こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
2021年3月に「DJI FPV」という特殊なドローンが発売されました。
簡単に説明すると「ドローン操縦者がゴーグルを付けて、高速飛行を楽しむドローン」です。
DJI Japan はこのドローンを売り出すために多岐にわたるプロモーションをおこなっていますね。
そもそもこの「DJI FPV」はどういう飛行が適しているのか?どう遊べばいいのか?
特殊なドローンだからこそ、何か価値になるのかを個人的な視点から考察してみます。
今回のブログ記事では…
- DJI FPV が超えるべき「法律の壁」
- あくまで個人プレイで楽しむべきドローンである
- ドローンレースとしての活路
この3点を中心に「DJI FPV の強みと弱み、楽しみ方」について情報シェアします。
このページに書いてあること
DJI FPV は何のドローン飛行が最適なのか?
DJI FPV は今までのドローンと異なり、高速飛行をおこない、より高い飛行体験を得られるドローンです。
「では、このドローンでは何が適している?」と疑問に思うかもしれません。
個人的な意見として、業務用と趣味用と2つに分けると以下だと考えています。
- 業務用:サーキット等の高速移動する被写体の空撮
- 趣味用:特定コースを設けて、仲間内でレース(競争)をおこなう
今までのドローンと同じように DJI FPV を扱ってしまうと持ち合わせている価値が引き出せません。
このドローンだからできること、ユーザーの訴求ポイントを見極める必要があると思います。
その理由について、順を追って説明します。
DJI FPV は目視外飛行となり、日本市場では不利である
DJI FPV は操縦者がゴーグルを装着して飛行させるドローンです。
操縦者が直接ドローンを見られない状態(=直視できない状態)のことを「目視外飛行」といい、航空法では禁止されています。
「おいおい、禁止されていたら DJI FPV を飛ばせないじゃないか?」と思うかもしれませんが、DJI FPV の商品ページに記載があるように…
DJI FPVの飛行前に、必ず現地の法律や規則を確認してください。安全に飛行し、現地の法律や規則を遵守していることを確認してください。日本国内において屋外でゴーグルを使用しての飛行は目視外飛行になり、航空局からの飛行の許可・承認を取得する必要があります。また、使用中に飛行安全性を確保するため、補助者を設け、飛行環境を監視してもらう必要があります。
国土交通省航空局より許可・承認を取得する必要があります。
ただし、この許可・承認というのは、誰でも書類を出せば許可・承認が下りるわけではなりません。
許可・承認と聞くと「パスポートを取得するのと同じでしょ!?」という感覚に思われますが、各条件をクリアすることを求められます。
一例を上げると
- 特定飛行をGPSなしで繰り返しおこなえる
- 目視外での特定飛行を繰り返しおこなえる
- トータルの飛行時間が10時間以上である(目視外飛行は別途)
さらに、国土交通省航空局から許可・承認を得たとしても、操縦者以外に補助者を複数人いなければなりません。
- 操縦者
- 操縦者に周囲の状況を助言する補助者(1名)
- 飛行エリアに人が立ち入らないように注意喚起する補助者(1名以上)
飛行エリアによって、複数人の補助者を配置することで、ようやく「DJI FPV」を法律的に目視外飛行できるようになります。
つまり、一般的なドローンとは異なり、極めてハードルが高いのが日本市場です。
そしてこの壁を超えない限り「DJI FPV」の価値はなく、飛行させるだけなら普通のドローンで充分と言えます。
あくまで個人プレイで楽しむべきドローンである
「DJI FPV」は操縦者にとって没入感の高い飛行体験を得られるドローンです。
これは他のDJIドローンでは決して味わうことはできない、新しい価値です。
で、もう一度いうと「操縦者にとって没入感が高い」のが一番の特徴なのですが、その反面、視聴者にとっては「画面酔いを起こしやすい」のです。
日本のドローンレーサーの方がデモフライトをおこなった映像があるので見てみましょう。
デモ飛行を紹介するための DJI FPV が撮影した映像ですが(商業用の撮影ではありませんが)、視聴する側にとっては5~10秒が限界ではないでしょうか。いろいろと負担が大きいです…。
視聴する側に
- 何かを伝えるための映像
- 魅力を感じ取れる映像
というのは DJI FPV にとって得意分野ではなく、そこに高い付加価値を与えることは難しいと思われます。
さらに特にこういった飛行方法はロケーションを非常に選びます(ただの海で飛ばしても意味をなさないですから)。
唯一、視聴する側に負担をかけずに、スピード感を一緒に共有できるのは「サーキット」などと言った物体が高速に動くものを捉える空撮です。
こういった撮影の場合は、視聴する側は「カッコよさ」「スピード感」を受け入れやすく、DJI FPV にとっても主戦場となりえます。
ただし、風景や商業用映像(例:クルマ・鉄道等)といったスピード感を求めない映像に関しては、今までのDJIドローンのほうが勝っていると言えるため、適材適所という言葉がシックリしますね。
前述したとおり、DJI FPV は、ドローン操縦者の没入感が価値であるため、個人プレイで楽しむのが最もこのドローンを生かせれるポジションです。
DJI FPV で遊ぶなら仲間内で屋外レースを開催する
「どうすればホビー用途で DJI FPV を楽しめるの?」そういった疑問が出てきますよね。
DJI FPV が本領発揮するのは、スピード感と没入感です。
この2つを組み合わせられるのは、個人間の屋外ドローンレースではないでしょうか。
- 土地の管理者が特定の屋外コースを設ける
- ドローンレースを2~4人でおこなう
- 各々のFPV映像をレース後に共有する
DJI FPV は時速140kmまで出せますので競争できますし、DJIだからこそ映像もキレイですし。追い抜く、追い抜かすといった映像は、視聴する側も楽しめます。
今までドローンレースは存在していますが、そのもうひと回り大きなドローンレースバージョンとして。ビギナーも始めやすしですし、かつ視聴する側も楽しめると思われます。
(ただ DJI FPV はワンセットとなっているため、カスタマイズの楽しみがないのはマイナスポイントかもしれませんが…)
その代わり DJI ストアで購入しつつ、DJI Care Refresh に入れば、追突等で全損したとしても僅かな金額で新品と交換できる、その補償制度を利用できるのはDJIだけですね。
あとがき
このドローンで空撮!というよりは、飛行を楽しむのが主体であるので競争!がベターだと思っています。
いいプロダクトなのでDJI Japan は販売促進したいと重々理解できますが…、DJI Japan が簡易的にも専用コースをつくって定期的にイベント開催させると販促に繋がりそうですね。