こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンには航空法の定めがあることはご承知のことです。
あまり認知度は低いのですが航空法とは別に「小型無人機等飛行禁止法」というのが存在します。
日本の重要施設付近では無許可にドローンを飛行させると「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられる法律です。
今回は…
- 小型無人機等飛行禁止法とは何なのか?
- どのエリアが対象になるのか?
- 対象エリア内でドローンを飛行させる申請通知方法
を紹介します。
【2026年7月14日~ 法改正について】
2026年7月の法改正により、小型無人機等飛行禁止法の対象施設周辺地域は、一部施設で従来のおおむね300mから1,000mへ拡大されました。
また、対象施設周辺地域は「レッドゾーン」と「イエローゾーン」に区分され、イエローゾーンでも違反した場合は罰則の対象となります。
本記事は最新制度にあわせて内容を更新しています。
このページに書いてあること
小型無人機等飛行禁止法の解説
ドローンには航空法によって飛行エリアや飛行方法の規制が入っております。
飛行内容によっては国土交通省航空局の無人航空機飛行許可・承認がなければ、ドローンを飛行できません。
この話は結構周知されてきており「ドローンは法律があるんだ」と認識されつつあります。
しかし、実際にはドローンに関わる法律がもうひとつ存在します。
それが「小型無人機等飛行禁止法」です。
(正式名称:国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律)
2015年春に起きた首相官邸のドローン事件をきっかけに、航空法とは別に、重要施設付近でのドローン飛行の一切を禁止する法律が2016年3月に定められました。
当時、ドローン規制強化法と言われていましたが、警視庁では「小型無人機等飛行禁止法」で統一されていますね。以下、当時のブログ記事です。
そこで今回は、より深く「小型無人機等飛行禁止法」について解説していきます。
小型無人機等飛行禁止法とは?
そもそもの「小型無人機等飛行禁止法」の定義からです。
小型無人機等飛行禁止法においては、重要施設及びその周囲おおむね1,000mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行が禁止されています。
施設区域(レッドゾーン)および周辺地域(イエローゾーン)では、小型無人機等飛行禁止法による規制を受けます。
ここでのポイントは3つです。
- 小型無人航空機などの何が対象になるのか?
- どの施設が対象になるのか?
- 施設周辺はどこになるのか?
それぞれを紐解いていくと、この法律が何を示しているのかが見えてきます。
対象となる飛行物体
どの航空機が対象になるのかが最初にチェックすべきですよね。
警視庁より引用します。
①小型無人機を飛行させること
・無人飛行機(ラジコン飛行機等)
・無人回転翼航空機(ドローン等) 等②特定航空用機器を用いて人が飛行すること
・気球
・ハンググライダー
・パラグライダー 等
この法律の対象になるのは、上記にあるドローンおよび気球やハングライダー・パラグライダーなどです。
ここで注目なのがドローンが一括りになっていること。
つまり重量100g未満や重量100g以上といった重量での選別はしておらず、すべてのドローンが対象になります。
例えば航空法では規制になっていないトイドローンを飛行させると、本法律の対象になるわけです。
どの施設が対象になるのか
一言で言うと、国の重要機関、特定空港、大使館、防衛施設などです。
- 国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所庁舎、皇居等
- 対象危機管理行政機関の庁舎
- 対象特別要人所在施設
- 対象政党事務所
- 大使館等
- 外国要人の所在する施設
- 国際会議の準備・運営のための会議場施設等
【対象防衛関係施設】
- 自衛隊施設
- 在日米軍施設
- 対象空港
- 対象原子力事業所
国家の主要機関が対象になっているという点で、完全にテロ対策の法律と考えて間違いはありませんね。
施設周辺地域(レッドゾーン・イエローゾーン)はどこになるのか?
「では、具体的にどこなの?」と疑問に思うかもしれません。
対象施設およびその周辺おおむね1000m地域というのが、明確に指定されています。
- 対象施設の敷地又は区域(レッドゾーン)の上空
- レッドゾーンの周囲おおむね1,000m(イエローゾーン)の上空
例えば、東京都心を例であげると

この図の赤枠内がレッドゾーン、黄枠内がイエローゾーンです。
違反するとどうなるのか?罰則は?
対象エリア内でドローンを飛行させていた場合にはどうなるのでしょうか?
警察官等は、本法の規定に違反して小型無人機等の飛行を行う者に対し、機器の退去その他の必要な措置をとることを命ずることができます。 また、一定の場合には、小型無人機等の飛行の妨害、破損その他の必要な措置をとることができます。
警察官がドローンを撤去できたり、ドローン飛行の妨害・破壊の必要処置が取れることが許されています。
そのうえで、罰則規定は
小型無人機等飛行禁止法の規定に違反して
- レッドゾーンの上空で小型無人機等の飛行を行った者
- 同法第11条第1項の規定による警察官等の命令に違反した者
は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に、
- イエローゾーンの上空で小型無人機等の飛行を行った者
は、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に、それぞれ処せられます。
航空法と比較して罰金刑は同額ですが、懲役刑がついているのはより重い処分と言えます。
2019年11月に初適用されて男性が書類送検
2019年11月に広島市の海自呉基地付近の飛行禁止エリアでトイドローン(200g未満)を飛行した50歳男性が書類送検されました。
発表によると、男は9月21日午後4時35分頃、飛行が禁止されている呉市の海自呉基地の上空でドローンを飛ばした疑い。禁止区域内にあり、基地に隣接する公園からカメラ内蔵のドローンを飛ばしたといい、「練習中に操作を誤り、基地の方に飛んでいった」と話している。ドローンは基地内で発見された。
ざっくりと要約すると…
- 小型無人機等飛行禁止法の対象エリアでドローンを飛行させた
- ドローンはトイドローン(200g未満)でHS200D
- 操作を誤って基地に墜落させた
という事件です。
この初適用での重要なポイントは2つです。
まずは当たり前なのですがトイドローン(200g未満)でも当時適用されたこと。航空法とは違い、すべてのドローンが対象になっているのが立証されました。
また厳重注意で見逃されて終わるのではなく、いきなり書類送検になって事件化されたこと。決して悪意はない飛行だとは思うのですが、ガチで一発アウトである法律だと立証されました。
書類送検なので検察官がどのように処罰をするのかが気になるところです。前述の通り、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられると思われます。
小型無人機等飛行禁止法の対象エリア内で飛行する場合
一般的には対象エリアでドローンを飛行することは、まず無いと思います。
しかし諸事情でエリア内でドローンを飛行させる場合もあるかもしれません。ものすごく極稀に…ですね。
対象エリア内で飛行しなければならい場合、特定の条件で、管轄警察署に通報書を提出すれば、ドローンは飛行可能になります。
以下、条件になります。
- 対象施設の管理者又はその同意を得た者が当該対象施設に係る対象施設周辺地域の上空において行う小型無人機等の飛行
- 土地の所有者若しくは占有者(正当な権原を有する者に限る。)又はその同意を得た者が当該土地の上空において行う小型無人機等の飛行
- 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う小型無人機等の飛行
簡単に言うと飛行させる場所の土地の所有者が同意をしているのが条件です。
この条件をクリアした上で、管轄警察署に飛行時間の48時間前に通知書を提出。受理された場合に、担当警察署経由で東京都公安委員会に通知されます。
対象エリア内で飛行する方法
対象エリア内で飛行させる人は、ほとんどいないと思われるため、参考にならないかもしれませんが、ざっくりと申請通知の方法を記載します。
大前提として飛行させる場所の所有者の許可が絶対的に必要です。同意書も必要になるため、事前準備が必要です。
そして、その敷地内の上空のみが、小型無人機等飛行禁止法で飛行エリアとされています。

必要な書類は6つ。
- 警察署に提出する所定の通報書
- 飛行させる場所の所有者の同意書(フォーマット自由)
- 免許書のコピー
- 国土交通省航空局の無人航空機飛行許可承認書
- 飛行させるドローンの写真およびスペック表
- 飛行させる場所の広域図・詳細図(離発着地等)
この書類を持って管轄警察署に出向きます。48時間前までと書いてありますが、署内手続きがあるため1週間前がベターですね。
少し時間がかかりますが、通報書の提出の当日に、受理された書類をいただける場合があります(管轄警察署により、必要があれば再訪です)。
飛行させる日に、管轄警察署に電話で開始報告・終了報告をすればOKです。
ドローンによるテロ対策は深刻化する
重要施設付近でのドローン飛行は、やはりテロ対策を施すためといって間違いありません。
2018年12月20日に「小型無人機等に係る緊急安全対策に関する報告書」というのが関係府省庁連絡会議から出されました。
その中の要件として、やはり過去に起きたドローンテロにも触れています。
- 焼夷手りゅう弾搭載ドローン1機が、ウクライナ東部バラクリヤに所在する弾
薬庫を爆破した事案(平成 29 年(2017 年)3月 23 日)- ドローン 13 機が、シリア駐在ロシア軍フメイミム空軍基地を攻撃した事案(平成 30 年(2018 年)1月5日)
- ベネズエラ大統領の暗殺未遂事案(平成 30 年(2018 年)8月4日)(ただし、米国等では自作自演との報道あり)
この報告書には、ラグビーワールドカップ2019の大会会場等および 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会についても言及しています。
暫定的な処置になりますが、この小型無人機等飛行禁止法の法改正をおこなって、会場付近に対してドローンを強く禁止させる方向に進みそうです。
大会会場等の周辺地域上空に おける小型無人機等の飛行を原則として禁止し、組織委員会の同意を得た小型 無人機等の飛行については例外として可能とする。
あわせて小型無人機等飛行禁止法に、軍事施設もテロの対象になりえる可能性があるとのことで、自衛隊基地周辺も法改正されれば禁止エリアになりそうです。
防衛大臣が指定する防衛施設(自衛隊施設及び合衆国軍隊の施設・区域)を小型無人機等飛行禁止法の対象施設に追加する。
まだ会議の段階なので未決定ですけどね。近々、法改正で少しだけ様子が変わるかもしれないことを、覚えておきたいものです。
あとがき
小型無人機等飛行禁止法を知らないひとは意外と多いんですよね。
航空法の人口集中地区をベースにマップを見てしまうと、うっかり見逃す可能性もあります。覚えておきたいのは「国の重要機関の付近は要注意」ということです。
また2026年7月から、イエローゾーンの範囲が300m→1kmに拡大しました。さらに、今まではイエローゾーンの飛行は罰則はありませんでしたが、今回の法改正で罰則対象にもなりました。
警察所管の法律です。
「知らなかった」ではすまされない小型無人機等飛行禁止法、中途半端な知識では飛行できない認識でいたほうが無難です。