こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川です。
最近はAmazonや家電量販店で気軽にドローンを購入できるようになりましたね。ポチポチっとクリックするだけで、翌日にはドローンが到着する便利な時代です。
ただ、お手軽に買えてしまう世の中だからこそ、大きな弊害が生まれています。それは、ドローン(重量200g以上)を「ラジコンおもちゃ」と思ってしまうこと。
残念ながら、ドローンは法規制の対象です。と同時に「航空機」です。
今回のブログ記事では…
- ラジコンおもちゃだと勘違いしてしまう理由
- 実際には法律的に「航空機」の扱いであること
- 無人航空機を扱う大きなリスク
この3点を中心に「ドローンはラジコンではない認識を持つべき理由」を書いていきます。
墜落事故、法律違反、コントロール不能によるロスト。
これらは決して大げさな話ではありません。ラジコンおもちゃではなく、航空機を扱っていると強く認識する必要があります。
このページに書いてあること
ドローンは航空機であり、思いっきり法律の対象物です
このブログ記事で覚えてほしいことは「ドローン=航空機」であることです。
言葉だけを切り取ると「なんだ、当たり前じゃん!」と思うかもしれませんが、もう少し突っ込んで書いていくと…
200g以上のドローンは、法律上で対象となる無人航空機です。
航空法には、旅客機やヘリコプターなどと並列して「無人航空機」があります。大きな解釈をするのならドローンはヘリコプターと同じ扱いになっているわけです。
200g以上のドローンを飛行させる、それは航空法では航空機(無人航空機)として法規制の中に入ってきます。
「ドローンなんて、ラジコンおもちゃでしょ!?」
そう認識して、軽視するかたが増えてきたような気がします。しかし、今一度、再認識しなければなりません。
ドローンはラジコンではありません、航空機なのです。
ドローンをラジコンおもちゃと勘違いしてしまう理由
なぜ「ラジコンおもちゃ」だと思ってしまうのか、原因を突き止めてみましょう。
理由は3つあると考えられます。
理由01)ネットで手軽に購入できる
Amazonでは多種多彩なドローンが販売されています。
重量200g未満のトイドローンから重量200g以上のドローンまで。数え切れないほどのドローンが並んでいる様子は、ありふれたデジタルカメラを売っているかのようです。
商品説明の欄には「航空法の対象です」とは小さな文字で書かれているけれど、「航空法の規制」については何も書かれていません。(購入者側の自己責任なので当たり前ですが…)
もし、法律も何も知らないひとだったら、何一つ疑問を持たずににネットでドローンを購入してしまいますね。
デジタルカメラを購入するのと同じ感覚でドローンを購入できる。
確かに簡単に購入できるのは便利です。ただ、便利すぎるために「本来知るべき事柄」が抜けてしまっているのが現状です。
理由02)ドローンメーカー側の説明不足
この話も持ち出すのは大変忍びないのですが、ドローンメーカーの説明不足は否めません。
例えばDJI社。航空法の対象となっている200g以上のドローンを購入したとしても、ドローンの使用方法については何ページを割いていますが、法律面はごくわずか。
例えば、上記の MAVIC2 Pro のクイックスタートガイドには、航空法に関わる「飛行禁止区域」について最終ページの一部に「詳細は以下(URL)でご確認ください」だけです。
残念ながら、勢いに乗ってしまったご高齢者は航空法の規制を知らずに飛ばしてしまいそうな気がしてなりません。
A2くらいの大きな紙に図解で書いてあげたほうが理解度が進むとは思いますが…。
とはいえ、メーカー自身が「ドローンは法規制がある」と強く言ってしまうと、メーカーの利益相反してしまうため、メーカーの立場としても中途半端な説明にならざるを得ないのは仕方ないです。
理由03)国土交通省航空局のウェブサイトの視認性の低さ
国土交通省航空局のウェブサイトも「分かりづらい…」という声をよく聞きます。
規制内容と最新情報が入りじまっており、どこを見ればよいのかわからないのが現状です。
情報の交通整理をおこなって、図解を交えていけば分かりやすさは向上するとは思いますが、官庁系のウェブサイトは総じて自由が効かないのも理解できます。
これだけドローンが広まっているだけあって、航空局のドローン専門ウェブサイトを立ち上げたほうが、より多くのかたが認知できようになるのではと感じています。
重量200g以上のドローンは航空機である
先に上げた複合的な理由によって「理解が進まない」ために、ラジコンおもちゃ感覚が突き進んでしまうと考えられます。
実際のところは法律上、航空機です。
国土交通省航空局から出されている航空法(航空法第2条第22項)の解釈を見てみると…
無人航空機
航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器(※)であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより 自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるお それがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。
少し難しい言葉が続きますが、ガッツリと噛み砕いて説明すると…
- 人が乗れる航空機・・・飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器
- 人が乗れない航空機・・・無人航空機
と定義づけしていますね。
つまり、「航空機」というカテゴリの中に「人が乗れる」「人が乗れない」を区別しています。
あたかも当たり前のように書いてあるため、少しわかりにくいかもしれませんが、航空法では、飛行機・回転翼航空機・無人航空機を同列で扱っているわけです。
当然ながら航空機としているため「航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれ」があるため航空法の対象となっています。
「重量200g未満のドローンは何に扱われるの?」と思いますよね。
これも国土交通省航空局の解釈に記載されており…
無人航空機から除かれるもの
航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして、航空法施行規則第5条の2により、重量が 200 グラム未満のものは無人航空機の対象からは除外される。 重量が 200 グラム未満の無人航空機は、飛行可能時間等の機能・性能が限定されており、墜落等により人や物件に衝突した場合であっても、その被害はきわめて限定的であると考えられるとともに、主に屋内等の狭い範囲内での飛行となることによるものである。
重量200g未満のドローンは「無人航空機」から除外されるとされており、法律上の制限を受けません。
その理由として、
航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがない
重量200g未満のドローンを航空機とした場合、航空機の航行の安全・人や物件の安全を損なわれないからです。
この説明文からも読み取れるように重量200g以上は航空機と扱っているのが分かります。
航空機だからこそ、明確なルールと罰金刑がある
前述の通り、無人航空機は、航空機として「航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれ」があります。
飛行するにあたって安全ではないから航空法で…
- 無人航空機が飛行していけないエリア
- 無人航空機が飛行していけない飛行方法
などが規制されています。
これらに違反する場合には、航空法違反によって罰金刑50万円以下に処されます。
過去にドローンが飛行できないエリア(人口集中地区)で飛行させて、罰金20万円に処された事案もあります。
⇒参考記事:実質的な判例に!?ドローン無許可飛行で罰金20万+前科一犯。
航空機だからこそ、明確なルールのもと、罰金刑が施行される。法律なので当然といえば当然なのです。
無人航空機の航行は危険が伴う
200g以上のドローンは安全ではありません。
- 急に墜落する
- 障害物に接触する
- 人を傷つける など
間違いなく危害を与えるシロモノです。
上空150mから1キロの物体が落ちてきたら、どれだけの衝撃になるか、大人なら想像に容易いですよね。そう、決しておもちゃではありません。
よくある話なのですが…
- おもちゃ感覚でドローンを飛行させた
- 方向がわからなくなって、電線にぶつけた
- その場で墜落して大破した
という残念な話を耳にします。きっと「オレはできる」と思っていただけかもしれません。
しかし、コントロールする技術や天候判断、周辺環境(電波や磁気)など総合的な技能を持ち合わせないと、事故やロストを簡単に引き起こします。
もし事故やロストが起きてしまった先に、第三者がいたとしたら怪我を負わします。
怪我といっても、かすり傷ではなく、過去の事故では女子高生の顔を傷つけて救急車に運ばれたりしています。
ドローンは危険です。これは間違いありません。
ドローンはラジコンではない。法的なリスクのある航空機である
ここまで何度も書いていますが、ドローンはラジコンおもちゃではありません。
法律的にも「航空機」のカテゴリに入っており、明確なルールと罰金刑があります。さらに、人や物件に危害を加える可能性が著しく高いシロモノです。
いくら手軽に購入できるからと言っても…
- 航空法を理解しない
- その他に関わる関連法令を理解しない
- 安全性の確保やリスク回避の術を知らない
そうなると、決して航空機であるドローンを扱ってはいけません。本当に危ないですから。
今まで「墜落した」「コントロール不能でロストした」という話は耳にしすぎました…。結局は、ドローンのせいではなく、操縦者起因であることがほとんどです。
⇒参考記事:ドローンに安全性100%は存在しない。制御操縦不能の墜落事故多し。
さらに、最近では天皇即位や東京オリンピック、大阪サミットなどイベントが多く、警察もドローン対策を進めています。
ドローンによる被害も出ており、関西空港では2度に渡って滑走路を一時封鎖した事件も発生しています。ドローンに対して厳しい目が向けられているのは仕方ありません。
⇒参考記事:ドローン対策は進んでいる?ビッグイベントから見て取れる警察の対策等は?
正しくドローンを扱う、正しい知識を身につける。
そのためにも、まずは「ドローンはラジコンおもちゃではない」という認識を強める必要があると感じています。
あとがき
航空法を含めた関連法令と、ユーザーの意識には大きなギャップが生まれています。
ガッツリと法律対象となっているシロモノを扱っていると思わなければ、いつか大事故や違反行為で書類送検されるなど、自分自身の身に降りかかると言っても過言ではありません。
2020年にも法改正によってドローン登録制が実施される見込みです。今よりもさらに扱いが難しくなってくるのは避けられません。
一人ひとりの意識によって今後の法規制がどうなるの道がつくられます。
「法律がよくわからない」という場合には、幸いなことに、日本では199gのドローンが発売されています。この航空法の対象とならないドローンが、ひとつの最適解かもしれません。