こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
昨今、違反ドローンに関わるニュースが増加してきました。
2019年5月の皇居付近のドローン飛行や外国人観光客のドローン飛行など立て続けてますね。
ラグビーワールドカップやオリンピック開催が目前に迫った2019年、警察による取締強化が最重要課題となっているようです。
ただ、違反ドローンを捕獲することが難しく、今現在でも2度に渡る皇居ドローン飛行の操縦者は見つかっていません。
今回のブログ記事では、どのようにすれば警察が違反ドローンを捕獲できるのか考えてみました。
- 違反ドローンが蔓延る理由
- ドローンを特性を見極めるのが重要
- すぐに実行できる捕獲方法
上記つを中心に、ややネタ的なブログ記事になりますが、ご紹介していきます。
このページに書いてあること
違反飛行がはびこっている日本国内
最近、何度かヤフーニュースのトップにも出るほど話題になっているのが違反ドローン飛行です。
このブログ記事を書いている2019年6月12日にもトップニュースで表示されていました。
北京市の公務員が皇居周辺でドローン撮影
中国・北京市の男性公務員が先週、皇居周辺で禁止されているドローンを飛ばし、迎賓館や東京駅などを撮影していたことがわかりました。
捜査関係者によりますと、今月7日の午前8時ごろ、皇居周辺を警戒していた機動隊員が、地上からおよそ30メートルの高さにドローンが飛んでいるのを見つけました。警視庁が近くでリモコンを操作していた男性からドローンの任意提出を受けて調べたところ、東京駅を撮影した動画のほか、前日に撮影したとみられる港区の迎賓館の動画が記録されていたということです。男性は、中国・北京市のシンクタンクに勤める50代の公務員で、東京の地下鉄を視察するために来日していました。
皇居周辺や都市部の人口密集地などでは原則、ドローンの飛行が禁止されていますが、男性は「個人的な趣味で撮影した」「ドローンを飛ばしてはいけないと知らなかった」と説明し、すでに帰国したということです。
視察で訪れていた中国人が東京駅や迎賓館付近でドローンを飛行。
機動隊員が該当の男性を調べて発覚したようですが、「飛行してはいけないと知らなかった」として、すでに帰国済みとのこと。
まぁあ、よくある話ですね。
その他にも2019年5月に…
新宿でドローン飛行疑い
警視庁新宿署は30日、東京都新宿区などの繁華街で、無許可で小型無人機「ドローン」を飛行させたとして、航空法違反の疑いでミャンマー国籍の男性アルバイト(20)=東京都豊島区=を書類送検した。容疑を認め「飛ばしているところを職場の仲間に見てほしかった」と供述している。
新宿の繁華街に夜間に飛行させて、ミャンマー人が書類送検されています。
上記のようにドローン操縦者が見つかるケースは少ないであろうと考えています。
実際のところは違反ドローンが飛んでいたとしても、操縦者が見つからないケースや、そもそも飛行していることに気が付かないケースが多いのではないでしょうか。
日経新聞には警視庁の違反ドローン取り締り強化について記載しています。
違反ドローン、取り締まり強化 即応になお課題
ラグビーワールドカップや東京五輪・パラリンピックといった国際的なイベントを控える中、ドローン(小型無人機)の違反飛行への対策が警察の重要課題になっている。警視庁は操縦者の取り締まりを進めるが、不意に現れる機体を即時に捕獲するのは難しい。対策は海外が先行しており、最新の知見に関する情報収集も求められる。
東京には直近で大イベントを控えています。
ラグビーのワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック、さらに言えば大阪サミットなど盛りだくさんですね。
テロへの強化の一環でドローンの違反飛行への対策を警察は重要課題として認識しているようです。実際にテロとしてドローンを使用するケースは国際的にあるため、ドローンは脅威といっても過言ではありません。
しかしながら、違反ドローンに対する効果的な対処は難しいとされています。
理由は簡単で、ドローンが逃げやすいからです。スピードも速く、空を飛行するため障害物も回避できます。そう簡単に捕まえられません。
現時点での対応策は…
- 捕獲用ドローンで捕獲する
- ジャミングで捕獲する
- 鷲をつかって捕獲する
といった、何かしらのツールを使うしか方法がありません。この場合、違反ドローンを見つけたら「すぐに対応できるのか」と考えたら非常に難しいです。ゆえに、即応性がありません。
各警察署に違反ドローン専用のジャミング機械を配備するなんて、非現実的ですから。
「では、どうすればいいのか?」というのは、警察を含めた目下の課題となっています。
ドローンの特性を考えると手段を見つけやすい
どのようなツールでも「強み」と「弱み」は存在します。
ドローンも同様で強みもあれば弱みもあります。その特性を理解すると、少しだけ話しが前に進むのではないでしょうか。
高度を上げられる
高度40m~50mくらいなら地上から目視はできますが、それ以上の100mなどになってくると、なかなか地上からはドローンを見つけられません。(操縦者は100mのドローンを見えていますが…)
高高度になってしまうとドローンは有利ですね。
ただ、高度が高ければ高いほど地上からの距離が離れているため、ドローンがスピードを出したとしても目で追うことは容易です。
(新幹線が通り過ぎるのを駅のホームで見るよりも、河川敷で新幹線が通るのを見るほうが簡単に目で追えますよね)
つまり、高度を上げれば上げるほど、地上では目で追いやすいと考えれます。
電波は一直線である
ざっくりとですが、操縦者が持っているリモコンと、飛行しているドローンは電波の届く範囲として1直線でなければなりません。
途中に障害物があった場合には、電波が切れてしまうからです。
たとえば、操縦者とドローンは直線的な電波でつながっていますが、ビルが途中に入った場合には、ドローンは操縦不能になります。
そう考えると、常に空間を遮らない場所に操縦者がいなければなりません。
もしドローンが飛行していた場合には、そのドローンの直下に操縦者がいなさそうなら、直線的な場所で操縦しているはずです。たとえば、ビルとビルの間に走っている道路上など。
ドローンが動けば動くほど、「どこなら電波が届くのか」が絞り込められます。イメージで言うと戦争映画に出てくるスナイパーの位置探しでしょうか。
さらに、電波の届く範囲は経験上500mくらいです。
ドローンの能力的に4~5kmくらいは電波が届くとされていますが、実際には空気中に含まれるチリや水分によって電波の届く範囲は極端に縮まります。
もし住宅地で飛んでいたとしたら、その500m以内に操縦者がいると考えられます。
バッテリーは有限である
ドローンはバッテリーでプロペラを回転させて飛行しています。
そのバッテリー次第で、ドローンの飛行時間が決まってきます。おおまかに15~30分くらいが限界でしょうか。
つまり、ずっと飛行していることはありません。
どこかでバッテリー切れを起こして、地上に着陸しなければなりません。
いつかは着陸するわけであり、その飛行している時間をつかって、捜査する人間を集めることも可能かもしれません。
着陸するときは操縦者のもとに戻る
操縦者がよほど危険性を感じていない限り、違反ドローンは飛行しながら操縦者の手元に戻るはずです。
そのドローンを破棄するのが前提でドローンが飛行しているのなら、ドローンが操縦者のもとに戻りませんが、まぁあ、普通に考えれば戻すと思いますね。
つまり、ずっとドローンを追いかけていけば、いつかは操縦者にたどり着くわけです。
もし仮に直前で見失ったとしても、ドローンを離発着していれば、第三者の通行人は間違いなく「ドローン」と認識します。
違反ドローンを追っていたとしたら「近くでドローンを飛ばしていた人はいませんか?」と聞きながら、操縦者を追い詰めることも可能だと考えられます。
ドローン飛行時の点灯は消せられる
ドローンが飛行しているときに、ピカッピカッと点灯するのが通常です。
皇居付近で飛行していたときに、機動隊員が「夜間にドローンが飛んでいた」と言っていたのは、この点灯が極めて目に入りやすいからです。
しかし残念ながら、この点灯は消すことが可能です。
この点灯を目印にしてしまうと、逆に見つかりにくくなってしまいます。
違反ドローンを警察が捕獲するなら「泳がす」がベターかも
違反ドローンは逃げ足が早く、空を自由に動けるため機動力もあります。
地上にいる警察官がドローンを追っていこうとしたとしても、クルマの通行や建物が障害物になってしまい、追いきれないのが課題だと考えれます。
そこで前述したドローンの特性を理解した上で警察の捕獲方法を考えてみました。
ここでは皇居付近でドローン飛行させる違反飛行を想定した捕獲方法です。
良策は「ドローンを泳がす」ことです。
もしドローンを見つけた場合には、まずは違反ドローンを見つけたと騒いでしまったら、ドローンに映るカメラで、操縦者がその様子に気づかれてしまいます。
まず、見つけたら応援を呼ぶといいかもしれません。
さらに冷静になって、直線的な電波だと考えて操縦者の場所を絞り込んでいくと範囲が狭くなっていきそうです。ビルが障害物になりそうなら、そっちの方面には操縦者はいませんね。
あとは泳がしておいて、直線的にドローンは操縦者のもとに戻っていくと思うので、それを走って追っていく…、という算段です。
大都会である街中でドローンを道路上で飛行させるのは目立ちすぎるので、違反ドローンを操縦するならビルの屋上が有力だと思います。
もしビルの屋上でドローンを操縦しているのなら、ドローンの飛行高度も通常よりもやや高い位置を飛行し続けていると考えられます。(30mなどの低高度では飛行しにくいためです)
ビルの屋上で離発着をしていたとしたら儲けものですね。昨今、ビルの防犯のために監視カメラは備わっているため、操縦者の出入りや操縦している姿が映り込む可能性が高いです。
冷静になりつつ違反ドローンを泳がして、電波の届く範囲でどこにいるのか、をスナイパーを探すようなイメージで周辺を見渡すと確度が上がっていくと考えられます。
非常にアナログな策ですが、警察官が鍛錬した捜査力が存分に発揮できるのではないでしょうか。
冒頭に書いたように、東京オリンピックが近づいています。ドローンによるテロ対策として、違反ドローンの対策を練っていただければと願っています。
あとがき
もっと良い方法があればいいのですが、やっぱりドローンの逃げ足は速いです。
操縦者の場所を絞り込んでいくのをメインとして考えるとスマートだと思うのですが…、トライアンドエラーを繰り返して、徐々に対応策を見出していくしか無いかもですね。