大垣のイベント中にドローン落下し6人ケガ。国交省の法的な許可も責任を感じてもらいたいものです。

大垣のイベント中にドローン落下し6人ケガ。国交省の法的な許可も責任を感じてもらいたいものです。

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

残念ですが、ドローンによる大きめな事故が起きてしまいました。

ハロウィーンにちなんで、ドローンからお菓子をばらまいて子どもたちがキャッチするというイベント。

子供がいる群衆の頭の上に落下、子供を含む6人に顔や背中にケガという惨事。

「起きるべき事故だった」という声がすでに出ており、まさに同感です。

さらに言及すれば、国土交通省の許可承認に関して責任感を持ってもらいたいのは私だけでしょうか?もっと許可承認関連を見直すキッカケに、そしてドローン業界の関係者も認識を強めないとです。

事故があったイベント概要は?

11月4日(土)大垣市のロボットフェスの一コマにあったのが、ドローンによる空中からお菓子を落下させるイベント。

大人・子供が大勢いる中で、急に対象のドローンが落下。顔や背中に怪我をおった事故です。

まずはドローンが落下する瞬間を見ると事故の内容がつかみやすいですね。

日本国内では、これまでにないドローンの落下事故のため、各マスメディアが取り上げて報道をしています。

4日午後2時ごろ、岐阜県大垣市郭町2丁目の大垣公園で開催されていた「ロボフェスおおがき2017」(大垣観光協会主催)の会場で、上空から菓子をまいていた小型無人飛行機ドローン(直径約85センチ、高さ約55センチ、重さ約4キロ)が高さ約10メートルから落下し、地上にいた来場者に衝突。子ども4人を含む6人が額や背中、肩などにすり傷を負った。

朝日新聞「空からお菓子…ドローンが落下 子どもら6人けが 岐阜」より

またテレビ関連でも。

NHKは動きが早くて、その時の操縦者にもインタビューをしています。動画で見られるので、一番わかりやすいニュースですね。↓

ドローン落下事故 操縦男性「コントロールきかず」(NHKオンライン)

「午前の1回目は上手くいった」「ドローンが傾いたら、もうコントロールが効かなくなった」「あっという間に落ちた」とのこと。

つまり原因不明です。

ドローンの機体は?考えられる原因は?

警察は業務上過失傷害罪として調べている最中です。

すでにネット上ではドローンの特定が進められています。INSPIRE1のバッテリーやTarotのフレームを使用したヘキサ(6枚羽)の自作機。直径85cm、高さ55cmで重さは4キロ。

あくまでイメージな話ですが自作機は、既存のパーツを組み合わせています。既製品よりも安定性は乏しいです。(だから「DJIはいいですよね」っていう宣伝…は冗談です)

事故当時の動画を見る限り、プロペラ・モーターの破損等は考えづらく、システム側の何かしらの不具合と考えられます…があくまで推測なので一概に言えません。

今後、警察が調べて事故原因を明らかにしてくれると期待しています。

国土交通省の許可承認が問われる事故と思われ

大垣のお菓子をまくイベントは、たしかに国土交通省の大阪地方航空局が許可承認をおこなっていました。

大垣のドローン許可

日時と場所を特定して、人口集中地区・30m以内・催し物・物件投下の4つです。

法律的には正しい手順を踏んだ上で当日を迎えていると考えられます。

しかし、ここでは2つの点に言及します。

(1)そもそものイベント運用に問題があるのでは!?

ドローンを活用しようとするイベント主催者は多くなってきました。

実際に「イベントで撮影してほしい」「イベントでリアルタイム中継してほしい」と言った相談や依頼を私も数多く受けています。

ドローンはどこか話題性もあるので「イベントとして盛り上がる」という点もありますね。

イベントは不特定多数の第三者が集まるためドローンの活用は慎重を期します。第三者で埋まるくらい集まり、落下したときの人的被害の可能性も高くなります。

さらに第三者が多ければ多いほど第三者の動きが読めず、安全な運用がしにくい点もあります。例えば、子供が「ドローンだ!」と駆け寄ってくる恐れも。

そのため通常、催し物での飛行では

  • 人の上空にはドローンを飛行させない
  • ドローンの飛行ルートには関係者以外が入らないよう制限をする

ドローンとイベント参加者を隔て、安全管理を徹底するのが鉄則です。

今回のイベントは、子供を含めた参加者の上空にドローンを飛行させるのが前提のイベントです。しかもお菓子を投下するといった飛行とは別要素も含まれています。

ドローンに携わっているひとからすると「危険極まりないイベント内容」と感じても仕方ありません

墜落したときを全く想定していないと言えます。

イベント主催者が無理に押して開催したのか、それともドローン操縦者が「OKですよ」と軽く引き受けたのか、まったく分かりません。

今回の事故は操縦者だけが問われるのではなく、イベント主催者の両者に運用方法や実施方法に問題があったのかと問う事案というのは間違いありません。

(2)国土交通省の許可の問題は!?

前述の(1)の通り、安全性が不確定なまま国土交通省から許可承認がおりています。

催し物時のドローン飛行申請の場合、飛行ルートや飛行制限等の細かいマップや飛行マニュアルを記載した上で申請をおこないます。

もし、今回のイベント申請で「イベント参加者の上空に飛行させ、物件(お菓子)を投下する」をそのまま正確に記載していたのかは定かではありません。(今後、国土交通省からコメントがあると思います)

ヘキサ(6枚羽)では1枚のプロペラに以上があったら墜落します。オクタ以上(8枚羽)でなくてはバランスを保てません。

子供を含む参加者の上空に飛行させる。物件を落とす。ドローンは安全性という点で100%はありません。

今回はプロペラガードは非装着でした。あの重量の機体では高価は少ないかもしれませんが、無いよりかはあったほうがいいです。

少なからずも国土交通省の審査の段階でプロペラガード必須にすることもできたのではと考えられます。

最悪の事故をを防ぐにも、申請→審査の時点で「なんでもOKではなく、安全を最優先する審査」があるべきなのが本来の姿ではないでしょうか

とは言ってもドローンを安全に活用するには

この事件をきっかけにドローンが廃れてしまうのは残念です。同じ事故を起こさないためにも、行動に移せるのはきっと2つ。

  1. ドローン業者が「安全性を優先した業務」をまっとうする
  2. 国土交通省が「安全性を確認した場合に許可承認」をおこなう

ドローンに関わるひとたちが未然に防ぐのが効果的です。

イベント主催者やその他ドローンを利用したいひとたちは「ドローンが何が安全で、何が危険なのか」は分かっていませんからね(分からなくて当然です)。

だからこそ、ドローンを分かっているひとたちが率先する。

それが事故を未然に防ぐはずです。子供にケガをさせるのは誰もしたくありませんから。

あとがき

イベント主催者側での「こうやってドローンを使いたい」という気持ちは仕方ありません。

あとは、ドローン業者が「断る勇気」を持ち合わせ、国土交通省も「許可しない線引」を作るかが、事故をおこさないのが予防法です。

一度の事故ですべてをマイナスにしない、今後の体制を考えていく。それがドローン業界の務めだと思うのは私だけでしょうか。

(被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます)

追記:申請とは別機体であり、無許可飛行により初の厳重注意

事故後の情報が出てきました。

申請とは別機体である

国土交通省の大阪航空局に飛行申請をおこなう場合、機体の形状や重量・性能等を申請書に記載する必要があります。その上で、審査の後に承認が降りる流れになっています。

今回申請したドローンと、実際に使用したドローンは別物ということ。

国土交通省大阪航空局は6日、飛行許可を得たものとは別の機体を飛ばしたとして、操縦した同県各務原市の「空創技研プロペラ」を厳重注意し、再発防止策を報告するよう求めた。同局によると、改正航空法違反に基づくドローン事故の厳重注意は初。

産経WEST「ドローン事故で初の厳重注意、無許可飛行で 国土交通省大阪航空局」より

つまり無許可のドローン飛行になり、航空法違反となります。

国土交通省のWEBサイトに事業者名を掲載し、厳重注意としたのは深刻さが伺えます。

過去にも違反飛行をおこなっていた事実がある

さらに、過去の飛行内容も調査されており、

航空局によると、当日の風速や搭載重量の計測も適切に行っていなかった。また、8月15日の同県恵那市でのイベントでも許可を受けていなかった上、航空法は飛行できる時間を日の出から日没までと定めているが、日没後に飛行させていた。

産経WEST「ドローン事故で初の厳重注意、無許可飛行で 国土交通省大阪航空局」より

複数の違反飛行を繰り返していた模様です。

法律を軽視していたゆえの、いつか起こるべき今回の事故だったかもしれません。

国土交通省の「催し物(イベント)での飛行」がより厳しくなる

今回の事故をきっかけに、申請も厳しくなりました。

イベント
「イベントをドローンで撮りたい!」「人が集まっている催し物でドローンを飛行させたい!」 そう思っていたとしても、航空法によってにイベント・催し物でのドローン飛行は禁止されてい

今までは催しでも包括的な申請ができたのですが、都度での申請が必須になっています。(本来はイベントごとに状況が全く異なるので当然ですが)

ドローンを扱う人間の都合によって、イベント参加者に危害を加えるのは避けなければなりません。

より安全な運用が主催者も撮影者も認識をしなければなりませんね。

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