こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンと富士山の関係性は、近いようで遠いのです。
東京近郊だけの話になってしまいますが、ドローンと富士山についてです。「富士山が背景に映るといいな」がどれだけ可能性あるのでしょうか?
ご察しの通り「夏場は厳しく、冬場は”やや”可能性がある」です。
ちなみに「富士山に登山してドローンを飛行させる」という話ではなく、東京近郊の街中から「富士山を撮りたい」という限定的な話ですのであしからず。
このページに書いてあること
富士山という背景に入り込む価値
ドローンの得意とするのは、街中でも「高すぎない、やや高い目線」で撮影できることです。
例えば、ビルを近い位置に捉えつつ、いい具合で空を背景に入れられる点ですね。実質的に高度150m未満という壁は存在しますが、キレイに空の背景を入れやすいのがドローン撮影です。
その背景に、もし運が良ければ写っておきたいもの。今までクライアントの話で出てくるのが、東京タワー、スカイツリー、そして圧倒的に多いのが富士山です。
富士山というのは本当に日本の象徴ですね。歴史を含めて世界遺産に登録されていますし。
その優美な風貌は日本国外でも日本の象徴として広く知られている。数多くの芸術作品の題材とされ芸術面で大きな影響を与えただけではなく、気候や地層など地質学的にも大きな影響を与えている。
古代から富士山は信仰されてたそうですし、万葉集などの文学、葛飾北斎の絵画にも描かされています。
そういえば、1000円札にも富士山が描かれています。それだけ富士山というのは日本人の心のシンボルと言っても過言ではありません。
その富士山が例えば動画や静止画の一コマとして、背景に写り込んでいたら「空だけの背景よりも、絵になる」となるのは当然です。
空・雲があるだけよりかは、富士山があることによって一気に見栄え良くなりますからね。やっぱり価値があります。
東京から富士山を望む確率は?
富士山を拝むには、あらゆる気象条件をクリアしなければなりません。
季節、湿度、風、風向などなど。条件がマッチしたときだけ、富士山は現れてくれます。
では、まずはその確率から調べてみます。
東京都の環境局がおこなっている「都庁から富士山が見えた日数」です。ちなみに31階からの富士山。都庁は200mくらいの高さなので、比較的ドローンの高度と近い位置ですね。
ざっくりと上記データを要約すると…
- 1年間に富士山が見えるのは平均100日前後
- 富士山が見える確率が最も高いのはダントツで1月
- 可能性で考えると12月・1月が50%を超える
- 4月~10月はほとんど期待できない
というのがデータ上の話です。
確実性を考えると、1年の中で12月・1月が狙い時と言えます。冬場は空気が澄んでいて、乾燥度も高いので、条件も揃いやすいのが要因ですね。
ドローンは風速に影響されるのが欠点
12月・1月という冬の季節は、関東地方は北風に思いっきりさらされます。
関東に住んでいる方は「冬場は風が強いよなぁ」というイメージをお持ちですよね。
ドローンは風速5m以上になると飛行困難になるとされています。飛行中に流されたり、墜落する危険性が高くなり、かつ機体の軽いドローンは極端にリスクが高くなります。
過去の天気予報というのが見られる便利な世の中、では「風速5m以上だった日」はどれだけあるのかを数えてみました。
参考にしたのは、ヤフー天気「東京の過去の天気(2017年1月)」です。
31日間ある中で、強風(風速5m)以上だった日は、7日間。おもったよりも少ないなぁというのが私の印象です。
前述の富士山の見えた日数は、2017年1月は24回。そのうち7日間はドローンが飛行できない日だったことを考えると、そこそこ可能性が見えてきたのではないでしょうか?
富士山を背景に入れるためには?
どうすれば富士山を撮れるのか…、ここからは(遊び要素も含みますが)考えてみます。
01. 12月もしくは1月に実施する
前述の通り、確率で考えると12月と1月が最も富士山が現れてくれます。
他の2月~11月は一気に確率が下がり、春~秋にかけてはほぼ難しいです。一応、夏場でもごく数日だけ都庁から「見えた」とありますが、実際には薄っすらと見えたレベルだと考えています。
得てして狙うなら、間違いなく12月と1月のみです。
02. ライブカメラで様子を見る
象徴とも言える富士山には、たくさんのライブカメラが設置されています。
その中で安定した運用、富士山へのポジションを考えると「絶景くんの富士山中継」がベストです。
山中湖村観光課公式サイト「絶景くんの富士山中継 – 現在の富士山」より
※この記事を書いた日は曇っていますね…
この山中湖村が運営している絶景くんは、24時間絶え間なく富士山を写し続けています。
便利なことに、広角レンズ・望遠レンズでの切り替えができるため、
- 現在の富士山の様子がわかる
- 積雪の具合がわかる
- 雲がかかっているかわかる
と、東京にいながらも、サイトを開けば確認できるスグレモノです。
03. 都庁からのライブカメラで様子を見る
31階に設置されている都庁からの富士山カメラです。
ライブではないのですが、1時間~3時間毎に更新されているので「今日は見えているなぁ」と確認できます。
1週間前の様子までログが残っているので、12月・1月のときには確率を算段するのに役立ちそうですね。
04. 乾燥注意報を狙う
せっかく富士山が見えても、雲がかかっていては写真になったときに「ただの雲」に見えてしまう可能性もあります。
狙い撃ちするときには、空気が乾燥している日、つまり乾燥注意報が出る日です。山にかかる雲の原理を思いっきり簡潔に書くと…
- 湿った空気が山に当たる
- 斜面に沿って空気が上昇する
- 温度が下がって、凝結して雲になる
そもそも山は雲がかかりやすく、かつ天気が変わりやすい所以が↑の話ですね。
ということは、乾燥している空気の場合には、水蒸気が凝結することがないので雲がかかりにくいわけです。
狙うのは、空気が乾燥している日ですね。
05. レンズや画角を考える
カメラのレンズによって、物体が近く見えたり、遠く見えたりします。人間が見えている距離感と、ファインダー越しの距離感が異なるのはレンズの影響です。
ドローンが積んでいるカメラは広角レンズがほとんどです。
一般的な手持ちカメラでは、焦点距離50mmが標準的、35mm以下を広角レンズ、85mm以上を望遠レンズになります。
ドローンのカメラは、空からダイナミックに見せるために25mm前後の広角レンズが多いですね。人間の見た目以上に、富士山は遠く見えがちになります。
広角レンズがダメなのか、という話だけではなく、写したい画角も考慮しなければなりません。
地上にある被写体を写しつつ、背景に空+富士山となると、画角によっては広角レンズでなければ写しきれない場合があります。
このあたりは、撮影ポイントから総体的に考える必要があるため、ドローン撮影業者との調整が必要ですね。
あとがき
富士山は、都合よく現れてくれません。
こちらから狙っていくのが確実です。12月・1月の時期に、ライブカメラや天気予報を駆使し、得てして富士山を背景に入れる。
可能性をつかむと、きっと良い画が撮れるはずです。