ドローン飛行の許可基準の改正(2021.03~)に至る規制改革とは何かのか?

ドローン飛行の許可基準の改正(2021.03~)に至る規制改革とは何かのか?

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川です。

2021年3月末にドローン飛行の許可基準や手続きの合理化が行われました。

一般的には特に影響のない内容となりますが、「ドローンの点検・検査」「ドローン宅配」といった未来を作るドローン産業にとっては大きな前進となったわけです。

今回、その許可基準の改正等について、河野太郎氏(行政改革担当大臣)記載のブログ記事「ドローンに関する規制改革」をベースにします。

今回のブログ記事では…

  • ドローン点検に向けた許可基準の改正とは?
  • ドローン宅配に向けた許可基準の改正とは?
  • 「物件管理者への手続き」の合理化と今後について

以上の3つをベースに「将来のドローン産業の発展に向けた規制改革」について、ざっくり解説していきます。

ドローンに関する規制改革とは?

ツイッターでのフォロワー数で政治家1位である河野太郎行政改革担当大臣。

行政のハンコの押印を無くすなど行政の合理化を進めている、いま、最も勢いのある政治家です。

今回、河野太郎氏が手を付けたのがドローン関連です。

  • 目視外の高高度飛行
  • 目視外の物件投下
  • インフラ点検時の手続の簡素化
  • 物件管理者への手続の有無の明確化

この4つについて、2021年3月に許可基準の改正等がおこなわれ、規制改革の1つとなりました。

今回おこなわれた改正はどのような内容だったのか?何に影響するのか?など書いていきます。

「ドローン点検」に向けた許可基準の改正とは?

ドローンによる鉄塔やビルなどの点検業務の場合、高高度(150m以上)や目視外飛行が伴う場合があります。

例えば、山間部にある送電線および鉄塔では、障害物によって目視外飛行になることもありますし、鉄塔の高さも150mを超えるものもあります。

  • 一般的に高さは15 – 55 m
  • 日本一高い送電塔 中四幹線 226m

wikipedia「送電塔」より

今後、ドローンによる点検業務を本格的にさせるには、現在の許可基準では現実的ではなく…

これまでは、目視外での高度150m以上の飛行には、どのような場所であっても原則、補助者の配置が必要でした。(中略)

「必要な安全対策」も、これまでは、飛行前に現場確認をすること、立入管理区画を設定して立て看板を設置することなどが規定されていました。

衆議院議員 河野太郎公式サイト「ドローンに関する規制改革」より

どんな山奥でも補助者を配置して、立入管理区間に立て看板を設置するなどの規定があり、ドローンで素早く合理的に点検をしようとしても許可基準で不合理になる事態があったわけです。

それが2021年3月末の許可基準の改正によって

高い構造物の点検のための構造物周辺に限定した飛行などは、「必要な安全対策」を講じていれば、150m以上であっても補助者を配置せずに飛行できるようになります。(中略)

飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入る可能性が極めて低く、飛行前の現場確認や立入管理区域の設定が難しい場合には、立て看板の設置などの対策が不要になります。

衆議院議員 河野太郎公式サイト「ドローンに関する規制改革」より

鉄塔やビルといった高い構造物の点検に限定した飛行の場合、

  • 第三者が立ち入る可能性が極めて低い
  • 立ち位置管理区域の設定や立て看板の設置が難しい

の条件に該当するのなら、補助者や立て看板の設置と言った作業が不要になった上で、国土交通省から許可が下りるとなったのです。

クマや鹿しかいないような山奥で、立て看板を設置するのは非合理的ですから。

まさに、山奥でのドローン点検のみを想定した改正であり、ドローン点検産業が前進する改正です。

インフラ点検を目的とした申請についての飛行マニュアル(条件適用)

合わせて、インフラ点検向けのドローン飛行マニュアル(国土交通省航空局標準マニュアル)も公開されました。

ドローン点検の飛行用に向けたワンセットになっている標準マニュアルです。何がワンセットになっているかというと「空港等周辺・150m 以上・DID・夜間・目視外・30m」が一貫として申請できるマニュアルです。

一部、目視外飛行に設けられている安全対策はありますが、きっと以前と比べてかなり申請自体が簡素ができるものであり、結果的に今まで以上にドローン点検(インフラ点検)が進んでいくと容易に想像できます。

「ドローン宅配」に向けた許可基準の改正とは?

今現在、ドローン宅配の実証実験等が進んでおり、できるだけ早い未来に実現すると思われる産業です。

ただし、ドローン飛行による許可基準がドローン宅配とはそぐわない点もありました

ドローンが荷物を運んでいき、特定の場所に配達させる。いわば「目視外の物件投下」です。

これまでは、目視外で荷物を切り離す場合は、原則、補助者を配置するか、荷物を下ろすためにわざわざ着陸する必要がありました。

今後は、ドローンによる荷物配送を想定し、荷物を切り離す場所及びその周辺に立入管理区画を設定し、高度1m以下で荷物を切り離す場合は、補助者の配置が不要となります。

衆議院議員 河野太郎公式サイト「ドローンに関する規制改革」より

高度1m以下にて荷物を切り離す場合には補助者が不要となり、スムーズなドローン宅配が可能になっていくと考えられます。

かなり特殊な許可基準の改正ですが、これもまたドローン宅配という産業にとっては、一歩前進した改正だと思われます。(本来求められる改正は、もちろん本丸であるレベル4ですが)

「物件管理者への手続き」の合理化と今後について

個人的にもっとも興味深いのが「物件管理者」の手続きです。

原則、ドローンを飛行させる上で、その上空を飛行させる場合であっても「管理者の手続き」が必要です。

例えば河川でドローンを飛行させる場合には…

3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制

公園、河川、港湾等で飛行させる場合には、管理者により飛行が禁止されている場
所でないか、あらかじめ確認する。

とされており、これまでは管理者に事前確認が必要であり、もし何かしらの手続きが必要だった場合には、管理者に対する許可手続きを行わなければなりませんでした。

それが2020年12月25日の審査要項の改正によって

飛行経路下の私有地等の物件管理者との事前調整の実施については、トラブル防止の観点から推奨するものであり、安全確保の観点で航空法で許可承認を行う際の必須条件としているものではないところ、この点を明らかにする観点から、添付のとおり「飛行マニュアル(航空局標準)」を一部改正することと致しましたのでお知らせ致します。

国土交通省航空局「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」より

とは国土交通省航空局で改正されていましたが、「事前確認がなくなった」だけであって「実際には別の条例や法律でOUTでした」という状況でした。

結局のところ「事前確認をせざるを得ない」のであって変わりがなかったのです。

ただ、河野太郎行政改革担当大臣のブログによると…

これまでは、ドローンが、道路、河川、港、国立公園等の上空を通過する場合、航空法及び電波法上の飛行許可以外に、それぞれの管理者に対する飛行許可等が必要か否かについて整理がされていませんでした。

そこで、手続の洗い出しや所管省庁との調整を行い、ドローンが単に上空を通過する場合は、原則、手続が不要となる法令を整理しました。

今後、原則手続が不要となる法令
道路交通法、道路法、河川法、自然公園法、国有林野の経営管理に関する法律、港則法、海上交通安全法、港湾法、漁港漁場整備法

衆議院議員 河野太郎公式サイト「ドローンに関する規制改革」より

ドローンが河川や道路、国立公園等の「上空を通過する場合」は、原則的に手続きが不要になるように整理している…と記載があります。

今はまだ調整中ですが「今後、原則手続きが不要になる法令」の一覧にあるものはクリアされていきそうです。

  • 単に上空を通過する場合のみである
  • その場所での離発着はNGである(=道路上・河川管理区域・自然公園内など)
  • まだ実現していない

今まで管轄内によって法令適用されていたりするため、現在の法律がついていけてない状況が続いていましたが、河野太郎行政改革担当大臣によってクリアになってきそうです。

これもまた、ドローン宅配を実現するために法整備を進めていると考えられます。宅配のために河川上空や道路上を飛行できると、ルートが一気に広がりますからね。

ただ、ここで疑問に残るのが「DID内の許可範囲内での飛行であって、道路の上空を通過する場合」です。

一見して「道路の上空通過はOK」だと思われるとは思いますが、航空法の許可範囲によって

飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。

となっているため、

  • 道路上で第三者の立ち入りを制限する
  • 飛行経路の直下に補助者を配置する

と考えると「一般交通への制限を加える」のであって、道路交通法の一時使用許可などが必要になると考えられます。

ただ、現時点で、2022年に実施予定のレベル4の情報ソースは鍵になってきそうです。

第三者の上空というのは飛行は認められていません。

今現在レベル4という特定の状況下でなんとか第三者の上空を飛行できるように法整備をおこなっている最中です。

dai3sha_level4航空法等の一部を改正する法律案より

認定された操縦士、および特定のドローンのみという条件下なら、貨物の運搬目的にどうにかして第三者の上空を飛行できるようにいているため、このあたりの整合性がどうなるのか、今後の注視していく必要がありそうです。

2021年・2022年、大きな法改正も待っている

今回の審査要項の改正について、下記のリンクが詳細情報になります。

この審査要領が基準となって、ドローンの飛行許可が下りているため、熟読するのを強くオススメします。

ここまでは2021年3月に変わったことなのですが、今後2022年にかけて航空法の改正もおこなわれます。

無人航空機のレベル4実現に向けた制度整備です。

l4_gaiyou航空法等の一部を改正する法律案より

ドローンは、宅配等の産業の発展のため

  • 機体認証制度
  • 操縦ライセンス制度

などを制度整備をおこない、レベル4(DIDでの補助者なしの目視外飛行)の実現に向けて着々と前進していきます。

ドローン操縦ライセンス化
航空法の一部改正する法律案が決定しました。 2022年度を目処に、今までのドローンに関わる航空法が大きく変更されます。目玉になるのが「ライセンス化」と「規制強化」です。

変化が激しいドローン情勢ですが、しっかりと一次情報を追っていく必要がありそうです。

あとがき

今回は、河野太郎氏(行政改革担当大臣)が情報発信していたため、便乗させていただきました。

ドローン点検やドローン宅配といった産業が発展するように、前向きに改正が進んでいることは個人的に嬉しい限りです。

ドローンがあるから便利な世の中になる。そういう前向きに捉えられるドローンであってほしいですからね。

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