警察が本領発揮!ドローン違反飛行で一斉摘発へ(逮捕・書類送検/外国人含む)

警察が本領発揮!ドローン違反飛行で一斉摘発へ(逮捕・書類送検/外国人含む)

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

今までにないニュースが飛び込んできたのでブログ記事にします。

2019年5月27日(月)に警視庁が「航空法違反でドローン違反飛行した1人を逮捕、2人を書類送検したよ」と発表しました。

一斉摘発です。

このニュースを見たときに感じたのが「ついに警察(警視庁)も本領発揮しましたね。例の件もありましたし…」と勘ぐってしまいました。

今回のブログ記事では…

  • ドローン操縦者の一斉摘発の詳細
  • 警察が本領発揮した背景
  • 今後起こり得る航空法違反の摘発

を紹介します。

これ、全ドローンユーザーに関係する話です。ドローンを軽視してはならないですね。

ドローン違反飛行で一斉摘発

過去に書類送検されている人は、たくさんいるので驚きはしませんでした。

ただ、今回は「一斉摘発」というパワーワードが私にとっては強烈でした。過去に起こった事件を、まとめて航空法違反で吊し上げたと言っても過言ではないです。

ドローン違反飛行 一斉摘発 航空法違反容疑で1人逮捕

東京都内の人口密集地でドローン(小型無人機)を無許可で飛行させたとして、警視庁保安課は27日、東京都江戸川区の自称解体工、加賀隆司容疑者(52)を航空法違反容疑で逮捕したと発表した。ドローンの違反飛行を巡り、容疑者を航空法違反容疑で逮捕するのは警視庁で初めて。同様の違反飛行でポーランド人を含む男3人も書類送検した。

日経新聞「ドローン違反飛行 一斉摘発 航空法違反容疑で1人逮捕」より

人口集中地区での無許可飛行、墜落による無許可飛行、外国人の無許可飛行…。

では、ひとつずつ詳細を見てきいきましょう。

ケース1. 人口集中地区の中にある公園でドローンを飛行させた容疑者

加賀容疑者の逮捕容疑は5月9日午後9時55分ごろから、許可を得ず江戸川区の公園でドローンを飛ばした疑い。加賀容疑者は「許可が必要とは分かっていたが、公園では飛ばせると思っていた」と供述している。

「公園で不審なドローンが飛んでいる」という110番を受け、捜査員が加賀容疑者を特定した。同容疑者がドローンの任意提出を拒み、捜査関係書類の自署欄に虚偽の氏名を書くなどしたため証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕したという。

日経新聞「ドローン違反飛行 一斉摘発 航空法違反容疑で1人逮捕」より

この事件で気になるところが、まずは江戸川区という人口集中地区であること。さらに21:45頃なので夜間飛行であることです。

公園自体は、行政の条例等によってドローン飛行不可になっている場合が多いです。(ドローン飛行を制限する条例等

都内の公園は東京都が「NG」と言っているので、市区町村レベルでも東京都に従って「NG」になっているケースがほとんどです。

この時点でいろいろなことがダメですね。

もうひとつがドローンパトローラーの存在です。「公園で不審なドローンが飛んでいる」という110番通報をおこない、日経新聞の文言が正しければ現行犯ではなく、捜査員が捜査をして「容疑者を特定した」したことです。

駆けつけた警察官が…ではなくて、捜査員が特定した…というのがビビりますね。真相はわからないですが、文章を見る限りでは違反飛行した操縦者を捜査していたわけで、マジで警察は本気ですね。

ちなみに逮捕となった決定的な理由は「嘘の名前を書いて逃げようとした」から。文書偽造の罪も重なって、証拠隠滅の恐れで逮捕です。

あからさまに「ドローンを軽視していた」わけです。きっと「ドローンで捕まらないだろう、だって、おもちゃみたいなものじゃんよ」と思っていたのでしょうか。

ちなみに飛行させていた機体は、アマゾンで売っている450gのドローンっぽいです。気づかずに容易に買えてしまうのも、ひとつ問題ですね。

https://www.drone-enterprise.com/blog/4702

ケース2. 上野公園でドローン飛行させた旅行中の外国人

書類送検されたのは旅行中に上野公園(東京・台東)でドローンを飛ばしたポーランド人の男(25) …(中略)いずれも容疑を認めている。

日経新聞「ドローン違反飛行 一斉摘発 航空法違反容疑で1人逮捕」より

過去に、外国人旅行者が勝手にドローンを飛行させて厳重注意を受けていることは多々ありました。

有名なのが姫路城です。

きっと見事なお城をドローンで撮りたかったのでしょうか。何人もドローンを飛行させて、さらに姫路城に追突させて、厳重注意を受けていました。

このときは書類送検にはなっておらず、「外国人旅行者だから大目に見よう」というジャッジだったのかもしれません。

しかし、今回の上野公園でドローン飛行させたポーランド人(25歳)は書類送検です。

旅行中の外国人でも書類送検する、という新しい事例ができたわけです。

ケース3. 人口集中地区で飛行させて墜落させた男性

足立区の事件ではドローンが障害者施設の敷地内に落下した。男は上空から桜を撮影するため近くの公園からドローンを飛ばし、操縦不能になったとみられる。

機体は縦横約30センチでプロペラの一部が破損していた。けが人はなかったが、同施設は職員や利用者ら約80人が出入りする。男性施設長(46)は「ぶつかれば大けがをしかねなかった」と憤る。

日経新聞「ドローン違反飛行 一斉摘発 航空法違反容疑で1人逮捕」より

ここもいくつか気になりますね。

「桜を撮っていた」ということは4月上旬。上にあったケースのように公園からの飛行。そして操縦不能になって、障害者施設の敷地内に墜落。

「桜」「公園」「操縦不能」「墜落」というキーワードが続くと、「あぁ、ダメなパターン」と感じますよね。いろいろな意味で、桜をドローンで撮るのは危険なのです。

桜
長い冬を乗り越えて、4月は桜の季節。 色鮮やかな花びらは、見るものを魅了させますよね。 しかし、残念なことに桜をドローンで撮影しようとする迷惑者が湧いて出てくる季節でも

今回のケースは、墜落させたことがきっかけではなく、きっと人口集中地区で無許可飛行させていた(?)のが決め手となり書類送検になったと思われます。

警察が一斉摘発をした背景になにがあるのか?

ここからは想像の域です。ご注意くださいね。

「偶然に悪質な3件が重なったから一斉摘発した」とか、「新聞記者が鮮度のあるネタとして取り上げたから」とか理由があるかもしれません。

ただ、どう考えても今までにない警察の動きを感じます。

  • 捜査官がドローン操縦者を捜査する
  • 外国人旅行者を書類送検する
  • 墜落させたドローン操縦者(無許可?)を書類送検する

警察がドローンに対して、なにか怒りをぶつけている気がしてなりません。

その背景にあるのは、きっと2019年5月上旬に2度も起きた「皇居周辺のドローン飛行問題」ではないでしょうか。

皇居ドローン
2019年5月2日の夜間に、皇居や赤坂御用地・迎賓館などでドローン飛行の目撃情報があったため、世間のニュースでは「皇居でドローン飛行」を一斉に報道。 平成から令和に年号が変わ

日本の中枢に位置する皇居、そして隣接する警視庁のエリアで、ドローンを飛行させてしまったこと。

犯人を見つけることができず、さらに数日後にもドローンを飛行させてしまったこと。

警察(警視庁)の立場を考えると、無念であったのであろうと容易に想像ができます。「ドローン、ふざけんじゃねー!」と厳しい目を向くのは仕方ありません。

今回の3つの事件を一斉摘発をしたと発表したのは、どこか意図があるのではないでしょうか…。

今後起こり得る航空法違反の摘発

「航空法って関係ないよ」という、ドローンユーザーのふんわりとした緩い空気感が流れていますが、その認識は危険ですね。

間違いなく厳しくなっていきます。

「ドローンが飛んでいる」という通報から捜査官が動いて犯人を特定した、というのは、今後すべてのドローン飛行に対して起こり得る事案だと考えられます。

  • ドローン飛行の通報を受けて、その場から逃げたけど、後日捜査官が来た
  • ドローンを墜落させて施設管理者が通報、警察が違反飛行かどうか調べた
  • 過去に無許可ドローン飛行させた映像が証拠として警察が調べた

これ、全部に航空法違反の可能性が出てくるわけです。

過去にはすでにいくつか事例が出ています。

例えば、違反飛行させた映像(Youtube)が証拠となって書類送検になった事例。

youtubeが証拠に
ドローンの飛行中もしく飛行直後に、違反飛行が発覚して書類送検された事例は数多く存在します。 しかし、今回は特別です。 世に放った動画(映像)から、視聴者が「違反だ」と通

また大垣イベントのドローン墜落事件のように、ドローン飛行許可を取得していたとしても、その許可に沿って飛行していなかった、ということで無許可飛行となって航空法違反で処罰。

大垣でドローン墜落
残念ですが、ドローンによる大きめな事故が起きてしまいました。 ハロウィーンにちなんで、ドローンからお菓子をばらまいて子どもたちがキャッチするというイベント。 子供がいる

以前に、ブログ記事に書いた…

本来、ドローンというは危険になりえる存在であり、どんなに世間にとってドローンが好印象になっていたとしても、ドローンを軽視することはない、という事実があるです。

というのを、ドローンに関わるすべての方は認識しなければなりません。もちろん事業主も同様です。違反飛行した映像が世の中に流れて「企業PVが使えない」事態に陥ることも考えられます。

今後、ドローンによる人的被害が出たり、航空法違反が増加したりすると、もっと悪い方向へ進むと思われます。

ドローンは法律に触れる代物です。

どんなに分からないことがあったとしても、航空法や各法令を理解しなければなりません

あとがき

ドローンが悪者になるのは避けたいです。

悪いのはドローンではありませんから。操縦者だけが悪いんですよね。

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