こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
大阪万博が2025年4月13日(日) ~ 10月13日(月)まで184日間、開催されます。
世界的なイベントとなる万博は、各国の出展や要人来訪、不特定多数のひとが来場するため、ドローンを飛行させるのは危険性が高いため、大阪府では条例を設けて全面的に飛行禁止としています。
今回のブログ記事では
- 飛行禁止の規制条例の内容
- 飛行させるための条件や申請手続き
- 小型無人機飛行禁止法との違い
この3点を中心に「大阪万博のドローン飛行規制」について情報シェアをします。
国際的な特殊な環境下でドローンはどう扱われるのか、という視点で読んでいって頂ければと思います。
このページに書いてあること
大阪万博でドローン飛行できる?
最初に結論です。
大阪府の条例によって小型無人機等(ドローンを含む)は万博およびその周辺で飛行禁止されています。よってドローン飛行はできません。
ただし、万博会場の承諾が大前提になりますが、会場や警察署へ申請をおこなえばドローン飛行は可能です。
しかしドローン飛行が可能だとしても、その飛行までのハードルは極端に高いです。
観光客や一般の方は万博会場の承諾は得られないため、実際に飛行できるのは、ごく一部の関係者や特殊な要件をクリアしたマスコミのみだと思われます。
では、その理由について以下深堀りしています。
大阪万博ドローン飛行禁止の規制条例とは
大阪府は、2024年11月13日に大阪万博の円滑な準備・運営を確保することを目的として、ドローン等の規制を行う条例を制定しました。(大阪府条例第六十二号)
飛行禁止エリア
万博会場を含む夢洲及びその周囲1000m。
具体的には下記の図にあたります。
大阪万博が開催される「夢洲」を中心に、その海上、隣接した人工島も飛行禁止エリアに含まれています。
この図から読み取れる重要ポイントは海上です。例えば「海上からドローンを飛行させて万博会場を撮影しよう」という荒業も防いでいます。
飛行禁止期間
2025年1月19日から10月13日まで。
実際の開催は4月13日からですが、準備期間を含めているので、1月19日から適法となるため注意が必要です。
無許可飛行の罰則規定
1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
ドローンを飛行させただけ…と考えると重い処罰。それだけ警備的にドローンに対するテロ行為や迷惑行為を止めたい背景が見れて取れますね。
大阪万博で飛行させるための条件や申請手続き
すべてのドローン飛行を禁止するのではなく、特定の条件をクリアした場合のみドローン飛行が法律的にクリアになります。
その条件というのは「博覧会協会や施設管理者等の同意がある場合」のみ。
博覧会協会や施設管理者等の同意がある場合等においては、公安委員会へ通報することにより、ドローン等を飛行させることができます。
これは一般的に馴染みがないので分かりやすく記載すると…
- 万博会場の上空を飛行するため、博覧会協会に同意を得る
- エリア内の私有地の上空を飛行するため、その私有地の同意を得る
- 海上の上空を飛行するため、管轄の海上保安部・港湾局の同意を得る
といった具合で、上空させる土地の管理者の同意がMUST条件になります。この同意がなければドローン飛行は一切できません。
同意については、大阪府警が用意する規定書面に「これこれの日時にこの場所での飛行を同意します」といった内容とともに、管理者の氏名や連絡先などを同意者が書く必要があります。
決して口頭で「飛行してもええで!」みたいな安易なやり取りではありません。
- 管理者の同意を得る
- 同意書に記載してもらう
- 警察署に7営業日前に届け出をする
これらの手続きをおこなえれば、本条例をクリアしてドローン飛行が可能になります。
ただし、これは条例をクリアしただけであって航空法は引き続き適用されています。
例えば「イベント・催し物でのドローン飛行禁止」に該当するような飛行の場合は、国土交通省大阪航空局への申請や許可が必要なのは言うまでもありません。
飛行許可の申請手続き
実際にどのようなフローで許可を得るのでしょうか?
大阪府警のWebサイトには…
(1) 万博会場内で飛行を行おうとする場合の手続き
ア 万博会場内で小型無人機等を飛行させる者は博覧会協会に申請してください。
同意申請先
2025年日本国際博覧会協会
必要書類
1.飛行・操縦・監視場所を示す図面
2.飛行を行おうとする機器の写真及び仕様書の写し
3.小型無人機等の飛行をさせようとする者の氏名・住所及び連絡先を記載した書類
(注意)詳しくは申請先である2025年日本国際博覧会協会にお問い合わせください。イ 博覧会協会が、申請のあった小型無人機等の飛行日時や場所等を取りまとめ、飛行の7日前までに公安委員会に通報を行います。
ウ 別途、航空法に基づき、飛行の10開庁日前までに航空局への申請が必要です。
大阪万博内の上空でドローン飛行させる場合には、
- 同意先 → 日本国際博覧会協会
- 必要書類 → 飛行操縦図面、機体写真や仕様、操縦者の連絡先など
が必要である旨が記載されています。(必要書類PDF等)
もし万博会場外(海上や私有地)だとしても、ほぼ同様の手続きが必要になってきており、私有地の場合は「所有者の氏名や連絡先、同意を行った日時」などの書類になります。
考えられるケースとして、例えばコンビニの駐車場の上空で飛行させたい場合はコンビニオーナーの同意が取れれば第一段階クリアしますが、大阪府警察は下記のように注意喚起をおこなっています。
【規制対象地域内の施設の一部の所有者、占有者又は管理者(例:マンションの所有者・入居者、商業施設のテナント入居者)の皆様へ】
第三者から、施設又は敷地上空で小型無人機等を飛行させたいとの申し出があった場合は、管理規約、定款、約款等をご確認の上、施設全体としての管理者等へ相談するよう教示してください。
「やみくもに同意しないでね」と読み取れますね。
どちらにせよ、万博会場内でドローン飛行できるのは「同意」が大前提になるため、
- 万博の関係者
- 報道マスメディア
がメインになってきて、合わせて航空法を鑑みると参加者がいる時間帯の飛行は大変難しく、早朝や夜間といった無人状態での飛行が現実的だと思われます。
飛行できるのは同意を得た上空のみ
当たり前の話ですが、ドローンが飛行で得きる範囲は同意を得た上空のみです。
ドローン等の飛行が可能となるのは、同意を得た土地又は施設の上空に限ります。
例えば、近くの私有地で同意を得てから各所に申請をして、飛行当日、私有地から飛び出して万博会場の上空まで飛行しました…というのは飛行許可外になるため違法飛行になります。
あくまで同意を受けて許可された上空のみ。1mでも外側に出るのはNGになります。
この当たり前を理解できない方がたまにいらっしゃるので要注意です。
小型無人機飛行禁止法との違い
ここからは本条例と小型無人機飛行禁止法の違いについてです。この2つは似ているように見えますが、中心核になる部分は全く異なっています。
レッドゾーン・イエローゾーンの区別がない
小型無人機飛行禁止法には2種類のゾーンが存在します。
- レッドゾーン → 対象地
- イエローゾーン → 概ね300m以内のエリア
2つのゾーン内で飛行するには、その土地の同意および管轄警察署への書類通報が必要なのは、大阪万博と同様です。
ただし違法飛行となって刑罰になるのはレッドゾーンのみ。
そして大阪万博ではイエローゾーンやレッドゾーンがなく、エリア内のすべてが刑罰対象になっています。
エリアの距離
小型無人機飛行禁止法では概ね300mの周辺といった距離設定になっていますが、大阪万博では1000mといった広大なエリア設定にしたのは大きく異なる点と言えます。
1000mのエリア内でドローンを飛行させただけで違法飛行として刑罰を受ける可能性があって、より厳格化されていますね。
(上記に加えて、知事が必要とした対象施設があった場合には、その周辺300mも追加適用されます)
あとがき
大阪万博のドローン飛行禁止は当然と言えば当然です。
各国の要人も来れば、数万人の来場者もいます。テロ対策としても警備は強化されていると思われますが、懸念とされるのは「日本語の読めない外国人が勝手に飛行させること」でしょうか?
空港各所や万博Webサイトでも周知徹底をして欲しいですね。