こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
たまに問い合わせがあるのが「渋谷のスクランブル交差点でドローンを飛ばしたいのですが、依頼できますか?」という内容。
ドローンに詳しい方ならビックリ仰天な問い合わせですが、これは一度だけではなく複数回も問い合わせがきています。
ドローン飛行ができるのかどうかは、そのたびに返答していますが、せっかくなのでこのブログ内で考えたいと思います。
ちなみに、答えはNOであり、限りなく捕まる可能性のあるYESです。
このページに書いてあること
まずは渋谷スクランブル交差点の状況
渋谷にあるハチ公口のスクランブル交差点はごぞんじでしょうか?
1回の青信号で横断する人の数は3000人。1日に最大約50万人が通行する世界最大級の交差点です。
「お祭りがあるの?」と思わせる交差点でも有名ですが、上の数字を見たら「なんでこんなに人が集まっているの?」と疑問に思ってしまいますね。
ちなみに、365日、24時間、一度足りとも人が途切れない、神秘的な交差点です。
そんな交差点で「ドローンを飛ばして欲しい」というのですから、もう考えものですね。
すぐに思いつくのは法律的なドローン規制
渋谷スクランブル交差点は法律的には、何に該当するのでしょうか?
ドローンに係る法律である航空法から考えていきます。該当するのは2つです。
1. 人口集中地区に該当
ドローンで一番該当しやすいのが、人口集中地区です。
人口が多い場所ではドローンは飛行できません!という内容なのですが、こと渋谷のスクランブル交差点は、間違いなく該当します。
なんといっても世界最大級の交差点ですからね。ここが該当しなかったら、どこでもドローンを飛行できてしまいます。
2. 人(第三者)又は物件との間に30m以上の距離を保って飛行禁止に該当
渋谷のスクランブル交差点には、押し寄せる人(第三者)が存在します。
さらに周辺も環境も、物件(第三者のクルマやビルなどの建物)、さらに電線などが存在しますね。
ドローンは30m以上の距離を保たなければ飛行できません。ドローンを飛行させたら、距離なんて1mも確保できないですね。
etc. 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行禁止に非該当
ほぼ毎日のように縁日状態のスクランブル交差点。
しかし、一応ですが「催し(イベント)」ではないので、限りなくグレーに近い非該当と考えられます。
該当しない例:自然発生的なもの(例えば、信号待ちや混雑により生じる人混 み 等)
交差点での信号待ちの人たちが集まっているスクランブル交差点なので、決して催し(イベント)ではないですね。
いや、何度も言うように限りなくグレーですが。
ドローン規制を解除するための国土交通省への申請
前述の(1)(2)のドローン規制があるわけですが、国土交通省に申請をして、審査後、実は許可承認を得られます。
人口集中地区&30m以内のドローン飛行は、業務を行う場合には結構な頻度で許可承認が必要ですからね。
「お、これで渋谷のスクランブル交差点でも飛ばせるのか?」と思うかもしれませんが、根本的に非現実な事柄があります。
ドローン飛行に必要な安全体制
ドローン規制内で飛行させる場合、国土交通省に申請を出すのですが、飛行に対しての安全体制を記載します。
必ず守るべき安全対策が、第三者が飛行経路に入らないように補助員を配置し、接近した場合に飛行中止をする、というもの。
ものすごく簡単に言うと、ドローンが飛行している間は、その直下を含めて周辺エリアを誰一人とも入らないようにするということです。
飛行するには補助員(例えば警備員)が何十人も必要
ドローン飛行中に、その下および周辺に人が入らないように、常に補助員で取り囲まないといけません。
イメージとしては、このような形です。
例えば、警備員を30人くらい雇って、ドローンが飛んで行く飛行経路を「ここに入らないでくださいねー」「ここは通行しないでくださいねー」と言いながら、通行を阻止しなければなりません。
これが実現できないと、国土交通省から許可を頂いても、「安全対策ができてないから、無効ですよ。違反飛行と同じですよ」と言われて捕まります。
いやはや、1回の信号で3000人が行き交う交差点で、これが出来るかどうか考えると、かなり非現実的ですね。
肖像権の侵害に対応する
撮影ともなれば、第三者が写り込んでしまう肖像権にも要注意です。
交差点には、第三者が溢れかえっている状態です。ひとりひとりに肖像権の許可を取るのは非現実的ですね。
もしモザイクを掛けたとしても、交差点全体がモザイクだらけになるのは容易に想像できます。
果たして、それは使える映像なのか…。
警察署に道路使用許可を申請する
ドローンを飛行させる場合には、離発着地は必要不可欠ですね。まして補助員(警備員)で、道路を占領するとなると尚更です。
警察署に道路使用許可を取得しなければなりません。
申請料金や企画概要などの書類送付など様々な手続きがあります。
渋谷は許可が取れるのはごく一部
渋谷で撮影目的で道路使用許可を頂けるのですが、それはごく一部です。
渋谷の場合、渋谷っぽい109とかハンズとか、駅前とかはほとんどNG。渋谷らしい場所でOKなのは、モアイ像前と、マークシティ前くらい。
スクランブル交差点は駅前なので、当然許可は取れないですね。ちなみに行政書士の専門家のWEBサイトでも、駅前はNGと記載があります。
あんな人通り激しい場所で、許可が下りて、何かしらのことをやっていたら「邪魔だ!」と通行人に言われるのは当然ですね。
というわけで、ドローンは飛行できません
国土交通省関連の飛行条件や道路使用許可の観点から考えると、ドローンの飛行は100%無理と言えます。
どんなに頑張ったとしても、いろいろな壁がぶつかってきます。
違反行為としてドローンを無理に飛ばしたとしても、あっさりと警察に捕まります。
警察に捕まれば、問答無用で罰金刑+前科をかせられます。罰金も30万~50万円くらいは行きそうな気がします。
素直に「スクランブル交差点で飛ばしたい、飛ばして欲しい」とは思わないで下さいね。
すべての回答に言えるのが、スクランブル交差点では飛ばせません!のNO回答です。
ここから先は奥の手。※責任負えません
ドローンを飛ばせないで終わってしまうのは、どこか可能性を閉ざしてしまう気がするので、責任を負えない奥の手があります。
ドローンではなく、200g未満のトイドローン(模型航空機)を使用なら可能性がありそうです。
一般的にドローンの規制が入っているのは200g以上の無人航空機です。しかし、200g未満のトイドローンは対象外です。
ハンドリリース、ハンドキャッチで離発着をおこなったり、多少の工夫も必要かと思います。
上記にある法律的な縛りはないと考えられるので、実質的に飛行ができる可能性はあります。
倫理的にNG、騒ぎになる
法律的にクリアしていたとしても、渋谷スクランブル交差点でトイドローンが飛行していたら倫理的にNGだと思います。
間違いなく騒ぎになりますね。あれほどの人がいれば、すぐ見つかりますし、「ドローンだ!」と言って即通報。
警察官がワッサワッサと押しかけてきて、アッという間に補導される。そのような画が簡単に想像できます。悪質な場合は、別の法律(例えば東京都の迷惑条例)を持ってこられて、書類送検も有り得そうです。
リスクが高い割に、得るものがほとんど少ないこの奥の手。どうなんでしょうか!?自分自身でも絶対に試したくありません。
※何度も書きますが責任を負えません
あとがき
「ドローンってなんでもできる」そのようなイメージがあるからこそ、渋谷のスクランブル交差点でドローンを飛ばして欲しいという問い合わせに繋がるのかもしれません。
というわけで、今回のブログの目的は「いやいや、ドローンってそんな自由でないですから!」と注意喚起でした。
ドローンに関するルールや法律など、やっぱりドローン操縦者側が持っていないと事件や事故になりかねないですね。