こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンを飛行する上で、もっとも影響を受けるのが風です。
「この風の強さでもドローンは大丈夫ですか?」と業務中でも聞かれることもあります。
強風の中でドローンを飛行させると「墜落するリスク」「流されて衝突するリスク」が格段に上がります。
今回のブログ記事では…
- 地上と上空ではどのくらい風速が違うのか?
- ドローンはどのくらいの風速まで耐えられるのか?
- 強風時に飛行させるリスクや飛行障害は何なのか?
この3点を中心に「ドローンは強風時に与える影響とリスク」について情報シェアします。
あなたが思っているほど、ドローンは強くはないことの理解が必要です。
このページに書いてあること
地上と上空の風速はどのくらい違うのか?
ドローンを飛行する上で注意を払わないといけないのが風速です。
なんとなく「今日は風が強いなぁ~」と思っていても、ひとの受け取り方は異なるため、感覚的な風速は当てになりません。(毎日現場に出ていれば分かりますが)
また地上と上空では、当然のことながら風速は異なります。
- 障害物があって風の侵入を防いでいる
- ビル風があって局地的に強風
- 立地が谷間になっていて風の通り道になっている など
その飛行場所の環境によっても、風速は大きく異なります。
せっかくなのでブログでも分かりやすいように風速計で図ってみると…
地上での実測は?
地上の実測では、風速3.4m/sです。
周辺の様子は、木々が揺れて「ざわざわ」と音を立てている状況。
※余談ですが一般的に木の葉っぱや小枝が揺れている状態は、風速4~5m/sが目安です。砂埃がっていたり、池などの水面が波立っていたら風速6~10m/sですね。
地上で物陰で実測すると?
実測していた風速3.4m/sの地上ですが、その計測値からわずか3m移動すして再度計測すると…
風速は1m/sに。
これは写真から分かるように障害物(植木)の影に隠れているので、さきほどとは風速は弱く計測されます。
ほんの少しの環境の違いでも、地上での風を感じ方や計測値は大きく異なります。
上空30mでの実測は?
では、上空ではどのくらいの風が吹いているのでしょうか?
建物の10Fから風速計で実測しました。上空30mほどの高さです。
ざっくりとした計測ですが風速6.6m/s。一時的に8m/sにもなっていました。人間の耳にも「ぼーぼー」と風切り音が絶えず聞こえている状況です。
地上と上空を比べてみると
- 地上:風速3.4m/s
- 30m上空:風速6.6m/s
この日の計測では約2倍になっています。
当然ですが、もっと高度の高い場所で計測すれば、風速は高度と比例して強さは増していきます。
「地上で風が弱いから大丈夫!」
と安易に考えるのではなく、飛行させる周辺の環境や上空の障害物の有無、立地条件などを考慮しないと「実は強風のなかにドローンを突っ込ませていた」となりかねませんね。
ドローンは風速何m/sで飛行できるのか?
では「そもそもドローンは風速何m/sまで大丈夫なの?」と話になりますね。
ここでは機体の能力と、法律やマナーの2つから飛行可能な風速とで話を分けます。
機体の能力での飛行可能風速は?
ドローンは機体によって重量や性能が異なります。
一般的に重量があるドローンの場合は飛行可能風速(最大風圧抵抗)が高くなります。ドローンメーカーのDJIのスペック表から抜粋すると…
- Phantom4 : 10m/s
- MAVIC AIR : 8m/s ~ 10.5m/s
- Spark : 5.5m/s ~ 7.7m/s
といった最大風圧抵抗です。
おおよそ10m/sがマックス値ですね。上空で10m/sを超えるような場所で飛行させた場合には、バランスを崩して墜落するリスクが極端に高くなると思われます。
強風時に風上に向かってドローンを進行する場合には、飛行速度と風速の和で10m/s以上を越えやすいので、その時点で臨界点を超えます。
飛行速度と風速の和も頭に入れないといけなく、単純に地上の風速だけで判断するのも危険です。
また、ぎりぎり飛行できるだけであって、操縦者がコントロールできるかどうかは別問題です。
法律やマナーでの飛行可能風速は?
ドローンは無人航空機として日本の航空法の対象になっています(重量200g以上の場合)。
人口集中地区での飛行を禁止していたり、人または物件から30m未満の飛行を禁止していたり、飛行エリア・飛行方法によって法律違反になる場合があります。
ケース01.飛行エリアも飛行方法も「航空法の対象になっていない」場合
法律上では風速での縛りはありません。つまり風速10m/sを超えるような強風でも飛行できてしまいます。
一応記載があるのは「急な突風には気をつけてね」程度。ふんわりした感じですね。
ケース02.航空法の対象となるエリア・飛行方法の場合
これは国土交通省航空局に申請後、審査が通れば承認されるのですが、一般的に飛行条件として加わるのが「風速5m/s以上では飛行しない」です。
つまり地上で風速が6m/sや8m/sだった場合には、一切の飛行はできないことになります。これが許可の条件になっているからです。
前述の通り、上空に上がれば上がるほど強風になってきます。風速10m/sにも近くなるはずです。機体の能力の限界値を超えたら、コントロール不能や墜落の恐れもありますね。
本当に墜落するのか?
1年前でしょうか、いきなり電話がかかってきて「MAVICが墜落しました!どうすればいいですか!」と混乱気味でした。
当日の天気は強風。
この風の中で飛行させたら墜落するのは当たり前な状況でした。(そもそも私に電話してきても何もできないので…と私も困惑でした)
そう、強風だと墜落します。特に機体の軽いMAVICやSPARKは。
そう考えると航空法の対象になっていない場合でも、地上で風速5m/s以上では飛行させないのが無難な選択肢になるはずです。ドローン飛行のマナーとして。
強風時のドローン操縦の影響は?
ドローンは空中に浮いているため、空気が動けば(風が吹けば)思いっきり影響を受けます。
例えば風速がある時にはどのような影響があるでしょうか。これは実感の話なので、ざっくりとしてますが…
- 直進するのが困難
- 一定の場所に静止してホバリングできない
- 離発着の直後が不安定になり危険を伴う
- 機体が大きく傾くためプロペラ等の映り込みが発生しやすい
- 向かい風の場合、スピードが出ない など
あらゆる障害が出てきます。こと空撮という点になると、スムーズな動きの撮影が難しくなり、そのままだとグラグラの画になります。(慣れると手動でコントロールしながら補正します)
ドローンが流されてしまったり、離発着時に追突したり、危険度が増すことも忘れてはなりませんね。
飛行させる場所の地上および上空の環境を判断する。
ドローンは風に影響されます。地上でも場所が異なれば風速は異なりますし、上空はビュンビュンと吹いています。
「風が強いなぁ~」と思うだけではなく、危機管理も持ち合わせないとですね。
どの風速計を購入すれば良いのか?
写真では黄色い風速計↓を使っていますが…
デメリットが多くて買い替えました。
- 汎用性のないボタン電池を使用してバッテリー切れが多い
- 上手に風向をむけてあげないと計測できない
- バックライトがないので見にくい
というわけで、新しく買い替えたのが↓です。
レビュー記事は↓から。
あとがき
春は風が強いシーズンですね。天気を味方につけないとです。