こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンユーザーなら一度は通るであろう道。
それはドローンスクールという存在に気づくことです。ドローン関連をネットで調べていくと、必然的に広告枠に「ドローンスクールで操縦技術を!」が表示されますよね。
広告プロモーションが上手過ぎてギリギリな表現をしているのか分かりませんが、大多数の方が誤解をされています。
ドローン界隈に勃発するツルハシビジネス。
実際にハマりそうになった方のお話を交えながら謎を紐解いていきます。
大前提の話ですが「資格」は一切不要です
このブログでは度重なって「ドローンの資格」について解説してきました。
ドローンに関わる「民間の資格」は世の中に存在しますが、それがドローンを飛行させるにあたって絶対に必要かというとNOです。
大切なことなので、もう一度いいます。「ドローンの飛行=資格は不要」です。
以下、ブログでも記載していますので参照ください。
200g以上のドローンは航空法の対象になっています。もし飛行禁止エリアや禁止飛行方法にてドローンを飛行させるとなると
- 飛行技量・訓練・時間
- 飛行知識
- 天候や法律の知識
の3つが必要になり、その上で国土交通省に申請→審査→承認されます。
その国土交通省の審査には、民間の資格は不要です。民間の資格を持っていると「一部の書類が省ける」だけであって、審査に有利になることはありません。
もう一度書きます。
- 民間の資格を持っていても有利にならない
- すべての書類が省けるだけではなく、一部の書類が省けるだけである
- 民間の資格を持っていなくても一定基準を超えていれば承認される(※私は資格を持ってませんが承認されています)
会う方、会う方に同様の質問をされるので何度もブログで書いていますが、まだまだ浸透しないものですね。
以下、スクールに問い合わせた方の話です。
資格は必要ないということは以前からわか
っておりましたが、とあるドローンスクールと話をしますと、資格 を持っていると許可承認などでいちいち飛行禁止空域で飛行をした い場合に書類の申請が必要ないということを聞きました。 ただ、航空局の話ですと、そのようなことはないということを言っ
ていましたが、実際許可承認はどのようになっているのでしょうか?
前述の通り、資格を持っていたからと言って「書類の申請が必要ない」ということはありません。あきらかに誤解を生む、ドローンスクールの説明ですね。
この方はすでに2・3回国土交通省に申請をおこなっている方でした。国土交通省の航空局にも問い合わせていらっしゃいます。
航空局の登録リストに載っている機体でしたら、省略できる書類はいくつかあるのはわかっています。
航空局との話ですと、資格を持っていたからと言って、書類上有利になるということはないということです。資格はあくまでも操縦技術の参考程度だと思います。
各スクールのWEBサイトの説明を読むと、資格を取るとあたかも面倒な書類等が簡単にな
るような書き方をしています。 知らない人たちは、資格をとると特典がもらえると思っています。航空局の話では、その様なことは一切ないとのことですので、皆さんに知ってもらいたいと思います。
いやはや、なんとも正論です。
確かに一部の申請書類が省けますが、審査が有利になることはないですし、絶対に必要かというとNOです。
あたかも「資格がないと飛行できないよ」と宣伝するドローンスクール側の思惑が見え隠れしてしまいます。
※スクール側の肩を持つと…
ドローンスクールの中には、当然ながらまっとうにスクール業をおこなっている場所もあります。
スクールは、いわば短期的に知識と技量を身につける塾です。
いちはやく「知識」「技量」を習得したいひとにとっては、塾は有効活用できますね。お金を払えば、教えてくれるのですから。そして一部のスクールが技能認証スクールとして運営しています。
ドローンは墜落や衝突リスクがあったり、様々な法律が絡んでいます。「自分で調べて学ぶのは面倒だ!」という場合にはスクール(=塾)は手っ取り早い方法の一つです。
ただし一部のドローンスクールは、あたかも「我々の資格が無いと飛ばせないっすよ」「ビジネスには必要不可欠っすよ」と謳っています。
この誤解を生む説明の仕方は、ユーザーの気持ちを逆なでしちゃいますね。
今現在、いろいろな団体からのいくつもの資格がありますが、どれ
も統一性がありません。 おまけに2年毎に更新するたびに、また数千円払わなければなりま
せん。中には試験のみで、ドローンを触ったことがなくても取れる資格も あります。 こんな状態で、私は資格を取る気になりません。それでしたら、実際に飛ばして操作の技量を上げたほうがずっと役
に立つと思っています。
資格という言葉が独り歩きしてしまって、どこか国家資格として受け取ってしまう。実際には、民間資格なのですが。
こんなに困惑させてしまうには、ドローン界隈にある「ツルハシビジネス」があると思うのは私だけでしょうか?
ユーザーだけが損をする「ツルハシビジネス」
ツルハシビジネスという言葉はご存知ですか?
「つるはし?なんだそれ?」と思う方は多いですよね。工事現場で、地面を掘る「つるはし」が語源です。
ビジネスを行うための道具やツールを提供することで稼ぐビジネスモデル。
鉱山堀りが例えとなっており、自ら鉱山を掘るのではなくツルハシを提供する側で稼ごうというスタイル。
もっとも分かりやすい話は、アメリカに起きたゴールドラッシュですね。
一攫千金の夢と希望を持った一般人が鉱山に押し寄せてくる中、鉱山を掘るツルハシを販売。結局一番儲けたのが、金塊を掘り当てた人ではなく、ツルハシ(道具や物資)を売った業者という皮肉です。
デニムのリーバイスも、ツルハシビジネスで一攫千金を当てた企業というのは有名な話です。
ここまで書いてしまうと、薄々と気づいてしまったでしょうか…。
ドローンという新しい産業の中で、「資格」というイメージを植え付けてツルハシを提供する。
このツルハシで儲けたい人たちの思惑が、ユーザーの大いなる誤解を生んでしまっているのではないでしょうか?
ドローンビジネスとして活況に湧く?
一部のドローンスクールの宣伝の中には「ビジネスで需要がある!稼げる!」のような夢のような言葉が並べられています。
いやいや、ちょっと待ってください!
もし仮に、十数倍規模のマーケットが広がっていくのなら、ちまちまとスクール運営をせずに、自らビジネスを展開したほうが儲かりませんか??っと気づく人は気づきます。
ドローンを操縦できる人間を抱えて、空撮なり測量なり点検なりの業務を一気に担う。マーケットが拡大するのなら、間違いなく儲かります。
しかし、実際にはスクールだけを運営。生徒を集めて、授業料や資格料を徴収する。
なんだかおかしな話ですよね。
ドローンに関わるビジネスに関しては、ぶっちゃけていうと空撮のジャンルは(すでに参入時期が遅くて)甘い考えでは難しいです。
「ドローンの求人」を考えると分かりやすいですね。
グーグルやヤフーで「ドローン 求人」と検索しても、求人情報は皆無です。その理由もブログに書いてますのでご参考に…。
「金塊があるぞ!」と声を上げて、鉱山に行く途中でツルハシを売る。ツルハシを売った人は、決して金塊を掘りに行かない。
未来はどうなるか分かりません。
しかし分かるのは1つ。「ツルハシを買う」「ツルハシではないものを考える」「鉱山に行かない」どれを選ぶかはあなたの判断次第ということです。
あとがき
ここで登場した「資格は取らない、自分で技量あげた方がいい」とコメントいただいた方を含めて、資格や免許について「大いなる誤解」するひとが多いです。
ごく一部のドローンスクールは、本当に広告プロモーションが上手過ぎなんですよね…。