イベント・催し物でのドローン飛行制限の解説と、過去の許可承認のゆくえは?

イベント・催し物でのドローン飛行制限の解説と、過去の許可承認のゆくえは?

こんにちは、ドローンカメラマンの早川です。

国土交通省より航空法に係る「ドローン規制」に新項目が2018年1月31日に追加されました。

かねてから話に上がっていた「イベント・催し物」での飛行制限です。

2017年11月に起きた大垣市イベント時での墜落事故を踏まえて、より明確な飛行ルールが定められました。

では、どのような飛行制限があるのか?そして過去の許可承認のゆくえを解説します。

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新たに加わったのが、人とドローンとの距離制限

イベントや催し物には、当然ながら不特定多数の第三者が集まります。

もし仮にドローンが墜落したら、その人的被害のインパクトは(他の飛行よりも)大きいです。

今回、新しいルールが敷かれた背景は2017年11月に起きた大垣市イベントの墜落事故。

当時8人にケガをさせ、さらに許可を受けていない機体での飛行だったことで、航空法違反および厳重注意の処分がくだされました。

⇒参考:大垣のイベント中にドローン落下し6人ケガ。国交省の法的な許可も責任を感じてもらいたいものです。

イベント参加者にケガをさせないために、2018年1月より加わったのが、イベント・催し物での人とドローンの距離制限です。

ルール1:立ち入り制限

今までは具体的な数値はありませんでした。安全であるというのが前提で、ややふんわりとしていたんですよね。

しかし新しいルールでは、ドローンの高度によって立入禁止区画を設けるのが条件になります。

5-6-1-C(エ)

催しの主催者等とあらかじめ調整を行い、次表に示す立入禁止区画を設定すること。

飛行の高度立入禁止区画
20m未満飛行範囲の外周から 30m以内の範囲
20m以上 50m未満飛行範囲の外周から 40m以内の範囲
50m以上 100m未満飛行範囲の外周から 60m以内の範囲
100m以上 150m未満飛行範囲の外周から 70m以内の範囲
150m以上飛行範囲の外周から落下距離

(当該距離が 70m未満の場合にあっては、
70mとする。) 以内の範囲

国土交通省「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」より

非常に分かりやすい数値ですね。

完全に墜落を想定した危険性のある地上エリアの一切合切を立入禁止にしなくては、そもそも許可承認が下りません。

分かりやすいように図にしてみます。

 

例えば高度55mの場合は、ドローンの飛行範囲の直下地面には立入禁止区域を60m設けなければなりません。

高度が高くなればなるほど、立入禁止区域も広くなります。さらに、飛行範囲が広くなればなるほど、ドローンの立入禁止区域も格段に広がります

では、その立入禁止区域はどういう制限かというと…

飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。

飛行経路および周辺、つまり立入禁止区域に該当するわけで、第三者が立ち入らないように警備員等を配置するのが条件です。また申請の内容によっては、柵やロープで仕切りを設けるのも1つの案ですね。

またドローンの飛行範囲が広ければ広いほど、警備員の人員数も増加します。(=人件費がかかります)

ルール2:物理的な制限

もしルール1の距離制限ができない場合、ルール2を守ればOKともなっています。

それが物理的な制限です。

機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着している場合、第三者に対する危害を防止するためのネットを設置している場合又は製造者等が落下距離(飛行の高度及び使用する機体に基づき、当該使用する機体が飛行する地点から当該機体が落下する地点までの距離として算定されるものをいう。5-6(エ)の表において同じ。)を保証し、飛行範囲の外周から当該落下距離以内の範囲を立入禁止区画(第三者の立入を禁止する区画をいう。5-6(エ)の表において同じ。)として設定している場合等は、この限りではない。

国土交通省「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」より

このままだと分かりにくいので一つひとつを分解していきます。

機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着

「機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着している場合」というのは、例えばドローンにワイヤーを繋げて緊急時に回収できる仕組みがあればOKです。

ドローンが墜落しそうだったりコントロール不能になったら、一気にワイヤーを手繰り寄せてドローンを回収。こういったドローンに係留する専用商品は世の中に存在するので活用するというわけです(例:ドローンリール)。

デメリットは、ワイヤーの長さ=飛行距離・高度になるため、そもそも飛行距離が伸びないこと。さらにワイヤーがつながっていることで安定な飛行ができない=スムーズな撮影ができないです。

撮影という観点から言うと、あまり現実的ではないですね…。

第三者に対する危害を防止するためのネットを設置している場合

第三者側にネットがかかっていればOKです。

イベント参加者が立ち入るエリアに、防護ネットをつけるのが条件というわけです。

イメージで言うと、野球場の1塁~3塁側にかけてフェンスがありますよね。そのようにボール(ドローン)が飛んできても、フェンスで守ってくれる仕組みです。

今回の話で言うと野球場なら外野側も含めて、まるっとフェンスで覆いかぶせなければなりません。

イベント範囲が広ければ広いほど、ネットをかけるコストは膨大です。これも現実的ではありません。

製造者等が落下距離を保証し、飛行範囲の外周から当該落下距離以内の範囲を立入禁止区画

ルール1に決めた距離制限はあくまで国土交通省が決めたものです。

ドローンの機体によって性能は異なるため、「製造者が落下距離を保証した距離…」というのを設けているのですね。製造者が落下距離を保証した場合には、多少の距離制限が変わりそうな文言になっています。

しかし製造者が保証したとしても、最終的に許可承認を下すのは国土交通省。どんなに正当だとしてもNOになる可能性は十分にあります。

結局は国土交通省の定めた距離制限が目安になり、基準にもなるわけです。

イベント・催しでの飛行はどうすればいいのか?

イベント主催者やイベント企画会社は頭を抱えてしまったかもしれません。

では、イベント時でドローンを飛行させるには、どうすればいいのか?

  • できる限り、近い位置で撮影したい
  • 警備員等に人員をそこまで割けられない
  • でも、ドローンで飛行および撮影をしたい

そのような場合は、限られた方法は1つです。

高度を下げた飛行(高度20m以内)で飛行をすることです。高度が低ければ立入禁止区域も狭くなります。

実際に高度20mといえば6階建ての建物と同じ目線です。撮影としたら十分な高さ。かつ、立入禁止区域も30m以上のため、現実的に確保できるエリアではないでしょうか。

これなら国土交通省の許可承認も得られやすく、その上でイベント・催し物での飛行撮影も可能になります。

イベント参加者の安全を最優先にする。今までと異なった、新しいルールですが飛行許可を得るためにも必要不可欠な制限です。

おまけ:過去に承認許可を受けた包括申請は?

2018年1月よりイベント・催し物でのドローン飛行は制限がかかりました。その逆を言うと2017年ではその制限はかかっておりません。

2017年に「包括申請」をおこなって「イベント・催し物での飛行」の許可承認を受けている場合はどうなるかというと、その場所や期限までは許可が継続しています。(※国土交通省に確認済み)

例えば私の場合、日本全国でイベント飛行の許可を受けています。期限は2018年秋まで。

過去の許可承認は生きている状態なので、許可を受けた期限内だったら距離制限の無いドローン飛行はOKになっちゃいます…。(私の他にもいらっしゃると思います)

当然ながら申請時の飛行ガイドラインに沿った安全対策は絶対条件ですが。過去に受けた許可承認が期間限定ながら、3ヶ月毎の飛行履歴を提出していく限り生き残るのは過去の産物かもしれません。

あとがき

ドローンによる事故が起きれば、制限がかかるのは当然です。

同様に、人口集中地区でも極端な事故が起きれば制限がかかっていきそうです。事故を起こさないためにも、ルールとモラルは尊守するのが操縦者の努めですね。

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