「説得する」は、相手に”得”がないと全く効果がない理由。

「説得する」は、相手に”得”がないと全く効果がない理由。

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

アウトプットのためには、インプットを何倍も増やさないと深みが出ませんよね。

読書をしている中で、たまに紹介しているこのコラム。

1冊の本の中に、腑に落ちた一節があったのでご紹介します。これを読んだとき、「当たり前だけど、気付かなかったなぁ」と何度も読み返してしまいました。

「もしドラ」の第2弾「もしイノ」の一節から

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という、タイトルの長い本はベストセラーになったので、ご存じの方が多いはずです。

野球マネージャーがチーム改革のためにドラッガーの「マネジメント」を実践していく話です。

単行本は爆発的に売れましたし、映画化、アニメ化にもされました。

そして「もしドラ」の続編として発売されたのが、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」という作品です。

ネタバレしないように簡単に説明すると、野球部の復活のためにドラッガーの「イノベーションと企業家精神」を実践していくストーリーです。

ネットでは、「もしドラ」よりも「もしイノ」のほうが面白いと評判なので、もし気になる方がいらっしゃったら是非手にとって見てください。

このブログの本題は「もしイノ」の解説ではなくて、「もしイノ」の中の一節の話です。

主人公が実践する一コマで「説得」という言葉があります。一見すると普通の言葉ですが、これは深いですね。

「説得」とは?

この「説得」という言葉は今現在でも盛んに使われる言葉ですよね。何気なく使っている言葉ですが、「もしイノ」では特別な意味合いを持たせています。

「もしイノ」のストーリーの中で、野球部員を集めるシーンがあります。野球は9人必要なので、人数集めが課題。

そこで野球経験者の男子に声をかけて、部員になるように「説得する」わけです。しかし、説得しても部員になるひとはほとんどいません。そこで出てくるのが、この一節。

『説得』というのは、『依頼』ではないのよ。

『説得』とは、相手にとっての『得』を『説く』ということなの。

相手に、『あなたにはこれだけの得がありますよ』と教えてあげること。

こちらの都合に合わせて、お願いしたり、頼んだりすることじゃないのね。

だから『説得』という字を書くのよ。

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」の本文より

この意味合いを理解した途端に、部員がどんどんと集まるようになった・・・という話です。

この話はドラッガーの提言ではなく、「トムソーヤの冒険 ペンキ塗り」のエピソードから引っ張ってきた一節です。(もしペンキ塗りの話も知りたい方はグーグル先生に聞いてみてくださいね)

グサッと胸に刺さったのは、「説得」という行為は日常にもありふれているからです。

相手に得のない説得は、逆効果であること

誰かに何かをお願いしたいとき、依頼したいとき、「説得」という行為がスタートします。

しかし、この説得というのは受け手側からすると好意的には写りません

「説得」とは、こちらの考えを相手に理解させようとする働きかけです。ややもすると、自分の論理で相手をねじ伏せるというニュアンスがあるため、とくに商談時には注意が必要です。

知心コラム「説得と納得は違う」より

「これをやってほしい!」と強く求めたとしても、それは相手を自分の意見に従わせる行為になりがちです。

これでは説得の効果はほとんどないんですよね。

人は誰かに「説得」されることを無意識に拒む傾向があるからです。会話に占める「説得」の割合が多くなると、相手は意思決定をさせられたという”押しつけ感”が残ります。「説得」だけでなく、懇願も、 不安を煽(あお)ることも、また誘導も、すべて自分本位の一方通行のコミュニケーションといえます。

知心コラム「説得と納得は違う」より

このように、押し付け感が残って自分本位のコミュニケーションになるのです。

不快感が残って、相手が抱く印象は悪くなるだけです。

つまり相手にとって”得”を感じさせる説得でないと、説得の成功率は高くないというわけです。

日常に溢れている説得のやり取りに、得を加える

「あなたにとって、こんなメリットがあるから、これをしてほしい」

そのような言い方の説得なら「え、そうなの、話を聞かせてよ」と相手も乗ってきますよね。これは日常の場でも、ビジネスの場でも同様です。

当たり前の話しなのですが、このメリットというのが「貨幣」でやり取りされるのがビジネスです。

「あなたに1万円を払うから、この荷物を東京から川崎に運んでよ」

貨幣というツールを使って、説得できるのは万国共通の行為ですよね。もし貨幣がなかったら、何もメリットもないのに東京から川崎に運ぶ意味が出てきません。

貨幣だけではなく、ときには物や気持ちも説得に当たります。

「美味しいお寿司をごちそうするから、この荷物を東京から川崎に運んでよ」

というのも、相手にとって”得”があれば、通用する話になります。ただし、物や気持ちの場合は、相手が得と感じないと意味がありません。例えば、お寿司が好きでない相手に説得したとしても、それはピンと来ないですよね。

特に初対面には、”得”を考える

この説得する話は、特に初対面の方に考える必要があります。

例えば、古くからの友達や長い取引のある得意先なら、”得”がなくても「このひとのために、一肌脱ごう!」と思ってくれます。これは損得勘定なしで動けるのは、お互いに築き上げた信頼があるからですね。

しかし、その信頼関係がない場合、初対面のひとに説得する場合には”得”を話したり、感じさせなくては、相当のことがないと動いてくれません。

「◯◯を教えてくれませんか?」

面識のない人が、いきなり質問をしたとしても、そこに得がない限り、相手は答える必要性が出てこないのも同様です。

例えば、あなたが人気のあるラーメン店の店主だったとします。

ある時、初見のお客さんから「このラーメン美味しいですね。つくりかたやレシピを教えてください。自分で作ってみたいので」と説得されたとしたら、いかがでしょうか?

ラーメン屋のレシピは言わば、ビジネスの生命線です。それを赤の他人に教えるとは考えづらいですよね。

せめて、「500万円を支払うから」「3年間、タダ働きするから」「視聴率の良いテレビで宣伝するから」など、得がないと考える余地に至りません。(YES・NOの判断は別ですが、少なくとも考える土台に立てます)

”得”を意識するとお互いイライラしない

前述の通り、得を感じさせないと相手は不快になります。

「え、このひとのために、なぜしないといけないの?」とイライラしてしまうだけですね。そして説得した側も「なんでやってくれないんだ!」とイライラ。

これは説得する側が”得”を入れていないだけです。

”得”を意識して、説得をすれば、「これならやろう!」と思ってくれますし、説得した側も「こちらの意図に沿って動いてくれる」のでイライラもしません。

相手に何かをしてほしい場合、”得”のある説得をする。

これを実践していけば、物事がスムーズに進みますし、人間関係も崩れることはありません。

ここまでズラズラを記載をしましたが、説得というひとつの言葉から、多くを学んだ「もしイノ」だったのです。

もし納得感がありましたら、ただ説得するのではなく、スムーズに進む説得を試してみてはいかがでしょうか?私も意識しないとと実感してます。

あとがき

ちなみに「もしイノ」は、こんな説得だけを語っているストーリーではないですよ(笑。

たぶんこの説得に係る話は、2ページくらいです。他にもいろんな要素があるので、気になる方はどうぞ。

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