公園条例
都立公園は広い場所が多いので「飛ばせるかなぁ」と考えますよね。
しかし、昨今のドローン事件を踏まえて、2015年4月28日よりドローンを含めた小型無人機の使用を禁止となっています。
公園の維持管理にあたってドローンを飛ばすのは迷惑行為にあたる、というのが理由です。
東京都立の公園・庭園が該当して、全81箇所にのぼり、重量関係なくすべてのドローンが禁止となっています。
土地の所有権(民法)
「よーし、空き地があるから、そこで飛ばしちゃおう」「田んぼとか畑で飛ばしちゃおう」
そう思っている方がいるかもしれませんが、当然のごとく、土地の所有権の侵害に当たります。
他人の民地に勝手に入り込んで、勝手にドローンを飛ばしていたら間違いなく警察に通報されます。不法侵入みたいなものですから。
逆の立場だとして、自分が大切に育てている畑があったとして、見ず知らずの人間が入り込んでドローンを飛ばしまくっていたらガチギレしますよね。
国土交通省でも注意喚起が行われています。
Q.航空法に従って飛行すれば、第三者が所有する土地の上空を飛行してもよいのでしょうか
A.航空法の許可等は地上の人・物件等の安全を確保するため技術的な見地から行われるものであり、ルール通り飛行する場合や許可等を受けた場合であっても、第三者の土地の上空を飛行させることは所有権の侵害に当たる可能性があります。
どこの土地にも「所有者」がいます。
その所有者の許可がない限り、ドローンは飛べません。
これは河川敷や公園と同様に、地上には地上のルールがあるのです。
道路交通法
「それなら、道路でドローンを飛ばしちゃおう!」というのは危険すぎです。
道路は、危険行為や交通を乱す行為を法律的に禁止しています。
いきなり道路でドローンが飛んでいたら、歩行者や通行車両は危険ですからね。
「高速回転するプロペラが顔にあたったら…」「ドローンが墜落してクルマに当たったら…」と考えたら、間違いなく事件になります。
また、昨今、ドローンによる事件が多発しているため、世間の目は厳しいものとなりつつあり、警察に通報する一般市民が増えてきています。
小型無人機等飛行禁止法
ドローンに関して、覚えておかないといけないのが「小型無人機等飛行禁止法」です。
これは警察管轄の法律。(航空法は国土交通省管轄)
国の重要な建物・場所では半径300mを含めて飛行禁止というものです。
具体的な建物は、国会議事堂や皇居、裁判所、空港など。首都の東京ならではの主要機関があるため、この法案には大いに関係してきますね。
しかし、一般的な考えを持っていれば、飛ばしたら間違いなく国に怒られるヤバイところは飛行させるはずがないので、あまり意識しなくて良いものだと思います。
ドローンを東京で飛行できる場所は?
ここまで述べてきたように、東京でドローンを飛行できる場所は、ほとんどありません。
ドローンは、おもちゃやラジコンではなく、法律的な扱いで「航空機」のようなものです。様々な法律が関わってきます。
この大都会、東京では、ドローンを飛行するのは間違いなく困難です。
- 第三者の安全を確保する
- 事件・事故を引き起こさない
そう考えると、法整備しなければならないのは仕方ないのですね…。
東京からクルマで1~2時間離れた距離に「ドローン練習場」といった場所があるので、そこなら文句なく、ドローンを飛行できます。
ただし、繰り返しになりますが、街中でドローンを飛ばすのはできません。
東京都内だとしてもドローンの規制をクリアできる方法
「とは言っても…なんとか…」
そう思う方のために、いくつのかドローン規制をクリアできる方法があります。
- 航空法適用外の重量200g未満のドローンを使用する
- 土地の管理者の許可を得ている場所で飛行する
この2点なら、東京都内でも一部のエリアを除いてドローン飛行できます。
point01. 航空法適用外の重量200g未満のドローンを使用する
航空法が適用するのは「重量200g以上のドローン」と最初に説明しました。
つまり、重量200g未満のドローンなら航空法は適用しません。
世の中は、技術革新が凄まじく、その航空法を回避する重量199gが誕生しています。
それが「DJI Mavic Mini」です。
空撮ができるカメラを搭載して、完成度の高く、最高峰のドローンと言えます。これが4万6200円で買えるのは、マジで驚きです。
重量199gに詰め込まれた技術が、日本の航空法をクリアしてくれます。
https://www.drone-enterprise.com/blog/7285
これなら、すべての航空法は関係ないため、「ドローンを飛行する」というのを大きな前進できます。
point02. 土地の管理者の許可を得ている場所で飛行する
河川敷や公園、道路、他人の敷地では、ドローンは飛行できないことは説明したとおりです。
では、「他人の土地ではない」なら、ドローンを飛ばしても問題ありません。
例えば…
- 自宅の庭
- 知り合いの畑(知り合いから許可済み)
- 親戚が持っている山(親戚から許可済み)
と言った自己所有の土地や、土地の管理者の許可を得ている場所なら、誰にも文句は言われず、法的な制限もなく、ドローンを飛行できます。
point1およびpoint2の2つをクリアできれば、東京都内だとしてもドローンを飛行することができます。
注意点:小型無人機等飛行禁止法は200g未満も対象
警察管轄の法律「小型無人機等飛行禁止法」は、すべてのドローンが対象です。
重量200g未満のドローンでも対象となるので気をつけてください。
ただし、皇居や各官庁・羽田空港などの特殊なエリアのみが該当する法律なので、一般的には気にしなくても大丈夫です。一応、豆知識ですね。
最後に、マナーと安全対策は忘れずに…
重量200g未満のドローンは、航空法の対象外で東京都内でも飛行することは可能ですが、ドローンを飛ばすにあたってのマナーや安全対策はあります。
- 第三者の上空を飛行させない
- 高速道路・新幹線などの周辺で飛行させない
- 高圧電線・変電所、携帯電話の基地局などの周辺で飛行させない
- 雨天時に飛行させない
- プライバシーの侵害を犯さない
など、一般的な常識に当てはめた飛行場所や飛行方法を守らなければ、簡単に事故の加害者になります。
国土交通省航空局からガイドラインが出ていますので、これも一読くださいね。
あとがき
東京のドローン規制はどうなんだろう?と思って、一挙にまとめてみました。
俯瞰的に見ても東京でドローンを飛ばすのは大変ということですね。
「重量200g未満のドローンを使用する」なおかつ「土地の管理者の許可を得る」が、2020年で考えられる、東京都内でドローンを飛行する唯一の方法です。
それだけドローンというのは大変な扱いなのです。
訓練して、熟練した操縦者なら国土交通省航空局に飛行申請を出して、一応都内でも飛行許可が下りますが、細かな飛行ルールや飛行実績が求められ、どこでも飛ばせるわけではありません。
生業(なりわい)としてなら許可を取るようにしますが、一般的には現実的ではないというのが本音です。
ドローンを飛ばすのは東京都内ではなく、他県にある広い海とかが現実的なのかもしれません。