イベント・催し物でのドローン飛行制限の解説&飛行に必要な審査条件とは?

イベント・催し物でのドローン飛行制限の解説&飛行に必要な審査条件とは?

こんにちは、ドローンカメラマンの早川です。

国土交通省より航空法に係る「ドローン規制」にイベント・催し物は禁止されておりますが、申請および審査に通れば一定の条件下に置いて飛行が可能になっています。

しかし2017年11月に起きた大垣市イベント時での墜落事故を踏まえて、より明確な飛行ルールが定められました。

イベント・催し物での「ドローンと人との距離制限」の追加です。かなり厳しい内容となっており、思ったようには飛行できない、もしくは許可が降りない事案が増加しそうです。

では、どのような飛行制限があるのか?そしてイベント・催し物でのドローン飛行を解説します。

ドローン飛行における「イベント」「催し物」とは何なのか?

一概に言葉で「イベント」「催し物」と言っても、人によって「どこからがイベントなのか」が分かりづらいです。

町内会のお祭りがイベントでもありますし、社内運動会もイベントでもあります。では、仲間内でおこなうサバイバルゲームはイベントになるのでしょうか?

そこで国土交通省ではドローン飛行にかかわる「イベント」「催し物」の基準を記しています

催し場所上空において無人航空機が落下することにより地上等の人に危害を及ぼすことを防止するという趣旨に照らし、集合する者の人数や規模だけでなく、特定の場所や日時に開催されるものかどうかによって総合的に判断されます。(※)

具体的には、以下のとおりとなります。

  • 該当する例:法律に明示されている祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツ
    の試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート、町内会の盆踊り大会、デモ(示威行為) 等
  • 該当しない例:自然発生的なもの(例えば、信号待ちや混雑により生じる人混み 等)

※人数について、特定の時間、特定の場所に数十人が集合している場合は、「多数の者の集合する」に該当する可能性があります。

国土交通省「無人航空機(ドローン、ラジコン等)の飛行に関するQ&A」より

簡単に要約すると「特定の日時に人が集まる」がイベントおよび催し物と理解するのが早いですね。

例えば「◯月◯日に□□をおこないます!」と告知をおこなっていたら、その時点でイベント・催し物となります。第三者がぞろぞろと集まってくる場合は該当しますし、社内の人間だけが集まってくるのもイベント・催し物に該当します。

また「◯月◯日~◯月◯日まで」といった期間のあるイベント・催し物も、「特定の日時に人が集まる」に該当するため、イベント・催し物になります。

上記の引用に分かりやすい例として記載のある「該当しない例:自然発生的なもの(例えば、信号待ちや混雑により生じる人混み 等)」は理解が早まりますね。

自然発生ではないものが「イベント・催し物に該当する」という意味になります。繰り返しになってしまいますが、つまり特定日時に人が集まってくるのが「イベント・催し物に該当する」というわけです。

「これイベント?」「これ違う?」と考える余地はなく、たぶん、イベントと微塵でも感じられるほとんどが「イベント・催し物に該当」すると考えて間違いないです。

イベント・催し物のドローン飛行でMUSTなのが「人とドローンとの距離制限」

イベントや催し物には、当然ながら不特定多数の第三者が集まります。

もし仮にドローンが墜落したら、その人的被害のインパクトは(他の飛行よりも)大きいです。

もともとはそこまでイベント・催し物でのドローン飛行は厳しくなかったのですが、2018年1月に新しいルールが敷かれました。

その背景は2017年11月に起きた大垣市イベントの墜落事故。当時8人にケガをさせ、さらに許可を受けていない機体での飛行だったことで、航空法違反および厳重注意の処分がくだされました。

⇒参考記事:大垣のイベント中にドローン落下し6人ケガ。国交省の法的な許可も責任を感じてもらいたいものです。

イベント参加者にケガをさせないために、厳格になったのがイベント・催し物での人とドローンの距離制限です。

ルール1:第三者(イベント参加者)の立ち入り制限

今まではドローンと人との距離について具体的な数値はありませんでした。安全であるというのが前提で、ややふんわりとしていたんですよね。

しかし新しいルールではドローンの高度によって立入禁止区画を設けるのが条件になります。

5-6-1-C(エ)

催しの主催者等とあらかじめ調整を行い、次表に示す立入禁止区画を設定すること。

飛行の高度立入禁止区画
20m未満飛行範囲の外周から 30m以内の範囲
20m以上 50m未満飛行範囲の外周から 40m以内の範囲
50m以上 100m未満飛行範囲の外周から 60m以内の範囲
100m以上 150m未満飛行範囲の外周から 70m以内の範囲
150m以上飛行範囲の外周から落下距離

(当該距離が 70m未満の場合にあっては、
70mとする。) 以内の範囲

国土交通省「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」より

非常に分かりやすい数値ですね。

完全に墜落を想定した危険性のある地上エリアの一切を立入禁止にしなくては、そもそも許可承認が下りません。

分かりやすいように図にしてみます。

 

例えば高度55mの場合は、ドローンの飛行範囲の直下地面には立入禁止区域を60m設けなければなりません。

高度が高くなればなるほど、立入禁止区域も広くなります。さらに飛行範囲が広くなればなるほど、ドローンの立入禁止区域も格段に広がります

では、その立入禁止区域はどういう制限かというと…

飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。

飛行経路および周辺、つまり立入禁止区域に該当するわけで、第三者が立ち入らないように警備員等を配置するのが条件です。申請の内容によっては、柵やロープで仕切りを設けるのも1つの案ですね。

またドローンの飛行範囲が広ければ広いほど、警備員の人員数も増加します。(=人件費がかかります)

ルール2:物理的な制限

もしルール1の距離制限ができない場合、ルール2を守ればOKともなっています。

それが物理的な制限です。

機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着している場合、第三者に対する危害を防止するためのネットを設置している場合又は製造者等が落下距離(飛行の高度及び使用する機体に基づき、当該使用する機体が飛行する地点から当該機体が落下する地点までの距離として算定されるものをいう。5-6(エ)の表において同じ。)を保証し、飛行範囲の外周から当該落下距離以内の範囲を立入禁止区画(第三者の立入を禁止する区画をいう。5-6(エ)の表において同じ。)として設定している場合等は、この限りではない。

国土交通省「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」より

このままだと分かりにくいので一つひとつを分解していきます。

ルール2の解説01:機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着

「機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着している場合」というのは、例えばドローンにワイヤーを繋げて緊急時に回収できる仕組みがあればOKです。

ドローンが墜落しそうだったりコントロール不能になったら、ワイヤーにブレーキを掛け、手繰り寄せてドローンを回収。こういったドローンに係留する専用商品は世の中に存在するので活用するというわけです。

ドローンスパイダー

「ドローンスパイダー」というのがメジャーですね。↑を使って一定のテンションが糸にかかっていて、常に地上にあるドローンスパイダーとドローンがつながっている状態になります。

デメリットは、ワイヤーの長さ=飛行距離・高度になるため、そもそも飛行距離が伸びないこと。障害物に引っかかるため飛行エリアが狭まってしまうこと、さらにワイヤーが風を受けると抵抗ができてしまい滑らかでスムーズな撮影ができない場合があります。

撮影という観点から言うと、あまり現実的ではないですね…。

ルール2の解説02:第三者に対する危害を防止するためのネットを設置している場合

第三者側にネットがかかっていればOKです。

イベント参加者が立ち入るエリアに、防護ネットをつけるのが条件というわけです。

イメージで言うと、野球場の1塁~3塁側にかけてフェンスがありますよね。そのようにボール(ドローン)が飛んできても、フェンスで守ってくれる仕組みです。

今回の話で言うと野球場なら外野側も含めて、まるっとフェンスで覆いかぶせなければなりません。

イベント範囲が広ければ広いほど、ネットをかけるコストは膨大です。これも現実的ではありません。

ルール2の解説03:製造者等が落下距離を保証し、飛行範囲の外周から当該落下距離以内の範囲を立入禁止区画

ルール1に決めた距離制限はあくまで国土交通省が決めたものです。

ドローンの機体によって性能は異なるため、「製造者が落下距離を保証した距離…」というのを設けているのですね。製造者が落下距離を保証した場合には、多少の距離制限が変わりそうな文言になっています。

しかし製造者が保証したとしても、最終的に許可承認を下すのは国土交通省。どんなに正当だとしてもNOになる可能性は十分にあります。

結局は国土交通省の定めた距離制限が目安になり、基準にもなるわけです。

その他に必要なイベント・催し物のドローン飛行申請条件は?

ここまではメインとして「人とドローンとの距離制限」について書いてきましたが、イベント・催し物での飛行申請条件は他にも多々あります。

  • 第三者及び物件に接触した際の危害を軽減する構造を有すること。(=プロペラガード等)
  • 想定される運用により、10 回以上の離陸及び着陸を含む3時間以上の飛行実績を有すること。
  • 意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること。
  • 飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。
  • 飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。
  • 風速5m/s以上の場合には、飛行を行わないこと。
  • 飛行速度と風速の和が7m/s以上となる場合には、飛行を行わないこと。

飛行高度の制限を設ける他に、上記のような基準を必ずクリアする必要があります。特に重要なのが「補助者」の人数です。

全体を見渡し監視する人、飛行させる者に必要な助言をおこなう人、周辺・第三者が立ち入らないよう注意喚起をおこなう人…

イベントの大きさやドローンの飛行範囲によっては数十人の補助者が必要になります。当然ですが、ドローンの飛行申請時に、補助者の配置図を提出しなければ許可が降りません。

第三者(イベント参加者)を危険にさらさないためにも飛行高度の制限の他に、補助者の存在などがMUSTになります。

ドローンで飛行するとなると、最低でも1ヶ月前から用意周到しなければ実現できません。

イベント・催し物でのドローン飛行はどうすればいいのか?

イベント主催者やイベント企画会社は頭を抱えてしまったかもしれません。

では、イベント・催し物時でドローンを飛行させるにはどうすればいいのか?

  • できる限り、近い位置で撮影したい
  • 警備員等に人員をそこまで割けられない
  • でも、ドローンで飛行および撮影をしたい

そのような場合は、限られた方法は1つです。

高度を下げた飛行(高度20m以内)で飛行をすることです。高度が低ければ立入禁止区域も狭くなります。

実際に高度20mといえば6階建ての建物と同じ目線です。撮影としたら十分な高さ。かつ、立入禁止区域も30m以上のため、現実的に確保できるエリアではないでしょうか。

これなら国土交通省の許可承認も得られやすく、その上でイベント・催し物での飛行撮影も可能になります。

そして最低でも1ヶ月前からドローン飛行における準備を進めていきます。

離発着場所や補助員の配置などイベントと同時並行で決めていかなければなりません。申請状況によっては、追加で補助員を求められることもあります。

あとはどれだけイベントで飛行実績のある操縦者を味方にできるかです。操縦者によっては審査内容も異なってきますし、飛行可能な範囲も大きく異なってきますから。

あとがき

ドローンによる事故が起きれば、制限がかかるのは当然です。

同様に、人口集中地区でも極端な事故が起きれば制限がかかっていきそうです。事故を起こさないためにも、ルールとモラルは尊守するのが操縦者の努めですね。

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