こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
今日は2019年3月13日、幕張メッセにてドローンに特化した国際展示会&コンファレンスの「ジャパンドローン2019の初日参加しました。
参加レポートを…とは思っていたのですが、それは他メディアに任せることにして、もっと客観的な立ち位置から所感を書き綴ろうと思います。
- 検査・点検分野の市場拡大が大きく望める
- 資本を持った大企業がなぎ倒していく感がある
- スクールビジネスとドローン産業の方向性に違和感がある
場当たり的なブログ記事になりますが、ドローン産業の方向性を言語化できればと思います。
※一個人の見解として受け取ってください
このページに書いてあること
ジャパンドローン2019とは何なのか?
そもそも「ジャパンドローン2019」って何なの?という話から、少し概要をお伝えします。
日本最大のドローンに特化した展示会で、2019年3月13日~15日の間で幕張メッセで開催しています。
各ドローンメーカーや大手企業が出展していたり、ドローンに関する講演(無償・有償)があったり、とにかくドローンだらけの国際展示会&コンファレンスです。
少しだけ注意をしたいのが「B to B」に特化している商談会の場です。
「B to C」のイベントではないので、一般のドローンユーザーが参加してもハテナ(?)になる可能性が高いです。
私が今回参加したのはドローン産業の全体の流れを知りたいから
このジャパンドローンは今年で4回目だそうです。そういえば私はジャパンドローン2016の第1回目に見に行っていました。(2017・2018は行ってなかったです)
あれから3年経ってから、展示会に出展する企業やドローンの種類など「なにか変わっていったのか」「どこに向かっていくのか」の経過を感じ取れればいいなと。せっかく招待状も頂いたので。
ちなみに2016年のときは「ドローン」というのはまだ未開拓な位置づけで、出展していた企業も手探り状態。そして、やや「B to C」の要素もありましたね。
中国や韓国といった海外企業も大きなブースでドローンを展示していたのを覚えています。
また民生機としてのドローンというイメージでした。今回の2019年は、思いっきり産業機としてのドローンでしたね。
検査・点検の分野が絶大的に市場拡大する
各ブースを歩き回った最初の印象ですが、ドローンによる検査・点検がもう確実になったと感じました。
今後、ドローンといえば「点検」である、そういう代名詞になる時代がもしかりたら来るかもしれません。
理由は3つです。
理由01. すでにドローン産業の市場規模が大きくなる予測が立っている
2017年の段階でドローンに係る市場予測があります。
JIJI.com「『ドローンビジネス調査報告書2017』3月23日発行」より
色分けしていて、非常に分かりやすいグラフです。
ドローン産業の中の各分野ごとに、どれだけ市場規模が拡大するのかを表しています。
例えば、一般的な空撮の分野は2015年から2022年にかけて、10億円から48億円と非常に小さい数値です。
グラフの中で伸び率が大きいのは2つ。検査と農業です。
検査に関しては、2015年は0億円ですが、2022年は358億円と驚愕的に増加する見込みです。空撮分野と比べても、金額感だけでも圧倒的に凌駕するのが分かると思います。
すでに2017年の段階で、検査分野は大きな成長が見込める、つまりお金になる領域でした。
このあたりは2017年当時、私もブログ記事にしていましたのでご参考ください。農業についても、ちらっと書いています。
理由02. 人手不足という時代背景が存在する
飲食業、物流業、サービス業など、どの業界も人手不足が問題化されてきました。
今後日本は人口減と高齢化が同時に突き進み、人の手が足りない状況に強いられます。これは誰にも止められません。
そこで期待されているのが、単純作業の機械化(AI)です。
人手不足を補うためにもドローンなどの機械が代用しなければなりません。特に点検・検査といった分野は、高所で危険だったり、労力がかかる場合があります。(山の中にある鉄塔は大変ですよね)
ドローンのAI化によって、より確実に、よりスピーディーに、より安全におこなえるのは、まさに人手不足のなかでの救世主です。
理由03. KDDIやNTT DOCOMO といった大企業が本気を出している
いやー、今回のジャパンドローン2019での存在感はすごかったです。
特にKDDI。ドローンに関して本気です。
スマートドローンと銘打って、点検に特化したドローンやシステム構築などのソリューションを開発・提供していました。
そのほとんどがマニュアル操作ではなく、ほぼ自動によるドローン点検業務が実施され、データ管理・レポート化、高精度な撮影など、もう完璧すぎました。
ドローンによる点検業務は実証実験中だと思いますが、2019年6月より順次…と書いてあるので、この1年で間違いなく運用していくでしょう。5年も経てば、日本全国でドローンが点検・検査をおこなっているはずです。
KDDIだけではなく、NTT DOCOMO や中堅ドローンメーカーも、検査用ドローンを開発しており、どのブースも「検査!」「検査!」でした。
繰り返しになりますが、数年後にはドローン=検査ツールという認識が広がると肌で感じました。(今回、参加した大きな収穫でした)
圧倒的な資本力を振りかざして突き進むドローン産業の方向性
ジャパンドローン2016にも参加していましたし、過去に国際ドローン展2017にも参加していました。
その当時から検査ドローンというのは、市場拡大が見込めるため各企業がドローンの開発をおこなっていて、ブースに並べていたんですよね。つまり、先見の明があった企業です。
しかし今回ジャパンドローン2019を見てきて「いやー、資本力にかなわない」と。
すでに書いていますがKDDIのような大企業が本気を出したら、ドローン開発もシステム構築も他社を圧倒するのは当たり前過ぎでした。やっぱり資本力です。
KDDIのブースでデモ映像が流れていて、突っ立って見ているだけでも他社のドローンよりも優位性を感じ取れました。(もしかしたら、しっかりと話を聞いていてれば他社の技術もすごいかもしれません)
さらにKDDIブランドというのも強みがあります。
点検・検査のドローンを運用していく際には、大手電力会社がメインになってくると思います。「KDDIさんのドローンなら…」「AI化で便利ですし…」と話がまとまっていく状況が容易に想像できます。
市場には成長曲線があります。
「導入期→成長期→成熟期→衰退期」この4つの中で、検査ドローンは導入期にあたります。今現在、赤字事業になっていたとしても、いち早くスタートダッシュをかけて、成長期・成熟期でトップを走る。
資本を使って大きな成長の望める点検ドローンを切り開く。ドローン産業の方向性が垣間見えました。
ドローン産業の大きな流れとドローンスクールビジネス
ジャパンドローン2019では、前述した大企業や中堅ドローンメーカーが数多くのドローンの展示。
B to B の商談会なのですから、その規模感や金額感は大きいです。検査ドローンを筆頭に、農業ドローンなどイノベーター的な企業ばかりです。
実際のところ、こういった展示会では「空撮」という分野は時代遅れ感が否めません。もう3.4年前に(成長曲線でいうと)導入期・成長期は来ていましたからね。市場の大きな流れから言うと「空撮」分野はもう古いです。
そんな中でドローンスクールの運営をおこなっている企業や一般社団法人もブース出展していました。(そのスクールに通っているであろう方もいらっしゃいました)
ドローンのスクールビジネスは、一種のツルハシビジネスになっていて、ドローンを操縦できるひとを創出し続けることで儲けています。民間資格として銘打っているのも、きっかけづくりです。
ジャパンドローン2019の会場だけを俯瞰して捉えたとき、個人的に違和感を感じました。
前述の通り、各ブースでは検査ドローンが所狭しと並び、飛行に関するシステム開発も進んでいることが明らかでした。
NTT Docomo のブースでも、AIによる自動操縦で点検業務をおこなっている映像も流れていましたし、KDDIのブースでも作業員による安易な点検業が可能と記載がありました。
つまり、ドローンの大きな流れとしてAI化は間違いなく突き進みます。
その一方でドローンスクールのブースがいくつかあって、どこか相反するなのでは?と。
ただ単純にドローンを操縦できるひとではなく、本来ドローン産業が必要とされるのは、ドローンによる点検業務のオペレートができるひとです。
リモコンを持って操作できる…というよりかは、点検ドローンに座標や構造物の形状などを入力して、ドローンが適切に作業をおこなえるよう補助(オペレート)する役割です。
大きな会場の中で、どうも別方向に進んでいるのでは?と。そもそものビジネス構造が異なるので仕方ありませんが。どこか双方がもったいない気がしました。
あとがき
検査ドローンのことしか書きませんでしたが、それだけ会場で圧倒されました。
その他にも多種多彩なブースがあって、個人的に注目しているのが「徳島県の那賀町」です。3.4年前から「日本一ドローンが飛ぶ町」として、ドローンを積極的に推している自治体です。
継続するのは大変なのですが、今回のジャパンドローン2019ではブースをつくって積極的にPR活動をおこなっていました。
ドローンで飛行撮影できるポイントをガイドブックにして紹介していて。いやはや、素敵すぎです。より多くの観光客が来ること、陰ながら応援しています。
数年後、どのようなドローン産業になっているか分かりません。しっかりと変わりゆく時代の動向を見てかないといけませんね。