重要施設エリアの「小型無人機等飛行禁止法」解説と申請通報方法について

重要施設エリアの「小型無人機等飛行禁止法」解説と申請通報方法について

こんにちは、ドローンパイロットの早川です。

ドローンには航空法の定めがあることはご承知のことです。

あまり認知度は低いのですが航空法とは別に「小型無人機等飛行禁止法」というのが存在します。

日本の重要施設付近では無許可にドローンを飛行させると「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられる法律です。

今回は…

  • 小型無人機等飛行禁止法とは何なのか?
  • どのエリアが対象になるのか?
  • 対象エリア内でドローンを飛行させる申請通知方法

を紹介します。

小型無人機等飛行禁止法に対象になる方は、きっとほとんどいないはずです。ご安心くださいね。「ドローンには、こんな法律もあるんだ」程度で参考にしてください。

小型無人機等飛行禁止法の解説

ドローンには航空法によって飛行エリアや飛行方法の規制が入っており、場合によっては国土交通省航空局の無人航空機飛行許可がなければ、ドローンを飛行できません。

この話は結構周知されてきており、「ドローンは法律があるんだ」と認識されつつあります。

しかし、実際にはドローンに関わる法律がもうひとつ存在します。

それが「小型無人機等飛行禁止法」です。

(正式名称:国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律)

2015年春に起きた首相官邸のドローン事件をきっかけに、航空法とは別に、重要施設付近でのドローン飛行の一切を禁止する法律が2016年3月に定められました

当時、ドローン規制強化法と言われていましたが、警視庁では「小型無人機等飛行禁止法」で統一されていますね。以下、当時のブログ記事です。

⇒参考記事:ドローン規制強化法の成立へ。重要施設の具体的な内容は?

そこで今回は、より深く「小型無人機等飛行禁止法」について解説していきます。

小型無人機等飛行禁止法とは?

そもそもの「小型無人機等飛行禁止法」の定義からです。

国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号。以下「本法」という。)第8条第1項の規定に基づき、以下の地図で示す地域(対象施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね300メートルの地域:「対象施設周辺地域」)の上空においては、小型無人機等の飛行を禁止されています。

警視庁「小型無人機等飛行禁止法関係」より

国会議事堂や首相官邸、その他の官庁、外国公館、原子力事業所などの施設内および300mの地域はドローン等の飛行を禁止する、という話です。

ここでのポイントは3つです。

  • 小型無人航空機などの何が対象になるのか?
  • どの施設が対象になるのか?
  • 施設周辺のおおむね300m地域はどこになるのか?

それぞれを紐解いていくと、この法律が何を示しているのかが見えてきます。

対象となる飛行物体

どの航空機が対象になるのかが最初にチェックすべきですよね。

少し長いですが警視庁より引用します。

小型無人機(いわゆる「ドローン」等)

飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの

特定航空用機器

航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に規定する航空機以外の航空の用に供することができる機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの(高度又は進路を容易に変更できるものとして国家公安委員会規則で定めるものに限る。)

  • 操縦装置を有する気球
  • ハンググライダー(原動機を有するものを含む。)
  • パラグライダー(原動機を有するものを含む。)
  • 回転翼の回転により生ずる力により地表又は水面から浮揚した状態で移動することができ、かつ、操縦装置を有する機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に規定する航空機に該当するものを除く。)
  • 下方へ噴出する機体の圧力の反作用により地表又は水面から浮揚した状態で移動することができ、かつ、操縦装置を有する機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの

警視庁「小型無人機等飛行禁止法関係」より

この法律の対象になるのは、上記にあるドローンおよび気球やハングライダー・パラグライダーなどです。

ここで注目なのがドローンが一括りになっていること。

つまり重量200未満や重量200g以上といった重量での選別はしておらず、すべてのドローンが対象になります。

例えば航空法では規制になっていないトイドローンを飛行させると、本法律の対象になるわけです。

どの施設が対象になるのか

一言で言うと、国の重要機関です。

  • 衆議院
  • 参議院
  • 内閣府
  • 警視庁
  • 外務省
  • 財務省
  • 宮内庁 など

考えてみれば分かりやすい施設だらけですね。

さらに

  • 皇居
  • 自由民主党本部などの政党事務所
  • 日本全国にある原子力事業所

といった重要であろう事業所も対象となっています。

国家の主要機関が対象になっているという点で、完全にテロ対策の法律と考えて間違いはありませんね。

施設周辺のおおむね300m地域はどこになるのか?

「では、具体的にどこなの?」と疑問に思うかもしれません。

対象施設およびその周辺おおむね300m地域というのが、明確に指定されています。

例えば東京23区の場合は…

対象施設周辺地域全体図(東京都)

このように、赤色の線内が対象施設を示しており、青色の線が周辺地域として、あわせて禁止エリアに指定されています。

つまり青色の線内が、小型無人機等飛行禁止法の対象エリアになります。

青色の線は明確に区切ってあるため、非常に分かりやすくなっています。例えば、道路の反対側は非対象エリアとなることもあります。

より詳細な各施設ごとのマップは警視庁から入手可能です。(参照

違反するとどうなるのか?

対象エリア内でドローンを飛行させていた場合にはどうなるのでしょうか?

警察官等は、本法の規定に違反して小型無人機等の飛行を行う者に対し、機器の退去その他の必要な措置をとることを命ずることができます。 また、一定の場合には、小型無人機等の飛行の妨害、破損その他の必要な措置をとることができます。

警視庁「小型無人機等飛行禁止法関係」より

警察官がドローンを撤去できたり、ドローン飛行の妨害・破壊の必要処置が取れることが許されています。

平たく言うとドローンをボコボコにできるということですね。

さらに「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されることになります。

航空法と比較して罰金刑は同額ですが、懲役刑がついているのはより重い処分と言えます。

小型無人機等飛行禁止法の対象エリア内で飛行する場合

一般的には対象エリアでドローンを飛行することは、まず無いと思います。

しかし諸事情でエリア内でドローンを飛行させる場合もあるかもしれません。ものすごく極稀に…ですね。

対象エリア内で飛行しなければならい場合、特定の条件で、管轄警察署に通報書を提出すれば、ドローンは飛行可能になります。

以下、条件になります。

  • 対象施設の管理者又はその同意を得た者が当該対象施設に係る対象施設周辺地域の上空において行う小型無人機等の飛行
  • 土地の所有者若しくは占有者(正当な権原を有する者に限る。)又はその同意を得た者が当該土地の上空において行う小型無人機等の飛行
  • 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う小型無人機等の飛行

警視庁「小型無人機等の飛行禁止法について」より

簡単に言うと飛行させる場所の土地の所有者が同意をしているのが条件です。

この条件をクリアした上で、管轄警察署に飛行時間の48時間前に通知書を提出。受理された場合に、担当警察署経由で東京都公安委員会に通知されます。

対象エリア内で飛行する方法

対象エリア内で飛行させる人は、ほとんどいないと思われるため、参考にならないかもしれませんが、ざっくりと申請通知の方法を記載します。

大前提として飛行させる場所の所有者の許可が絶対的に必要です。同意書も必要になるため、事前準備が必要です。

そして、その敷地内の上空のみが、小型無人機等飛行禁止法で飛行エリアとされています。

通知書

必要な書類は6つ。

  • 警察署に提出する所定の通報書
  • 飛行させる場所の所有者の同意書(フォーマット自由)
  • 免許書のコピー
  • 国土交通省航空局の無人航空機飛行許可承認書
  • 飛行させるドローンの写真およびスペック表
  • 飛行させる場所の広域図・詳細図(離発着地等)

この書類を持って管轄警察署に出向きます。48時間前までと書いてありますが、署内手続きがあるため1週間前がベターですね。

少し時間がかかりますが、通報書の提出の当日に、受理された書類をいただける場合があります(管轄警察署により、必要があれば再訪です)。

飛行させる日に、管轄警察署に電話で開始報告・終了報告をすればOKです。

ドローンによるテロ対策は深刻化する

重要施設付近でのドローン飛行は、やはりテロ対策を施すためといって間違いありません。

2018年12月20日に「小型無人機等に係る緊急安全対策に関する報告書」というのが関係府省庁連絡会議から出されました。

その中の要件として、やはり過去に起きたドローンテロにも触れています。

  • 焼夷手りゅう弾搭載ドローン1機が、ウクライナ東部バラクリヤに所在する弾
    薬庫を爆破した事案(平成 29 年(2017 年)3月 23 日)
  • ドローン 13 機が、シリア駐在ロシア軍フメイミム空軍基地を攻撃した事案(平成 30 年(2018 年)1月5日)
  • ベネズエラ大統領の暗殺未遂事案(平成 30 年(2018 年)8月4日)(ただし、米国等では自作自演との報道あり)

小型無人機に関する関係府省庁連絡会議「小型無人機等に係る緊急安全対策に関する報告書」より

この報告書には、ラグビーワールドカップ2019の大会会場等および 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会についても言及しています。

暫定的な処置になりますが、この小型無人機等飛行禁止法の法改正をおこなって、会場付近に対してドローンを強く禁止させる方向に進みそうです。

大会会場等の周辺地域上空に おける小型無人機等の飛行を原則として禁止し、組織委員会の同意を得た小型 無人機等の飛行については例外として可能とする。

小型無人機に関する関係府省庁連絡会議「小型無人機等に係る緊急安全対策に関する報告書」より

あわせて小型無人機等飛行禁止法に、軍事施設もテロの対象になりえる可能性があるとのことで、自衛隊基地周辺も法改正されれば禁止エリアになりそうです。

防衛大臣が指定する防衛施設(自衛隊施設及び合衆国軍隊の施設・区域)を小型無人機等飛行禁止法の対象施設に追加する。

小型無人機に関する関係府省庁連絡会議「小型無人機等に係る緊急安全対策に関する報告書」より

まだ会議の段階なので未決定ですけどね。近々、法改正で少しだけ様子が変わるかもしれないことを、覚えておきたいものです。

あとがき

小型無人機等飛行禁止法を知らないひとは意外と多いんですよね。

航空法の人口集中地区をベースにマップを見てしまうと、うっかり見逃す可能性もあります。覚えておきたいのは「国の重要機関の付近は要注意」ということです。

管轄の警察署にもよりますが、「たま~に、このドローンの通報書の手続きがあるんだよね」とお話しいただきました。2016年3月に施行されてから、だいぶ経ちますが、まぁあ実感値としては少ない数でした。

今回通報署を提出した管轄警察署の方には、稀な書類申請でしたが、丁寧にご対応いただきました(ありがとうございました)。

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