こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンで撮影するのは身近になってきました。
テレビ番組やCMなどのワンシーンでもドローンの映像が登場しているのに気づきますよね?
ドローンは上空から撮れるという魅力がありますが、その「ただ上空から撮る」だけでは操縦者の力量の差は出づらいのは否めません。
もう一歩先、「魅せる」を主眼に置くと、ドローンが映し出す新しい価値が出てくると思うのです。
今回はディレクター兼ドローン操縦として撮影、クライアントより「公開してもOK」と承諾を頂いたので、ちょっとしたドローン操縦の工夫を紹介します。
このページに書いてあること
まずはドローンで撮影した映像から
まずは撮影して編集済みの映像から見て頂くと、この後の話がスムーズになります。
すべてドローンで撮影、仕様機体は Phantom3 Professional です。
場所は横浜市、金剛寺です。
ドローンを利用する上で、以下の3つが要望ポイントでした。
- 横浜にありながら自然に囲まれたロケーションを伝えたい
- 日本古来から継承された建築物の美しさを伝えたい
- 紅葉シーズンのため、木々の色合い撮って欲しい
横浜の喧騒から離れた、高台に佇む寺院です。
寺院とドローンという相反する位置にありますが、できる限り寺院の雰囲気を主体に置き撮影。
上空から俯瞰して撮影するだけだと「ただドローンで撮る」ですが、人間の手が加わると伝えられるポイントはもっと増えていきます。
実際の操縦解説
ここからは映像を切り出して、簡単に操縦ポイントを解説します。
木々の間を抜けていく(00:14~)
最初の惹きつける見せ場ですね。
「これから寺院に入っていく」というイメージのために、寺院の入口から本堂に向かってドローンを進めていきます。
ちょうど2本の木の隙間を狙って、寄れること無く直線的に飛行。目視で抜けられる通り道・高さを見極めて操縦。
2つの木々の、枝の上を通過していく臨場感が伝わるかと思います。
とにかくスローに旋回(00:29~)
寺院を中心として旋回します。
ここでは、とにかくスローに。ひとが歩くくらいのスピードを意識して、ドローンをコントロールしています。
寺院という「静寂」「威厳」が伝わるように、ゆっくりとゆっくりと約150度旋回。
本殿の左顔と右顔が見れるシーンですね。
低空飛行で正面の映像に(01:04~)
約2m弱の低空飛行で、観音像からの本殿を映しています。
わざわざドローンで撮影する必要もないシーンですが、足元に障害物(植木等)があるため、低空飛行&ゆっくりと旋回をさせて、本殿を正面から撮影。
このシーンがあることで、「上空からのドローンの映像ばっかり」とは感じさせないことも可能になります。
約2mの距離感で旋回(01:04~)
建築物の細部を見せるために、ドローンを接近させています。
距離はおおよそ2m。この位置から、映像に動きを出すためにゆっくり旋回させています。
しっかりと屋根の細工が写っていますね。
本殿の真正面に(01:37~)
本殿を真正面に捉えるために、ドローンを階段の上に移動させて、左右の木々が入るように微妙に旋回しています。
この画角はドローンが空中に浮いているからこそ、撮影できる画です。(地上で撮影できない位置なんです)
低空でスライドしながら旋回(01:53~)
高度1.5mほどで横にスライドしながら微妙に旋回。
観音像から植木を入れることで、本殿にも味が出てきますし、季節感の要素も入ってきますね。
ぐるっと旋回(01:56~)
本殿は高台にあるので、そこから見える景色は開けて気持ちいいものです。
ここはドローンならではのシーンになりますが、斜めから侵入して、グルっと上昇&旋回をして、本堂から見える風景を撮影。
植物の真上を通過(02:11~)
せっかく色づいた植物だったので、植物に一番近づいたシーンも撮影しました。
植物とは20cmほど離れた場所を通過しています。
近距離で撮影する場合、スピードが上がってしまうと見る側が怖く感じてしまうため、ここも思いっ切りスローな飛行です。
人の歩くスピードよりも遅いくらい、ゆっくりとしたコントロールをしています。
上昇しつつ、寺院だけを(2:35~)
カメラの上下(チルト)と上昇をピッタリに合わせれば、寺院の敷地および自然をフォーカスできます。
このシーンは、寺院のロケーションがどこか特別感を感じさせますね。
ゆっくりと下降(3:01~)
最後に本殿の目の前に下降。
入口からスタートして、最後に本殿でお参りする締めのシーンです。
真後ろに2本の木があり、スペースはほとんどありませんでしたが本殿の真正面に着地しました。
ただ上空から撮影するのではなく、魅せるためにドローンで撮影する
上記はのちょこっとした解説は、言われないと分からない細かすぎるドローン撮影話かもしれません。
ただ、そうしたちょっとした工夫や操縦術があれば、単一的な映像ではなく、より表現力が溢れた映像が撮れるようになります。
やっぱり人に見てもらうためには、「魅せたい」と思うわけです。
あとがき
今回は自分自身がディレクターを兼ねていたので、のびのびと操縦しました。
「どう魅せるのか…」「どう飛行させるのか…」などなど、操縦者によって魅せ方もだいぶ変わりそうですね。
ちなみに、この中で難易度が高いのは・・・・最初のシーンの「木々の間を通り抜ける」ではなく、「とにかくスローに旋回(00:29~)」です。
ドローンをスローにさせるほど、よりコントロールが難しくなります。動いているか動いていないか、そのくらいのスピードは逆に技術力が必要なんですよね。
このようなドローン撮影の一面、ご参考になれれば幸いです。
※ロケーションや障害物など様々な要因によってもちろん撮影条件も変わってきます