こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンを飛行させる時、「特定のエリア」「特定の飛行方法」では飛行禁止されているのは、すでに周知のことです。
ただし、一定の条件をクリアした場合に限って、国土交通省航空局に飛行申請を提出し、許可承認が降りれば「ドローンの飛行許可」が下りるフローとなっています。
しかし、この国土交通省航空局の飛行許可は決して万能ではありません。
「許可が下りたら、どこでも飛ばしてもいい」という大きな勘違いが法令違反を引き起こすかもしれません。
今回のブログ記事では…
- 国土交通省航空局のドローン飛行許可の範囲はどこなのか?
- なぜ関連する法令や条例を確認しなければならないのか?
- どうすればドローンを正しく許可を得て飛行できるのか?
この3点を中心に「国土交通省航空局のドローン飛行許可は、空だけの許可」だという情報シェアします。
これを知らない人がトラブルを引き起こす可能性もあり、無知のまま飛行させるのは危険です。
ドローンを飛行させる者、させようとする者は、深い理解が必要ですね。
このページに書いてあること
国土交通省の飛行許可は「すべての法令・条例の許可ではない」のは本当?
結論から書いていきます。
国土交通省の飛行許可・承認を取得したとしても、それは各種法令・条例の許可ではありません。
「国土交通省の許可があるから、これさえあれば、どこでも飛ばしていい!」
というのは、大きな間違えであり、残念ながら無知です。場合によっては法令違反や条例違反になる可能性が大きくあります。
国土交通省航空局からも注意喚起がなされており…
◆~無人航空機を飛行させる前に~◆
本許可・承認申請は、《航空法》に関する許可承認申請です。
その他の「各種法令」「条例」等の許可承認申請ではございませんのでご注意ください。
国土交通省航空局の飛行許可は、すべての法令や条理の許可承認ではないと明言しているのも上記引用のとおりです。
では、なぜ「すべての法令や条例の許可・承認ではない」のか、を順を追って説明します。
国土交通省航空局の飛行許可は「航空法」だけである
平成27年に航空法が一部改正され、ドローン(無人航空機)の飛行は航空法の対象となりました。
つまり「ドローンを飛行すること=航空法に関わる」になったということです。
- 航空法で「飛行してはいけない禁止エリア」を設定
- 航空法で「飛行してはいけない飛行方法」を設定 など
航空法によって禁止事項が設けられ、禁止エリアや禁止飛行方法でドローンを飛行させると違法行為とされます。
しかし、一定条件をクリアした場合に限って国土交通省航空局に飛行申請をおこない、許可が下りれば飛行が可能になります。
この「飛行の許可」というのが独り歩きしてしまって、勘違いを多く生み出しています。
前述の通り、
- 航空法によって禁止されている
- 一定条件をクリアすれば申請できる
- 国土交通省航空局から航空法に基づく許可が下りる
というフローですので、国土交通省航空局が許可を下ろしているのは「航空法」に関わる飛行のみとなります。
もっとわかりやすい言葉を選ぶのなら「空域」に関わる許可ですね。
逆を言えば、それ以外の各種法令や条例の許可ではありません。そう考えてみれば、簡単に理解できますね。
「そんなことはない、国土交通省航空局の飛行許可があるから飛行できるんだ!」という誤解
国土交通省航空局から許可を下ろしているのは航空法に関わる「空域」の許可です。
しかし、ごく一部の方は「いや、国土交通省の許可があれば、どこでも飛ばせる!」と主張することが多々あります。
まるで水戸黄門の印籠のように、国土交通省航空局の許可書を振りかざすのですが、残念ながら、その主張は全くの誤りです。
もし仮に、国土交通省航空局のドローン飛行許可がすべてを網羅する飛行許可であるのなら、ぜひ皇居の真上にドローンを飛行させてください(←意地悪)。
許可があるのなら、皇居の真上でも飛行できますよね?
…こういう風に考えてみると、国土交通省航空局の飛行許可は、その他の法律や条例をまったくクリアできていないことの理解が進むと思います。
航空法の他にも各種法令や条例は存在して、ドローン飛行を許可していない
繰り返し書いてしまいますが、国土交通省航空局の飛行許可は航空法に限った「飛行許可」です。
決して、その他の各種法令や条例では許可されていません。
まったくの別物です。
もし各種法令や条例に違反する場所でドローンを飛行させていたら、当然ながら、航空法ではない法律や条例で処されます。
前述した皇居の上空を例に上げてみますね。
皇居や官庁・原子力発電所などの国家的な主要なエリアには、航空法とは別に「小型無人機等飛行禁止法」が施行されています。
- 特定のエリアでドローンを飛行させると法律違反
- 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
となっています。
これは航空法とは別物ですので、いくら航空法の飛行許可があったとしても、小型無人機等飛行禁止法によって処罰を受けることになります。
日本人なら簡単に想像ができると思いますが、もし皇居にドローンを飛行させたのなら警察に取り囲まれること間違い有りません。
このように航空法でOKになったとしても、その他の各種法律や条例で、
- ドローンを禁止
- 危険行為を禁止
しているため、ドローンは飛ばせません。
「他の法律や条例は何かのか?」で大きく考えられるのは、
- 私有地
- 道路
- 海上や河川、海岸
- 公園、観光地 等
になります。それぞれの場所で管理者がいて、それぞれの場所でルールが敷かれているからです。
これは何も、重量100g以上や100g未満といった重量の問題では有りません。(重量の問題は航空法のみです)
ドローンは、ドローンです。
他の各種法律や条例では重量は関係ありませんので注意が必要です。
https://www.drone-enterprise.com/blog/8526
どうすればドローンを正しく許可を得て、違反せずに飛行できるのか?
「航空法は空域の法律で、その許可だけだとわかった。他の法律や条例もあるのも理解した。では、どうすればいいの?」
そのように考え込んでしまうと思います。
簡潔に言うと、ドローンを飛行する際の「許可」に関しては…
- 空のルール
- 地上のルール
この2つのルールの両方をクリアすることで「ドローンが飛行できる」と考えるのがスムーズです。
空のルールというのは「航空法」であって、地上のルールには「道路交通法」「自治体の条例」などがあるというわけです。
片方だけがOKだとしても、もう片方で違反して罰則を受ける可能性もあります。
そのため、ドローンを飛行させる最も重要なことは、航空法をクリアするのは当然のこと、飛行させる場所が「どのような法律や条例があるのかを確認、および検証する」ことです。
例えば京都に旅行に行ったとして、金閣寺にてドローンを飛行させたいと考えると。
空のルールである「航空法」は、ルールに従って国土交通省に申請をして許可を得なければなりません。
「これでドローンを飛行できる」というのは早合点であって、他人の敷地内でドローンを飛行させたら、当然のこと問題になります。(金閣寺の住職が激怒して通報するのは当たり前ですね)
考えられるのは…
- 金閣寺の管理事務所に「ドローンOKか?」を確認する
- 京都市に特定の条例があるかどうかを市区町村に確認する
の2つでしょうか。
さらに航空法の飛行マニュアル(飛行条件)に則って、
- 金閣寺内で飛行エリアについては立ち入り制限をおこなう
- 監視員・誘導員を各所に配置して観光客を止める
こういったことができるのか?というのも金閣寺の管理事務所に確認しなければなりません。
法律的な確認や検証、また飛行を実施する上で条件となる安全対策を敷くこと。それらをクリアすることでドローンを飛行できるようになります。
国土交通省の飛行許可は「すべての法令・条例の許可ではない」
まとめです。
国土交通省航空局のドローン飛行許可は、航空法のみの許可です。
その他の各種法律や条例に関わる「許可ではありません」。当然ですが、ドローンを飛行するにあたって、法律違反や条例違反に抵触することも多々考えられます。
国土交通省航空局があからさまに注意喚起している…
本許可・承認申請は、《航空法》に関する許可承認申請です。
その他の「各種法令」「条例」等の許可承認申請ではございませんのでご注意ください。
この言葉は、過去に多くの問題が発生しているからこそ、明言していると容易に考えられます。
空のルール、地上のルール。
この2つを守らない限り、ドローンは飛行できないと、しっかりと遵守しなければなりません。もしものときに、警察に通報されて、危害を被るのは自分自身ですから。
あとがき
決して国土交通省航空局の飛行許可は、水戸黄門の印籠ではありませんよ。
地上には地上のルールがあります。
国土交通省の許可書は”航空法”に関するものであって各法令や条例の許可承認ではありません。
そのことをドローンを飛行する者、させる者は理解しなければなりませんね。