こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
DJI社のドローンには、機体の物損や水没に対応する機体保険をかけられます。
クルマで例えるのなら車体保険ですね。
「ドローンが墜落して壊れた」「ドローンが水没して全損した」のもしものときに修理費や機体交換を受けられる、そのような便利な機体保険。
そのドローン機体保険には「DJIドローン機体保険」と「DJI Care Refresh」の2種類あります。
「何が違うのか?」「どっちのほうがいいのか?」など、隅々まで見ないとなかなか理解しにくいものです。
そこで今回のブログ記事では…
- 2種類の機体保険の違い
- 保険サービスの大きな違い
- 機体保険の費用感と必要性
この3つを中心に、DJI製品だけが加入できるDJIドローン機体保険について解説していきます。
MAVICやSprk、PhantomやInspireなどDJIドローンはメジャーではありますが、ストレートに言うと、機体保険の費用は高いです。
機体購入金額のおよそ10%弱が1年間の機体保険費用です。(購入金額20万円なら1年間2万円弱)
必要なのかどうなのか…。それも気になってきますね。保険自体に何を求めるのかによって、必要・不必要が出てくるのかもしれません。
このページに書いてあること
「DJIドローン機体保険」と「DJI Care Refresh」は似ているけど何が違うのか?
2つの機体保険を比べてみると「故障後の手間と費用」が大きな違いがあります。
費用的には若干の違いはありますが、そこまで差があるわけではありませんし、保証する範囲にも似たようなものです。
ただ、決定的に異なるのが、実際に故障させたときの手間と費用。決して加入金額だけで比べてしまうのは軽率な考えです。
そもそも「DJIドローン機体保険」と「DJI Care Refresh」というのは…
- DJIドローン機体保険:三井住友海上火災保険株式会社
- DJI Care Refresh : DJI
それぞれ扱っている会社が異なります。ユーザー側は選べる立場にあるのは良いのですが、保険金額の他に「どこまでカバーできて、何に対応してくれるのか」がわかりにくいものです。
これは個人的な意見なのですが…
- 趣味などの個人利用
- 操縦が不安な初心者
- MAVIC シリーズをお持ちの方
- 新規購入の方
これらの方は「DJI Care Refresh」がベターな選択になりそうです。
また少数派かもしれませんが…
- とにかく安価な加入金額を望む方
- 事故が少ない事業利用
- Inspire シリーズをお持ちの方
これらの方は「DJIドローン機体保険」がいいですね。
2つの保険サービスの大きな違いは?
まずは「DJIドローン機体保険」と「DJI Care Refresh」の2つの保険サービス概要を説明した上で、それぞれの比較表で比べてみていきますね。
DJIドローン機体保険
DJIドローン機体保険は、エアロエントリーと三井住友海上火災保険がタッグを組んだDJI公認のドローン保険です。(正式な保険のため非課税扱い)
ドローンに関する保険がいくつかあるのですが、その中に「機体保険」があります。
機体保険の特徴は…
- DJI Care Refreshに比べると、全体的に安価である
- 修理代の補償だけでなく、残存物取片付け費用、捜索・回収費用など多岐にわたる補償がある
- 他人に貸し出しや海外利用などにも加入プランによって対応できる
保険という名前がついているように、補償という面でサービスがしっかりしています。
すでに5年ほど前から運営されていて実績も豊富。支払い実績を見る限り、対応力もあります。
デメリットに感じるかもしれないのが、事故時に補償金の受け取りにやや手間があることでしょうか。
ドローンが壊れたら…
- 事故報告をする
- DJIサポートセンターにドローンを発送して修理見積もり書をもらう
- 修理代金を支払って、修理費用を申請する
一般的な保険会社と同じような流れになります。まぁあ、当たり前といえば、当たり前ですね。
DJI Care Refresh
DJI Care Refresh は、DJIが提供している保証サービスです。(サービスのため消費税が課税されています)
DJI社が直におこなっているサービスということもあって、DJIユーザー贔屓なんですよね。
ざっくりと特徴を並べてみると…
- 故障したら新品もしくは新品と同等品へ交換(年2回まで)
- 他ユーザーよりも優先的に対応
- 配送料金がDJI持ち
何がすごいかというと「新品」もしくは「新品と同等品」をまるっと交換してくれることです。今まで使っていた故障したドローンを部品交換などで修理するのではなく、ドローン自体を交換します。
つまり、ほぼ新品をあらたに手に入れられるという驚きのサービス。しかも、優先的に対応してくれるため、他の修理依頼と比べてもスピード感があるわけです。
ただデメリットと感じるのが、少しだけ加入費用が高いこと、1年契約のうち途中解約ができないこと、リフレッシュ交換時に一定の手数料がかかることですね。
また注意事項は…
- 新規購入
- 購入後、起動させて(アクティベートさせて)96時間以内
の場合のみに、DJI Care Refreshを利用できます。それ以外では、購入しても紐付けできません。
つまり、チャンスがあるのは「新規購入の時」です。
両方の補償制度をざっくりとケースバイケースで
ドローンの故障といっても様々です。そこで両方の共通している補償制度から、どのようなときに対応してくれるのかを、ざっくりと書いていきます。
- ドローンが壁に衝突して機体が故障した
- 操縦ミスをしてしまってプールにドボン、回収したけど水没した
- 操縦不能になって急に墜落してドローンが大破、全損した
このようなドローンが故障したり、水没したり、全損した際には、DJIドローン機体保険でもDJI Care Refreshでも補償の対象です。
ただ、注意しなければならないのが壊れたドローンが手元にあることです。つまり回収しているのが条件。
例えば、海に落としてしまって回収できない、木に引っ掛けて回収できない、そのような場合は機体保険に入っていたとしても補償対象外です。(これが認められたら保険悪用になるので当たり前ですね)
保険サービスの比較表
「DJIドローン機体保険」と「DJI Care Refresh」の特徴はなんとなく分かりましたね。
ただ具体的な保険サービスというのは微妙に異なっています。
そこでベーシックなプラン、そして MAVIC PRO 2 での比較表で比べてみましょう。
比較表 | DJIドローン機体保険 | DJI Care Refresh |
---|---|---|
費用 | Aプラン 12,960円/1年 | 17,314円/1年 |
途中解約 | OK(返金あり) | NG |
故障時の費用 | 免責なし | 1回目 15,000円 2回目 18,000円 |
修理点検費用 | 17,600円(DJI点検費) ※保険でカバーして無償可能 |
なし |
修理時の配送費 | 約3,000円 | なし |
補償の仕方 | 修理費を支払い | 新品同等品と交換 |
補償手続き | WEB・写真・書面 | WEB |
手続き期間 | 2~3週間 | 早ければ数日 |
その他 | 機体回収費用 残存物の片付け費用 盗難被害 火災・落雷 |
優先サポート |
保険終了 | 保険金額の70%相当で終了 | リフレッシュ交換2回まで |
こう見ると、それぞれのメリットとデメリットが見えてきますね。
冒頭にも記載しましたが、2つの機体保険を比べてみると「故障後の手間と費用」が大きな違いがあります。
DJIドローン機体保険は、保険費用が安価です。PhantomシリーズやInspireシリーズでも総体的に安価です。保険なので解約をすれば、中途解約として返金されます。
しかし差が出るのが故障時です。
DJIドローン機体保険は、修理見積もりを取るためにDJIサポートセンターに送付、見積もりの確認など手間がかかります。さらに保険会社である三井住友海上火災保険との書類のやり取りもあります。
それに対してDJI Care Refreshは、オンライン申請を行い、ドローンを送付すれば新品同様の交換品を送り返してくれます。
圧倒的に、手間も時間もかからないのは、DJI Care Refreshです。しかし、比較表の通り、1年間の支払う費用が高かったり、リフレッシュ交換ごとに費用がかかるのがデメリットですね。
どのような人が機体保険サービスが必要なのか?
そもそもドローンの機体保険サービスが必要なのか…?という話です。
ぶっちゃけていうと、1年間にかかる費用は高いです。購入金額の8~10%が1年間の維持費となります。
ドローン自体は高額な商品です。しかも、クルマと違ってドローンは事故を起こした瞬間に「ほぼ全損」です。
例えば、高度5mくらいから落ちたとしたら、アームもカメラも壊れて「ほぼ全損」ですね。二度と飛行できません。間違ってプールに落としてしまったら、水没扱いで全損です。
つまり、ドローンの事故=全損です。
以下に当てはまる人は、ドローン保険サービスの加入を検討してもいいのではないでしょうか?
- 壊れたときのショックと費用負担が大きすぎる
- 月に2回以上、ドローンを飛行させる
- 自分で認識しているほど操縦が下手
- 買ったばかりで1年目だけでも大切に使いたい
- ガシガシと遊びたい
逆に、月に1回程度しかドローンを飛行させない場合には、頻度として考えると機体保険に入るのはモッタイナイかもしれませんね。
では、どちらの保険サービスに入ればいいのかというと…
DJI Care Refresh を選んだ方はいい人
- 趣味などの個人利用
- 操縦が不安な初心者
- MAVIC シリーズをお持ちの方
多少のお金がかかったとしても、気軽にドローンを飛行させたいと思うのなら、リフレッシュ交換ができて、すぐにサポートしてくれるDJI Care Refreshですね。
DJIドローン機体保険を選んだ方はいい人
- とにかく安価な加入金額を望む方
- 事故が少ない事業利用
- Inspire シリーズをお持ちの方
「そこまで事故しないよ」という方や「回収費など総合的な保険がほしい」場合には、事故時に手間はかかりますがDJIドローン機体保険がいいですね。
事故を起こさないことが一番大切
機体保険に入っていたとしても「安全に飛行させる」のは当たり前です。
機体が壊れるだけならいいのですが、第三者に怪我を負わすとなると話は全く別です。過去にも重症をおってしまう事故がありましたからね。
しかも、機体保険では賠償責任はカバーできません。別途、賠償保険に加入する必要があります。
ドローンは安全に飛行させる。
ドローン機体保険サービスは、もしもの故障時の気休め程度だと思っておく。
あくまで壊したときのショックを軽減させるものなので、事故を起こさないことが一番大切です。
あとがき
オールマイティーにカバーできるDJIドローン機体保険、故障時に新品同様のを交換してほしいDJI Care Refresh。
趣味でドローンを飛ばす場合には、若干お金がかかりますが DJI Care Refresh のほうが手軽でいいですね。なんとっても年間2回まで交換できますから。(DJIドローン機体保険は1回の事故で保険金額70%超えると終了。つまり交換の場合はMAX1回まで)