こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
航空法によってドローンの飛行禁止エリアが複数存在します。
その飛行禁止エリアに2021年6月より「緊急用務空域」が追加されました。
これはすべてのドローンを操縦するひとに関わることで、飛行する際に常時、確認義務も生じます。
今回のブログ記事では…
- 緊急用務空域のドローン飛行禁止内容
- 緊急用務空域が設けられた背景
- 例外的に緊急用務空域で飛行できる条件
この3点を中心に「緊急用務空域の重要性と操縦者が気をつけたいこと」について情報シェアします。
これは良い規制ですので理解して、遵守したいですね。
このページに書いてあること
ドローン飛行禁止エリア「緊急用務空域」は何?どこにある?
緊急用務空域は災害時に創作・救助等をおこなう緊急的な用務をおこなう時に、国土交通省大臣によって「ドローン飛行禁止」できるエリアのことです。
つまり、日常的には「緊急用務空域」というのはエリアは決まっておらず、例えば、山火事や水害による救助などが発生した際に「このエリアは緊急用務空域になったため、ドローン禁止です」となります。
そのため、ドローンを操縦するすべてのひとは「どこで緊急用務空域になっているのか」を飛行前に確認しなければなりません。
もし緊急用務空域でドローンを飛行させた場合は、航空法違反になるので要注意です。
以下、順を追って説明します。
2021年6月から加わった「緊急用務空域」とは
今まではドローンの飛行禁止エリアは
- 人口集中地区の上空
- 空港等の周辺の上空の空域
- 150m以上の高さの空域
この3つのエリア(空域)はドローン飛行禁止となっていました。
しかし2021年6月より、新たに上記3つに加えて「緊急用務空域」が加わりました。
- なぜ禁止エリアに加わったのか
- どのドローンが対象なのか
- エリアを確認する方法はどうするのか
について分かりやすく書いていきますね。
なぜ禁止エリアに加わったのか?
これまで人命救助など緊急を要する事態に、不明なドローンが飛行することが度々問題になっていました。
では、何が問題なのでしょうか?
例えば水害被害による人命救助です。2020年7月に起きた熊本県球磨川の河川氾濫は、大雨による被害を受けて自衛隊派遣、そしてヘリコプター数十台による救助活動がおこなわれていました。
自衛隊、今日は2150人態勢で、人命救助にあたっています。ヘリ20機、固定翼2機も動いています。
もしこの時に「愉快犯的なドローン撮影者」や「我先にと情報を求める報道関係者」がドローンを飛行させていた場合、ヘリコプターは接触回避のため、ドローンを発見したら救助活動をおこなえません。
2021年3月に起きた栃木県足利市の山火事も同様です。
山火事によって住宅地の近くまで数日間に渡って燃え広がり、近隣の住民は避難をおこなっていました。
これ以上、燃え広がらないようにと、ヘリコプター消火活動をおこなっている最中、無関係のドローンの飛行があったため、ヘリコプターによる消化を一時中断。
足利市長や総務省消防庁のツイッターでも
ドローンの飛行を絶対にやめていただきたい。
現場付近でドローンを確認すると空中消火活動が出来なくなってしまいますので、ドローンの飛行はお控えください。
と、ドローンによる迷惑行為について強く言及。
緊急的な救助活動等が行われるエリアは、ほとんどがヘリコプターが出動します。そこにドローンが飛行しているとヘリコプターが危険だからです。
数年前から問題視されていたこの救助活動中の「無関係のドローン飛行」があったため、今回2021年6月から法律的に禁止エリアとなったのです。
対象となるドローンはどれなのか?
この緊急用務空域は、航空法施行規則第236 条等の「許可が必要な空域」に加えたことで、ドローンの飛行禁止となりました。(すぐに対処できる上手い方法ですよね。ちなみに航空法の改正ではありません)
「国土交通省、防衛省、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関その他の関係機関の使用する航空機のうち捜索、救助その他の緊急用務を行う航空機の飛行の安全を確保する必要があるものとして国土交通大臣が指定する空域(緊急用務空域)」を航空法施行規則第236 条の禁止空域並びに第239 条の2及び第239 条の3の許可等が必要な空域に追加する改正。
100g未満のドローンも100g以上のドローンもすべてのドローンが対象となっています。
また、国土交通省航空局から包括申請によって許可を得ていたエリアだとしても、緊急用務空域に設定された場合には一切の飛行はできません。
空港周辺、150m 以上の空域、DID(人口集中地区)上空等の飛行許可(包括許可含む。)があっても、新たに設定される飛行禁止空域(緊急用務空域)を飛行させることはできません。 緊急用務者等関係機関等から飛行中止の指示があるかないかによらず、当該空域 での飛行を継続させた場合、航空法違反の対象となります。
もしドローンを飛行させていた場合には、上記引用のように航空法違反の対象となります。
(ちなみに超重要なことですが報道等でもドローン禁止です。これは後述します)
確認する方法はどうするのか?
国土交通省航空局が案内している方法は2つです。
もし緊急用務空域が設定された場合は、上記に掲載されるようになっています。
ツイッターはアカウントをフォローしておくと便利ですね。
飛行前確認としてドローン操縦者に確認義務あり
ドローンを飛行させる前に、航空法にある「飛行前確認」によって緊急用務空域か否かの確認義務が加わりました。
無人航空機を飛行させる方には、飛行開始前に、飛行させる空域が緊急用務空域に該するか否かの確認義務が課されます。
そのため、すべてのドローン操縦者は、飛行させる前にWEBサイトやツイッターで確認しましょう。
一般的にどのようなケースで緊急用務空域が設定されるのか?
2021年6月から1度も設定されていませんが、想定されるのは災害等のときです。
- 台風や大雨による水害、救助など
- 大規模な民家火災が起きた際の消火活動や救済など
- 山火事などの消火活動など
これらは国土交通省大臣によって判断されるため、規模の大小は不明ですが、現実的に「全国ニュースになるほどの災害」は緊急用務空域になる可能性は高いです。
緊急用務空域で例外的に飛行できる方法・条件とは
原則的には緊急用務空域ではドローンは飛行できません。
ただし、超例外的には可能です。
それは「航空法第 132 条の3」適用を受けて、国や地方公共団体から依頼を受けて、例えば捜索等の「特例適用者」に任命される場合のみです。
国若しくは地方公共団体又はこれらの者の依頼を受けた者(以下「特例適用者」 という。)が航空機の事故その他の事故に際し捜索、救助の目的のため無人航空機を飛行 させる場合であっても、特例適用者が第一義的に負っている安全確保の責務を解除するも のではなく、極めて緊急性が高くかつ公共性の高い行為であることから、救助等の迅速化 を図るため無人航空機の飛行の禁止空域(航空法第 132 条)及び飛行の方法(航空法第 132 条の2)に関する規定の適用を除外していることに留意する必要がある。
この場合、特例適用者となったとしても、飛行情報の通知、飛行安全の義務等の要件が加わっています。
そのため自由に飛行できるわけではありません。そして誰もが特例適用者になれるわけでもありません。
報道目的でドローンを飛行させるのは禁止されている
上記のように、緊急用務空域では緊急的な捜索等の特例適用者を除いてドローンを飛行させることはできません。
「報道だから、情報を届けるのは大切だ!許されるはず!」
といった報道機関がいるかもしれませんが航空法違反になるため、どの場合でもドローンは飛行できません。
ただし、下記のようにも国土交通省航空局は案内しており
飛行の目的が「災害等の報道取材やインフラ点検・保守など、『緊急用務空域』の指定の変更又は解除を待たずして飛行させることが真に必要と認められる飛行」に限り、新たに国土交通大臣の飛行許可を取得してください。
と記載の通り、報道取材は、国土交通大臣に飛行許可を取得すれば可能な場合もあるようです。
ただし、航空法第 132 条の3の適用者になれるだけの強い理由がない限り、想定かなわないと思われます。
あとがき
人命救助などは最優先であるべきで、無用なドローンは救助ヘリコプターにとって邪魔でしかありません。
ドローンによって救助がストップされてしまう。
それだけは避けなければなりませんので、今回のドローン規制の追加はいい話ですね。