こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
国土交通省へドローンの飛行申請をおこなう場合、操縦技量や飛行時間・知識などが必要不可欠になります。
その技量などを越えた上で初めて書類作成に移れるのですが、A4用紙15枚以上作成するなど時間的に困難な場合があります。
そのときに思いつくのが、代行サービスです。申請書の作成代行は行政書士がおこなっているのですが、「どうなんだろう?」と疑問に感じますよね。
そんなメリットとデメリットをご紹介します。
ちなみに話がひっくり返っちゃいますが、代行はせず「安全のため」に自分自身で作成すべきだと私は考えます(笑。
このページに書いてあること
飛行申請代行とは?
そもそもドローンの飛行申請代行とは何でしょうか?
簡単に言うと、国土交通省に許可承認を得るために、申請書を作成して送付、許可書をゲットするまでの代行サービスです。
本来なら自分自身でもできるのですが、例えば・・・
- 知識、経験、実績等はあるけど時間がない
- 知識、経験、実績等はあるけど面倒くさがり屋である
- 知識、経験、実績等はあるけど官庁アレルギーがある
という方に向けた代行サービスです。
「では、誰がサービスしてくれるの?」と思いますよね。法律的に、行政書士のみ代行サービスを提供できます。(行政書士さまに情報を頂きました)
国土交通省のWEBにも記載があります。
※なお、報酬を得て、官公署に提出する書類の作成を、行政書士以外の者が行う場合には、行政書士法違反となります。
行政書士以外の企業や個人が申請代行を請け負うのは法律違反、というわけです。
行政書士でもない企業・個人へ申請代行する危険性
ごくたまに、すでにドローン飛行申請を所持している方が「おっ、面倒でしょ?代わりにやってやんよ」と格安代行する場合があります。
実際に4万円ほどで受けている人を見かけますね。
一見すると「安いから、お願いしたい」という気持ちになるかもしれませんが、往々にして「トラブルになるのでは?」と感じています。
前述の通り、ドローン申請の代行業は、行政書士法の違反になります。それに加担することになるのですね。
もう一度分かりやすく書くと行政書士のみが申請代行をおこなえ、それ以外の企業や個人が報酬を得て代行するのは法律違反となります。ちまたにある「飛行申請代行します!4万円~!」というのは違反行為。
また飛行申請の中には、技量・飛行プラン等を正しく記載しなくてはなりません。そんな簡単に安請け合いする場合、その申請書の記載内容が嘘の塊になる可能性が充分にあります。
そのようなチグハグな承認書を片手に、飛行するのは大きなリスクを生じるのは想像の通り。
また書類の記載ミスにより、思ったような飛行ができない可能性も出てきますね。
ここまでの文章で「あー、あそこの記載しなくちゃならないことね」と分かるのならいいですが、「チンプンカンプンだよ」という方は99%止めたほうがいいです。
行政書士がドローン申請代行をするメリットとデメリット
インターネット上で「ドローン 申請代行」と検索すれば、きっと数多くの行政書士さんのWEBサイトがヒットすると思います。
大まかに、1経路の申請で5万円~8万円といったのが相場でしょうか。
さて、その費用を払って得られる価値とは?メリットとデメリットを考えたいと思います。
申請代行をするメリット
考えられるメリットは以下の3つです。
- 矛盾点のない申請書が作成できる
- 手間や時間を取られない
- 書類作成に係る知識を得なくても良い
まず最初に申請書の中身についてです。素人とでよくありがちなのが、書類内で正誤性が取れていないこと。
Aという項目ではYESの内容で書いているのに、ページを跨いでしまってBという項目ではNOになってしまっているなど。書類作りに慣れていないと、こんな凡ミスは生まれがちです。国土交通省の審査官からの指摘が入りますが、ちょっとカッコ悪いですよね。
また依頼主の時間という部分では、大きなメリットではないでしょうか。手間や面倒は、知識や経験を持っている方にお金を払ってやってもらう。
「役務の対価」で解決する方法ですね。
申請代行をするデメリット
行政書士に依頼する上でのデメリットも、対等に3つにしました。
- 5万円~8万円ほど費用がかかる
- 申請書に係る技量の知識、飛行の知識、安全の知識が身につかない
- 結局は自分自身で入力すべき欄が多い
費用の面に関しては、当然ですね。人間がビジネスとして動くわけですので、それなりの対価を払うべきです。なので、ここはスルーで。
2番目の「知識が身につかない」というのは大きなデメリットです。申請書を作成する上で、充分に学べるドローンの知識が詰まっています。特に安全に対してですね。これを他人に任せてしまうと、ほとんど自分自身で吸収できません。
安全知識のないまま飛行させるほど、周囲への危険性は高いままです。もし代行したとしても、せめて5回は(行政書士が作成した申請書を)熟読すべきですね。
また飛行技量の基準を超えているかどうかは行政書士は調整できないので、なんとも怪しくなることもあります(申請に技量レベルがあることを知らずに、申請が進む場合があります)。
3つ目なのですが、あんまり楽にならない場合があります。飛行実績を事細かに記載する必要があり、これは行政書士が書けるものではありません。自分自身で過去の記録(フライトレコーダー)を引っ張り出して、カタカタとテキスト入力。これが時間掛かるのです・・・。
ドローン申請は代行せずに自分自身でおこなうのが身のため
メリットとデメリットを比較してみて、「どうしようかな?」と思った方は、ぜひこの続きも読んで下さい。逆に、「メリットが大きいから依頼しよう」と思ったら、早速グーグルで検索を。
さて、ここからは私の提案です。
もし、あなたに申請書を出せる最低限の技量や知識、経験値があるとしたら、間違いなく自分自身で申請書を作成することをオススメします。
理由はたった1つ。
安全の知識が身につくからです。
何も考えずにドローン飛行させる操縦者から、安全を重視したドローン飛行に操縦者に変わるはずです。操縦者が最低限何を遵守しなければならないのか、どのような安全対策を施す必要があるのか。
この申請書には、安全への基準が詰まっています。(一部、解釈が難しい場所もありますが)
人口集中地区は当然のごとく、第三者が多くいます。そして夜間飛行は圧倒的に視野が奪われて飛行困難です。目視外飛行はモニター越しでしか確認ができず、第三者への危機は一段と高まります。
ドローンは時として凶器になります。
自分自身がドローンによって傷つくのは、まぁあ仕方ないですが、まったく関係のない第三者への危害は大事件に繋がります。(今ならヤフーニュースでトップ表示ですね)
そのようなリスクを背負いながら、危険性の高い飛行をする(=飛行許可承認を取得する)という認識を持たないと、いやはや安易に「よーし代行だ!」という気持ちになってはダメですね。
そう、だから私はどんなに札束を積まれて自己利害が大きかったとしても、安全のために「代行」はすべて断っています。
あとがき
「代行申請ってどうなんだろう?」という方に向けて、メリットもデメリットも含めてお伝えしました。
結局は「安全を守るため」にドローン規制があるわけで、「安全を約束するため」にドローン申請があるわけです。
その本質だけは見失ってはいけないですよね?