こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンを飛行させる上で国土交通省の管理システムを使用しなければなりません。
現在メインとなっているのが3つ。
「DIPS」「FISS」「DRS」が稼働していますが、ぶっちゃけ「システム名を省略しすぎて何がなんだか分からない」のが実情です。
そこで今回のブログ記事では…
- 3つのシステムの概要は?
- なぜ3つが稼働しているのか?
- 将来システム統合するのか?
の3つを中心に「初心者向けに、ドローンに関わる飛行システム概要」を情報シェアします。
ドローンを始めたばかりのひとだとカオスですよね。でも大丈夫、できる限りわかりやすく解説しつつ、将来、システム統合されるのでしばしの我慢ですね。
このページに書いてあること
DIPS・FISS・DRSって何?
最初に結論です。
ドローンを屋外で飛行させる上で、国土交通省に各登録や許可申請をおこなうために使用されるシステムがあります。
- DIPS = ドローン情報基盤システム(Drone Information Platform System)
- FISS = 飛行情報共有機能(Flight Information Share System)
- DRS = ドローン登録システム(Drone Register System)
この3つが現存して稼働しているのですが、初心者がこれだけを見て理解できるとは到底思えないネーミングです。
ここでは分かりやすく逆引きで説明すると…
- ドローンを購入して外で飛ばしたい → DRS = ドローン登録システム
- ◯月◯日にドローンを飛行する予定がある → FISS = 飛行情報共有機能
- 飛行禁止エリア等で飛行するから申請する → DIPS = ドローン情報基盤システム
と目的別にするとイメージしやすいでしょうか。
ドローンを飛行毎にFISSに飛行予定登録をするなど、もはやドローンと各システムは切っても切り離せない関係です。
必ず利用することになるため、3つのシステムを覚えておきたいところですが、各システムが個別に稼働していることもあり、現況はカオスです。
ただし、この問題も次期システム「次期DIPS(仮)」で改善される予定なので、いまのところの計画も垣間見ることができます。
そのような各システムについて、順を追って説明しますね。
ドローン飛行に関わる3つの国土交通省の管理システム
2022年6月以降、100gのドローンを購入したとき、飛行させときなど大きく関わってくるのが国土交通省が管理している3つのシステムです。
DIPS・FISS・DRS、英語でも日本語でも分からない名称で分かりにくいですが、ここでは噛み砕いていきましょう。
DIPS / ドローン情報基盤システム
DIPSを書いて「でぃっぷす」と読みます。
ものすごく簡略的に説明すると「特定飛行の申請・許可システム」になります。
DIPSを利用するシーン
航空法でドローンは飛行禁止エリアや飛行禁止方法などが規定されており、それに違反すると罰金刑になります。
ただし、一定条件の操縦スキルや知識、かつ特定条件下での飛行に限って、国土交通省に飛行申請をすれば、許可が下ります。
その申請や許可のやりとりをするのがDIPSですね。
主にDIPSを利用する人
- ドローン飛行する業者
- 特定エリアや特定期間でドローン飛行する業者やアマチュアなど
FISS / 飛行情報共有機能
FISSを書いて「えふあいえすえす」と読みます。
ものすごく簡略的に説明すると「飛行場所・時間の登録システム」になります。
FISSを利用するシーン
屋外でドローンを飛行させると、他の航空機(セスナやヘリコプター)に危険を生じてしまうため、「ここでドローンを飛行させてますよ!」と知らせるための登録システムです。
すべてのひとに登録義務とはなっていませんが、基本的にはドローン飛行毎にFISSで
- 場所
- 時間
- 内容
を入力するのがベストです。もし同じ時間、同じ場所で別のドローンが飛行するなどバッティングがあった場合にも知らせてくれます。
主にFISSを利用する人
- DIPSで飛行許可を取得したすべての人
- 他の航空機等に飛行予定を知らせて安全な飛行をしたい人
DRS / ドローン登録システム
DRSを書いて「でぃーあーるえす」と読みます。
ものすごく簡略的に説明すると「機体ナンバーの登録システム」になります。
DRSを利用するシーン
2022年6月以降は、100gを超えるすべてのドローンは機体ナンバーを取得して貼り付けしなければなりません。
その機体ナンバーを取得するための登録システムです。氏名・住所・連絡先などドローンと所有者をデータ管理。登録料として900~2400円かかり、ドローンの安全管理のために使用されます。
主にDRSを利用する人
- 100g以上のドローンを所有し、屋外で飛行する人
なぜシステム3つが稼働するカオス状況なのか?
名称が不明過ぎる3つのシステムが同時稼働していて、初心者にとってはカオスですよね。
「役割が分からないし、名称を覚えられないし、もう面倒くさい!」
そのような声が聞こえてきそうなのは当然で、ドローン業者のわたしでさえも「近年、さらにカオスになったぜ」と認識しています(笑。
ではなぜカオスな状況になったのでしょうか?
それは2つの理由ががあると考えられます。
- 法改正によって登録等の対応が必要になり、そのたびに新システムが誕生したから
- 名称の付け方がユーザー目線というよりかは役所的だったから
カオスになったのは歴史や環境が大きかったのです。
法改正やルール変更によって新システムが誕生したから
当初、2015年に航空法改正されて、ドローン飛行の一部が許可制になりました。
そのときに誕生したのがDIPSです。
「これで当分はいいよねー。運用できるよねー」となっていたのですが…
- 2019年:飛行計画の通知義務化 → FISS 誕生!
- 2020年:ドローン登録制度の創設 → DRS 誕生!
と変更があるたびに、対応すべく新システムが立ち上がったのです。
本来なら当初のDIPSに機能追加していけばスマートだったかもしれませんが、官庁系の業務となると入札や予算などの弊害があるのは想像でき、新たにシステムをつくったほうが立ち上げも楽だったと思われます。
さらに予告されているのが
- 2021年:機体認証・技能証明制度の創設(一部免許化)
もあるので、ドローン関連のシステムは混迷が深まる…と予測されていました。
役所的なネーミングだったから
ドローン情報基盤システムとかDIPSとかFISSとか、もうパッと聞いても理解不能なのは仕方ありません。
これはドローンに限ったネーミングではなく、官庁全般に言える「ごく普通のネーミング」をしただけなのです。
例えば「飛行場管制訓練システム(ACTS)」「空港管制処理システム(TAPS)」「飛行情報管理処理システム(FACE)」といった、通例のネーミングとなっています。
個人的には、DRS / ドローン登録システム → ドローン機体ナンバー登録 のようにイメージしやすい名称が適切なのではと思いますが、んー、通例に従うという点では致し方ないですね。
次期DIPSにシステム統合予定(14億円以上)
カオスになりつつあるドローンまわりのシステムですが、一部システム統合されて「次期DIPS」が登場します。
国土交通省「ドローン情報基盤システム(Drone/UAS Information Platform System)とは」より
以下の2つ統合しつつ、2022年度の新制度を加味して…
- DIPS = ドローン情報基盤システム(Drone Information Platform System)
- FISS = 飛行情報共有機能(Flight Information Share System)
- 機体認証・技能証明制度のオンラインシステム
として「次期DIPS」が令和4年度中に誕生予定です。
機能としては、ID・PASSが共通になったり、各手続きの入力の手間が減ったり、1つのシステムでユーザーが管理できるのは利便性が良くなりますね。
当然ながら、すでに決定している機体認証・技能証明制度(免許化)のオンライン登録も実装される計画となっています。
ちなみに次期DIPSにかかる構築費や調整費として…
NTTデータが14億円で落札しているので、ドローンユーザーとしては大切に使っていきたいシステムですね。(値段が高いとか安いとかは言えないですね、要件定義がないので)
DIPS・FISS・DRSはドローン飛行のベースである
まとめです。
ドローンは航空法で規制されているが故に、飛行する側(=ユーザー側)が登録や申請をしなければなりません。
これは決められたルールなので、規則通り、おこなうだけです。
これまで記載してきたとおり、下記の3つのシステムを利用して
- DIPS = ドローン情報基盤システム(Drone Information Platform System)
- FISS = 飛行情報共有機能(Flight Information Share System)
- DRS = ドローン登録システム(Drone Register System)
ドローンを飛行できるようにするのもユーザー側の使命といえます。
ドローンの購入時には、まずドローンの機体ナンバー登録をおこない、どんな場所でもFISSで飛行場所や時間を登録し、もし特別な飛行をする場合にはDIPSで申請をおこなう。
いまは面倒くさくても、次期DIPSのシステムで若干かもしれませんが改善するかもしれません。
今後、ドローンは国家戦略の1つとして物流や点検、検査といった分野で社会貢献を果たしていくと思われますし、そのために制度を設けています。
次期DIPSも、そのロードマップも1つです。
これからのドローンの発展に欠かせないシステムとして、ベーシックになるシステムを期待したいですね。
追記
無事に「DIPS2.0」としてシステム統合されました。
ドローン関連はすべてこのシステムから登録・許可・飛行通報がおこなえます。
今までのDIPS・FISS・DRSはなくなりましたので、今までの混乱が減少しそうですね。
あとがき
「DIPS」「FISS」「DRS」っていろいろありますが、国税庁の「e-Tax」みたいに、もう「e-Drone」みたいな名称でまるっとカバーした統合システムにしてほしいですね、合理的に!