こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンの撮影を依頼する際、各会社を比較対象されるはずです。
その時に思われるのが「何を基準にすればいいのか分からない」「費用や料金の相場が分からない」です。
先日、ご依頼を頂いた広告制作会社さんからも「他社から見積もりを取ったんだけど分かりにくかった」とご質問を受けたんですよね。
そこで今回のブログ記事では…
- ドローンの撮影価格がわかりにくい理由
- 実際に撮影にかかるコストの解説
- 費用・料金で重要視するべき事柄
この3点を中心に「ドローン撮影費用の正解は何なのか」を情報シェアします。
そしてドローン撮影会社の私がとことん見積りの裏側を書いていきますね。
このページに書いてあること
ドローン撮影の費用相場は?見積り料金の裏側とは?
最初に結論です。
ドローン撮影を会社に依頼する場合、激安会社は3万円~、高価な会社は30万円~とピンキリです。
中間レンジで考えると、おおまかに10万円~20万円が相場になってきます。
ドローンは法律規制のかかっている特殊な撮影方法であり、一般的なカメラ撮影とは異なり特殊機材(=特機)とも言われています。
どのような撮影内容かによって金額差が生まれ、飛行申請、安全対策、機材費、さらに技術料などが費用として乗っかってくるため、カメラ撮影よりも見積り金額が高くなりがちです。(昔は空撮はもっと高額でしたのでだいぶ良心的になってます)
「それなら、とにかく安いところに依頼すればいいのかな!?」
そう思われがちですが、ドローン撮影は撮影技術の差が大きく、機材の質、安全対策など、企業によって大きくなります。ドローン撮影してもらって「使えない写真だった」では困りますよね。
それでは費用以外で何を確認すればいいのか、何を中心にして比較検討すればいいのか、それを順を追って説明します。
ドローン撮影料金は高いの?安いの?よく分からない…
ドローン撮影を依頼しようとして外注先を探すと、たくさんの会社が見つかりますよね。私もその会社の1つですが。
「料金を見ても項目がたくさんあって、高いのか安いのかが全然わからない。ピンきり過ぎるよね」とそんな話を依頼を頂いたクライアントから良く耳にします。
「最初は数万円だったのが、どんどんと見積額が上がっていって、数十万になってビックリしたよ!相場を教えてよ!」と…。
これは難しいですよね。
正直なところ、クリエイティブな世界では相場はあんまりないのです。
例えばWEB制作も、デザインも、映像編集では、何をどうしたいのかによって、料金差はどうしても生まれてしまうのです。ドローンも同様ですね。
もっと分かりやすく言うと美容院。
カット料金が1000円の美容院もあれば、8000円の美容院もあります。髪を切るというサービスなのに値幅は広いですよね。
さらに、ロング料金があったり、ヘッドスパのオプションがあったり、最終的な金額は個々の美容院によって変わります。
端的なイメージで言うと、ドローンの撮影も美容院と同じような料金差があります。
でも「なぜ、その撮影費になるのか?」というのは、ご依頼する側として知っていて損はありません。
ドローン撮影の料金の決まり方について、大雑把にですがご説明します。
撮影費用にあたる3つ基本構成
ドローンの撮影の料金は…
- 「人」
- 「時間」
- 「機材」
の3つで構成されています。
この3つのコストをどう調整するかによって見積額が変わってきます。(さらに言えば、できあがるクオリティも3つによって左右されます)
※この先にズラズラとその内訳を記載しますが、根本的な考え方は見積もりのほとんどは「人件費」だと思って頂いてOKです。
01:「人」にかかるコスト
人間が動けば、それだけコストはかかります。ここでいう「人」にかかるコストは…
- 撮影者(操縦者)のスキル
- 撮影担当の人数
- 営業担当の人数 など
分かりやすいのはスキルですね。著名な撮影者なら実績が伴っているため、コストは高くなります。(例えていうならイチローですね。高コストだとしても、球団は手に入れたいのと同じです)
また撮影するときに、2人体制・3人体制になれば、人にかかるコストは2倍・3倍にもなります。撮影とは関わらない営業担当を抱えていたら、その人件費も上乗せされていきます。
02:「時間」にかかるコスト
こちらも同様に、人間が動けばそれだけ「時間」が消費されていきます。ここでいう「時間」にかかるコストは…
- 撮影日数
- 撮影地への移動時間
- 撮影予備日の日数
- 申請に掛かる時間 など
撮影準備を含む、撮影に係るすべての時間です。1つの撮影に多くの時間を割いた場合には、その分のコストを上乗せされていきます。
例えて言うのなら、14日分の工数がかかって費用が数万円だとしたら、時給で計算すると数百円で即廃業します。時間と比例して、コストも上昇していくのです。
またドローン撮影には、天候リスクも存在します。
どんなに晴れていたとしても、風の影響があった場合には撮影はできません。
通常の地上の撮影よりも撮影ハードルは高く、実施できるまでの「時間」もコストとして上乗せされていきます。
03:「機材」にかかるコスト
ドローンの機材費としてイメージしやすいですね。
- ドローンの機材
- 対人対物保険料・機材保険料
- メンテナンス費用
安価な機材を使用していれば、1撮影にかかるコストは抑えられますが、高価な機材を使用するとなるとコストを上げてペイしていかなければなりません。
汎用機材を使用するのか、特殊な機材を使用するのかによって値幅も大きくなります。(レンタカーで、ヴィッツのレンタル料金とBMWのレンタル料金が異なるのと同じですね)
撮影見積もりの内訳
上記の3つのコストがベースになって、各社の見積もりが作られていくわけです。
それでは実際にクライアントに解説を頼まれた「見積もりの内訳」を考えていきます。
建物の空撮見積もり
とある建物を撮るために、そのクライアントは見積もりを依頼したのですが、大雑把に下記のような項目だったようです。
初めてドローンの撮影を依頼するので「よく分からない!」と嘆いておりました…。
◯◯物件ドローン撮影費 | ||
1.基本撮影料 | ×1 | 10万円 |
2.飛行申請料 | ×1 | 3万円 |
3.機体使用料 | ×1 | 5万円 |
4.フライト料 | ×3 | 9万円 |
5.出張料 | ×1 | 2万円 |
合計 | 29万円 |
確かに見慣れない項目名が並んでしまうと、「それは何なの?必要なの?」と疑問に感じるかもしれません。
しかし相手側から出てきたものなので、最終的に判断するのは合計金額のみになってしまいます。
では、一般的な見積もり項目の解説をおこないます。
1.基本撮影料
ドローンの撮影(空撮)にかかるセッティングやディレクション(全体調整)です。
通常のスチールカメラによる撮影とは大きく異なり、ドローンはガッツリと法律の対象となり、場合によっては厳しい制限がかかります。
そのため撮影できるか否か、どうすれば撮影できるかなどのセッティングは欠かせません。
もし撮影依頼があったとしても、実際の撮影時間よりも、この調整時間のほうが遥かに時間がかかることが多々あります。
「人」「時間」のコストがかかるという点で、基本撮影料が設定されていると思われます。
2.飛行申請料
ドローンは航空法によって飛行制限がかかっています。
人が住んでいないようなローカルなエリアなら法律対象外になり得ますが、業務用途で撮影となるとほとんどは法律対象エリアもしくは対象条件にかかります。
その飛行制限を解除するために、国土交通省に飛行許可の申請をして、許可書を取得します。
申請書を作成し、国土交通省とのやりとりを行うのには、やはり「人」「時間」のコストがかかります。
3.機体使用料
ドローンにはいくつか種類があります。
お手軽なドローンや、高画質なドローン、またVR撮影ができるドローンなど。
おもちゃのような画質で良いなら安価になりますし、クライアントワークなら相応の画質は必要不可欠です。
それぞれ機体の値段は異なるため、使用する機体に合わせてコストを上乗せしていきます。
前述の「機体」のコストは、まさにこの項目ですね。
4.フライト料
ドローンの飛行燃料は、バッテリーです。使用機体にもよりますが、10~30分程度で1バッテリーを消費します。
より多くの撮影をする場合には、このバッテリーの消費本数によってフライト料を定めています。
今回の見積もりに入っている「3フライト」というのは、3回分のバッテリーが加算されているわけです。
ここもスキルという点での「人」、また拘束時間という「時間」のコストが発生しています。
5.出張料
名前の通り、現地までの移動費(交通費)ですね。
近ければ近いほど出張費は安価になりますが、遠ければ遠いほど交通費も高くなりますし、実質的な拘束時間も長くなるため割高になります。
「人」「時間」のコストがかかるわけです。
※ドローン操縦士の派遣会社の場合、この合計金額に手数料が加算される
ドローン操縦士を何人も登録させて、派遣だけを行っている派遣会社(別名:マーケットプレイス)では、上記の金額に手数料が加算されます。
撮影に係る調整費および派遣会社の利益として数万~数十万円が乗っかるわけです。その分の業務を行っているので、当然といえば当然ですが。
最終的に、クライアントに提示される見積もり合計金額は割高になる場合があります。
コストを安く抑えるのは正解なのか?
クライアントによっては「とにかく安く!とにかく安く!」と、安さ最優先で会社を探されている方もいらっしゃるかもしれません。
実際に複数のドローン撮影会社に見積を出したとしても、その値幅は大きいかと思います。安いところは数万円、高いところは数十万円といった具合に。
では、この異なる金額だとしても果たして「撮影できるかどうか?」を考えると…、答えは「すべての会社で撮影できます」ですね。
ただし、スキルも作業工程も使用機材も異なるので、まったく同じ撮影物はできあがりません。
大切なのは「クライアントの目的にかなうクオリティ」が担保できており、「費用とのバランス」が取れているかです。
これを無視してしまうと
- 「安かったけど、映像として全然使えなかった」
- 「必要充分過ぎる機材を使っていて高かった」
になります。
コストが安くても良いというわけではなく、高くても良いというわけでもありません。
例えて言うのなら、新築一軒家の建築メーカーですね。
500万円で建てるメーカーと、1800万円で建てるメーカーがあったとして、安さ最優先なら圧倒的に前者です。
しかしオーダーは通らなく、住んでみたら不具合ばかり…。ただし、雨風はしのげて一応は住めます。
そうならないように「クオリティと費用とのバランス」を考えて、「ドローン撮影で得られる価値」とを計ると失敗は少ないです。
費用・料金で重要視するべき事柄は?
クオリティと費用とのバランスを考えていく上で、ドローン撮影会社を選ぶチェックポイントは8つです。
- ビジネス実務での撮影実績
- 使用するドローン機材
- ドローン操縦力
- 法律の知識力
- 各所への調整力
- 飛行許可の申請
- 撮影可能なボリューム
- 空撮料金(総額)
各項目を確認しながら、予算間や費用・料金を考慮していくと思いますが、最終的には「安心感を抱く」かどうかが重要です。
人によっては「実績」での安心感もあるでしょうし、「値段」での安心感もあると思います。
「ここなら安心して依頼ができる」
価格だけではなく、それを基準に判断してみてはいかがでしょうか?
この8つのチェックポイントは↓の記事に書きましたので参照してみてください。
あとがき
費用といった数字で表せられると、簡単に比較できてしまいますが、それで「過去に失敗した」と言っていたクライアントがいらっしゃいます。
本来でしたら「品質」「安全」といった箇所も比較しながら、最後は「ここだ」と思える納得感があるとドローン撮影が成功すると思います。