こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンを操縦するのに「免許は必要なんですか?」と質問が多々あります。
操縦が難しそうイメージがあるため「免許が必要なのでは?」と思ってしまいがちです。しかしドローンを操縦するのに、今現在「ドローン免許」は存在しません。
私は映画やテレビ、企業PVなど数多くの撮影現場でドローンに撮影をおこなっています。そのような私ですら、免許を持っていません。
そこで今回のブログ記事では…
- ドローンの免許は存在するのか?
- ドローンを飛行させる制限はあるのか?
- 2022年度以降の法改正で免許化されるのは本当なのか?
の3つを中心に「ドローン免許が必要ではない理由と、将来の免許化」について情報シェアします。
ドローンを操縦するのに免許はいらないですし、免許は不要ですし、そもそも現時点で存在しません。しかし、2022年度以降では「一部免許化」がおこなわれます。
いまは「免許なし」と「一部免許」の狭間にいるような状態ですね。
このページに書いてあること
ドローンを操縦するための「免許」は存在しない
「免許を持っていないとドローンを飛行できない」という法律も存在しません。つまり、誰でもドローンを飛行することができます。
ここに大きな勘違いが生まれていますので、その3つの勘違いを解いていきましょう。
ポイント1. 今現在「免許」は日本に存在しない
「免許はないの!」とビックリですよね。
ちょっと分かりやすく例え話をしましょう。
クルマを運転するためには運転免許が必要なのは当たり前のことです。
道路交通法に基いた技能や知識を習得して合格すれば、運転免許を取得でき、公道上でクルマの運転が可能になるわけです。
それと同様に、ドローンを飛行させるために免許が必要かというと「NO」です。
ドローンの飛行に関しては免許というものは一切ありません。知識をつけるテストもなければ、技能のテストもありません。
ドローンを買った翌日でも、操縦することは全く問題ないのです。
ポイント2. ドローンに関わる航空法があるがルールを守れば飛行できる
「ドローンの免許が存在しなくて、必要もない」のは理解いただいたと思いますが、大きな注意点が1つ。
ドローンは航空法という法律によって
- 飛行禁止エリア
- 飛行禁止方法
の2つが存在して法律によって制限があります。
逆を言えば、制限が及ばないところもあるというわけです。「では、どこが一部の制限なの?」と疑問に思いますよね。
大きな分かれ道になるのがドローンの重量です。
なぜなら、航空法で重量200gが明確にボーダーラインとして定めているからです。
(※2022年6月から100gに変更されます)
重量200g未満のドローン
重量200g未満のドローンは航空法の無人航空機規定の対象となっていません。
模型航空機と言って、簡単に言うと「おもちゃ」の扱いになっています。つまり、法律で縛りのないドローンと言えますね。
一般的にトイドローンと言われており、Amazonでは…
- 重量50gのトイドローン(5000円前後)
- 重量100gのトイドローン(1万円前後)
- 重量190gのトイドローン(2万円前後)
のような3000円~2万円くらいのトイドローンが販売しています。おおまかに1万円もあれば、なかなか優秀なトイドローンを購入できますね。
この重量200g未満なら航空法の対象ではないため、航空法の制限なくドローンを飛行できます。まずは「200g未満はOK」と覚えておきましょう。
(※2022年6月から100gに変更されます)
重量200g以上のドローン
よくテレビなどで見かける本格的な空撮用ドローンは重量200g以上ですね。
この重量200g以上のドローンは航空法の対象となっています。
航空法では…
- ドローンを飛行させると違反になるエリアがある
- 夜間の飛行、目視外での飛行、イベントなどで飛行すると違反になる
- 人や物と30m以上離さないと違反になる
- 空港付近では飛行させてはいけない
などのドローン飛行条件が存在します。
これらを守らないと航空法違反として50万円以下の罰金刑になります。(冗談抜きに逮捕や書類送検は何人もいます…)
しかし、上記に書いてある違反にならないエリアや違反でない飛行方法ならドローンを飛行することは可能です。
つまり…
- 航空法対象外のエリア内でドローンを飛行させる
- 日中にドローンが目視できる位置で飛行させる
- 人や物から30m以上離して離発着および飛行をさせる など
これらのすべてを守って飛行させれば、航空法上では重量200g以上のドローンでも、誰でも飛行できます。(例えば、ド田舎にある誰もいない海岸とか…ですね)
※ただし航空法のみの話です。他の法律や条例にかかわると飛行できません。これは後述します。
ポイント3. ドローンの民間資格は存在するが資格自体に効力はない
ここまでで分かったように、ドローンには免許というのは存在しません。
その一方で民間が定めるドローン資格というのは存在します。
「民間資格?」と疑問に思いますよね。
民間資格というのは、民間団体が技能や知識を認めた資格です。資格という言葉をもっと分かりやすく言い換えると「検定」です。
例えるのなら漢字検定。漢検◯級のように、検定に合格すれば、民間団体から「この人は難しい漢字も理解しています!」と能力を認められるというわけです。
同様に、ドローンの民間資格というのは民間資格団体が運営するドローンスクールに通って卒業すると取得できる資格です。
お金を払って勉強して、一定レベルの技量を取得できる。いわば塾みたいなものですね。卒業をすると「このひとは、ここまでドローンを飛行できますよ」と民間団体が認定します。
この民間資格を取得してもしなくてもドローンを飛行できます。
この民間資格には法律的な効力はありません。民間資格を持っていても、民間資格を持っていなくても、ドローンは飛行できます。
ドローンを飛行するのはOKだと分かったけど、本当にいいの?
ここまで3つのポイント(3つの勘違い)を記載しました。
- 免許制度ではなく、誰でも飛行できる
- 航空法のルールを守れば、誰でも飛行できる
- 民間資格を取っても取らなくても、誰でも飛行できる
つまり誰でも飛行できるというのがドローンです。(一応メーカーが定めた年齢制限がありますが)
「でもさぁ、本当にドローンを飛行させていいの?」と疑問に感じる方が多いと思いますよね。
いろいろな考え方がありますが、長年の経験からズバリ言うと「飛行するのはOKだけど、それなりの知識があったほうがいい」ですね、間違いなく。
確かに誰でもドローンを飛行できますが、ドローンを甘く見てはいけません。
- 重量200g以上のドローンを飛行させると大きな危険がつきまとう
- 航空法や各法令の知識をつけていないと法律違反に抵触する可能性が高い
- 操作方法の技量が乏しくて、墜落・衝突やロストを起こしやすい
ドローンは法律に大きく関わっていること、相手を傷つける恐れが高いことがあります。
日本にはドローンの免許はないというメリットはありますが、逆を言えば自己責任であるデメリットでもあります。
ルールを守らない場合には、違反行為となり罰金にもなります。仮にyoutubeや画像として残っていた場合でも、後日書類送検になった事例もあります。
またドローンに関わる法律(航空法)のほかにも、関連する法律はたくさんあります。
- 小型無人機等飛行禁止法
- 行政の条例
- 道路交通法 など
たとえば公園でドローンを飛行させていたら「条例違反です」となるのが現実です。
いつでもどこでも飛ばしていいものではありません。
ドローンは危険なものです。だからこそ、様々な法律が敷かれています。その法律やルールをきちんと知ることが、ドローンを扱う上でのファーストステップになるのです。
余談:免許と言われている正体は何なの?
一般的に誤解されている「免許」という言葉ですが、これに代わるようなのがあります。
それが国土交通省航空局からの「無人航空機の飛行に係る許可・承認書」です。
国からの許可ですね。
これは、航空法でドローンの飛行が禁止されているエリアや、禁止されている飛行方法で、法律的な飛行許可を得られます。
ただし、この飛行許可を得るためには、
- 一定基準の飛行技量
- 一定量の飛行時間
- 法律の知識
など、ハードルがあります。誰でも申請すれば許可が降りるというものではありません。
そもそも法律で禁止しているのを、得ていして危険なエリアで飛行を許可させるのですから当たり前ですね。
ドローンは100%ではなく、重力がある限り、墜落します。
どのようなプロであっても、衝突事故や墜落事故を起こしているのが事実です。事故を回避できる、事故を最小限にできる、あらゆるスキルは必要不可欠だと思います。
2022年度、ドローン免許制が導入になりました
ここまで「ドローン操縦に免許はない。必要ない」と説明してきましたが、2020年3月に首相官邸政策会議内にてドローン免許制度が導入されることとなりました。
2022年の段階では、ここまで書いてきたとおり「ドローンの免許」はありません。
しかし航空法の改正によって、一部、免許化の運びになりました。
2021年の段階での方向性ですが…
- 飛行方法や飛行場所によってドローン免許が必要
- それ以外の場合はドローン免許は不要
となっているため、現在の航空法の禁止対象ではないエリア・飛行方法の場合は、ドローンの免許は必要ありません。(=上の画像でいうカテゴリ1です)
しかしカテゴリ2以上の場合には、個別申請もしくはドローン免許が必要になります。
ドローン免許は、クルマの教習所と同じく
- 国交省が認定した民間機関で「身体検査」「技能・知識検査」をおこなう
- 合格した場合は「一等無人航空機操縦士」「二等無人航空機操縦士」のライセンスを得る
といった国家資格になります。
今までは許可制度でしたが、部分的に免許制度となるわけです。
まだ正式な改正内容は出ていませんが、ドローン免許が必要かどうかの基準は…
- 趣味ユーザー → 免許不要
- 専業ユーザー → 免許取得を検討
と考えておくと気持ちが楽かもしれません。
この一部免許化については↓の記事で解説しています。
遊びでドローンを飛行させるにはどうすればいいのか?
でも、ドローンを遊びでもいいので飛行させてみたいですよねぇ…。
そのために簡単にドローンを飛行できる方法があるので、何からドローンを始めればいいのかを説明しますね。
ポイントは「段階的に、ドローンの操縦に慣れていく」ことです。
STEP.01 重量100g未満のトイドローンを購入する
まずは、航空法の対象ではない重量100g未満のトイドローンを購入しましょう。
いろいろと種類はありますが、最初は安価なドローンで十分です。
まずは大きいドローンを購入する前に、トイドローンを購入して「実際の操縦ってどうなの?」という感覚を身につけるところからスタートするのをオススメしています。
私がトイドローンを何台も飛行させたレビューがあります。実際の飛行レビューを見ながら選ぶのも良いですね。
STEP.02 広々とした室内で飛行させる
いきなりトイドローンを外で飛行させるのはNGです。すぐに無くして、悲しい思いをしてしまいます。
トイドローンを購入したら、まずは室内で飛行させてみましょう。
マニュアルを見ながら、操作方法をじっくりと確認してドローン飛行です!
最初は天井や壁にぶつけるのは仕方ありません。何度もぶつけながら、ゆっくりと操作方法を体に覚えさせていきましょう。
ちなみに液晶テレビや窓にぶつけると、傷が付く可能性があるため、カーテンを閉めるなどの工夫が必要ですね。
STEP.03 風のない日を選んで、外で飛行させる
多少慣れてきたらトイドローンを外で飛行させてみましょう。
このときに注意しなければならないのが…
- 風のない日を選ぶ
- 公園等は禁止している場合がある
の2つです。
トイドローンは重量が軽いため、風が吹いていると流されてしまいます。操縦不能に陥ってしまうため、風のない日を選びましょう。
また飛行させる場所ですが、自宅の庭があるのなら、そこが一番いいですね。もしくは友人が所有している空き地や河川敷など。
STEP.04 重量200g以上のドローンを検討してみる
最終的に、大きめの重量200g以上のドローンを購入するか考えていきましょう。
- もっとドローンをやってみたい
- 操縦が難しくて止めようかな…
- ドローンの法律を知ってみよう
など、実際にトイドローンを操縦してみて、いろいろな判断ができるようになっていると思います。
重量200g以上のドローンを購入するときには、航空法の法律を熟知しなければなりません。免許はありませんが、航空法の対象エリア・対象条件は存在しますから。
誰でも飛行できるのですが、安全にルールを守って、正しいドローン飛行をおこなうことを遵守してくださいね。
よくある質問とその答え(Q&A)
ドローンについて、より知識を深めるためにQ&A形式で、ドローンと航空法に関する疑問点を解消できたらと思います。
「ドローンには免許がないことは理解した。ただ、もっと知りたい」
そう思う方は、こちらも参考になりますので見ていってください。
Q. ドローンの操縦はどのような人に向いていますか?
ドローンを浮上させて、まっすぐ進めるだけでしたら、結構簡単にできてしまいます。
しかし操縦者が意図通りに飛行させるには多くの経験を要します。
ドローンの操縦は3次元で空間を読み取り、一瞬一瞬の判断やテクニック、そして空間を立体的に掴むセンスが必要不可欠です。
ガチで操縦したいと思っている方は、5つの能力が必要と書いた記事を読んでみてください。
Q. 航空法で禁止されているけど国土交通省に許可を貰えればOK?
飛行禁止されているエリア内で、ドローンを飛行させる場合には、国土交通省航空局の無人航空機飛行許可を得る必要があります。
ただし、誰もが申請すれば取得できるわけではありません。
飛行技量を有しており、なおかつ航空法の知識、安全管理などの条件があった上で、審査を受けます。
その審査に通った場合のみ、飛行許可が下ります。決してパスポートのような、申請をすれば誰でも取得できるものではありません。
わざわざ法律で禁止しているエリアでドローンを飛行させるのですから、それなりの人間でないと許可がされません。
Q.ドローンで捕まった人はいるの?
何人もいてヤフーニュースにも登場しています。
ドローンの飛行禁止エリア(人口集中地区)で、ドローンを飛行させて警察に書類送検されたケースでは、罰金刑20万円に処されています。
その他にも、Youtubeにアップされた違反飛行の動画が証拠になって、書類送検になったケースも。
きちんとした法律なので、当然のごとく違反をすれば逮捕や書類送検になります。
Q.ドローンって墜落するのですか?
墜落します。
100%はありませんから。重力ある限り、物体は落ちます。
国土交通省による調査書では、ドローンの操縦不能による墜落やロストが跡を絶ちません。日本では人的被害にも及んでおり、イベントの最中にドローンが墜落して複数人に怪我を負わしました。
何度も書きますがドローンは墜落します。その原因のほとんどが操縦者による起因です。
経験や知識でカバーできる部分がありますが、どんなにプロだとしても墜落はします。だからこそ、安全面を最優先しなければなりません。(そのための航空法です)
Q. ドローンのビジネスって儲かるのですか?
分野によっては、すでにレッドオーシャンです。
そこに容易に飛び込もうとすると、かなり痛い目に合う確率が高いです。産業としての成長分野の見極め、参入する上での戦略等、用意周到したほうが無難です。
このあたりのぶっちゃけ話は↓を見てください。
そもそもなのですが、「儲かる?」という気持ちで参入する方は、ぶっちゃけて、どんなビジネスにしろ失敗すると思います。
大きな志や成し遂げたい未来を持ち合わせていないと長続きしませんし、道半ばにして(他の儲け話に浮気して)簡単に投げ出しますから…。
あとがき
ドローンの免許って?質問をいただく機会があるので、ドローン免許事情について記載しました。
免許は存在しないので、ルールを守れば誰でも飛行できるのがドローンです。しかし墜落事故や違反行為は日増しに増えていくと考えられます。
今のルールを厳しくさせないためにも操縦者のモラルを持ちましょう。