こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
「ドローンは航空法の対象だと知っているけど…ぜんぜん分からない!」
そう嘆くユーザーやクライアントが大変多いです。
確かにドローンに関わる航空法は複雑ですし、航空法だけではなく関連する法律も知らなくては、「いつの間にか違反していた」となりかねません。
今回のブログ記事は、ドローン規制・ドローン法律の総集編です。
- ドローンに関わる”空のルール”
- ドローンに関わる”地上のルール”
- 気をつけたいドローン違反飛行のケース
この3点を中心にドローンを安心して飛行できるまでのガイドラインとして解説していきます。
ドローンの現場にいる私の、最前線の法律と規制です。
基本的には、各項目ごとに詳細なブログ記事をリンクさせていますので、「もっと詳しく知りたい」という場合はリンクを辿ってくださいね。
ちょっと長い記事ですが「この記事1つで全体像をつかめる」まで持っていっています。何度か見返していただくと嬉しいです。
このページに書いてあること
- 1 ドローン規制&法律は「空のルール」と「地上のルール」を知るのが最短経路である
- 2 空のルール=航空法(エリア)
- 3 空のルール=航空法(飛行方法)
- 3.1 空のルール(飛行方法.01):日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 3.2 空のルール(飛行方法.02):目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 3.3 空のルール(飛行方法.03):人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 3.4 空のルール(飛行方法.04):祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- 3.5 空のルール(飛行方法.05・06):爆発物など危険物を輸送しないこと、無人航空機から物を投下しないこと
- 3.6 飲酒時の飛行禁止・飛行前確認・衝突予防・危険な飛行禁止の4つが加わる
- 3.7 補足01:重要なのが第三者の上空への飛行禁止
- 3.8 補足02:国土交通省への審査・承認は誰が出来るのか?
- 3.9 補足03:空のルール(航空法)を違反するとどうなるのか?
- 3.10 補足04:違反映像が証拠になって逮捕されている事案あり
- 3.11 なぜ航空法でドローンを規制しているのか?
- 4 地上のルール=飛行禁止法・民法・道路交通法・条例など
- 5 「空のルール」と「地上のルール」を守る
- 6 気をつけたいドローン違反飛行のケース
- 7 法律を守るのは、自分のためではなく、第三者のため。
- 8 あとがき
ドローン規制&法律は「空のルール」と「地上のルール」を知るのが最短経路である
ドローンには航空法の対象となっており、さらに関連する法律がいくつも存在します。
ただでさえ航空法だけでも難解なのに、「航空法だけではない」となるとゲンナリしてしまいますよね。
そこで、考え方をシンプルにすると理解がグッと早くなります。
- ドローンには「空のルール」がある
- ドローンには「地上のルール」がある
この「空」と「地上」の2つで切り分けると、ドローンの規制や法律が見えやすくなります。
逆に言うと、ドローンは様々な法律に深く関わっているため、「空のルール」「地上のルール」の2つをクリアしなければ、法律的にドローンを飛行できません。
例えば、片方の「空のルール」だけをクリアしたとしても、「地上のルール」で違反になる場合もあります。
つまり、航空法を守っていればどこでもドローンを飛行できるわけではありません。
「空のルール」「地上のルール」を知ることが、違反飛行にならない最短経路になります。
「空のルール」「地上のルール」の2つをクリアしないと抱えるリスクは…
繰り返しになってしまいますが、ドローンが飛行するためには「空のルール」と「地上のルール」の2つを法律的にクリアしなければなりません。
これは…
- すべてのドローンユーザー
- ドローン業者
- 発注するクライアント
すべての方が認識しなければなりません。法律ですからね。
たとえば、2つをクリアしていない状態でドローンを飛行させると、どのようなリスクを抱えるのでしょうか?
まずは危機感を持ってもらったほうが、この先の記事内容を真剣に読んでもらえるかも…という淡い期待で書いてみましょう。
空撮に限った話になりますが、その動画が証拠になります。違反的なドローン飛行をしていた場合、それが証拠になるわけです。
そのため…
- ドローンで撮った画が証拠になって自分自身で首を絞めてしまう
- ドローン業者に依頼をして撮った映像が、違反飛行で「使えない映像」を掴まされた
- 違反飛行しているYoutube動画を見て「これはできる」と勘違いして、自分自身も違反飛行してしまう
こういった勘違いが原因で、罰せられるレベルのリスクを抱え込みます。
実際に、ドローンで違反飛行させたyoutube動画が起因になって、警察に書類送検されたケースもありました。
ユーザーも業者も、クライアントも、まずはドローンの法律や規制を知ることが、リスクを回避できる方法だと思います。
空のルール=航空法(エリア)
ドローンは基本的に自動車運転のような免許は存在しなく、一定の範囲の中なら誰でもどこでも飛行できます。
国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」より
国土交通省のドローン関連のページを見ると、必ず目にするのが上の図です。この図で示しているのは、空のルールの「エリア」についてですね。
上の図の青い文字で書いている「ABC以外の空域」というのが、基本的にはドローン飛行OKだと考えるとスムーズです。
そのエリアなら、空のルールではドローンは飛行しても大丈夫。
しかし、それ以外の「ABC」は法律的に飛行不可。具体的な内容としてこの図には、2つのことが書いてあるので、それぞれ分解して説明します。
空のルール(エリア.01):人口集中地区エリアの飛行禁止
ドローンは「人口集中地区」というエリア内は飛行禁止とされています。
そもそも人口集中地区とは何かというと…
市区町村の区域内で人口密度が4,000人/km²以上の基本単位区(平成2年(1990年)以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定される。ただし、空港、港湾、工業地帯、公園など都市的傾向の強い基本単位区は人口密度が低くても人口集中地区に含まれる。
英語による”Densely Inhabited District”を略して「DID」とも呼ばれる。
要するに「一定数の割合で、人がたくさん住んでいるエリア」だと思ってください。
どこが人口集中地区なのかは、所定のマップを見れば一目瞭然です。
国土地理院から人口集中地区のマップが公開されており、赤くなっている場所が対象エリアです。
つまり、赤い場所=ドローン飛行禁止 と覚えておくのが簡単ですね。
逆に赤い場所でドローンを飛行させると、一発で違反行為になりますので十分にエリアを確認する必要があります。
空のルール(エリア.02):空港等周辺エリアの飛行禁止
空港周辺は航空機の離発着があり、「進入表面」や「水平表面」では飛行を禁止しています。
例えば、羽田空港。
国土地理院「航空法施行規則第236条第1号に掲げる空域(空港等の周辺空域)の投影面下」より
このように緑色で「進入表面」「転移表面」が飛行禁止になっており、その他の空港に近いエリアでは「飛行高度」も制限がかかっています。
ドローンと航空機が衝突した場合には大惨事を招きますからね。容易に想像できる飛行禁止の事項です。
空のルール=航空法(飛行方法)
次はドローンの飛行方法です。
どのエリアにも関わらず、飛行方法も禁止事項があります。それが以下の条件です。
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
もう一度書きますが、ABC以外の空域(人口集中地区を含まない空域)だとしても、上記の飛行方法を守らないと違反飛行になってしまいます。
全部を詳細に書いてしまうと大変なボリュームになるので、それぞれ簡潔に解説しつつ、詳細リンクを貼りましたので合わせて見てください。
空のルール(飛行方法.01):日中(日出から日没まで)に飛行させること
太陽が出ている間だけでドローンを飛行させてください、という内容です。
グーグルで「日の出」「日没」と検索をすれば、(位置情報を通知していたら)その地点の「日の出」「日没」が出るので簡単ですね。
日中以外の飛行、つまり夜間飛行となると国土交通省の審査・許可が必要になり、さらに飛行制限も一気にかかります。
高度は上げるのが難しくなりますし、そもそも操縦者側は夜間飛行の訓練実施が必要です。
日中とは一転、夜間は極度な空間認識力が必要なのは過言ではありません。
空のルール(飛行方法.02):目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
操縦者の視点で「ドローンを目視で常時見ていてくださいね」という内容です。
例えば下記の2つは目視から外れてしまいます。
- モニターを見続ける → 目視ではない
- 目で見えないほど遠くに飛んでしまっている → 目視ではない
ちなみに「目視の範囲って何メートルなの?」て思いますよね。
◯◯mという距離で記載が書いていないのは、操縦者の視力が影響するからです。視力0.1の人と、視力1.5の人とでは、ドローンがどこまで見るのかは大きく異なりますから。
空のルール(飛行方法.03):人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
ドローンは危険だから「人と物件には近づけないで!」という内容。
30mというのは球体の空間を示していて、離発着地および飛行時のすべてに置いて30m以上離す必要があります。
この対象になりがちなのが、通行人やクルマ、電信柱や電線など。簡単に言うと、人間と人工物のすべてです。
空のルール(飛行方法.04):祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
「イベント」「催し」ではドローンを飛行するのは違反ということです。
第三者が集まるイベントは、墜落した際の人的事故率は極端に高まります。集団の中にドローンが落ちたら、それこそ何人もケガ人が出ます。
そのため「人が集まる場所」ではドローンを飛行するのは禁止されています。
2017年11月にイベント時にドローンが墜落して、さらなる規制強化されました。子供含む8人のケガをして全国的にニュースになったのは記憶に新しいですね…。
高度に合わせた立入禁止エリアを設けるため、イベント関連の飛行に関しては、ほぼ業者のみでしか難しいです。
また、イベント主催者が「ドローンOK」と言ったとしても、航空法は存在するため、飛行許可の申請・審査が必要です。
現実的にイベントでの飛行は結構厳しくなってきています。
空のルール(飛行方法.05・06):爆発物など危険物を輸送しないこと、無人航空機から物を投下しないこと
ここは例外でしょうか…。
また、2019年9月より↓の4つが加わりました。
飲酒時の飛行禁止・飛行前確認・衝突予防・危険な飛行禁止の4つが加わる
2019年9月18日付けで、航空法の一部が改正されます。
令和元年9月18日付けで「航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律(令和元年法律第38号)」・「航空法施行規則の一部を改正する省令(令和元年国土交通省令第29号)」が一部施行・全面施行され、以下の無人航空機の飛行の方法が追加されます。違反した場合には罰則が科せられますので、ご注意ください。
飛行方法についていくつか追加があり、新たに罰則も盛り込まれています。
4つについて解説したブログ記事もありますので参照してくださいね。
補足01:重要なのが第三者の上空への飛行禁止
あまり国土交通省のドローンのページに記載はありませんが、飛行禁止エリアおよび禁止飛行方法では「第三者の上空」はされています。
実際に国土交通省の審査要領にガッツリと記載があるんですよね。
4-3 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
4-3-1 次に掲げる事項を遵守しながら無人航空機を飛行させることができる体制を構築すること。
(1)第三者に対する危害を防止するため、原則として第三者の上空で無人航空機を飛行させないこと。
第三者の上空というのは、国土交通省は神経をとがらしている印象があります。申請書類や承認関連に関しても、なんでもかんでも「第三者の上空は飛行しない」の条件を加えますからね。
もし仮に、第三者の上空を飛行させる場合には、同様に審査要領に記載があります。そもそものドローン自体に改造もしくは、特殊な機体でないとクリアできないほどキツイ条件です。(条件は↓の参考に記載してます)
補足02:国土交通省への審査・承認は誰が出来るのか?
禁止されているエリアでのドローン飛行、もしくは禁止されているドローンの飛行方法の場合には、前述の通り、国土交通省の申請が必要です。
では、申請は誰でもできるのかというと答えはNOです。
一定条件の操縦スキル、操縦時間、知識など必要になっており、満たしていない場合には承認が下りません。
安全管理ができる人、もしものときでも安全に飛行できる能力のある人、それだからこそ国土交通省が承認を出すわけです。
誰にでも承認していたら、事故・事件が起きますからね。
補足03:空のルール(航空法)を違反するとどうなるのか?
ドローンをオモチャ感覚で扱う人がいますが、立派な航空法の対象となっているドローン。
罰金刑として、最大50万円以下の罰金です。
すでに罰金+前科となった違反者もいます。人口集中地区を無許可で飛行させていて、墜落して、罰金20万円+前科一犯です。
もちろん違反的な飛行方法(目視外飛行)も書類送検の対象です。
上記は一例であり、ニュースで上がっているだけでも、数多くの違反飛行や逮捕者も出ています。
簡単な気持ちでドローンを扱うと、時として違反者になってしまったり、事故の加害者にもなってしまいます。
気持ちを引き締めて、技量・知識を高めないといけないのがドローンです。
補足04:違反映像が証拠になって逮捕されている事案あり
もうひとつ、航空法は現行犯だけではありません。
microSDに残っている映像データやyoutubeにアップされてる映像からも、書類送検もしくは逮捕になります。
実際に起きた話をベースにざっくりと概要を記載すると…
- 違反操縦の様子をドローンで撮影
- そのドローンをロスト(紛失)
- 通行人が拾って警察に届けて、犯人割り出し
- 出頭に応じなかったため、逮捕
なぜ航空法でドローンを規制しているのか?
なぜ罰金等がここまで厳しいのかというと、ドローンは危険だからです。
過去に日本でも海外でも事故が起き、けが人がでています。
海外では飛行中のドローンが急に墜落して、通行人の頭に直撃。首の頸椎に重傷です。
日本では工事現場で撮影業者が墜落をさせて、ヘルメットを装着した作業員の頭に直撃。顔を大怪我しました。
その他にもトイドローンなのですが、プロペラが子供の目にあたって失明する事件も発生しています。航空法対象のドローンのプロペラも、肉や野菜をも切り落とすのですから、まさに凶器です。
これだけ危険だからこそ、法律として制限をかけて、守らない人には処するという方法を取っているわけです。
それはそうですね、ドローン操縦している人以外の、普通に生活している人の危険を脅かしているのですから。
普通に生活している人たちからすると、(言い方をキツくすると)「厄介なものが空に飛んでいて、落ちてきたらどうするんだ!」と思うのは至ってごく普通です。
地上のルール=飛行禁止法・民法・道路交通法・条例など
さて、ここまでが空のルールに関わる話でした。
空のルールだけを守れば、ドローンはなんでもかんでもOKというわけではありません。
地上にも地上のルールが存在します。そしてもし撮影という行為を行う場合には、人に対するルールもあります。
この地上のルールがごっそりと抜けてしまっているのを多々見受けられます。航空法以外の地上の法律で処される可能性があります。
地上のルール01:小型無人機等飛行禁止法
重要施設エリア周辺では警視庁管轄で、ドローンは飛行できない法律が敷かれています。
例えば国会議事堂や各省庁・原発などおよびその周辺300m以内です。
そのようなエリアで飛行させることは、まずないかと思いますが、航空法とは別にあることを忘れてはいけません。
地上のルール02:肖像権とプライバシー権の侵害
まずは分かりやすいプライバシーから。撮影行為をおこなっている、もしくは第三者から撮影行為と見られてしまう場合にはプライバシー権を考慮しなければなりません。
ドローンは簡単に空を飛び、例えばマンションの部屋の中を覗くことも可能です。
さらに空から撮影するとなると、撮影対象物ではない多数の人を撮してしまいます。そこに関わる肖像権、プライバシー権はトラブルに成りやすいです。
撮影者の最大限の配慮は必要ですね。警察沙汰になる前に対処は必要です。
地上のルール03:所有権の侵害
土地には、必ず所有者および管理者が存在します。
所有者が一個人だったりしますし、地方自治体だったりしますし、国や国土交通省が所有している場合もあります。
その所有者の許可なしに、ドローンを離発着させたり、上空を飛行させたりすると所有権の侵害に当たります。(不法侵入の場合もあり)
これは国土交通省のページに、いくつも記載があります。
第三者の所有する土地の上空で無人航空機を 飛行させる場合、所有権の侵害とされる可能性があります
分かりやすいようにFAQにも記載があります。
Q.航空法に従って飛行すれば、第三者が所有する土地の上空を飛行してもよいのでしょうか
A.航空法の許可等は地上の人・物件等の安全を確保するため技術的な見地から行われるものであり、ルール通り飛行する場合や許可等を受けた場合であっても、第三者の土地の上空を飛行させることは所有権の侵害に当たる可能性があります。
所有権は民法の問題になるため逮捕や書類送検はありませんが、所有者から訴えられた場合に間違いなく不利になるのは操縦者です。悪質な場合は、刑法を持ってくるのは世の常ですね。
このあたりは撮影業としてビジネスをする場合には尊守すべき内容です。お金のやり取りが発生する中で、場合によっては大きなトラブルや賠償問題になりえるからです。(テレビ・映画関連などではかなりシビアです)
そのため、私有地や許可された場所でのドローン飛行が大前提になります。「ドローンを飛行してもいいですか?」と確認をした上で、「OKです」という話になれば、そこは許可された場所です。
考えてみれば当然ですよね。
例えば、あなたの庭先で知らない人がドローンを飛ばしていたり、上空でカメラが向いていたら、警察に通報しますよね。
まして子供が庭先で遊んでいたら「勝手に人の家の上空で、危険なものを飛ばすな!墜落して子供に怪我したらどうするんだ!」と怒鳴りつけるはずです。
この所有権に関しては法律的にグレーな部分はありますが、結局のところ、航空法に関わるエリア・飛行条件の場合に「第三者の上空を飛行させない」という原則から考えると、他人の家にどれだけ第三者がいるのか分からない状態なわけで、操縦者および監視員が他人の家の中をすべてコントロールできるわけはありません。
というわけで、私有地もしくは許可された場所でのドローン飛行が原則になります。
ただし、私有地が航空法の禁止エリア(人口集中地区)や飛行方法に該当した場合は、私有地だとしても航空法対象になります。
地上のルール04:各自治体・行政の条例違反
公共の場や行政が管理しているような場所は、基本的には条例があります。
たとえば、河川敷やダム、観光地、公園、海水浴場などなどすべてです。その場所によっては、行政側の条例でドローン禁止になっていることが結構多いです。
「他人に迷惑のかかる行為」として原則禁止しています。
各市区町村や都道府県の条例によって、禁止行為とされており、場合によっては罰則規定(罰金)もあります。
このあたりは、国土交通省航空局の「無人航空機の飛行を制限する条例等」に記載があるのでチェックは必要です。(※あくまで国土交通省がまとめているものため、すべてではないはずです)
地上のルール05:道路交通法の違反
前述の通り、土地には所有者がいます。そして誰かが管理しています。
道路も同様です。
公道は国土交通省が管轄しており、各都道府県の警察が管轄しています。実質的に、道路関連は警察が取り仕切っていると考えてもOKですね。
道路に関しては、道路交通法という法律が存在して禁止行為等が明確になっています。
いろいろな条件があるので、後述する参考記事を見ていただきたいのですが、簡単に言うと「交通の妨害になることはダメだよ」て話です。
警察側のいろいろな見解はきっとあるかと思いますが、
- 道路の離発着は、交通の妨害になる
- 道路の上空も危険行為にあたる
というわけで、警察の判断いかんで、いきなり現行犯になりえます。そもそも道路での「撮影行為」の場合には「ロケーションとして道路使用許可が必要」になります。
もっと細かく言うと、道路上には通行人や通行者が往来しているため、交通の阻害や安全管理、さらに航空法の第三者の上空という問題も出てきます。
通行人を静止させることはできないので、現時点でグレーな道路交通法が適用されなくても、他の要件で簡単にしょっぴけるのが警察というわけです。
道路上を飛行させるには道路使用許可を取ったほうが、いろんな意味で身を守れるのは間違いありません。
地上のルール06:港則法・海上交通安全法の違反
マニアックな話ですが、港内における船舶交通に関わる法律です。
湾内に関しては、港湾局が管理をしています。船の往来の安全やルールを管理しており、ときにドローン飛行も港湾局が関わってきます。
現時点では、直接的にドローン飛行に引っかかる法律は存在しません。しかし、悪質な場合は港湾局は法律を理由に強い制限がかかります。
過去にドローン関連で書類送検された事案もあります。
同様に、港や埠頭も港湾局が管理しているため、その土地での離発着は港湾局管轄になります。
地上のルール07:電波法の違反
ドローンは無線を利用して、コントロールします。
日本ではあらゆる電波は利用制限がかかっており、ドローンも電波法に関わっています。
ただし市販のドローンで技適マークがついている場合は、電波法をクリアしてます。ほとんどが技適マークがあるので問題ないですね。
その他にも場合によっては出てくる地上のルール
ドローンと隣合わせの地上のルールを列挙しました。
もちろんこれ以外にもドローンには地上のあらゆる法律に対象になります。ドローンによって、他人の身体や財産に危害を加えれば処罰の対象になります。
ドローンを墜落させたり、コントロール不能させたりして、クルマを傷つける or 凹ます、というのも当たり前ですが器物損害等で処されますね。
「空のルール」と「地上のルール」を守る
「法律ばっかりで、なんか嫌だなぁ」と感じたかもしれません。
しかし重力がある限りドローンは墜落します。一般の人の生活の危険を及ぼす可能性があることは忘れてはなりません。
国土交通省も下記のように記載しています。
趣味での飛行であっても、法令を遵守し安全に飛ばすことは大前提です。ルールを守って楽しみましょう。
私もドローンを楽しいで欲しいと心から思っています。国土交通省のガイドラインに記載がある通り、決められたルールを守って楽しみたいですね。
まず基本になるのが、
- 私有地もしくは許可された場所のみでドローンを飛行させる
- 第三者の上空を飛行させない
- 空のルール(航空法)と地上のルールを尊守する
という3つです。
ドローン撮影のご依頼を検討している方は「法律が多すぎて、ドローンで撮影できるか分からない」と思ってしまうかもしれません。
そのときには、まずはドローン撮影業者に聞いてみましょう。法律を尊守しつつ、世の中に出せる映像を撮る。
ご依頼のオーダーのどこまでできるのか、どこをクリアすれば撮影の幅が広がるのか、など答えてくれるはずです。逆に、明確に答えられない撮影業者は、使えない映像になるかもしれないリスクも出てきます。
エンドクライアントにも迷惑がかかることは、やはり避けたいですね。
気をつけたいドローン違反飛行のケース
これまで「空のルール」と「地上のルール」で切り分けて説明してきました。
「では、実際にどういうのがNGなの?」と気になりますよね。
youtubeには、法律的に際どい動画やアウトな動画が溢れています。趣味用なら考慮の余地はあるとは思いますが、業務用で完全アウトな動画も見られます。
そのyoutubeのリンクを貼るのは控えておきますが、できる限りテキストで再現性のあるように書いていきますね。
怪しすぎるオールドローンの企業PR動画
とある企業の紹介PVとして、オールドローンの動画がyoutubeにアップされていました。約2分前後の動画なのですが、ちょっとコレは…という内容。
- 人口集中地区の住宅街で、住宅地の真上を300m以上直進して飛行し続ける(もはや目視外)
- 公道上を突っ切って飛び回っていている
- 他人の家の上空を100軒以上通過している
- 第三者の上空を飛んでいる(監視員が監視できていない)
一言で言うと、好き勝手に町中をドローンが飛んでいる状態です。
「あー凄いなー」と棒読みな言葉になってしまいますが、さらにビックリした話も。
国土交通省の許可は取得しているみたいですが、このドローンを操縦した人は、スクールの認定講習を合格しているとのこと。さらに監視員もスクールの認定講習を受けているとのこと。
「え?スクールって何を教えているの?」と閉口してしまいました。
何でもありな操縦者も問題あるかと思いますが、スクールの存在意義に疑問を感じた事案でした。
きっと、通報したら即死な動画です。
操縦者は書類送検になり、お金を払った企業は”使えない動画”を掴まされ、スクールの悪評も立ち始める。
いまは最悪のシナリオが起きる手前の段階です。幸いなことに再生数は40回ほどなので、そのままyoutubeの闇の中で眠り続けるかもしれません。
この「オールドローンの企業PV」は何が怪しいのか?
何が問題点なのかを解説します。
- 人口集中地区で国土交通省の許可を取った場所である
- 許可の申請上、第三者の上空は絶対的に飛行をできなく、監視員が監視およびコントロールが必要である
- にも関わらず、民家の上空を300m以上離れた場所まで飛行する。かつ周辺も飛行する。
国土交通省の許可を受けていたとしても、それは一定の条件下で許された承認です。
一定の条件下を無視した状態で、第三者が存在するであろう民家をブンブンと飛行している時点でアウトなわけです。プロペラガードを付けて承認要項が緩くなったとしても。
監視員がいたという話ですが、映像を見る限り、いっさい監視員が民家に第三者が存在するか否かをチェックしている様子はありません。
そもそも100軒以上の民家の1つ1つに「庭に出ないでくださいねー」と言うのは非現実的です。
その他にも、道路上には通行人が歩いており、クルマも通過していたのが映像で確認できました。比較的、クルマの通行が多いバス通りの上空もです。
さらに、都立公園の一部上空にも侵入していました。
「空のルールさえ守れば(許可を取れば)、なんでもしてもいいだ」という典型的な動画です。
航空法が改正される以前の話ではないんですし、町中をブンブンと飛ばしていたら法律もクソもないですよね。
法律を守るのは、自分のためではなく、第三者のため。
法律の話ばかりしてきましたが、そもそもなぜドローンに法律がかけられているのかを知っておきましょう。
国土交通省に非常に分かりやすい文章があったため、引用しますね。
このような無人航空機が飛行することで、人が乗っている航空機の安全が損なわれることや、地上の人や建物・車両などに危害が及ぶことは、あってはならないことはもちろんです。
このため、航空法の一部を改正する法律(平成 27 年法律第 67 号)により、無人航空機の飛行に関する基本的なルールが定められました。無人航空機の利用者の皆様は、同法及び関係法令を遵守し、第三者に迷惑をかけることなく安全に飛行させることを心がけてください
ひとことで言うと、第三者を守るためです。
まったく関係ない第三者に危害を及ぼす。例えば、普通に生活をしていたのに、急にドローンが頭上に墜落して、脊髄損傷して半身不随になる。
決して恐怖心を植え付けるために書いているわけではありませんが、そのくらいのリスクがあるから「第三者の上空」は制限されているわけです。
国土交通省の審査官も、第三者に関してはメチャクチャ厳しいです。絶対的に第三者の上空を飛行させないと深い意図を感じさせるほどです。
重大事故をおこして被害者をつくらない、加害者にならない。
だから法律があるわけで、ドローンの操縦者も航空法や関連法令を尊守すべきなのです。
あとがき
ドローンに関わるガイドラインとして、ぐるっとまとめました。
説明が足らない項目があったり、人によっては解釈の仕方が異なったりするかもしれません。
ただ、少なくとも「空のルール」「地上のルール」があることだけは、認識してもらえると嬉しいです。