こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンを夜間飛行させるのは、法律で禁止されています。
これは誰もいないような山奥でも、自宅の庭でも、日本という場所ならどこでも夜間飛行は航空法で禁止となっています。
また国土交通省航空局から許可承認があったとしても、強い制限があるため、ほとんどの場合、自由に飛行できません。
今回のブログ記事では…
- ドローンの夜間飛行の禁止内容
- 国土交通省航空局から許可承認を得ても自由に飛行できない理由
- ドローンの夜間飛行は年々、規制強化されている
この3点を中心に「ドローンの夜間飛行をおこなうのは厳しい現実がある」ことを情報シェアします。
この記事を読んでいただければ、ドローンの夜間飛行の全貌がわかるよう解説しますね。
このページに書いてあること
ドローン夜間飛行は法律で禁止されています
「ドローンを夜に飛行させたら、もっと別の撮影ができるのかな?」
そう思う方が多いかもしれませんが、ドローンの夜間飛行は、どのような場所でも航空法で禁止しています。
航空法には…
第百三十二条の二
無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。(中略)
五 日出から日没までの間において飛行させること。
このようにドローンを飛行する場合には、日の出から日没までの「日中のみ」に限定しています。
つまり裏を返せば夜間は飛行禁止とされているのです。
そのため、夜間飛行をおこなうと航空法違反として罰金刑50万円以下に処されます。
夜間飛行の禁止時間は?
航空法では「日の出から日没まで」と書いてありますが、正確に何時から何時ではありません。
- 飛行させる場所(北海道~沖縄)
- 飛行させる時期(夏や冬)
これらによって、たとえ同じ日本だとしても日の出と日没の時刻が全く異なるからです。
たとえば、2020年8月1日の東京では
- 日の出:4時49分
- 日没:18時45分
となります。これ以外の時間帯は「夜間」にあたるため、ドローンは飛行できません。
日の出や日没を調べるためには、グーグルで「日の出」「日没」と検索すれば、その場所の当日のデータが出てきます。
夜間飛行の禁止場所は?
ドローンの夜間飛行では、日本中のどの場所でも法律適用されています。
私有地だとしても、誰ものない山奥だとしても、海の上だとしても。そこが日本である限り、ドローンの夜間飛行は禁止されています。
ただし、密閉された屋内の場合は航空法の対象ではない、夜間でも自由に飛ばせます。
夜間飛行の許可承認を受けても、飛行に強い制限がある
一定基準を越えたドローン訓練者のみに限って、国土交通省航空局に飛行申請を出して、審査に通った場合は、条件付きで飛行許可承認がおります。
しかし、飛行自体はできますが、昼間と同じような飛行は一切できません。
夜間飛行は、衝突や墜落のリスクが極端に上がり、第三者などに危害を加える可能性が高くなります。
国土交通省航空局が許可承認がおろしたとしても、下記の条件が加わります。
夜間飛行を行う際の体制
- 夜間飛行においては、目視外飛行は実施せず、機体の向きを視認できる灯火が装備された機体を使用し、機体の灯火が容易に認識できる範囲内での飛行に限定する。
- 飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する。
- 操縦者は、夜間飛行の訓練を修了した者に限る。
- 補助者についても、飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと。
- 夜間の離発着場所において車のヘッドライトや撮影用照明機材等で機体離発着場所に十分な照明を確保する。
この文章だけではイメージしづらいため、一つずつ解説していきます。
条件01.機体の向きを視認でる灯火が装備、灯火が容易に認識できる範囲内
ドローン自体にピカピカと光るランプが付いており、かつランプの色分け等で前・後ろが分かる機種に限定することです。
さらにランプが容易に見える範囲内なので、目視外に相当する距離は飛べません。
また「モニターを凝視する」「見えない距離まで飛行させる」などの目視外飛行も禁止されています。
条件02.飛行高度と同じ距離の半径範囲内
その地点の飛行高度とその直下が同じ距離の半径内に、第三者が存在していない状況下のみとなります。
これは分かりづらいので図にしてみました。
例えば、ドローンが高度30mに上がって場合。
その距離相当する半径30m範囲は第三者が入ってはいけないということです。直径では60mになりますね。
上の図では30m以内に人物が存在するため、飛行はできません。
たとえば、高度80mだった場合、半径80m以内(直径160m以内)には第三者がいない状況を作り出さないと飛行できません。
つまり、街中で夜間飛行する場合、
- 道路に通行人がいる
- 建物から人が出てくる
これらを封鎖できないため、ほぼ100%の確率で、国土交通省航空局から飛行許可承認があっても飛行できません。
条件03.夜間飛行の訓練を修了した者
夜間飛行をするためには、夜間飛行を訓練した操縦者でなければなりません
これは当たり前ですね。初心者が夜間飛行をした経験がない場合、危険すぎるからです。
国土交通省航空局では、GPSなしでの対面飛行や八の字飛行の訓練が必要であって、なおかつ夜間と同じ状態での訓練も求められます。
夜間における操縦練習
夜間においても、2-2に掲げる操作が安定して行えるよう、訓練のために許可等を受けた場所又は屋内にて練習を行う。
夜間でも安全に、かつ冷静に対応できる飛行技術を習得した操縦者であることは当然です。
条件04.補助者も、 無人航空機の特性を十分理解
ドローンを飛行させる場合には、何人かの補助者(補助員)を配置しなければなりません。
後ほど解説しますが、飛行範囲が広ければ広いほど、補助者に人数を増やさなければ、飛行許可が下りません。
なおかつ、ドローンの飛行能力・特性等の理解をしている状態の補助員が必要です。
条件05.照明機材等で離発着場所に十分な照明を確保
暗闇の中で離発着は危険です。
十分な明かりを確保した場所で離発着させることですが条件となっています。
条件の中には「撮影用照明機材」や「クルマのヘッドライト」などと記載がある通り、周囲の状況がわかるくらいの照明を確保しなければなりません。
夜間飛行が可能となる条件下とは?
以上の条件を踏まえて、国土交通省航空局から許可承認を得て、ドローンの夜間飛行をおこなうには…
- 訓練された操縦者である
- 飛行高度と同じ半径の中に第三者が存在しない状況をつくる
- 補助者を複数名を配置して、立入禁止等をおこなう
このような条件下で、安全対策を施すと…
このように操縦者、補助者、高度とその範囲を設けなければなりません。
- 第三者が出入りするような住宅地
- 通行人がいるような道路
この2つを制限できない場合には、第三者が入り込んでしまうこととなります。
道路の通行人を一時的に静止させるのは、道路交通法では、道路許可等を取らなければなりません。故に、現実的に、住宅地ではドローンの夜間飛行はできません。
例えば高度5mにすれば、直径10mの範囲で制限がしやすくなると思います。高度を下げるしか方法はないと考えられます。
ドローンの夜間飛行は年々、規制強化されている
「ドローンって夜間に飛行するのは大変だ」と理解いただいたと思います。
実際に、夜間飛行の許可承認を得て、私は何度も飛行させましたが、ドローン操縦者側の目線になると
- 暗くて周辺に人がどこにいるかわからない
- 暗くて障害物が確認しづらい
というのが本音です。
街灯が少ない夜道を想像して頂くと分かりやすいと思いますが、暗い中ですと人が見えません。
さらに、操縦者は原則的にドローンを直視し続ける必要があるため(ドローンを目視飛行)、その周辺をそこまで見渡せないのです。
太陽が出ている日中に飛行場所の障害物をチェックしたり、飛行ルートを確認してシミュレートしたり、念入りに準備をおこないます。
極端に視野が悪くなる夜間飛行。
障害物に衝突して墜落する…という話はよく耳にします。日中よりも、極端に飛行状況が悪くなる夜間では、視認性が著しく落ちるのは当たり前です。
そのため国土交通省航空局では、夜間飛行に関して、年々と審査基準が厳しくしています。
2020年の段階では…
- 市街地などの人口集中地区
- 夜間飛行
この組み合わせは「個別申請」のみでの申請受付となっています(包括申請では飛行できません)。
個別申請では
- 飛行場所や飛行エリアを記載する
- 飛行日時を記載する
- 補助者の配置図を添付する
といった、念入りな申請書ではなければ、国土交通省航空局から「人口集中地区×夜間飛行」の許可が一切下りません。
今後も徐々に審査基準は厳しくなっていくと考えられます。
ドローンでの夜間飛行は、ごく限られた場所や、特殊な条件下のみで実施できます。
何度もお伝えしていますが、たとえ国土交通省の許可承認を得たとしても、昼間のようにドローンをブンブンと自由に飛行できないことの理解が必要です。
あとがき
ドローンの夜間飛行は、かなり特殊な部類に入ります。なおかつ難易度も極端に上がります。
普通ではないドローン飛行である。
強く認識しなければ、簡単に事故を起こしますので、日中に限定したほうが無難なケースがほとんどだと思います。