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ワクワク感をどうつくるのか…『ついやってしまう体験のつくりかた』から得たもの

ワクワク感をどうつくるのか…『ついやってしまう体験のつくりかた』から得たもの

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

2019年8月、ネット上で話題になった書籍が1冊ありました。

ビジネス系インフルエンサー(けんすうさん)が「普段は言わないけど、この本は凄い!」のような絶賛ツイートをしたところ、たちまちに拡散。

Amazonではすぐに完売、入荷1ヶ月待ち…。書店でも売り切れ続出で、取り寄せ時期も未定…。

そんな壮絶な書籍の取り合いとなった書籍こそが、この『ついやってしまう体験のつくりかた』です。

私は、偶然にも手に入れることができました(なにかの運命なのか…)。

「ついやってしまう」そのような人間の心理は、なかなか解読できないものです。

「誰かの心を動かしたい」「行動させたい」「わかってほしい」そのような人を動かす仕組みについて言語化された書籍です。

名書と呼ばれる理由、そしてどうドローンにつなげて解決策を企てるのか。

完読した直後に、メモ書きとして忘れないよう認めたいと思います。

そもそも書籍『ついやってしまう体験のつくりかた』とは?

2019年8月に発売されたばかりの『ついやってしまう体験のつくりかた』。

この書籍は元任天堂でゲーム機の企画を担当し、Wiiに深く関わった玉木慎一郎さんが書きました。

書籍の中でも書いているのですが「ゲームは時間を浪費するだけで何も得ない、人生では非効率的なもの」とのこと。

たしかに、読書をすれば知識は増えて自分自身の血肉になります。旅行に行けば経験値が増えます。ただ、ゲームに関しては、ストレス発散という側面がありつつも、ゴールをしても何も得るものがありません。

そんな「やらなくても良い」ゲームを、人を動かして「ついやってしまう」にしてしまう。ゲーム開発の視点から、ひとがワクワクして動いてしまう仕組みについて書いてありました。

この書籍をひとことでいうと魔力です。

「ついやってしまう」という本を読むのも、書籍自体に「つい読んでしまう」仕掛けが入っていて、すらすらと読んでしまうのです。

マーケティングを勉強している方、BtoCのビジネスをしている方、企画や販売などに携わっている方は、間違いなく何かしらのヒントを得られると思います。

ひとをワクワクさせるために必要なもの

詳しい話は、実際に書籍を読んでいただいたほうがいいので、ここでは私自身が印象深かった箇所を、さらっと紹介します。

直感的に理解させる体験をつくる

これが一番シンプルな「ワクワクする」仕組みなのかもしれません。

  1. 仮説…自発的に「◯◯するのかな?」と仮説させる
  2. 試行…「◯◯してみよう」と試しに動く
  3. 歓喜…「予想があたった」と喜ばせる

この仮説→試行→歓喜のステップを踏むことで、自然とひとが動いて強い体験が形成される。

たとえば、BBQで炭に火を付けるとき。

目の前に、炭とマッチの2つだけしかありません。どうすれば炭に火がつくだろうか?炭に火を付ける種火があったほうがいいのか?(=仮説)

周りに落ちている枝木を拾って、これにマッチで火をつけてみよう。そして種火にして炭に日をつけよう。(=試行)

やってみたら、無事に炭に火がついた!嬉しい!(=歓喜)

自分自身で考えて、実行して、予想が当たる。そういえば、子供のときはいろいろと挑戦して考えて、喜んだ記憶がたくさんありますよね。

このシンプルな流れこそが、ひとがワクワクするベースになる…と。(こう考えるとググる行為は、ひとの喜びを阻害しているのかもしれませんね)

書籍の中ではゲームについて、こう答えています。

ひとはなぜ、ゲームを遊ぶのか?

なんだか哲学的にも響く問いではありますが、以下がこの本のこたえです。

ゲーム自体がおもしろいからではなく、プレイヤー自身が直感する体験そのものがおもしろいから、遊ぶ。

ついやってしまう体験のつくりかた/直感デザインP100より

直感的に理解できる体験が連続するから、ゲームが楽しく感じる。これは、ユーザーに何かをしてもらうときに、絶対的に必要な要素だと。

※具体的な事例は書籍に書いてあるのでぜひ読んでみてください

驚きがあることで継続する

ずっと上記のような「成功の体験」を続けていくと、必ず「人の飽き」が出てきます。

極端な話ですが、ゴルフでホールインワンばかりしていたら、ゴルフ自体がつまらないですよね。最初は嬉しいけど、毎回ホールインワンばかりでは…。

だから、驚きが必要だと著者は説いてします。

「ゲームは生活必需品ではない。だから驚きが必要だ。」

生活必需品は、生きるために必要不可欠だからこそ、飽きられることがありません。洗濯洗剤を使うことに飽きる人なんて、いませんよね。

一方ゲームは、生きるために必要不可欠なものではないので、本当にあっさりと飽きられてしまいます。だからこそゲームはひたすらプレイヤーを驚かせ続けなければなりません…

ついやってしまう体験のつくりかた/驚きのデザインP160より

何かしらの予想できないハプニングがあって、それに対処すべく思考する。

ずっと平坦な道ではなく、坂道があったり、そもそも道が途切れていたり。ストーリーに強弱があるからこそ継続できる。

驚きこそが、スパイスになるわけですね。

ひとを突き動かすもの

書籍の後半、かなり結論に近づくところで、著者が明記している言葉があります。

どんなエピソードが強く心に残るのか、それは…

強い感情が動いたかどうかで決まります。仰々しく発表するのが馬鹿馬鹿しいほど当たり前の話ですよね。ある体験で感情が動いたら、記憶に残る…「体験→感情→記憶」という流れが、常に私たちの人生を突き動かしています。

ついやってしまう体験のつくりかた/体験デザインの正体P274より

この引用文だけでは、当たり前のことを言っている風に聞こえてしまいますが、書籍のそれまでの集大成です。P1からP273までを読んできて、このP274に載っていた言葉がグッと自分自身に落ち込む言葉でした。

仕事でも、勉強でも。食事でも旅行でも。なんでも体験し続けることで、楽しい・嬉しい・美味しいなどの感情が生まれて、強い記憶が残る。

それが人生そのものをつくっていて、さらに新しい体験を求めていく。

だから、ひとが動くわけなんですね。(※完読しているから勝手に納得してます笑)

ドローンになにを加えればワクワクするのか

ここまでは書籍の説明と、私が印象深いと感じた箇所の紹介でした。

「では、この書籍から何を学び、ドローンにどう繋げていくのか」について考察していきます。

視点は2つです。

趣味でドローンを遊ぶと陥るのは…飽きである

きっと、ドローンを始めた方にとって、多くの方が直面するのが「飽き」です。

たとえばトイドローンで遊ぼうと思っていて、最初は飛ばすこと自体が苦難があるため、それを乗り越えようとするチカラが働き、楽しさが出てきます。(前述した仮説→試行→歓喜ですね)

しかし、シングルプレイで遊ぶドローンは、次のステップが用意されていなく(わからなく)、同じような一定の飛行していると「飽き」が出てきます

この「飽き」をどう乗り越えるかが、さらにドローンを楽しめるかどうかのポイントになってくると思います。

そのヒントが書籍にいくつか書いてありましたが、やはり…

  1. ひとつひとつクリアしていくステージを用意する(→ただ操縦するのではなく、レベルアップする実感を沸かせる)
  2. 先が読めないような驚きを取り入れる(→ステージ途中に極度の緊張感のあるゲーム性を取り入れる)
  3. 複数人で共感しあえる場所を設ける(→シングルプレイではなく、マルチプレイできる場をつくる)

この1~3あたりを構築しなければ、ドローン=趣味にするのは、高い継続性が保てない場合があります。

ドローンのオンライン・オフラインのグループで取り入れたり、ドローン操縦レクチャー側が主体となって仕組みをつくったり。

ただ操縦する、ただ教える、ではなく「飽き」を克服できるような1~3のような仕組みが必要だと感じました。

映像制作の現場では、ドローンの画は驚きである

一方、ビジネスでの映像制作の現場では、近年ドローンを使用した撮影が取り入れられてきました。

ポイントとしてはユーザーへの「驚き」を与えること。地上カメラからの画が続いてきた中で、急に空撮の画が入るとメリハリは付きますし、驚きを与えることもできます。

さらに、空撮の画によって、

  1. 映像を見た体験
  2. 素敵な場所という感情
  3. いつか行きたいと願う記憶

のように、ひとのこころを動かすキッカケになる場合もあります。

もちろん映像の中での使い方や、最適な立地での使い方によって効果は上下すると思います。ガチッとハマれば、ドローンは強い感情を芽生えさせると思います。

しかし問題も出てきます。

「驚き」が「驚きでなくなった」場合です。

ドローンによる空撮の画は徐々に当たり前になってきています。テレビ番組でもCMでも、目にする機会は圧倒的に増えましたよね。

つまり、特別感はなく、普通になった…ということです。

今まで驚きを与えられる存在だったのが、驚きがなくなったことで「強い感情」が生まれにくくなったと言えます。映像制作の現場として効果的か、効果的でないか、これは重要です。

これから先、さらなる驚きを提供できる技術が求められてくるのが必然です。これはドローンというよりかは、操縦する側の問題なのではないでしょうか。

当事者視点を持つことだけでもヒントになりますね。

「つい読んでしまう」不思議なチカラの書籍

この本、読み始めて2日間で読み切ってしまいました。すらすらとページをめくってしまい、ズバズバと頭の中に突き刺さってきます。

「ついやってしまう」の体験を感じさせてくれる不思議な書籍でした。

総じておもしろさを実感できるのですが、注意が必要です。

読むべき世代は30歳台~50歳台までです。ゲームを主体としての切り口のため、ゲーム自体をやっていることがないと、いまいちピンと来ません。(少なくても初期のマリオブラザーズと初期のドラゴンクエスト)

また、ビジネス上の具体例を出した How To は書いていません。あくまで考え方を提供してくれる書籍です。

読後、自分自身で吸収してどう調理するかが、この本を読んだ意味を感じるのかもしれません。ただ少なくとも、1回だけでも本を読めば(著者がいうように)1歩でも成長していると感じます。

「つい読んでしまう」不思議なちから。

私は読み終わった後、あとがきを読んで震えました。ここまで細部までテクニックを詰め込んだ読み物は初めてだったからです。

あとがき

こんなに楽しい気持ちにさせてくれる本に出会えたのはラッキーでした。

気になる人は、お早めに予約してみてください。

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