無登録ドローンを飛行、2人が書類送検になった事案を分かりやすく解説

無登録ドローンを飛行、2人が書類送検になった事案を分かりやすく解説

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川です。

2022年6月20日から航空法が一部改正されて「ドローン登録制度」が開始されました。

100g以上のドローンにはクルマのナンバー登録のように登録記号を入手してドローンに表記しなければ航空法違反で刑事罰になる新しい制度です。

そして2022年8月に「ドローンを無登録で飛行させた疑い 2人を書類送検」のニュースが舞い込んできました。

この無登録ドローンの飛行させた事案は理解しづらいので分かりやすく解説したいと思います。

そこで今回のブログ記事では…

  • 「ドローンを無登録で飛行させて2名を書類送検」の概要について
  • 書類送検になった2名は何が違法行為につながったのか
  • ドローンユーザーは何に注意すればいいのか

この3点を中心に「無登録ドローン飛行の危険性」について情報シェアしてきます。

1つの事例は多くの学びがあると思いますので、知識をアップデートしていきましょう。

「ドローンを無登録で飛行させて2名を書類送検」の概要

まず確認すべきは、今回の摘発内容です。

以下、報道されたヤフーニュース(毎日新聞)から引用します。

無登録のドローンを飛行させたとして、神奈川県警横浜水上署は10日、中国籍の男性2人を航空法違反(無人航空機無許可・無登録飛行)の疑いで書類送検した。(中略)

送検容疑は6月19日、横浜市港北区の男性会社員(28)が、所有する無登録のドローン(約899グラム)を、友人である横須賀市の男性会社員(29)に飛行させると知りながら貸与。横須賀市の男性は、同月25日午後4時40分ごろ、横浜市中区新港2の上空でドローンを許可なく飛行させたとしている。

署によると、ドローンを所有する男性は「仕事が忙しくて登録していなかった」といい、飛行させた男性は「みなとみらいや横浜港の風景を上から撮影したかった」といずれも容疑を認めているという。

ヤフーニュース「ドローンを無登録で飛行させた疑い 2人を書類送検、神奈川で初摘発」より

ニュースとしては単純なように見えますが、実際には情報量が多く、理解しづらい事案です。

  • 登場人物は2名(Aさん・Bさん)
  • Aさん所有のドローンは無登録だった
  • 所有者Aさんが一時的にドローンをBさんに貸した
  • 借用者Bさんが無許可でDIDエリア飛行した
  • 所有者Aさん・借用者Bさんが航空法違反で書類送検された

この1つ1つを紐解くことによって、何が悪かったのか、2名に課せられた航空法違反は何だったのかが見えてくると思います。

今後の学びにつながりますので、順を追って説明します。

書類送検になった2名は何が違法行為につながったのか

どのような理由で書類送検になったのかを分かりやすく紐解いていきますね。

登場するのは

  • Aさん(ドローンの所有者)
  • Bさん(Aさんの友人で借用者)
  • ドローン

以上の3つです。

Aさんは所有しているドローンを登録していなかった

2022年6月20日から「ドローン登録制度」がスタートしたわけなのですが、Aさん所有のドローンは無登録です。

本来、屋外で飛行させるなら所有者の氏名や住所など登録して登録記号を取得&表記しなければなりません。

これは航空法に記されており…

(登録の一般的効力)

第百三十一条の四 無人航空機は、無人航空機登録原簿に登録を受けたものでなければ、これを航空の用に供してはならない。

e-Gov「航空法」より

飛行させてはいけない、となっています。

ただし、未登録のドローンを所有しているだけなら法律的にはまったく問題ありません。重要なのは無登録のドローンを「屋外で飛行させる」のが航空法違反になります。

Aさんは所有していたドローンをBさんに貸した

所有者であるAさんが、無登録のドローンをBさんに貸したのが6月19日です。

その翌日からドローン登録制度が施行されるのをAさんは知っておきながら、Bさんに貸すのは非常に悪質な嫌がらせとも感じますが…

AさんがBさんに一時的に貸すことも問題はありません

ドローンは飛行していない状態であり、ドローンはただの物体です。その物体を貸し借りするのは何の法律にもおかしていません。ここまではセーフと言えます。

もしAさんが登録をしていたら貸与はOK?

もし仮に、Aさんがドローンを登録して登録番号を表記させていたとして、借りたBさんが飛行することは所有者と使用者が異なるのでどうなるでしょうか?

国土交通省航空局のQ&Aには…

一時的に無人航空機を人に貸し出す場合に使用者情報の変更届出は必要ですか?

一時的に借り受けて飛行させる場合は、基本的に借りた者は使用者には該当しませんので変更届出は必要ありません。

ドローン登録システムDIPS「よくある質問」より

一時的に借り受けた場合は「使用者に該当しない」と記載があるので大丈夫だったわけです。

Bさんはドローンの飛行に関わる許可を持っていなかった

借用者であるBさんが飛行させた場所は「横浜市中区新港2丁目」とニュースに記載されています。

横浜ワールドポーターズやコスモワールド、カップヌードルミュージアムといった繁華街であって、当然のことなら人口集中地区(DID)に該当するエリアです。

Bさんはドローンの飛行に関わる許可を所有していないまま、『みなとみらいや横浜港の風景を上から撮影したかった』のコメントのようにドローン飛行。

ここからは推測されるに通りかかった警察官に職務質問されたか、警察に通報されたかのどちらかと思います。

この時点でBさんは航空法違反(人口集中地区での飛行違反)に該当します。

つまりBさんが書類送検された理由は「無許可のドローン飛行」になります。

もしBさんが飛行許可を持っていたら?

Bさんが飛行許可を持っていたとしても、人口集中地区・第三者から30mなどの飛行条件をクリアしているとは思えず、また土地管理者の承諾を得られていない港湾部であるため、何にしても法令・条例に抵触していたと考えられます。

もしAさんが飛行許可を取得したドローンをBさんに貸していたら?

Aさんが飛行許可を取得していたとして、同じドローンを使用したとしても飛行許可は人物に紐づくため、Bさんには許可は下りていません。(当たり前のことですが、最近では勘違いするひとも多いため念のため…)

Bさんが飛行させたのが登録制度施行後の6月25日だった

屋外で飛行させてはいけないドローンをBさんが飛行させたのは6月25日です。

ここで問題になってくるのが所有者Aの責任です。

たとえAさんが直接的にドローンを飛行させていなかったとしても、所有者がドローンを登録していないと罰則されます。登録義務を怠ったからですね。

さらに所有者Aさんは「Bさんが飛行させるのを知っていた」と言っているため、認識があったのも大きなポイントだと思われます。

そのためAさんが書類送検された理由は「ドローン無登録違反」です。

Aさん・Bさんに科せられる処罰は?

まだ書類送検の段階なので、起訴・不起訴になるかは不明ですが、航空法違反となった場合は…

  • Aさん:ドローン無登録(航空法に基づき、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
  • Bさん:ドローン無許可飛行(航空法に基づき、50万円以下の罰金)

が科せられてしまいます。

ドローンユーザーは何に注意すればいいのか

今回の事案は、ドローンユーザーにとって多くの学びがあります。

  • ドローン登録をしないて飛行するとマジで警察に捕まる
  • 無登録ドローンを第三者に貸したとしても所有者が罰せられる
  • 無許可飛行よりも無登録のほうが刑が重い(懲役刑があるため)

Aさん・Bさんともに中国籍だということもありますが、一部の日本人を含めて、ドローンをおもちゃだと思って軽視しているひとがいます。

しかし実際のところは、上記のように航空法違反として摘発されます。

ドローンユーザーが注意するべきは…

  • 屋外で飛行するドローンは必ず登録する
  • 登録だけではなく、ドローンに登録記号を表記する(未表記も航空法違反です)
  • 未登録ドローンは屋外で飛行させない

を遵守しないとですね。

そして「まだ登録していない!」というひとは、屋外で飛行させる日までの登録作業&必要な機体に応じてリモートIDを設置しましょう。

無登録ドローンを飛行させるのは危険です。決してドローンはおもちゃではありませんし、航空法を軽視してはいけませんね。

「ちょっとくらい」というのもNGですので、しっかりと登録しましょう。

あとがき

ドローン登録制度がスタートして5日後の摘発なので衝撃ですよね。すべてのひとが無登録の危険性を認識するためにも然るべきニュースだったのかもしれません。

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