こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
長い冬を乗り越えて、4月は桜の季節。
色鮮やかな花びらは、見るものを魅了させますよね。
しかし、残念なことに桜をドローンで撮影しようとする迷惑者が湧いて出てくる季節でもあります。
知識もない、マナーもない、許可もない。
そんな無謀で迷惑な人は花見をしている方々にとっては危険人物と言っても過言ではありません。
今回のブログ記事では…
- ドローンで桜を飛行撮影するときの各法規制
- 桜を撮ろうとする際の危険行為
- ドローン迷惑者を通報する対処法
この3点を中心に「ドローンと桜の相性の悪さ…」を説明します。
警察沙汰になりやすい桜シーズン、そして厄介なドローン迷惑者にならないように、すべてのひとが気をつけましょう。
これは重量200g以上のドローンも、重量199gのMavicMiniも、すべてのドローンに関わる話です。
そしてもしドローン迷惑者がいたのなら身の安全を守るためにも「通報」という手段を最優先で考えてくださいね。
このページに書いてあること
ドローンで桜を撮ると通報されるのか?
まず結論から言います。
人が集まるような桜の場所では、めちゃくちゃ高確率で通報されます。これは間違いありません。
一般人が通報する先は、警察や自治体、管理事務所といったところです。
少し前の話です。
ドローンメーカーのDJI社が「さくら撮影コンテスト」として、全国で作品イベントをおこないました。
当然ながら「優秀賞を狙いたい」と考える一般ユーザーが河川敷や公園など、管理者の無許可でドローンを飛行させたのは言うまでもありません。
しかし、一般人に通報されたりや巡回中の警備員に見つかったりして、河川事務所や公園管理者等がパニックになったとか…。(お灸をすえられたドローンユーザーが多いようです)
以降、この「さくら撮影コンテスト」は開催されていません…。
また近年、ドローンに対する冷たい目線が向けられています。2019年には皇居付近でドローンらしき物体が飛行して巷を騒がせました。
さらに関西国際空港では、2度に渡りドローンが飛行したことによって滑走路を封鎖。多大な影響が出たのも事実です。
そういうこともあり、一般人や警察、各種警備など、ドローンに対しては強い警戒心を抱いています。
それ故に、桜のような自然と人が集まる場所では、航空法や各法令などを照らし合わせてみると、高い確率でOUTになりやすいです。
つまり、通報されることによって、ドローン迷惑者は何かしらの処罰を受けることになります。
ドローンと桜に関連する法規制とは?
「なんで桜とドローンはダメなの?」と疑問に思うかもしれませんね。
まず最初に、ドローンをする上で、各法律が対象になるのですが…
- 空のルール
- 地上のルール
この2つをクリアしなければ、ドローンは飛行できません。
例えば、空のルール(=航空法)を守ってクリアしていたとしても、地上のルール(=法令等)に違反していたら、ドローンは飛行できないのは当たり前ですね。
そこで、ドローンで桜を撮るにあたって対象となりえる法律・法令を書き出してみましょう。
(航空法)人または物件から30m以上を離す
航空法で禁止されているのが、人から30m以上を離す必要があることです。
例えば…
- 桜の下で花見をしていた
- 桜を眺めながら通行していた
と言った第三者のひとが桜の近く(30m以内)にいた場合には航空法違反です。また同様に、物件(人工的なもの=電線等)が30m以内にある場合も違反になります。
つまり、人が行き交う桜付近では、30m以上を離すのは困難です。
(航空法)人口集中地区での飛行禁止
ドローンは日本国内のエリアによって飛行禁止を指定されています。
例えば、住宅が隣り合って見渡す限り住宅だった場合には、そこはドローン飛行が航空法で禁止されているエリアの可能性が高いです。(=人口集中地区)
東京都などの都市部に関しては、ほぼすべてのエリアで飛行禁止になっているため、その時点で航空法違反になります。
(航空法)「◯◯さくらまつり」のイベントでの飛行禁止
桜の名所では、さくら祭りをおこなう場合が多いです。
例えば、◯◯さくらまつりと称して、3月25日~4月10日まで期間を決めている花見のまつりです。
ドローンには、イベントやお祭りといった催し物での飛行は強く禁止しています。
「◯◯さくらまつり」といった、不特定多数の第三者が自然と集まってくる催し物に該当して、ドローンを飛行させた場合には航空法違反になります。
最近では催し物でのドローン飛行は厳しい制限が入っており、一般的には催し物では飛行できませんし、重点的な安全対策をしなければ国土交通省からの許可を得られません。
「◯◯さくらまつり」と期間を決めた場所でドローンを飛行させていたら99%アウトです。
(地上のルール)飛行させる場所の管理者の許可
多くの人が知っていないのが管理者の許可です。
ドローンを飛行させようとしている場所は、誰かが管理しています。たとえ、航空法がクリアしていたとしても、その場所がNGだった場合にはドローンは飛行できません。
例えば、桜が立ち並んでいるのは河川敷や公園の場合が多いですね。
この場合、ドローンは飛行している場所の管理者の許可が必要です。例えば、河川敷だった場合には、その河川を管理している国土交通省◯◯河川管理事務所という場所です。
航空法の規制対象ではないエリアだったとしても、管理事務所がドローンNGの場合には禁止行為に当たります。
これは桜の季節とは一切関係なく、対象の河川事務所によっては通年ですべてのドローン(200g未満を含む)を禁止している場合があります。
例えば、京浜河川事務所では、
京浜河川事務所の管理する河川(民有地、自治体管理の公園等(占用地)を除く。)においては、ドローン、ラジコン飛行機等の無人航空機(航空法施行規則第209条の3第1項第4号に規定する模型航空機を含む。)(以下「無人航空機等」という。)の飛行は、航空法及び『無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン』の注意事項を守って飛行させることができる場所はごく限られていることから、航空法による許可または承認の有無にかかわらず、原則「飛行させることができません。」
航空法の許可の有無などに関わらず、すべてのドローンを飛行させることができません、と明言しています。もちろん199gのMavicMiniも飛行できません。
また公園も同様で、市区町村の公園課という場所が管理をしています。
公園に関しては、さらに管理が厳しい場合があり、例えば東京都の都立公園ではドローン(トイドローン含む)で全面禁止されています。
つまり行政側の条例でドローン禁止になっていることが結構多いです。
例えば、神奈川県横浜市の公園。
横浜市公園条例(公園の設置 及び管理のため)
条例第5条第10号において、危険な行為の禁止及び 他人の迷惑になる恐れのあ る行為の禁止を定めており、ドローンの飛行は、解釈上、これに該当するものとして原則禁止。
「他人に迷惑のかかる行為」として原則禁止しています。
最近は↓のような看板が至るところにありますね…。
もし、ドローン迷惑者が河川敷や公園等でドローンを飛行させていた場合…
「ここの管理事務所のドローン飛行の許可は取得していますか?その連絡先も教えてください」
と聞いてみると、ほとんどの場合は、「え!?」となるわけです。
管理事務所によっては、ドローン迷惑者を警察に通報したり、始末書を書かせたり、データを没収したりします。
禁止行為をしているのだから、当たり前ですね。
法律の範囲内でドローンと桜を撮るには?
前述のように…
- ドローンには「空のルール」「地上のルール」が対象になる
- 桜の季節は人の往来が激しく、シートを敷いて滞在する人も多い
- 河川敷や公園といった場所は、200g以内を含むすべてのドローンで禁止されていることが多い
これらの3つが大きな障害となり、そもそも桜自体を撮るのは困難だと言えます。
ではどうすれば法律の範囲内で、花見のお客さんに迷惑をかけずに、桜を撮れるのか…という話です。
飛行させる場所の管理事務所の許可を取る
もっとも重要なのが、その飛行させる場所の管理者の許可を得ることです。
例えば、お寺さんだったら、お寺の住職に「桜を撮りたいのでドローンを飛ばしてもいいですか?」という質問でOKをもらえれば、その場所で「地上のルール」がクリアしたことになりますね。
知り合いの庭先に咲いている桜を撮る
これがもっとも安全で、ベターな手法かもしれません。
知り合いの庭先に咲いている桜を撮るのなら、知り合いがOKと言えば誰も文句は言わないです。そして通報もされません。
思う存分に撮れますね。
桜を撮りたい気持ちは分かるけど、場合によっては危険行為
ドローンを手に入れたから「桜を撮ってみたい」と思う気持ちは重々理解できます。
今までにない桜の姿を見れますし、1年間で数日のレアな被対象物ですし、誰よりも先に自慢をしたいという欲求も出てきますし。
しかし、残念ながら桜の撮影は(高い確率で)危険行為につながります。第三者が多く集まりますし、春の天気は不安定です。
ちょうど3月末頃、外国人から電話がかかってきたんですよね。泣きそうな声で「ドローンが墜落したのですが、どうすればいいですか?」と。
電話口ではビュービューと風切音。そりゃ~風速6m以上で、さらに上空はさらに突風が吹いている状況でドローンを飛行させたら、あっさりと墜落します。
機体の軽いMAVICシリーズなら尚更です。このような無謀なドローン迷惑者が沸いて出てくる桜の季節。
どうすれば対処できるのか…が最後のセクションです。
ドローン迷惑者を通報する対処法
「せっかく楽しく花見をしていたのに、なんかドローンがブンブンと飛んでいて迷惑…」
そう思ったのなら、どうすればいいでしょうか?
一般的に、ドローンの知識を持っていない人が大多数です。なにが正解なのか、なにが不正解なのかが分かりませんよね。
ざっくりですがドローン迷惑者に対する対処法をご紹介します。
この一言で終了するはずです。
「ここの管理者の許可は取っていますか?航空法の許可ではなく、この管理者の許可です」
前述のように、ほとんどの場合でドローンを禁止している公共施設が多いです。
例えば河川敷、公園、観光施設など。ドローンに対する条例等が整備できていない時代はスルーされていましたが、さすがに2020年となると、きっちりと整備できています。
人に危害を加えそうな場合は、ドローン迷惑者に直接いうのではなく、その場所の管理事務所に電話をかけましょう。「ドローンを飛ばしているひとがいます!」これだけでOKです。
もし警備員がかけつけて、条例違反の他にも、航空法違反だった場合には、その方はOUTです。もちろん検挙されます。
警察に通報したら、ドローンを操縦していた人はどうなるのか?
管理事務所に連絡をした場合には、厳重注意になるはずです。場合によっては、警察に引き渡される可能性もあります。
そして航空法に違反するドローン飛行の場合には、書類送検+罰金刑(前科付き)になります。
最大50万円以下ですが、過去の実例から言っても、数十万円単位の罰金を支払うハメになります。ドローンは殺傷能力のある危険物でもあります。
それだけ重たい法律が整備されており、実際に何人も逮捕・書類送検されていますので、決して稀な違反行為ではありません。
あなたを含めて、周辺の方も「危険だ」と感じたら、事故が起きない前に対処をオススメします。
あとがき
「ドローンはおもちゃだ」
そのような意識が低い方が多く見られます。しかし実際には、ヘリコプターと同じ扱いになっており、航空機の1つです。
航空機だからこそ法整備がされている、その対象がドローンである。
ドローンというものは、そういうものです。
桜の花見で安易にドローンを飛行しないよう抑制としてこの記事が役立てれば嬉しいです。
そして、ドローンユーザーは、本当にドローンを飛行させたいのなら、正当な方法で飛行させましょう。