こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンの活用が目立ってくるようになり、ニュースにも取り上げられる機会も増えました。
それを見て考えてしまうのが「ドローンやってみたい。ドローン会社で求人あるのかな?」ということ。
しかし「ドローン 求人」「ドローン 募集」と検索をかけても、求人情報は皆無の状態です。なぜ求人募集がないのか…気になりますよね。
今回のブログ記事では…
- ドローン操縦者のニーズがどのくらいあるのか?
- 求人募集や採用情報が少ない3つの理由は何なのか?
- ドローン会社である当社がなぜ求人しないのか?
この3点を中心に「ドローン操縦者の求人の実態」について情報シェアしていきます。
「ドローンって需要がありそうなのに」「仕事として雇われたい」と思っている方にとっては、有益な判断材料になるかもしれません。
このページに書いてあること
ドローン操縦者のニーズは「実は多くない」
いきなり確信に近づきますが…
ドローン操縦者のニーズはあなたが思っている以上に少ないです。
「え!?」とビックリしますよね。
きっとテレビなどの影響で、大きな期待を持ってしまっているからこそ、現実との落差が大きく感じるのです。
なぜニーズが少ないのでしょうか?大きく3つあると思います。
一部のドローンスクールが夢を与え、煽りすぎた
ドローン操縦関連をネット検索すると「あなたもプロの操縦士に!」のような広告を見かけませんでしたか?
ドローンの仕事に関しての情報は見当たらなく、どこもかしくもドローンスクールの広告ばかりです。ドローンスクールが生徒を広告で募集するのは別に悪いことではありません。
しかし一部のスクールが「煽りすぎた感」があるんですよね。
- ドローン操縦者が○万人足りません!
- 今ならチャンス、操縦がビジネスに直結する!
- プロの操縦士として仕事に活かそう!
こんな謳い文句がずらずらと並ぶわけです。
当然ですが、誰もが見たら「お!仕事にできるぞ!?」と勘違いしてしまいます。
スクール側は生徒を集めることによって利益になります。学費=利益ですね。つまり、なんとしてでも生徒を集めないといけないのです。
その結果、広告出稿を委託された広告会社が多少煽りを入れた謳い文句が並んでしまうのです。
生徒を集めたいスクール側のイメージ戦略によって「ドローン操縦はビジネスとしてニーズが有る」の幻想が生まれているわけです。
※広告出稿に問題があるわけではなく、ビジネスと結びつくような表現方法に違和感があることです。私自身は「ドローンの操縦が短期間で上達し、知識を身につけられる塾」なら賛同します
空撮という分野はニーズは特に少ない
ドローンといえば、空撮というのが真っ先に思い浮かべるかもしれません。
しかし、宅配や測量、農業といったあらゆる分野が存在します。その中で操縦者としてのニーズは確かにあるのですが、割合を考えると空撮は特に少ないです。
上の画像は、今後14万人以上が足らないと説明している表組みです。
将来の試算数値の14万人の内訳を見てみると、空撮の分野はたったの5000人です。14万人以上の中で5000人です。
むしろ検査点検や農業、セキュリティの人数が圧倒的に多いのは一目瞭然です。
ドローン操縦=空撮と考えがちですが、実際には多くの人を必要としていない分野なのです。
しかも上記の数値は専業者の人数ではありません。例えば、農家で営んでいる方が農薬散布で飛行させたら操縦者の1人になります。14万人の新しい雇用ではないのです。
法律や許可等のハードルが多い
手に持って撮影するカメラとは大きく異なり、ドローンは空を飛ぶことであらゆる制限がかかります。
航空法・所有権・道路交通法・プライバシー権などなど。法的な制限によってドローンが飛行できない場合があります。
さらに法律をクリアしたとしても、飛行する場所の許可がなければ飛行できません。業務となったら尚更です。
ハードルが高いことによって、時にドローン撮影を断念する場合もあります。このハードルによって、母数は少なくなるのは必然的です。
※ドローン関連でニーズがあるのはシステム開発系
ちょろっと余談ですが、操縦者はそこまでニーズは高くないのですが、圧倒的にドローン関連でニーズが高くなるのはシステム開発者です。
ドローン宅配やセキュリティなど、新しい分野にはシステム開発は必要不可欠です。新サービスを展開するにも、システム構築がなくてはビジネスになりません。
ドローンを制御する、しかも安全に。その土台をつくるシステム開発者は、今後間違いなく必要とされる職種です。
ドローン操縦の求人募集・採用情報が少ない3つの理由
どんなに検索をしても出てこないドローン操縦の求人。不思議と思う方はきっと多いはずです。
すでに前述した「ニーズは多くない理由」で、薄々感じているかもしれませんが、改めてドローン操縦の求人が少ない理由について説明します。
理由1. 業界自体が成熟期の段階かもしれない
少しだけ前向きな話です。
もしかしたら成熟期だからこそ、数百人規模の組織的な企業がなく、求人がないのかもしれません。
どこを見渡しても1人~数人でおこなっている撮影企業ですね。業界の規模が変わるとしたら、組織的な企業が生まれて求人が出てくるかもしれません。
例えて言うのならラーメン屋。
個人商店として全国にラーメン屋がありますよね。どこも一国一城の店主です。ただ0.1%未満の割合で、博多一風堂や天下一品などのチェーン店として成長するラーメン屋もあります。
ドローン操縦も、そのようなチェーン店ができるかもしれません。現時点を考えると、まだ求人が出るほどの規模感の会社はないんですよね。
理由2. すでにレッドオーシャンである
ドローン撮影業者が増加しており、空撮という分野はすでに競争が激しい状況(レッドオーシャン)です。
2016年にドローン撮影として独立した方が、わずか数ヶ月で廃業したのを知っています。「頼っていた仕事が来なかった」と資金が底について、年収は十数万円だったと。
大々的に規模を拡大したとしても競争が激しい。「そこまで操縦者は抱えられない」から求人を出せないのかもしれません。
ラーメン屋のたとえで言うなら、駅の周りをちょっと見渡せば、ラーメン屋が数軒ある状態です。
その中に飛び込んで「ラーメン屋で独立する!」と言っても、かなり厳しいのは想像の通り。
理由3. 個人に仕事が集まる分野である
撮影という分野においては、クリエイティブな要素が必要です。
クライアントが望むのは、期待以上の成果物ですから。その成果物を作り出すのが人なのです。
「撮影に関しては○○さんに依頼したい」「この撮影は□□さんに依頼したい」そうして、名指しで仕事の依頼が集まる分野です。(今現在もこの傾向は高まっています)
空撮の分野で生業(なりわい)できる人は、名前が通っている人ばかりです。
グサッと来る話ですが、クライアントは「ただドローンを飛ばせる操縦者」はいらないのです。
もう一度ラーメン屋でたとえるのなら、どんなにラーメン店が引き締めきあったエリアだとしても、1店だけ行列が絶えない店はありますよね。
他のラーメン屋は空いているのに、客が望むのは待ってでも食べたいラーメン。そこでしか食べられない、美味しいラーメンだからです。
大きな視点で見ると、職種のニーズが分かる
ドローン操縦の求人がない理由について細かに書いてきましたが、一度大きな視点で考えてみると分かりやすいです。
単純に、人が足りていない職種は情報が多いということです。
高齢化社会になりつつある日本では、介護職や医療職のニーズは高まる一方です。「介護 求人」と検索すれば、山のように求人情報が出てきます。
情報化社会が加速している昨今、IT/WEBエンジニア職のニーズも激高です。根本的に人数が少ないため、需要と供給のバランスが崩れて年収800~1000万円は当たり前です。(※フリーランスとして活動できる方)
グーグルで職種名を検索をすれば、なだれ込むように情報が多く、給与が高いのはニーズがあるからです。至って普通の原理ですよね。
逆に、ドローン操縦の求人情報はどうでしょうか?
きっと「ドローン 求人」と検索して情報があまりにも少なすぎて、このページにたどり着いたのだと思います。
ドローン会社である当社が求人募集をおこなわない理由
過去これまでに、たくさんの方から「働かせてください」と連絡をいただきました。
- 「ドローンに興味があります。アルバイトでもいいので働きたいです」
- 「御社では求人はおこなっていないでしょうか?」
- 「ドローンの可能性を感じます。将来独立したいので弟子にしてください」
どこにも求人情報は載せていないのにも関わらず熱いメッセージが届くのですが、その度に「残念ですが求人募集しておりません」と返信をしました。
求人をおこなっていない理由は、1つです。
クライアントが私を見つけてくれて、私に依頼をいただくからです。テクニック、経験、センス、知識等を全力で提供したい。
提供できないとするなら、わざわざ探してくださったクライアントに失礼だからです。
多くの人が勘違いしているのですが、ドローン自体が凄いことをおこなっていません。ドローンは、あくまでツールです。
どんなによく切れて扱いやすい包丁があったとしても、すべての人が美味しい料理を作れるわけではありません。包丁がツールであって、結局のところツールを扱う料理人次第だからです。
撮影というクリエイティブな作業は、原型はなくゼロから生み出すものです。
会社という組織に依頼があるのではなく
- 「誰が撮影するのか」
- 「その人に依頼ができるのか」
が重要な世界だと考えているため、当社では求人をおこなっていないのです。
あとがき
ドローン操縦の求人に関して「どうして求人情報ないの?」に答えてみました。
ここに書いた話は、この記事を書いている2016年・2017年あたりの話です。もう少し年数が経過したら、また新しいドローンに関わる求人が出てくるかもしれません。
しかし実際のところは、空撮分野はパイが少なく、測量といった分野は兼務が多いです。ドローンスクールの煽り文句は怖いですね…。