こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
国土交通省からドローンの飛行許可を得て、規制内(例えば人口集中地区)で飛行が可能になります。
その時に、絶対的に必要になるのが補助員2人以上です。
その理由を説明するとともに、少しでもクライアントに理解を頂きたく、情報発信します。
このページに書いてあること
そもそもドローン規制とは?
2015年12月、改正航空法によってドローンの飛行制限がかかりました。
住宅地が多い場所での飛行がNGになったり、見えなくなるまで飛行させる目視外がNGになったり、夜間の飛行がNGになったり。
そのようなドローン飛行をした場合は、違反となって処罰を受けるというものです。
しかし、国土交通省に申請・許可を受けた場合、一定の条件下に限ってドローン飛行が許可されます。
もともとNGだった制限を、一時的に制限を解除するという意味ですね。
それが俗にいう、ドローン飛行許可申請(=一般的にドローン免許と思われている)ですね。
許可を得るために必要なのが安全対策
法律的にドローン飛行がNGな場所でも、「飛行してOK」と許可をいただくためには、安全対策が必要不可欠です。
それはそうですよね、例えば飛行NGな場所に住んでいる人からすれば、ドローン飛行によって安全が一方的に侵害されるのですから。
操縦者や依頼主が安全対策をしないと、「おいおい!おまえら勝手すぎないか」となるわけです。
国土交通省は、特に安全対策(安全管理)について、強い懸念を持っており、「厳守すべき」だと受け取れます。(日頃から、国土交通省とのやりとりで特に実感します)
安全対策で求められるのが補助員2人以上
国土交通省から一定のガイドラインが公開されたのですが、その中の一文を紹介します。
3-1 無人航空機 を飛行させる際の 基本的な体制
・飛行させる 際には、 安全を 確保するために必要な人数 の補助者を配置 し、 相互に安全確認を行う体制をとる。
・補助者は、飛行範囲に第三者が立ち入らないよう 注意喚起を行う。
・補助者は、飛行経路全体を見渡せる位置において、無人航空機の状況及び周囲 の気象状況変化等を常に監視し、操縦者が安全飛行させることできよう必要な助言を行う 。
これは、ドローン飛行で許可を受ける場合、人口集中地区でも、夜間飛行でも、全てに関わる基本的な体制です。
2人以上が必要な理由は?
ナゾナゾのような文章なので、一回読んだだけだと「???」になってしまいますよね。
よーく紐解いて説明すると、操縦者以外の補助員が2人以上がどうしても必要な理由が見えてきます。
・補助者は、飛行範囲に第三者が立ち入らないよう 注意喚起を行う。
まず、1人目の補助員は常に飛行範囲の近くにいて、第三者が入らないように監視をして、場合によっては制止する必要があります。
・補助者は、飛行経路全体を見渡せる位置において、無人航空機の状況及び周囲 の気象状況変化等を常に監視し、操縦者が安全飛行させることできよう必要な助言を行う 。
そして2人目。少し離れた場所にいることが前提ですね。全体を見てドローンの状況や天候などを監視する必要があります。
ここでもう一歩、分かりやすく説明すると…
- 1人目の役割 : 第三者が入らないように地上の監視
- 2人目の役割 : ドローンと天候の空中や全体の監視
つまり、1人の人間で2つの監視を同時にできないので、最低でもふたり以上の監視が必要不可欠になるわけです。
補助員1人でOKな場合は?
厳密に「2人以上の補助員が必要」とは国土交通省のガイドラインには記載がありません。
これはどういうことなのか?
国土交通省に質問をしてみたところ、要約した回答は…
「たたみ1畳程度の範囲で、3mの上昇をした場合には、1人の補助員で2つの監視はできます」
ということです。なんと分かりやすい回答!
確かに第三者の進入を制限しながら、全体の監視も補助員1人で可能です。
もちろん、もっと上昇させたり、飛行範囲が広い場合には通用しないのは、もう理解できますよね。つまり、絶対的に補助員2人以上が必要です。
さらに、
「状況に応じて、操縦者は補助員の増員をおこなう」
ということなので、飛行範囲が広くなれば3人・4人・5人と増員が必至です。
これが守れないとどうなる?
もし補助員が1人だったり、広大なエリアの飛行でも増員をしていなかったりするとどうなるのでしょうか?
ドローンの許可を受けた時に発行される許可書には、以下の文言が記載されています。
条件:
申請書に記載のあった飛行の方法、条件等及び申請書に添付された飛行マニュアルを厳守して飛行させること。
航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全に影響をおよぼすような重要な事情変化があった場合には、承認を取り消し、または新たに条件を付すことがある。
つまり、許可した条件として、「監視員を2人以上つけたり、増員したりする」ことが含まれています。
これを守らなかったら、飛行許可の条件から外れる → 許可なしの飛行である → 違反飛行である という図式ができあがるわけです。
そもそも許可した内容ではないので、許可を受けていても「無許可と同等ですよ」という意味ですね。
当然、警察に捕まれば航空法による違反です。
操縦者が捕まり、さらにクライアントの名前も出ちゃう可能性があります。
すべては第三者の安全のため
ドローンは空飛ぶ凶器にもなりかねないシロモノです(極端な表現ですが、ここはあえて)。
安全を第一に考えて、許可を受けた範囲内でルールを守ってドローンを飛行させる。
それは操縦者の義務であって、クライアントにも周知させる努めもあるかと思います。誰だって、人に危害を与えたくないですし、操縦者も違反で捕まりたくないはずです。
安全を確保する。
そのために、ドローン飛行に応じた監視員の配置は必要不可欠です。
ここから先はすべてのクライアントにお願いです。
ドローン操縦者がもしも、必要に応じて監視員を求めた場合には、ぜひクライアントも「安全のために」ご協力をお願いします。
そして、逆に監視員無しで飛行させようとするドローン操縦者がいたら指摘しちゃって下さい、「それで安全なのですか?」と。
あとがき
というわけで、ドローン規制内で許可を得て飛行させても、補助員は必要なことをお伝えしました。
許可を得たとしても、操縦者1人でブンブンとドローン飛行はできないことも、規制対象のドローンを購入する前に知っておく必要もあります。
「知らなかった」→「警察に捕まる」では残念すぎですので!