こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
2019年5月2日の夜間に、皇居や赤坂御用地・迎賓館などでドローン飛行の目撃情報があったため、世間のニュースでは「皇居でドローン飛行」を一斉に報道。
平成から令和に年号が変わり、非常にセンシティブな時期に起きてしまいました。
一部の報道では「もしかしたらヘリコプターと見間違えたか?」と誤認の可能性も視野されていますが、このブログ記事を書いている時点では、まだ真相は判明していません。
今回のブログ記事では、やや時事ネタになってしまいますが、
- ドローンが報道されているという「本質」
- 世間がどうドローンを捉えているのか
の見解を記載したいと思います。
皇居周辺でのドローン飛行目撃問題
まずは、今回のドローン問題について概要を記載します。
2日夜、皇居周辺など東京都内でドローンのような物体の目撃情報が相次ぎ、警視庁が確認を進めています。
「ドローンの目撃情報が相次いでいることから、警視庁の警察官が警戒にあたっています」(記者)
2日午後8時ごろ、「皇居近くの上空で桜田門から半蔵門方向にドローンが飛んでいる」と、皇居前を警備していた機動隊員から報告がありました。
警視庁によりますと、皇居の桜田門から半蔵門方向にドローンとみられる物体が赤と白の光を点滅させながら飛んでいるのが目撃されたということです。ほかにも、赤坂御用地や迎賓館といった皇室関連施設の上空など、都内の広い範囲で同様の目撃情報が相次ぎました。目撃情報の一部はヘリコプターを見間違えたものもあったということで、警視庁が確認を進めています。
ざっくりとして情報をまとめると
- 皇居周辺で複数の機動隊員がドローンらしき飛行物体を目撃した
- 赤と白を点滅させながら飛んでいた
- 皇居の他にも赤坂御用邸や迎賓館の皇室関連施設で目撃情報が相次いだ
要約すると「皇室関連の場所でドローンらしきものが飛んでいた」ということです。
この皇居ドローン飛行目撃問題に関しては、数多くのメディアが取り上げて報道しているため、日本全国で認知されたのではないでしょうか。
ちょうど天皇陛下の譲位、皇太子さまが即位というタイミングも合ってか、緊張感が走ったと思われます。
過去、世界に目を向けてみるとドローンを使用したテロは事実発生しています。
- 焼夷手りゅう弾搭載ドローン1機が、ウクライナ東部バラクリヤに所在する弾薬庫を爆破した事案(平成 29 年(2017 年)3月 23 日)
- ドローン 13 機が、シリア駐在ロシア軍フメイミム空軍基地を攻撃した事案(平成 30 年(2018 年)1月5日)
- ベネズエラ大統領の暗殺未遂事案(平成 30 年(2018 年)8月4日)(ただし、米国等では自作自演との報道あり)
衝撃度が高かったのは、ドローンを利用した「ベネズエラ大統領の暗殺未遂」ではないでしょうか。現実的に特定人物の暗殺ができるという可能性を、世界に知らしめました。
今回起きた皇居ドローン目撃問題について、「某組織の嫌がらせだったのではないのか」「外国人のいたずらではないのか」「ヘリコプターのみ間違えではないのか」という憶測は考えられます。
ドローンに係る多くの方は、上記の憶測に囚われてしまうと思いますが、ぶっちゃけていうと私個人は「証明しづらいから、どれでもいい」と深くは考えていません。
それよりも、本質は別のところにあると思っています。
ドローンを軽視していない事実がある
もう随分昔の記憶になってしまったかもしれません。2015年春に首相官邸にドローンを墜落させた事件(セシウム入りのドローン)がありました。
この事件をきっかけにドローンは悪というイメージが染み込み、同時に航空法改正をして法整備を一気に進みました。
あれから4年の月日が経って、ドローンによる宅配や農薬散布といった人間を手助けしてくれるツールとして徐々に認知度が高まり、ドローンに対する好意的なイメージが広がったと思われます。
ドローンもAmazonや家電量販店で購入できるようになって、より多くの方がドローンに慣れ親しんで、趣味としての領域を確保しつつありました。
トイドローンやドローンを所有している方、またドローンを使用した制作会社にとって、今回の皇居ドローン目撃問題が、これほどまでに報道されたことは、やや違和感があったのではないでしょうか?
皇居付近に飛んでいたという問題はあるにせよ、ドローンが飛んでいるだけでこれだけの報道がなされるということにです。
ことドローンに関しては、昨今、ゆる~い空気感が流れていました。
「ドローンって、フッと気軽に飛ばせるよね」「ドローンを使って簡単に空撮しようよ」そのような気楽にできるのが当たり前な風潮があります。Amazonでサクッと買えてしまうのだから、航空法があるにせよ、気持ちがゆるくなるのは仕方がありません。
しかし、ドローンの実態は世間から見ると「軽視できない存在」です。
例えば、今回皇居の周辺で、ビデオカメラをつかって皇居を撮影している人がいたとします。しかし、何も問題はおこらないですよね。
しかしドローンが飛行しているだけで全国ニュースになり、警備体制は一段と強化され、ドローン対策(電波ジャミング等)が実施。
本来、ドローンというは危険になりえる存在であり、どんなに世間にとってドローンが好印象になっていたとしても、ドローンを軽視することはない、という事実があるです。
一歩間違えれば大きな報道をされる主役に
ドローンに携わっている方や趣味としている方にとって、忘れてはならないのは「あなたが報道の主役になる可能性がある」ことです。
もしかすると多くのユーザーはドローンに対して軽く見ているかもしれませんが、実際には今回のように大きく報道されて問題になります。
最近ではyoutubeに違反と思われるドローン飛行動画が数多くアップされています。
- ちょっとくらいだったらいいと思っていた
- 法律を理解するのが難しくて、何が悪いのか知らなかった
そのような言い訳が聞こえてきそうですが、実際には日本という法治国家では、ドローンに対しての厳しい法律がなされています。
実際に皇居や皇居付近、国の重要機関の近くでは、法律で警察署の無許可では飛行できません。(航空法とは別に小型無人機等飛行禁止法が存在します)
それを「知らなかった」だけでは済まされず、今回のように大きな報道まで一気に展開していきます。
その他にも、今後考えられるのは…
- ドローンを飛行させていて新幹線を止めてしまった
- 高速道路に落下させて、複数の追突死亡事故を起こしてしまった
- 第三者の子供にプロペラが当たって重体させてしまった
まだこのような事件は起きていませんが、もし起きたとしたら「ドローンがやった」という大きな報道になり得ます。もちろんその操縦者も言及されるはずです。
不安な気持ちにさせるわけではありませんが、一歩間違えれば報道の主役になる、ということは間違いありません。
それだけ「世間から軽視できない存在であるドローンを扱っている」ことを、再認識しなければならないと感じています。
今回の皇居ドローン飛行問題で、「またドローンがやらかしたか!」と感じてしまった一般の方は少なからずいるはずです。
また警察署も「この大切な時期に、皇居にドローンを飛行させてしまった」という敗北感を背をっていると思います。ドローンに対して少なからずも厳しい目を向けられるのではないでしょうか。
「犯人は誰だ」という話の矛先を向いてしまいがちですが、私自身が感じた本質は「ドローンによって大きな報道がなされ、ドローンは決して軽視できない存在である」ことです。
ドローンにとって切っても切り離せない根深い問題だと思っています。
あとがき
真相を問うようなことは考えていなく、センシティブな時期と皇居という場所だから仕方ありませんが、報道のなされ具合が衝撃でした。
もしその場で犯人が見つかっていたら、もっと大きな話題になっていたと思います。(悠仁さまの机の上に刃物が置かれていた事件と同様に…)
今回いくつかのメディアより取材を受けましたが、客観的に「やっぱりドローンは悪になり得るんだなぁ」と思いつつ、ご協力させていただきました。
最近はドローンを軽く見ている方が多いですが、本来なら違うんですよね…。