災害地・被災地でドローンを飛行させるのはOKなのか?何が問題なのか?

災害地・被災地でドローンを飛行させるのはOKなのか?何が問題なのか?

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川です。

昨今の異常気象に伴って、日本では想定外の災害が多発するようになってきました。

ドローンは「人の踏み入れられない場所」に行けるツールとして、災害時に有効活用できる手段の1つでもあります。

では、災害地や被災地でドローンを飛行させるのはOKなのでしょうか?

今回のブログ記事では…

  • 災害地・被災地でドローンを飛ばせるのか?
  • 法律的な問題は何なのか?
  • 人命救助で飛行させる条件は何なのか?

この3点を中心に「災害地でドローンが飛行するのは何がOKなのか、何がNGなのかの整理」をして情報シェアしていきます。

もしものときに知識として、頭の片隅にあるといいかもしれませんね。

災害地・被災地でドローンを飛行させるのはOKなのか?

異なる状況によって、結論が2つあるので別けて書きますね。

国や警察・地方公共団体から”依頼”を受けた場合 → 飛行OKである

災害地・被災地では、緊急的な人命救助が求められるケースが多々あります。

例えば…

  • 土砂崩れによる捜索
  • 浸水により自宅等に取り残された方の捜索
  • 河川で流された方の捜索

このような1秒1分でも一刻を争う場面では、人命救助が最優先で行われるのは当然であり、ドローンは有効手段の一つです。

現代で考えられるに、捜索や救助に大きく貢献できるツールだと言えます。

そのため航空法では、人命救助に関して特例を設けています。

国や警察・地方公共団体から依頼を受けた場合のみ、ドローンはあらゆる航空法を除外して、ドローンを飛行および救助・捜索活動が可能になります。

もう一度、誤解がないように記載をすると「依頼を受けた場合」に飛行OKとなります。

公的機関から”依頼”を受けてない場合、興味本位で飛行する場合 → 限りなく飛行NGである

公的機関から依頼を受けていない場合、または興味本位で飛行する場合、つまり前項目以外のケースはどうなるのか?です。

解釈の違いはあるものの、限りなく飛行NGと考えられます。

理由は、航空法を含む、あらゆる法律が生きているため、違反飛行となってしまって各法律に抵触する恐れがあるからです。

特に注意しなくてはならないのが「災害時には多数のヘリコプターが飛行する」ことです。

無作為にドローンを飛行させることは、ヘリコプターを危険に晒す行為とないます。なおかつ航空法でも禁止行為とされています。

災害地や被災地では、公的機関から依頼を受けてない場合は、ドローンは飛行NGであると考えるのがベターです。

公的機関から依頼を受けた場合は、なぜドローンは飛行できるのか?

ここからは1つずつ、理由について書いていきますね。

まず最初に「国や警察・地方公共団体から”依頼”を受けた場合」についてです。

前述の通り、救助や捜索は一刻を争います。人命がかかっていますからね。この場合、ドローンの飛行は、航空法では特例として、あらゆる禁止規定を除外できることになっています。

航空法 第百三十二条の三

第百三十二条及び前条(第一号から第四号までに係る部分を除く。)の規定は、都道府県警察その他の国土交通省令で定める者が航空機の事故その他の事故に際し捜索、救助その他の緊急性があるものとして国土交通省令で定める目的のために行う無人航空機の飛行については、適用しない。

e-Gov「航空法」より

つまり、航空法である「人口集中地区」「30m以内の飛行」「夜間飛行」などと言った飛行禁止エリアや飛行禁止方法が適用しません。

ただし、条件が1つあって…

  • 都道府県警察
  • その他の国土交通省令で定める者

これに属する方々が対象となっています。「一般人は適用しませんよ」と法律上では書いています。

しかし「国土交通省令で定める者」というのが注目すべきポイントです。

国土交通省令では…

(捜索又は救助のための特例)

第二百三十六条の七法第百三十二条の三の国土交通省令で定める者は、国若しくは地方公共団体又はこれらの者の依頼により捜索若しくは救助を行う者とする。

第二百三十六条の八法第百三十二条の三の国土交通省令で定める目的は、捜索又は救助とする。

国土交通省「国土交通省令第七十九号」より

もし一般人だとしても、国もしくは地方公共団体から捜索や救助の依頼を受けた場合には、航空法の第百三十二条の三が適用されます。

考えられるケースとしては…

  • 警察・消防から救助協力の依頼を受けた
  • 国土交通省や県庁から依頼を受けた

救助や捜索を最優先におこなうために「ドローンを安全に飛行できるのなら協力してほしい」と依頼を受ければ、一般人でも特例を受けてドローンを飛行できるようになっています。

結構稀なケースだとは思いますが、知識として覚えておくといいですね。

ただし、1つ注意事項があります。

「依頼を受けたから自由に飛ばしていい」というわけではありません。

国土交通省航空局では特例適用者だとしても

  • ドローンの飛行情報の通知
  • 周辺航空機への安全確保
  • 捜索・救助の目的に沿った飛行マニュアルに基づく飛行

これらを求めれています。

国土交通省航空局の特例適用者の運用ガイドラインとして…

航空法第 132 条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン

このため、特例適用者の責任において、その飛行により航空機の航行の安全(注1)並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれないよう許可等を受けた場合と同程度の必要な安全確保を自主的に行って、無人航空機を飛行させる必要がある。

本運用ガイドラインは、航空法第 132 条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場
合の安全確保の方法を示すことにより、特例適用者における効果的な安全確保の運用に資することを目的とするものである。

国土交通省航空局「航空法第 132 条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン」より

要するに、特定者だとしても「運用ガイドラインに沿ってね」とあります。詳細については、上記のガイドラインを参照してくださいね。

災害地や被災地でドローンを飛行する場合に

  • 特定の公的機関から依頼を受けた場合は一般人でも飛行できる
  • 特例適用者となっても運用ガイドラインを遵守する

この2つがクリアできれば、救助や捜索といった緊急時に、あらゆる航空法の禁止規定を除外してドローンを飛行できます。

余談:雨天時で飛行できるのか?

捜索・救助といった場合、天候不良が伴うケースは多々あると思います。例えば、雨が降っていてもドローンは飛行できるかどうか?という疑問が出てきますよね。

これは雨が降っていたとしてもドローンは飛行できます。

法律的には、直接的に雨天に関しての飛行方法について言及していることはありません。捜索・救助でしたら、やむを得ない緊急的な状況として、飛行するのは致し方ないです。

ただし、ドローンは雨に濡れたら全損扱いです。雨に濡れて2度と飛行できないことを前提に、捜索・救助をおこない、もしバッテリーの異常等が出た場合には直ちに中止しましょう。

公的機関から”依頼”を受けてなく、興味本位でドローンを飛行するのは、なぜ限りなくNGなのか?

災害地・被災地で「勝手にドローンを飛行させちゃおう!」と思っている場合は、どうなるのでしょうか?

前述の「特例適用者」に関してはドローンはOKという話になりましたが、それ以外の場合では、あらゆる法律が関連してきます。

総合的に勘案すると、限りなく飛行NGである、と考えざるを得ません。

その理由は3つです。

  • 周辺にはヘリコプターが多数飛行するから
  • 航空法は生きているから
  • その他の関連法令も生きているから

それぞれ説明していきますね。

理由01.周辺にはヘリコプターが多数飛行するから

災害地・被災地にはヘリコプターが多数行き交います。

民間の報道用のヘリコプター救助のヘリコプター、しいては自衛隊のヘリコプターも飛び交います。災害地のテレビ映像は、ヘリコプターからのが多いですよね。

2020年7月に起きた熊本県球磨川の河川氾濫では、自衛隊のヘリコプターだけでも20機が飛んでいました。防衛大臣の河野太郎氏のツイートでは…

自衛隊、今日は2150人態勢で、人命救助にあたっています。ヘリ20機、固定翼2機も動いています。

ツイッター「河野太郎」の7月5日ツイートより

ヘリコプターが多数飛行している…となると、ドローンは法律的な制限を受けることになります。

航空法では、他の航空機との衝突を防止するために、ドローンが降下等の処置をしなければならない禁止規定があります。

これに違反すると、航空法違反となります。

第百三十二条の二

三 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、無人航空機をその周囲の状況に応じ地上に降下させることその他の国土交通省令で定める方法により飛行させること。

航空法一部を改正する新旧対象条文より

周辺の状況に応じて、国土交通省令で定める方法で飛行すると航空法に記載があります。

では、この国土交通省令を見てみると…

第二百三十六条の五

法第百三十二条の二第三号の国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる方法とする。

一 無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において飛行中の航空機を確認した場合であつて、衝突のおそれがあると認められるときは、無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じること。

国土交通省令第二十九号「航空法施行規則の一部を改正する省令」より

ドローンが飛行する周辺の空域において、ヘリコプター等の航空機を確認した場合には、地上に降下させること等をおこなう、とあります。

つまり、上空にヘリコプターがいた場合には、そもそもドローンは飛べない状況であるので、災害・被災が起きた直後では、航空法的に飛行できないことになります。

理由02.航空法は生きているから

どんなに災害を受けたとしても、その場所には法律が残っています。

航空法も同様で、例えば河川氾濫している場所だとしても航空法が適用され続けています。

一般的に、航空法で該当しやすいのが…

  • 人口集中地区では飛行してはいけない
  • 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
  • 飛行前確認を行うこと

この3つの禁止規定が該当しやすいと考えられます。

最初の人口集中地区では、航空法上では飛行禁止とされています。主に住宅地が多い場所と考えるとスムーズですね。

仮に人口集中地区ではない場所だとしても、2番目の「人または物件から30m以上離す」に該当しやすいです。

近隣宅があったり、電線や電柱、ガードレール、クルマなどが離発着時より30m以上(直径60m以上)を離さないと航空法違反となります。

また、航空法に新設された「第百三十二条の二第二号 飛行前確認」も、災害地・被災地の状況下において関わってくる可能性もあります。

第二百三十六条の四法

第百三十二条の二第二号の規定により無人航空

機を飛行させる者が確認しなければならない事項は、次に掲げるもの
とする。

一 当該無人航空機の状況
二 当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況
三 当該飛行に必要な気象情報
四 燃料の搭載量又はバッテリーの残量

国土交通省令第二十九号「航空法施行規則の一部を改正する省令」より

ドローンを飛行させる空域やその周辺状況、気象情報など、ドローンが安全に飛行できるかどうかを確認しなければ、(ふんわりとした条文ですが…)これもまた航空法違反となります。

具体的に「第三者がいないか確認する」等も含まれているため、ドローンが飛行できる状況下なのかの判断が必要になるのではないでしょうか。

理由03.その他の関連法令も生きているから

飛行させる場所は、ドローン禁止になっている場合も多いです。

例えば河川では、国土交通省の管轄であって、ドローンを禁止している場所は近年増加しています。国土交通省航空局でも「事前に河川事務所に確認取らないとダメよ」と強く求めていますね。

その他関係法令の遵守等

河川(ダムやその貯水池を含みます。)において、無人航空機を飛行させようとする場合、許可申請が必要な場合や、河川管理者や周辺自治体が河川利用のルールを定めている場合があるので、事前に飛行可能な区域か確認をお願いします。

国土交通省航空局「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」より

河川の利用ルールがあって、ドローンNGがあるので確認を取らなければなりません。

その他にも「道路の上空」「第三者の土地の上空」というのも、近年、国土交通省航空局からも指摘されるようになっており、自由自在にドローンが飛行できるという状況ではありません

これは国土交通省航空局の飛行許可を取得していたとしても、同様です。

⇒参考記事:ドローン飛行許可はある?場所の許可は取った?国土交通省だけではNGな理由。

ほとんどの場合でドローンが飛行できない

上記の理由01~03までを踏まえて、考えられるほとんどのケースでドローンは法律的に飛行できないと考えられます。

逆に、ドローンを飛行できるケースあるのなら…

  • 場所の管理者から「飛行OK」と承諾を得た
  • 航空法に違反していないエリアおよび飛行方法
  • ヘリコプター等の航空機がまったくいない

この条件下をクリアしているのなら、災害地や被災地でドローンは飛行できると考えて問題ないです。

その代わり、「不謹慎極まりない」といった倫理的な問題が出たり、ダークツーリズムといった人間的な抵抗感が生まれたりしますね。

災害地・被災地でドローンを飛行させるのはOKなのか?何が問題なのか?

まとめです。

捜索や救助といった人命救助に関わる場合、

  • 警察や消防など特定公的機関から依頼を受けて航空法の特例適用者になる
  • 特例適用者となってもドローン飛行の運用ガイドラインを遵守する

といった条件下なら、災害地・被災地でドローンを飛行するのはOKです。

いち早く、ドローンというツールで多くの被災者を助け出してください。人の目では見つけられなかった人命が、ドローンの目で発見できる可能性は非常に高いです。

ドローンができることを、最大限生かせることを私も強く願っています。

逆に、捜索や救助ではない「不要不急なドローン飛行」は、航空法でも関連法令でも避けたほうが無難です。

災害が起きた直後だけではなく、2~3日間は、自衛隊による人命救助が続けられています。ヘリコプターも飛び交います。

そこに興味本位で飛んでいるドローンがいるのなら、ヘリコプターにとっても邪魔な存在ですし、場合によっては人命救助の妨げになる恐れもあります。

意味のないドローンが飛んでいて、人の命が助からない。

そんなことが起きてはならないですよね。

依頼を受けた「必要なドローン」だけが飛行する。それが災害地・被災地でのドローンの飛行運用だと思います。

あとがき

災害が起きた直後に、ドローンが飛んでいる映像が少しばかりあったので「何がOKなのか、何がNGなのか」の整理をしてみました。

最後に、2020年7月熊本県球磨川の河川氾濫で被災された方に心よりお見舞い申し上げます。

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