ドローン飛行による事故は報告義務化、罰金30万円以下になる危険性とは?

ドローン飛行による事故は報告義務化、罰金30万円以下になる危険性とは?

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

2022年12月以降に航空法が一部改正されますが、その一部に「ドローン事故の報告義務」が加わります。

今までは任意での事故報告となっており、たとえ事故が起きたとしても国土交通省への報告はMUSTではありません。

しかし法改正により、事故報告が義務化されて、違反すれば罰金30万円以下に処されるようになります。

そこで今回のブログ記事では…

  • ドローン事故報告の義務化について
  • 今までどのような事故報告がされていたのか
  • 事故報告だけではなく、事故時の救護義務も追加

この3点を中心に「誰もが対象となるドローン事故報告義務」について情報シェアします。

ドローンは接触事故等が発生しやすいのは想像のとおりです。

今後事故が起きたら報告する、報告しないと違反で罰金30万円以下。これを覚えないといけませんね。

ドローン事故報告の義務化とは?

航空法の一部改正によって、ドローン事故報告が義務化されます。

「義務化って言われても、そんなの忘れて守れないよー」

そのような呑気な方もいるかもしれませんが、法律で定められたことなので違反すると罰金30万円以下に処されます。

報告義務の対象内容

では、どのような事故が報告義務になるのでしょうか?

航空法等の一部を改正する法律の条文では…

(事故等の場合の措置)

第百三十二条の九十

次に掲げる無人航空機に関する事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行さ
せる者は(中略)

一 無人航空機による人の死傷又は物件の損壊
二 航空機との衝突又は接触
三 その他国土交通省令で定める無人航空機に関する事故

国土交通省「航空法等の一部を改正する法律案を閣議決定」案文より

事故の内容として3つが記載されていますが、主に「人の死傷、物件の損傷」「航空機との追突または接触」ですね。

ここで想定できるのは以下のような事故です。

  • ドローン飛行中に、第三者に接触して傷をつけた
  • 操作を誤って監視員や関係者に接触して怪我をさせた
  • ドローンが墜落してクルマを凹ませた
  • 建物と接触して傷をつけた
  • ヘリコプターと接触して墜落した

このような事故に対して、法改正がおこなわれて…

第百三十二条の九十 2

前項各号に掲げる事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、当該事故が発生した日時及び場所その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に報告しなければならない。

国土交通省「航空法等の一部を改正する法律案を閣議決定」案文より

事故が発生した場合には、操縦者が国土交通大臣に報告しなければならない、となりました。

報告義務の罰金

「報告しなければならない=義務」となっているので、当然ながら違反をすると…

第百五十七条の七 2

第百三十二条の九十第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

国土交通省「航空法等の一部を改正する法律案を閣議決定」案文より

前述の事故に対して、報告義務を怠ったり、嘘の報告をしたりすると、30万円以下の罰金に処するとなっています。

ドローン事故の未報告の危険性

通常の感覚を持っている方なら、ここまで読んできて

「これは法律、マジで守らないと罰金刑になるぞ!」

と強い認識を持つかと思います。なぜなら法律で定められたことなので、当然なら違反をすると、警察に書類送検されて、刑事事件として罰金刑に処されるからです。

しかし、ごく一部のひとは、

「ドローンはおもちゃでしょ!建物や電線への接触事故はよくある話だから。今までは任意だったし、いちいち報告しなくていいよ」

と軽視するかもしれません。

確かに今までの事故報告は任意でした。事故があってもなくても任意。国土交通省に報告しなくてもお咎めはありません。

しかし任意から義務に変わります。

「今までは良かった」という都合の良い甘い考えを変えないとリスクが高くなります。「きっと報告しなくてもバレない」と操縦者は思われがちですが、

  • 怪我を受けた人物が国土交通省に報告、操縦者は未報告
  • 接触して建物を傷つけられた持ち主が警察に報告(警察が国交省に報告)、操縦者は未報告

このように、怪我を受けた側、建物を損傷された側が、国土交通省に報告したり警察に報告したりすることで、操縦者の未報告が発見される可能性が十分に高いです。

事故は相手がいるからこそ、相手の報告によって操縦者の報告有無が分かります。

どのような事故状況だとしても、未報告はせずに、国土交通省に報告すると決めてドローンを操縦しましょう。

いちばん大切なのは事故報告をしたとしても事故自体で法違反にはなりません。むしろ報告しないことが法違反です。

今までどのような事故報告がされていたのか

報告は任意となっていた際でも、良識のある方によってすでにドローンの事故報告はされています。

どのような事故だったのか?というのも国土交通省のウェブサイトには事故内容が掲載されています。

いくつか例に挙げてみると…

発生日:2021/4/10
飛行させた者又は所属団体等:個人
飛行場所:広島県山県郡
機体:DJI社製 MAVIC 2 PRO
事案概要:飛行訓練のため監督者の監視の下、操縦練習者が無人航空機を飛行させていたところ、付近を走行していた軽トラックに接触させた。

発生日:2021/6/1
飛行させた者又は所属団体等:行政機関
飛行場所:群馬県吾妻郡
機体:DJI社製 INSPIRE2
事案概要:空撮のため無人航空機を飛行させた後、着陸しようとしたところ、機体が風に煽られ付近にいた機体監視者と接触し、手を負傷した。

発生日:2021/7/31
飛行させた者又は所属団体等:農業関連業者
飛行場所:島根県雲南市
機体:FLIGHTS社製 FLIGHTS-AG
事案概要:農薬散布のため無人航空機を飛行させていたところ、電話線に接触した。

国土交通省「令和3年度 無人航空機に係る事故トラブル等の一覧(国土交通省に報告のあったもの)」

その他にも衝突や操縦不能でのロストなど報告されています。

  • 操作を誤って河川敷に墜落させ、火災になって草木が燃えた
  • 海上で低空飛行したら墜落して紛失した
  • インフラ点検で操縦不能になって高速道路に墜落した
  • 農薬散布で関係者の軽トラに接触した
  • 街灯のポールに機体が接触し制御不能となり、墜落後水没した
  • プロポ操作が行えず操縦不能となり墜落し、紛失した

このような事故・紛失の報告は多数寄せられています。

どのような事故が起きやすいのか、なぜ事故が起きたのかなど発見があると思いますので、ドローンを操縦する人は一読するのを強くオススメします。

また、あくまで「国土交通省に報告があったもの」なので、これらは氷山の一角であると思われますので、これ以外にも未報告の事故は多数あるはずです。

「事故報告は面倒くさい」

そう感じる方はいるかもしれませんが、今後、事故報告が義務化されることで、

  • 事故の原因究明や対策
  • 操縦者側の事故原因の認識・共有

によって、結果的に事故の減少、また第三者や建物の安全に繋げられると思います。

ドローン事故時の救護義務も法律化

事故報告をメインに記載してきましたが、もっと大切な法律も追加されています。

それが事故時の救護義務です。

第百三十二条の九十

次に掲げる無人航空機に関する事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、直ちに当該無人航空機の飛行を中止し、負傷者を救護することその他の危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。

国土交通省「航空法等の一部を改正する法律案を閣議決定」案文より

この記載の通り、事故が起きた場合、

  • ドローン飛行を直ちに中止する
  • 負傷者を救護する
  • その他の危険を防止する必要な措置を講じる

これらも守らなければなりません。

例えば、ドローン飛行中に人物に接触した際には、操縦者は負傷者の救護をするために、救急車を呼んだり、止血等の処置を施したり、人命を守ることを課せられます。

もし負傷させてしまって、操縦者が救護せずに逃げた場合には…

(無人航空機の飛行等に関する罪)第百五十七条の六

第百三十二条の九十第一項の規定に違反して、危険を防止するために必要な措置を講 じなかつた者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

国土交通省「航空法等の一部を改正する法律案を閣議決定」案文より

このように2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。

懲役刑がつくので大変重たい犯罪です。人命に関わる救護だからこそ、ドローン操縦者の責任を強く持つようにしなければなりません。

ドローン飛行による事故は報告義務化、罰金30万円以下になる危険性とは?

まとめです。

ドローン飛行による事故報告は任意でしたが、2022年12月以降から義務化されます。もし事故を起こして未報告だった場合、違反として罰金刑に処されてしまいます。

今までは良かったから「未報告でいいよ!」「バレないでしょ!」と軽視するひともいるかもしれません。

しかし、その甘い考え方が危険性が高くなります。

事故にあった側からの事故報告で十分にバレる可能性があります。事故が起きたら必ず報告する。もし負傷者がいたら救護を必ず行う。

すべてドローン操縦者の責任になりますので、その意識をもって操縦する。義務として忘れてはなりませんね。

あとがき

義務化が始まる前からでも任意とは言え、「報告することに慣れる」ために今からでも事故報告するように癖をつけるといいですね。

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