こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンと聞くと「いろいろな可能性がありそうだなぁ」と思い浮かべるかと思います。
実際にドローン宅配やドローン農薬散布、ドローン測量などなど、あらゆる分野にドローンが関わっていく”雰囲気”があります。
世の中には、ドローン市場予測を立てる民間企業や団体がありますが、一概に「すべてがドローンで発展していく」とは考えにくいのが現状です。
個人的な印象ですが今後、ドローンが大きく活躍しそうなのは「検査」「農業」の2つが現実的かもしれません。
このページに書いてあること
あらゆる分野でドローンの活用に期待を抱く”雰囲気”
ドローンは瞬く間に世の中に登場し、あらゆる分野での活用が検討されています。
代表的なのは、ドローン宅配。
昨今のクロネコヤマトの疲弊問題は記憶に新しいはず。まだ官民による実証実験が行われているドローン宅配ですが、実際に稼働するか否かの問題があるにせよ、宅配業界の期待も高いのは事実です。
その他にも、農業や測量、防犯、検査など多岐にわたり、面白いところだと「NTTが残業調査にドローン利用」などなど、とにかくドローンを使ってみようという動きが活発ですね。
「ドローンって何かやってくれそう!」まさにそのような雰囲気が漂っているのが今の段階です。
そんななか、これをビジネスチャンスだと思って「ドローンで何かをやろう」と考える大企業は、連日のドローン関係のニュースで名を連ねるばかり。
そこに一個人やベンチャーが新規参入してビジネスにしようとするなら、法律というハードル、資本で圧倒的にリードする大企業という既得権益と戦わなければなりません。
そんな”雰囲気”を現実的な視点に落としてくれるのが、ドローン市場予想です。
実際のドローン市場予測は?
民間企業や民間団体が今度のドローン市場を占う「市場予測」というのを発表しています。
当然ながら、誰も見えない未来への「市場予測」なので当たりハズレはあります。例えて言うなら、競馬の予想屋みたいなものですね。
しかし、今月に発表された株式会社インプレスのデータは興味深い内容でした。日頃ドローンに携わっている現場目線(私の一個人ですが)、大方の納得感があったんですよね。
JIJI.com「『ドローンビジネス調査報告書2017』3月23日発行」より
このグラフは、日本でのドローン市場予測を表しています。軍事利用は含まれていないということで、純粋にドローンに関わる官民ビジネスの金額ですね。
2016年度は、市場規模353億円と推理しており、予測では2022年に2116億円まで成長するとのこと。およそ6~7倍ですね。
それぞれの内訳は、機体は販売関連、サービスはドローンを活用したサービス提供、周辺サービスはバッテリーなどの部品およびスクールビジネスとのこと。
こう見ると、スクールビジネスの成長率は幅が狭く、何かしらのドローンを活用したサービスがグングンと伸びていくのが見て取れます。
※あくまで予想なので、こんな上手く行かないこともありますよね。例えば法律が変わったら、推移に大きな影響を及ぼします
さらに、サービスの市場予測は?
このグラフを見て「その提供サービスで、ビジネスに乗っかりたい!」と思ってしまうのは、仕方ないことです(笑。
では、どんなサービス提供がノビシロがあるのか気になるところ。
それでは、その数値は…
JIJI.com「『ドローンビジネス調査報告書2017』3月23日発行」より
色分けがされていて、非常に分かりやすいですね。
8つのサービス提供に分かれていますが、2016年度から2022年度までに急激に成長するであろう分野、それが「検査」「農業」です。
逆に、(成長はするけれど)これ以上のノビシロがほとんどないのが「空撮」「物流」です。※物流は実証実験の真っ最中のため2020年以降に本格的に市場が広がると思われます
現場目線で話をすると、たしかに「空撮」というのは限界がありますね。すでに飽和しており、また空撮する対象物も現実的に多くはないからです。爆発的な需要は存在しません。
一方、「検査」「農業」という分野は、まだ未開拓の地であるのは言うまででもなく、人口減少や少子化、安全対策という面では需要は(高確率で)高まると見込まれますね。
ビジネスとして参入するなら、どういうカタチが最適なのか?
ここまで読んでみて「じゃあ、どうすれば、農業・検査がいいの?その分野の操縦者がいいの?」と思いますよね。
しかし、操縦者で参入するというのは安易ですね。そんな簡単なビジネスは存在しませんよね。
突っ込んだ話を勝手に展開すると(笑)、「専門的に請け負う組織的な業者」というのがスマートです。しかも、すでにこの業界とのパイプを持っているのが前提です。
「検査」をドローンでサービス提供する
この検査というのは、多種多彩です。
橋げたのコンクリートの劣化を調査したり、高圧電線の調査をしたり、設置済みの太陽光パネルの調査をしたり。
現時点で、人間がおこなっている手間がかかる作業を、ドローンを活用して代行するという調査が今後広がっていくはずです。
日本の少子高齢化という点で、人力で物事を解決するのはそろそろ限界があり、高所作業が必要な場合には安全面のコストも馬鹿になりません。
そこでドローンのようなロボットで、よりスピーディーに、より安全におこなうのはやはり合理的。
日本全国でドローンで検査を行っているのはごく僅かです。そう考えると「太陽光パネルを専門で調査しまっせ!」というサービスは登場しやすいわけです。
実際に、すでにNTT西日本がサービス展開をスタートさせています。(ドローンによる太陽光パネル点検、「2MWで15万円から」、NTT西日本)
とは言っても、新規参入する上ではやはり業界とのパイプは欠かせません。
数年前に、太陽光パネル設置はフィーバーしました。取りまとめている設置業者、またはメンテナンス業者とのパイプによる提携があるのならば、先行的に市場開拓できるはずです。
検査場所は点在するため、やはり組織的に広域エリアで対応するのが、参入のポイントになりそうです。
「農業」をドローンでサービス提供する
ドローンの農業分野の活用、つまり農薬散布は2017年の注目株です。
ドローンメーカーのDJIやクボタ、その他中小企業の独自ドローンが続々と機体をリリースしています。農業用ドローンを活用しやすい環境とも言えますね。
農業の高齢化が進んでいるため、農薬散布は期待されていますが、日本風土を考えると一長一短だと考えられます。
確かに、アメリカと違って狭い国土で、点在する田畑を効率的に農薬散布するのは理にかなっています。
しかし、懸念点としては、電線・電柱大国の日本では障害物が多いためスムーズな農薬散布は(低空飛行したとしても)難しそうで、場所も限られそうです。
さらに農業特有の巨大組織による内向きな産業にとって「新しい機材」というのは受け入れられるのは困難かもしれません。
日本には四季が存在するため、農薬を撒くシーズン、回数、また適応する野菜等にも制限が掛かりそうです。
「新しいことをチャレンジしたい」と考えている前向きな農家さんと連携し、どれだけ実績を詰めるかがポイントになりそうです。
その点でも、やはり人脈というパイプは必要です。
特定エリアに根ざして、前向きな農家さんと協同し、実績を積み重ね、そしてその地域にある農業組織を説得する。ここで受け入れられたら、そのエリアでは独占的に業務は回りそうです。(こんな簡単には行かず、他にも弊害はあるかと思いますが)
※ちなみに農家さんは、きっとドローンの操縦はしないです。農家さんがドローンスクールに通うというのは非現実的かと。
参入するなら「検査」「農業」だけど…
ビジネスには困難はつきものです。
それをどう解決していくのか、どう突き進んでいくのか、そして途中で投げ出さないか。
個人的には、金儲けキッカケでスタートする人は、壁にぶち当たって進まないことが多いように思えます。(その間につぎ込んだ、投資・労力は無駄ですよね)
それより「何かを変えてやろう」という折れない意思がないと継続しませんよね。
なんだか、この記事で「よーし、金儲けで一念発起だ!」と思われては残念なので、念のため書かせていただきました(笑。
あとがき
このドローンの市場予測は、当たるかハズレるかは誰も分かりません。
ただ前述の8つのサービスの中では、現実的に需要が高まるのは「検査」「農業」であることは間違いありません。(正直言うと「空撮」の参入は今からは遅すぎです)
新しい市場を誰かが切り開いていく。それが参入者の役務であり、市場を確保できる特権です。
どのようなやり方にせよ、アイディア次第では面白い展開ができるのではないでしょうか?