ジャパンドローン2020に行って「点検・検査ドローン」が確かな未来を進む話

ジャパンドローン2020に行って「点検・検査ドローン」が確かな未来を進む話

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

2020年9月29日・30日に幕張メッセにて「ジャパンドローン2020」が開催されました。

一言でいうと、日本最大級のドローンに特化した展示会です。毎年開催されていて、今年は第5回目。

そこで、実際に足を運んで感じた、私個人の主観を記していきます。

今回のブログ記事では…

  • 点検検査のドローン産業の拡大化
  • 行政主導のドローン利活用
  • 展示会を踏まえて見えてくるドローンの未来形

この3点を中心にドローン産業の未来について、肌で感じたこと、個人のイチ意見を書いていきます。

「何を感じたのか」を忘れないよう、個人的なメモ書きに近いのでご了承ください!

ジャパンドローンの主役が開催ごとに移り変わっている

冒頭でも書いたとおり、ジャパンドローン2020は今年で5回目です。

私自身は第1回から参加しており、ジャパンドローンがどのように展示されてきたかをある程度は把握しています。

今回展示会に行ってみて感じたのが「主役が変わっていくなぁ」ということ。

ジャパンドローン2016(第1回目)で記憶に残っているのは、DJIの特大ブース、中国・韓国系の空撮ドローンの展示、一般社団法人JUIDAの団体紹介など。

ドローンによる「空撮」がメインとした商品やサービス、アクセサリ等が主役でした。

ジャパンドローンの上から
「日本発。世界発。」なジャパンドローン2016が千葉県の幕張メッセにて3月24日~3月36日まで開催されます。 その初日に参加してきましたので、その様子を写真+動画でレポート

そして時を隔てて、ジャパンドローン2019(第4回)では、KDDIやDOCOMOといった大手企業のブースに存在感があり、点検検査ドローン、農薬散布ドローンが主体となって展示紹介

特にKDDIのスマートドローンが記憶に残っており、点検・監視・測量といった分野で先行していてドローン産業の大きな流れを肌で感じた瞬間でした。

ジャパンドローン2019
今日は2019年3月13日、幕張メッセにてドローンに特化した国際展示会&コンファレンスの「ジャパンドローン2019の初日参加しました。 参加レポートを…とは思っていたのですが

そして今回のジャパンドローン2020(第5回)。

コロナによって出展数が減少してしまいましたが、そのほとんどが点検・検査ドローンの商品やサービス紹介。

その他の空撮やら農業やら、某スクールビジネスやらは、もう見る影もありません。

展示会というビジネスの場、未来性を図れる場では、「点検・検査ドローン」が主役になっていました。

点検検査ドローン産業の拡大化

出展企業のブースを練り歩いてみると、印象的には60%くらいが点検・検査ドローンに関する商品やサービス紹介関連。

その他には、ちょろちょろとマイクロドローンや水中ドローン(無人潜水機)などが新登場していましたが、かねてから出店していた農業やら空撮やらは皆無でした。

つまり、この時点でどのドローン産業が中心にいるのかが見えてくるわけで、間違いなく点検検査ドローンが主役になっていました。

いくつもの企業が点検検査ドローンを紹介していましたが、個人的に一番気になったのが「NEXCO中日本」のブース。

NEXCO中日本のドローン

子会社である「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社」が、構造物の点検検査ドローンを開発しており、

  • 橋梁の点検検査
  • 構造が複雑なトラス桁間などの点検検査

を実証実験中とはいえ、大まかに運用し始めているとのこと。

ウェイクポイント

実際の映像を見てみると、その点検精度は高く、カメラによる安定的な撮影、そしてウェイクポイントによる自動飛行化も進められています。

「まだ課題はある」とおっしゃっていましたが、実運用化するのはそう遠くない未来だと感じました。

そして何より、自社グループ内で点検検査が進められるのは、圧倒的なリードを得られると容易に考えられます。

実際に使用されている高速道路で、点検検査ドローンが稼働して実験を繰り返しているのですから、実現場で得られるそのノウハウや機体調整は素早いものです。

例えばドローンメーカーが独自に点検検査ドローンを開発したとしても、使われなければ意味にがありません。ただズームで撮影できる、だけでは果たして現場に適しているのかも不明瞭です。

NEXCO中日本が…

  • 常に必要としている点検検査を
  • 自社グループでドローンを開発して
  • NEXCO中日本の所有する高速道路で稼働させ実験する

この強みは他社を凌駕するのは明白で。

高速道路を運用している会社が、中の会社がドローン点検やっちゃっているので、外部の会社がサービス化して売り込むのは難しそうです。

行政主導のドローン利活用

もうひとつ印象的だったのが、行政機関の出展が目立っていたことです。

  • 神奈川県
  • 福島県相馬市
  • 福島県
  • 兵庫県

たしか上記の4つがあった気がします。

それぞれドローンの利活用に向けた行政支援をおこなっていました。

1例として、福島県のロボットテストフィールド。

ドローンテストフィールド

福島県が開発中のロボット(ドローン)を試験できるように、

  • 橋梁
  • ビル
  • トンネル
  • 住宅街 など

を作り込んでいる、いわばロボット開発専用の試験場のようなもの。

市街地

市街地フィールドは戸建てもあって、このリアリティは凄すぎです。

しかも福島県が運営しているため、利用料も格安。点検検査ドローンなど新規開発している企業にとっては、大変嬉しい環境だと言えます。

また神奈川県では助成金を出していたり、兵庫県では官民でのドローン本格活用を目指して協力を仰いでいたりします。

兵庫県ドローン

ドローンを開発する、行政がドローンを支援する。

その両輪が揃いつつあります。

展示会を踏まえて見えてくるドローンの未来形

かねてから点検検査ドローンの存在感はありましたが、このジャパンドローン2020に限っていば、点検検査ドローンがより確かな未来を進んでいくと感じさせます。

ドローンの本命は、点検・検査

農業や測量、監視、宅配といった産業も伸びていくと思いますが、圧倒的に点検・検査のほうが世の中のニーズに応えられます。

高齢化社会、安全化、スピーディ、規模感。どのキーワードを拾っても、必然と「必要とされるドローン」です。

逆を言えば、空撮やスクールビジネスといったものは、前時代的と言っても過言ではありません。

大企業によるドローン開発、官民の協力によるドローンの利活用。その中心にいるのが点検検査ドローンです。

今後、重要になってくるのは、点検検査ドローンの運行オペレーションと分析です。

高速道路のようにクルマが走っている場面で「道路上にドローンを落とさない」こと、また高圧電線等で「接触事故をおこさない」こと。

ただ単純にドローンを操縦できる人間ではなく、現場での運行上のオペレーションが最適にこなせる、なおかつデータ収集した際の分析ができる人間が求められてきそうです。

そして、考えられる未来は…

  • NEXCO中日本のように様々な業界が自社で完結できる
  • KDDIスマートドローンのパッケージ販売で運用させる(参考

のがスタンダードになってきそうです。

点検検査ドローンが、人々の生活のベースを守っていく。そうなる世の中が、一番近い未来にいると思います。

あとがき

今回のジャパンドローン2020に限った私の印象ですので、実際には点検検査ではなく他分野でドローンが活躍するかもしれません。

しかし、企業や行政の動向を見ていると、数年前までボンヤリとしていた「ドローンでいったい何ができるの?」というのが明確になってきています。

来年の2021年はどのように展示会で展開されるのか、今度のドローン産業の動向が気になるばかりです。

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