こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
「ドローンって航空法の規制があって、どこでも飛行してはダメなんですよね?」
と航空法のルールをご存知の方が増えてきました。
ドローンの飛行が禁止されているエリアは実際に存在するのですが…「では、屋内や室内は?」と疑問に感じますよね?
今回のブログ記事では…
- 屋内・室内のドローン飛行に法律的な制限があるのか?
- どんな屋内・室内がOKで、どんなのがNGなのか?
- 屋内でドローン飛行するにあたって難易度は高いのか?
この3つを中心に説明していきます。
通常は広く屋外でドローンを飛行させるものなのですが、さて、屋内はどうなのでしょうか?
このページに書いてあること
屋内や室内でのドローン飛行に規制はある?
結論からいうと、屋内・室内でのドローン飛行に航空法の規制は一切ありません。
通常は、航空法ではドローンの飛行にあたって重量200g以上のドローンの場合…
- 人口集中地区(人が多く住んでいるエリア)は法律違反
- 人・物件から30m以内の飛行は法律違反
- 夜間やイベントなどの催しでの飛行は法律違反 など
このように法律上で厳しい規制が存在しています。
しかし、航空法というのは「空がつながっている場所」に適用されるものです。
完全な屋内・室内の場合は、航空法の適用はありません。
つまり、人口集中地区という飛行が禁止されているエリア内だったとしても、そこが屋内・室内なら航空法違反にはならないんです。
極端な話になりますが、例えば渋谷のど真ん中にあるビルの屋内では、航空法の適用がないため、誰でも飛行できるというわけです。
屋内・室内はどこまでがラインになる?
屋内・室内でドローンはOKなのは分かりましたよね?では、どこまでが屋内・室内なのか?を考えていきましょう。
定義されているのが、これ。
四方八方(上下左右のすべて)が閉ざされた空間であり、ドローンが外に出ないのが屋内・室内です。
つまり…
- 外にドローンが出ていくことのない空間
- 窓も扉も締め切っていている空間
- どこにも空とつながっていない空間
と言えば分かりやすいですね。
例えば、学校の体育館。窓を締め切った状態なら完全に密閉された空間=屋内ですね。
同様に東京ドームでも締め切っている状態なら屋内と言えます。
一部が空いている場所は?
例えば、この写真のようなフットサル場を見てみましょう。
屋根があって周りはシートで覆われていますが、ゴールの部分だけ外部とつながっています。
これが屋内かどうかと考えると…、空とつながっている場所があるので屋外になります。
ドローンがこの外部とつながっている場所から、外に出れてしまうからです。
国土交通省が定義する「屋内」とは?
この件に関しては、国土交通省のドローン関連のQ&Aページに記載があります。
Q.ゴルフ練習場のようにネットで囲われたようなところで飛行させる場合も許可が必要ですか 。
A.無人航空機が飛行範囲を逸脱することがないように、四方や上部がネット等で囲われている場合 は、屋内とみなすことができますので、航空法の規制対象外となり許可は 不要です。
ドローンが飛行範囲を逸脱しないよう、四方や上部が囲われているのは屋内とみなす、と記載があります。
逆を言えば、1部が囲われていない場合には、(例えば三方)は屋外になると考えられますね。
そう考えると前述の画像のフットサル場は、やはり屋内・室内とは見なされないのです。
どのような屋内・室内で飛行できるのか?
四方のすべてが囲まれている空間が屋内・室内と理解できました。
では、どのような屋内・室内ならドローンは飛行できるのかをちょっとだけ挙げてみると…
- 学校の体育館(※ほとんどの理由で借りれないですが)
- 四方八方がネットで囲まれているフットサル場
- 会社の会議室
- コンサートホール
- 工場 などなど
このあたりがドローンが現実的に飛行できる屋内・室内なのではないでしょうか。
ちょっと見えてきましたね。
屋内・室内でドローンを飛行させるのは相応の技量が必要不可欠
「屋内・室内がOKなら、ドローンを飛ばし放題だ!」
と思うのは危険です。危険すぎます。速攻でやめてください。
ドローンは通常、屋外での飛行を想定したツールです。屋内・室内で飛行させるのには不向きです。
2019年9月11日、熊本市の男性教員が体育館でドローンを飛行、女子生徒2名を怪我させる事故が発生しました。
運動会練習中にドローン落下、専門学校生2人けが 熊本
11日午前10時40分ごろ、熊本市西区上熊本1丁目の県立総合体育館で、専門学校の運動会の練習風景を撮影するために飛ばしていたドローンが観客席に落下した。10代の女子生徒2人が顔に切り傷を負うなどして救急搬送された。
熊本中央署によると、ドローンは縦49センチ、横59センチ、高さ8センチで、重さは約1キロ。同校の40代の男性教員が操縦していた。この日は、熊本市内の専門学校が体育館のアリーナで運動会の練習をしており、けがをした女子生徒2人は、観客席で見学中だった。一人は顔に切り傷、もう一人は左腕と右足首に擦り傷を負った。いずれも軽傷という。
事故発生を要約すると…
- 男性教員が体育館でドローンを飛行させ、運動会練習風景を撮ろうとした
- 操縦ミスによりドローンが観客席に座っていた女子生徒に当たった
- 緊急搬送されて1人は顔に切り傷、1人は腕・足首に擦り傷をおった
個人的な感情が入ってしまいますが、最悪です。
きっとチープすぎる発想で体育館でドローンを飛行させたのですが、女子高校生の顔に切り傷をおわすなんて、その子の将来を考えるとガチで訴訟ものです。
屋内・室内でのドローン飛行は、屋外よりも圧倒的に飛行難易度が高まります。
よほど広い空間でないと安全ではありません。飛行技量を考えた上で飛行可否を考えないと、衝突する確率は屋外よりも格段に上がります。
その理由をわかりやすく説明します。
理由01:GPSが入らないから不安定である
ドローンは主にGPSによって飛行制御をおこなっています。安定的な飛行はGPSによって生み出されているといえば分かりやすいですよね。
屋内に入ってしまうと、当然ながらGPSは受信できません。
すると、トタンにホバリングでさえ不安定になります。まっすぐ飛行させようとしても、操縦者の技術レベルやその場の状況によりますが、フラフラとした飛行になります。
GPSの代わりに他センサーを利用して制御する機能がありますが、床面・障害物によって機能しないことも多々あります。また反応する高度も数mだけです。
(この説明でわからない人は、この時点で技量不足です)
理由02:WIFIなどの電波障害が強い
屋内・室内は、強烈なほどにwifiが飛び交っている場合が多いです。
ネット回線用の出力の強いwifiルーターがあったり、デザリングするスマートフォンがあったり、とにかくwifiだからけです。
ドローンはwifiに干渉して映像伝達が途切れたり、場合によっては操作ができなくなります。
屋外よりも圧倒的に環境が悪いのです。
理由03:磁気センサー異常を引き起こしやすい
ドローンには飛行を制御するに当たって、磁気センサーを使用しています。
そのため、金属や鉄板・鉄筋に近づくと、磁気センサーが狂ってしまって突如として飛行が乱れます。人によってはコントロール不能になって、クラッシュすることも多いです。
屋内・室内の場合は、建物内部に鉄筋が張り巡らされていて、さらに目に見えていない金属もあります。
すると、そもそも離陸する前から磁気センサーが異常を起こしてしまいます。
- ドローンが急発進してスピードを出す
- 右に操作していても、ドローンは左に進んでしまう
そのようなコントロール不能の状態に陥りやすいのが、屋内・室内です。
理由04:屋外よりも障害物が近い距離にある
屋外のような広い空がある場合には障害物がないため、クラッシュする可能性が低いと言えます。
しかし屋内・室内は、まわり一面に障害物があります。たとえば、柱や天井、人間も同様ですね。
狭い空間の中で、操縦者が思ったとおりに飛行できる技量がなければ、すぐにクラッシュしてしまうのは目に見えています。
また、そのクラッシュしたときの衝撃は大きいですね。壁は傷つきますし、落ちた衝撃で床も傷つきます。
屋内・室内は法律的にはOK、ただプロレベルの技量が必要
空とつながっている場所では、航空法が適用さます。
逆を言うと四方八方を塞がれている屋内・室内は航空法は適用されてません。
しかしドローンは屋外で使用するツールです。
屋内・室内では電波干渉や磁気センサー・障害物などあらゆる負荷がかかり、ドローンが飛行するには劣悪な環境です。
最悪の場合、前述した事故のように人を傷つけたり、壊したりする事故が発生します。(いや、極端に発生しやすくなります)
もしプロレベルの技量があるのなら、劣悪な環境下でも飛行できるように調整したり、常にコントロールできるよう注視したり、もしものときに合わせた安全対策も敷くはずです。
安易に屋内・室内でドローン(200g以上)を飛行させるのは止めましょう。
知り合いのドローンユーザーも何人も屋内飛行で事故ってドローンを壊しています。
マジでリスク高いですよ。
あとがき
ドローンを安易に考えている方が多くいますが、現実的に屋内・室内でのドローン飛行で、怪我人を出す事故が発生しています。
屋外でドローンが飛行できるから…と過信して、室内・屋内で飛行させるのは(キツイ言い方でが)浅はかな発想です。
ドローンの屋内・室内の飛行は事故が起こりやすい。それを忘れてはいけません。