ドローン飛行の最終責任者は誰?すべての責任を負うのは操縦者。

ドローン飛行の最終責任者は誰?すべての責任を負うのは操縦者。

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

ドローンの飛行は、航空法によってあらゆる禁止事項やルールが設けられています。

当然ながら法律違反をすれば、その規定に則って懲役刑や罰金刑に処されるほど重たい処罰を受けることになります。

そして業務等の場合、多くの関係者が関わりますが「誰が最終的な責任を負うのか?」が曖昧なケースがあります。

そこで今回のブログ記事では…

  • ドローン飛行の最終的な責任を負うのは操縦者である
  • 航空法違反があった場合、関係者への責任の所在は?
  • ドローン操縦者は「NO」と言う自己規律が必要

以上の3点を中心に「すべての責任を負う操縦者がどう身を守るのか」について情報シェアします。

航空法上、ドローンを飛行させるということは、重い責任を背負っていることを忘れてはいけません。

ドローン飛行は最終責任者は誰なのか?

結論からです。

ドローン飛行の最終的な責任(=法律的な責任)を負うのは操縦者のみです。

ドローンを飛行させる上で航空法は、禁止飛行エリアや禁止飛行方法、ドローン登録などを定めており、それに違反した場合には懲役刑や罰金刑に処されます。

航空法では「無人航空機を飛行させる者」に禁止事項を定めているため、何かしらの違反があった場合には、ドローンを操縦している当人が処されます

例えば業務上のドローン飛行の場合、関係者として「エンドクライアント」「代理店」「土地の管理者」など挙げられますが、どのようなケースでも最終的な責任はすべて操縦者が負います。

決して関係者が責任を負うわけではありません。

操縦している人間が全責任を背負いながら、ドローンを飛行させている、というわけです。

業務上にありがちな危険飛行の関係者への責任の所在は?

複数関係者が携わる業務の場合、責任の所在が分かりにくいケースがあると思います。

しかし前述のとおり、航空法上では、ドローン操縦者が最終的な責任を負うのは明白な事実となっています。

分かりやすいケースとして、パブコメ意見、それに国土交通省から分かりやすい回答があったので紹介します。

■意見

「無人航空機の運航や安全管理などに対して責任を負うこと。」とされているが、責任を果たすためには権限が必要である。

業務等では発注者と受注者では発注者の意向が強くなる傾向があり、受注者である操縦者が説明を尽くしても、「今日しか時間がない」「どうしてもこういうルートで飛行してほしい!」などと危険な飛行を強要されるケースが考えられる。

「操縦者は飛行を開始するか中止するかの最終決定を行う権限を持つ」と教則に規定したら良いと考える。操縦者が無理な飛行を強要される場合にも、操縦者が飛行を中止する決定の後ろ盾となると考える。

■国土交通省の考え方

航空法においては無人航空機を飛行させる者に対して規制がかけられており、無人航空機を飛行させる者が最終的な責任者であることは明確です。

パブリック・コメント「「航空法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係告示及び通達の制定について」に関する意見募集の結果について」P9_No.21より

上記の意見では…

  • 発注者のほうが立場が強い場合がある
  • 操縦者に危険な飛行を強要するケースが考えられる
  • 最終的な飛行の決定権を操縦者と明確して欲しい

という意見なのですが、国土交通省の考え方に記載の通り、すでに航空法では「飛行させる者に対して規制がかけられている」ので、飛行の決定権は操縦者に有しています。

意見者にとっては「もっと明確にして欲しい」という要望だったかもしれませんが、そもそも全責任を負う立場である操縦者であるので、国土交通省の立場上、それ以上でもそれ以下でもないのは当然です。

最終決定権があることを明確にしたいのなら、それは発注者に対して規律を求めるのがベターです。

同様に「いろんな会社が携わっている場合は、操縦者ではなく全体責任にしてほしい」という意見に対して、国土交通省は…

■意見

無人航空機を飛行させる者=パイロット(操縦者)ということなのでしょうか?もしそうであれば、パイロットへの責任ばかりが重過ぎると思います。

チーム・会社として取り組んでいる”組織”に対して全体責任を問うのが本来であり、パイロットはそのうちの一部の責任を負うというのが正しい理解ではないでしょうか?したがって、無人航空機を飛行させる者→無人航空機を飛行させる者もしくは無人航空機を飛行させる者より命を受けた者、という表記が正しいのではないかと思います。

■国土交通省の考え方

航空法においては無人航空機を飛行させる者に対して規制がかけられており、無人航空機を飛行させる者が最終的な責任者であることは明確です。

パブリック・コメント「「航空法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係告示及び通達の制定について」に関する意見募集の結果について」P18_No.50より

全体に責任を追わせるわけではなく、「無人航空機を操縦させる者」が最終的な責任者であると明言しています。

これは至極当然のことであって、操縦者がリモコンを持って操作をしない限り、ドローンの飛行はおこなわれません。

操縦者の意思によってドローンを飛行させるわけであって、もし操縦者が拒否すればドローンは飛行しない(=航空法の規制がない)からです。

つまり、ドローンが飛行するかしないかは操縦者次第になるため、

  • 飛行にかかわる決定権
  • 飛行にかかわる責任

この2つを操縦者が有するわけです。

ドローン操縦者は「NO」と言う自己規律が必要である

ドローン操縦者には、法律的な責任を負うことになります。

そのため業務上で関係者から

  • 「日没時間だけど、そのままもう少し暗くなるまで飛んでほしい」
  • 「もっと遠くに飛んでほしい(=ドローンが目視できない距離)」
  • 「第三者の通行人があるいているけれど、その上空を飛んでほしい」

このような航空法に反してしまう要望を受けたとしても、ドローン操縦者は、法律に則って律する必要があります。

もし違反行為をしてしまったとして、関係者が責任を取るわけではありません。操縦している人間が、法令違反として処罰を受けます。

  • ドローンの飛行に関わる責任は操縦者にある
  • 航空法の法令違反はすべて操縦者になる

という責任を背負っているのを忘れてはなりません。

そのためにもドローン操縦者が身を守るためには「NO」と言う自己規律を持つのが第一です。

  • 「夜まで飛んでほしい」→ダメです。日没までです。
  • 「遠くに飛んでほしい」→できません。
  • 「第三者の上空を…」→危険なのでNOです。

法律上、できないことは「できない」と伝える。相手は法律(航空法)は知らないので仕方ありません。「それは法律で禁止されている」と言い続けるまでです。

法律を知っているのは操縦者なのですから、他人がどうこう言うのは関係ありませんよね。

「とは言っても、NOと言いづらい」と思われがちですが、意外と言ってみれば納得してもらいやすいです。

  • 「航空法でそれはできないんですよね…、ほんと残念です…」
  • 「罰金刑になって前科ついちゃうので!笑」
  • 「クライアントが責任を持つ、と言われても、処罰を受けるのは操縦者なんですよー!」

このくらいのトーンでいえば、「それなら仕方ないね」となりますから。(私は過去に超大物Pの要望を「NO」と言って別の飛行にしたことも全然ありますね)

もちろん事前に「こうなると法律違反だから、ここまでです」といった事前調整が必要になったり、その現場で代替案を提示したりする必要がありますが、まずは法律違反にはNOです。

ドローンを操縦する限りは、規律を守り、責任を持つ。

必要とあれば「NO」と言う。

もし、それができないのなら、ドローンのリモコンを持つのは止めたほうがいいかもですね。

あとがき

ドローンはおもちゃだと思っているひとが多いため、クライアントから「こうやってほしい」といった要望が出てきやすいです。

しかし実際には「航空法>>>>>>>>>>クライアント要望」です。

懲役刑や罰金刑のある重たい法律であることを伝え、操縦者としての専門的な立場をしっかり意識しましょう!

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