ドローン登録制は必要!?日本でもっと現実的なドローン運用を考えると…

ドローン登録制は必要!?日本でもっと現実的なドローン運用を考えると…

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

世界中でアッという間に広まったドローン。

今後ドローンとAIを活用した新しい産業が望まれますが、同時にドローンによるテロや悪質な飛行が問題視されています。

各国でドローンの法整備を敷いていこうと動き出しており、日本でも2015年から航空法改正によって法規制が入りました。

しかし、毎年のように法改正をおこなっているのですが、いまだに違反飛行による事件は絶えなく、法規制や認知度などあらゆる面で不十分と言わざるを得ません。

2020年より新たにドローンの機体登録制度を設けようと政府は動いているようです。

今回のブログ記事では…

  • 2020年に開始見込みのドローン登録制について
  • もっと現実的なドローン運用を考案すると?

この2点を説明していきます。

ドローンの登録制は必要です。ただ、それだけでは問題解決にはなりません。

もう一歩踏み込んだドローン運用が事故や事件を未然に防ぎ、さらにドローンにとって発展に影響しないと思います。

2020年にドローン機体登録制の開始見込み

まだ正式な決定になっていませんが、2020年にドローンの機体登録制が開始する見込みです。

以前からこのニュースはたびたびと話題になっていました。

ドローン機体情報、登録義務に 対象は200グラム以上

農業や測量など産業用としても普及が進む小型無人機(ドローン)について、政府は所有者に機体情報の登録を義務づける方針を固めた。登録された番号を機体に明示することも求め、トラブルや事故に対応しやすくする狙いがある。航空法の改正を含めた制度の整備を、来年から進める考えだ。

義務化された後は、所有者や操縦者の名前と住所▽製造者名や型式、製造番号、機体の重さなどを登録しなければ、ドローンを飛ばせなくなる。すでに使われている機体や海外から持ち込まれた機体も対象になる。登録はオンラインで受け付け、登録内容の変更や抹消の手続きも必要になる予定だが、200グラム未満の機体については、義務化の対象にならない見通し。

朝日新聞「ドローン機体情報、登録義務に 対象は200グラム以上」より

要約すると…

  • 重量200g以上のドローンは購入後に、政府系WEBサイトでシリアル番号を登録する
  • 登録するのはフルネームや住所・電話番号などすべて登録する
  • 過去のすべての200g以上のドローンも同様の扱いとなる
  • 登録していないドローンは(どのような場所でも)飛行禁止にする

航空法という法律のもと、重量200g以上のドローンはすべてオンラインで登録しなければならなくなります。

シリアル番号を政府系WEBサイトで登録し、政府側が管理することによって…

  • 墜落事故時に所持者を特定できる
  • ロストして発見された場合、所持者が特定できる

ドローン所持者側ではメリットはほとんどありませんが、少しでも事故後の解決や悪質な事件の抑制につなげたい狙いが見えてきます。

実際の運用方法などは、まだ未決定のため、登録期間や登録方法などの詳細は不明です。

アメリカではドローン登録制で運用されている

アメリカのFAA(連邦航空局)では、ドローンは機体登録がMUSTになっています。

  • 250g以上のドローンは登録する
  • 登録費用は5ドル、有効期限は3年間
  • 機体番号や住所・メールアドレス等を登録する

登録が義務化されているため、アメリカでは250g以上のドローンはすべて登録されているはずです。(だからアメリカ版のMavic mini は249gなんですよね)

日本でも、このアメリカのドローン登録制に沿って2020年に法整備を進めていくと十分に考えられます。

さらにアメリカでは登録制+飛行追跡の発信も義務化へ

アメリカは登録制だけではありません。

すべての登録されたドローンに対して、飛行追跡の規制案が発表されています。

米連邦航空局(FAA)は26日、米国の領空を飛行するFAA登録の全てのドローンを対象に、飛行位置と識別情報の発信を義務付ける規制案を発表した。次世代の輸送手段としても注目を集めるドローンは、FAAに150万機近くが登録。一方でテロに使われる危険性も指摘され、対策を求める声が出ていた。

共同通信「米、全ドローン飛行追跡の規制案」より

飛行する前に、飛行位置と識別番号を発信して、すべてのドローンの飛行追跡ができるようになるわけです。

時代の流れは、こっちですね…。

日本でもっと現実的なドローン運用を考えると…

このドローン登録制が十分な効果を生むかどうかを考えてみると…「効果は薄い」と思えてしまいます。

これだけニュースなどで取り上げられているドローン関連の航空法ですが、いまだに違反者は後を絶ちません。ドローンを軽視しているひとや、理解不足のひとがどれだけ潜在的にいるのかがネックです。

ドローンを登録制にしたところで、現状の問題点は解決されないと思われます。

(ぶっちゃけ、登録制が始まっても、登録しないひとが大多数だと思います。理由はドローン情報基盤システムの登録義務が浸透していなく、ほとんど機能していないからです…)

せっかくの航空法改正なのですから、大胆に、現実的なドローン運用を考えてみたいと思います。

目的は「ドローンの事件・事故を減少させる」ための運用。

以下のようにドローンを運用するのはどうでしょうか?と勝手に考えてみました。

01.重量200g以上のドローン購入者は登録する

重量200gドローンを飛行するためには、まずは全ユーザーは登録。

これは人口集中地区や30m以内の飛行など関わらず、すべてのドローンユーザーが政府系WEBサイトでオンライン登録です。

住所や電話番号などを入力して、身元をハッキリさせなければならないですね。政府側がマイナンバーを浸透させたいのなら、マイナンバーの登録もアリかもしれません。

登録後、その住所に機体番号が印刷された独自ラベルが送られてきて、ドローンの機体にラベルを貼り付ける。

これによって、登録されている住所が正しいものであることを確認し、なおかつ警察側が「ラベルが貼ってある」「貼ってない」の簡単に識別できるようにすると、なにかと便利です。

02.登録時にオンライン上で確認事項をチェックさせる

前述の(01)の登録時に、現在のドローンの飛行にかかわるガイドラインのすべての項目を確認。

例えば、「人口集中地区ではドローンは飛行できない」→チェック!

このようにガイドラインを箇条書きでもいいので読ませて、ひとつずつ確認作業としてチェックさせると、より「理解不足なユーザー」は少なくなるかもしれません。

03.レクレーションパイロットと商用パイロットの2段階制にする

ドローンユーザーを2段階制にします。

まずはドローンユーザーは登録すると、まずはレクレーションパイロットに分類されます。

レクレーションパイロットとは…

  • 人口集中地区や30m以内の飛行など現行の航空法はすべてNG
  • 人口集中地区以外の場所なら飛行OK

主に趣味として、広い場所でドローンを飛ばしたい目的の人がレクレーションパイロットになるというイメージです。

これなら(01)の登録だけで終わるため、趣味で飛行させたい人への影響はかなり少ないですね。

そして次の段階の商用パイロット

商用としてドローンを飛行させるのが目的とした分類になっており、一定の条件を設けます(アメリカのCommercial Operatorsに近いですね)

  • 国土交通省が定めた認定テストを受ける
  • 法律の知識、無人航空機の知識を必要とする
  • 特定研修センターで技能テストをおこなう

すべての条件をクリアしたら、商用パイロットとして国土交通省から認定。

その上で、業務に必要な人口集中地区の中での飛行や夜間飛行などの飛行申請をおこなうことができる…というわけです。

これによって、一定基準の能力を持っているひとに限定することで、人口集中地区やイベント等での事故を最小限まで小さくできると思われます。

04.すべてのパイロットは飛行前にアプリを起動、マップチェックする

スマートフォンに専用アプリを入れて、(01)で登録したドローン情報も入力してログイン。

アプリを起動することで、その場所が人口集中地区や空港の干渉エリアなどをチェックすることができ、飛行可否の判断ができるようになります。(アメリカFAAのB4UFLYモバイルアプリに近いですね)

さらにアプリを通じて「どこでユーザーが飛行しようとしているのか」のビックデータを収集することもできますね。

場合によっては、大胆な制度を設ける必要がある

日本では、ドローンはおもちゃ感覚で所有している方が多いです。

そのような方に「登録制度になりましたよー」とアナウンスしたところで、大多数のひとが登録をしないと予想されます。(クローゼットの奥で眠っているドローンもあるのではないでしょうか…)

現行のように、法改正をちょこちょことおこなっていても、ユーザー側がまったくついていけない可能性が高いです。現に、前述したドローン情報基盤システムは悲惨な状況です。

すでに走っている航空法だけでも運用しきれていない点を考えると、国土交通省がどう舵取りをするのかがポイントになりそうです。

レクレーションパイロット、商用パイロットの2分類を設ける。

そして、禁止されている飛行エリア・禁止飛行方法の場合は、知識や技能でクリアした商用パイロットが申請を行える。

ドローンユーザーを一括にするのではなく、2分類に分けるなどして大きく制度を変えることによって、わかりやすさや安全性を両立できるのではないでしょうか。

追記:2020年2月、ドローン登録制度が閣議決定されました

2020年2月28日、閣議決定により航空法が改正されることになりました。

というわけで、

  • 登録制度の概要
  • スタート時期
  • メリット・デメリット

などを記載した「ドローン登録制度の徹底解説」の記事を新たにアップしました。詳細は↓から。

ドローン登録制度
2020年2月28日、閣議決定により航空法が改正されることになりました。 主に、ドローン(無人航空機)に関わる法改正になっており、中心核となるのがドローン登録制度の導入です。

あとがき

チマチマと航空法改正するのではなく、もうバッサリと言っちゃっていいのでは…と思ってしまっています。先進国の基準に合わせるくらいに。

関西空港では、すでに数度に渡って滑走路が止まっていますし、皇居付近では2度もドローン騒ぎがありましたし。これからも悪質なドローン飛行は増加していくと考えられます。

ドローンはおもちゃではなく、ヘリコプターと同じ航空機です。

日本だけではなくドローンに関わる世界の流れからみると、一定の規制というのは致し方ないと思います。

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