ドローン購入者にとって、国土交通省への申請が大きな壁になる件。

ドローン購入者にとって、国土交通省への申請が大きな壁になる件。

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

今後、産業用としてもホビー用としても、いろんな面で注目度の高いのがドローンです。

ドローンという大きな産業を捉えた上で、大きなマーケット化するにかかせないのが「ホビー用」だと思います。

ちまちまと極小数の人間がドローンを扱うよりかは、大勢の消費者の手に渡ったほうがお金は動きますからね。

しかし、ドローンを買っても飛ばせないのではそもそも広がるものも広がらないのでは?と思うわけです。

ドローンを購入しても、タンスの肥やしに

大都市圏にいる消費者がドローン(小型機・中型機)を購入した場合、どうなるのか?

まず200g未満の小型機に関しては航空法の規制に引っかかりません。「それなら公園で飛ばそうかな」と思ったら、公園は自治体側でNGの場合があります。

飛ばすところといえば、自宅の室内、もしくは河川敷くらいでしょうか?広い私有地なんて大都市圏では所有できませんし、駐車場で勝手に飛ばすのもNGですね。

購入したとしても、「身近で飛ばすところがない」のが現実です。

200g以上の中型機の場合は、ほぼ大都市圏内では許可なしに飛行できません。かなり高い確率で、国土交通省の許可が必要になってきます。後述しますが、これが強い意志がないと許可認定までたどり着きません。

もし無許可で飛行させたい場合には、規制外のエリアや飛行条件を選ぶ必要があります。東京でしたら、車で2時間くらい走れば規制外エリアになってきます。

しかしここでも問題なのが、公園や自治体の許可が必要な場合があったり、飛行条件(30m以上離れた飛行)に関わる場合は、その都度国土交通省に許可が必要になってきます。

結局のところ、大都市圏にいる大量の消費者には、ドローンを購入したとしても、「押し入れにしまって出番なし」になる可能性が高くなります。

許可を取ればいいと言っても、立ちはだかる大きな壁

国土交通書の許可さえとればいいのでは!?と思いがちですが、そうは簡単に取れません。許可に関して、問題は2つあります。

申請書作成が大仕事

まず、申請書の作成に骨を折ります。

飛行マニュアルから、飛行記録、研修方法など10P以上の申請書を作成する必要があります。さらに、申請書を作成するだけではなく、今までの実績なども事細かいに記載していきます。

いきなり中型機のドローンを購入して「はい、申請しますよ」では、ほぼ通りません。たとえば、小型機で10時間以上の実績がないよ申請書が作れないからです。

また申請書の修正にも時間がかかります。

申請書の初期版を作成した後、2週間後の国土交通省から返答。そこから修正を繰り返して、ようやく形になります。「プロペラガードがない場合の安全措置を記述してください」など、(必要なやり取りですが)時間がかかります。

ここで「申請書を作ってまで飛ばすのは辞めよう」と思う人が多くいるのでは思ってしまうほど。

きっと申請書の代行業者を利用して、お金で解決したいと思っている人もいそうですね。

時間がかかりすぎる

前項にも記載しちゃっていますが、時間がかかります。

申請書のベースを作って、修正をして、さらに内部審査をして、ようやく本審査に移れるのが今の現状です。

1つの案件に対して、1ヶ月~2ヶ月はかかります。

例えば季節物の撮影をしたい場合には、前もって動かないと「飛ばせなかった」ということになりかねません。

実際に、建築関連の現場ではドローン飛行の許可でできなく立ち往生…というのもニュースになっていました。

国土交通省では深夜・土日も返上して対応にあたっているとのことですが、それ以上に申請が多くあるのですね。完全にキャパオーバーの状態だと思います。

それ故に、時間がかかるのは仕方ないのですが、必要な時に飛ばせないという事態に陥りやすいのです。

ホビーとしては活気が起きない可能性大

1万円前後で購入できる小型機でも、しっかりとした空撮ができる中型機でも、子供のホビー・大人のホビー用品として、成熟しない可能性が高いと思っています。

一番の問題は、購入したとしても飛ばす場所(空撮したい場所)が限られていること。

ドローンは飛ばすのが目的ではありません。高く飛ばして「楽しかった」ではなく、空からの視点で映像を取りたいのが目的です。

そこで大きな壁になるのが規制と許可、時間。

ここまでズラズラと書き綴りましたが、実はもっと大きな壁がその裏に潜んでいます。それはドローンに対する風当たり

世間一般がドローンに対してマイナスイメージを強く持っています。「空飛ぶ危険なもの」「テロに使われる」などなど。この風当たりは、何にもまして高い壁になり得ます。

新しい産業だからこそ、冷たい視線があるのは仕方のないことだと思います。

しかし冷たいままだとドローンの可能性の芽を摘んでしまいます

安全のために規制は必要なことですが、産業を萎めないように行政は上手にコントロールしてほしいですね。これから購入されていくドローンが、タンスの肥やしにならないように。

あとがき

実は諸外国に比べると、日本の航空法改正はやや緩めです。

誤解がないように、国土交通省さんには、ありがたい限りです!

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