こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
「学校をドローンで撮ってほしい」「病院をドローンで撮ってほしい」
そのような撮影の相談を受けることがあります。また同業の方でも、同じようなお話は多々あると思います。
しかし、学校や病院といった不特定多数が集まる場所というのは、ドローン的には特殊な環境であり、航空法関連で言うと「正しい許可」が必要です。
今回のブログ記事では…
- ドローンを学校・病院で飛行させるのに必要な許可は?
- 包括申請では飛行NGな理由は?
- どうすれば学校・病院でドローンを飛行できるのか?
この3点を中心に「学校や病院でドローンを飛行させる正しい方法」について情報シェアします。
結構勘違いしている方が多く、なおかつ、これを知らずに無作為に学校に営業をかけている業者もいるようです。
法律に関わることですので気をつけたいですね。
このページに書いてあること
ドローンを学校・病院等で飛行するには?
結論です。
ドローンを学校や病院等で飛行させるには、国土交通省航空局の個別許可が必要です。
国土交通省のドローン飛行許可の取得に当たり…
- 飛行実施の期間
- 飛行場所の特定
- 飛行エリア・補助員等の配置図 など
の安全管理を実施しなければなりません。
上記のようなドローン飛行計画の上で、国土交通省航空局から許可が下りてから、ようやくドローンを飛行できるようになります。
よく使用される「包括申請の許可では、学校や病院ではドローン飛行できない」のが条件となっているため、ドローンを飛行する側も施設管理者側も十分に確認が必要です。
以下、その理由について書いていきますね。
ドローンを学校・病院で飛行させるのに必要な許可は?
学校・病院でドローンを飛行させる場合には、その場所の立地条件から、国土交通省航空局の許可の有無を判断しなければなりません。
一般的にドローンを飛行させるためには下記の条件下の場合、航空法上で許可が必要になります。
想定されるのは3つです。
- 人口集中地区内でのドローン飛行
- 人または物件から30m以内のドローン飛行
- 他人に迷惑を及ぼすような方法でのドローン飛行
これら3つは航空法によってドローン飛行が禁止されています。
そのうえで、一定条件をクリアした場合に限って、国土交通省航空局から飛行許可を得ることも可能です。
さて、学校・病院でドローンを飛行させる場合に、「人口集中地区に該当している、もしくは該当していない」というのは、ドローンを飛行する上で非常に重要な問題になります。
さらに出てくる問題がもうひとつあります。
「人または物件から30m以内の飛行」というのも、航空法で禁止されています。
この物件というは、第三者が所有している人工物と考えると非常に分かりやすくなります。例えば、学校や病院で考えられるのは…
- 電線や電柱
- 近隣宅
- ガードレール
- 駐車しているクルマ
- 駐輪している自転車
- 無造作に歩行する学生・患者・先生など
これらはすべて航空法上で30m以内の飛行が禁止されています。
もう少し詳しく書くと、飛行している間のすべてに該当するため、離発着時も30m以上(直径60m以上)離さなければなりません。
もし仮に、森に囲まれているような環境の学校や病院の場合なら、この30m以上の飛行禁止は該当しないと思われます。
しかし、ほぼ高い確率で人または物件から30m以内の飛行というのは、学校および病院では該当すると想像できます。
つまり、人口集中地区に該当していたとしても、該当していなくても、ドローンを学校・病院で飛行させるには国土交通省航空局のドローン飛行許可は必然的に必要であるケースがほとんどであると考えられます。
当たり前ですが、学校や病院の「管理者の許可」も必要です
わざわざ、ここに書く必要もないことですが、それでも書かないと分からない人がいらっしゃるため、場所の許可も必要です。
- 学校の管理者の許可
- 病院の管理者の許可
まったく無関係の人間が、他人の敷地でドローンを飛行させているとしたら、まぁあ普通に警察沙汰になりますね。
ドローンを飛行させるには、場所の許可は必要です。
ドローン包括申請では学校・病院では飛行NGな理由は?
国土交通省航空局でドローンの飛行許可は、2つの種類があります。
- 場所や日時を特定した個別申請
- 場所や日時を特定しない包括申請
学校や病院でドローンを飛行するには個別申請でなければなりません。
順番が逆になってしまいますが、なぜ包括申請のドローン飛行許可では飛行できないのかを説明します。
分かりやすいように2ステップで書きますね。
STEP01.国土交通省航空局の飛行許可を得るには、飛行条件を遵守しなければならない
禁止されている場所や飛行方法であっても、一定条件をクリアした上で、国土交通省航空局に申請を出せば、ドローンの飛行許可が下ります。
ただし、許可を得るためには「必ず守らないといけない条件」が課せられます。
それが「飛行マニュアル」というものです。
10ページ以上に渡る「飛行マニュアル」というのは、そこに書かれている条件をクリアした場合にのみ、国土交通省航空局から許可が得られる、非常に重要なものです。
つまり、この「飛行マニュアル」なくして許可が下りません。
STEP02.包括申請では「学校や病院等では飛行できない」のが条件である
包括申請をする場合、飛行マニュアルには、いくつもの条件が課せられます。
その理由は、場所や日時を特定しない「特殊的な許可であり、必要最低限の飛行ができる許可」だからです。
そのため、学校や病院については、第三者が集まりやすい場所という理由で、ドローンの飛行許可を受けていません。
飛行マニュアル(場所を特定しない申請)に、分かりやすく黄色で強調させました。
テキストでも念のため、記しておきます。
第三者の往来が多い場所や学校、病院等の不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。
この1行の文言が、どれだけ強い条件になっているのかが理解できますね。
特に「学校」「病院」と名指しで飛行NGとしています。さらに「飛行させない」という条件がついているため、必然的に包括申請では飛行できません。
余談までに、飛行マニュアルにはその他にも様々な条件があります。前後の文章を読んでみても「おお、結構厳しいな」と思うかもしれません。
ただ、ドローンを飛行させるというのは、それだけ周囲に危険を及ぼすからです。
故に、学校や病院では危険性を伴うため、包括申請では飛行できないとされていると考えるのが理解が早まりますね。
(「おいおい、本当かよ。たった1文だぜ!?」と、まだ信用できないのなら、ぜんぜん国土交通省航空局に聞いてみてください)
どうすれば学校・病院でドローンを飛行できるのか?
では、学校や病院でドローンを飛行させるにはどうすれば?と思いますよね。
先ほど、少しだけ解説してしまいましたが、国土交通省航空局へ個別申請をおこなえれば、学校や病院でもドローンを飛行可能です。
個別申請というのは…
- 飛行する日時
- 飛行する場所
- 飛行エリアの策定
- 補助員の配置図
- 安全対策の要件
これらを、まとめた上で申請をおこなえば、所定の条件下で許可が下りることとなります。
特に重要なのが飛行エリアと補助員の配置です。
これは図を用いて申請を行うため、事前に「どこで飛行させるのか」「何人の補助員をどこに配置するのか」を明記しなければ許可が下りません。
例えば、国土交通省航空局にサンプルとして上がっているのは…
このような飛行場所や飛行経路、補助員の配置を記していきます。
もちろん、人の流れを考えなければなりません。
学校なら生徒の動き、病院なら患者の動き。その人が動く導線に、補助員を配置したり、人を誘導していく流れをつくったり。
ポイントとしては…
- 第三者の上空を飛行させないこと
- 飛行エリアを囲むように補助員を配置すること
このように、どれだけ第三者への影響がない配置図を策定するかが、審査の上で重要になってきます。もちろん不十分だった場合には、審査員から修正の指摘が入ります。
もし国土交通省航空局から許可が下りた場合には、この配置図をベースにドローンを飛行させなくてはならないのは至極当然のことです。
つまり、どれだけ学校や病院の施設管理者と飛行計画を練れるかがドローンを飛行させる鍵となるわけです。
逆を言えば、施設管理者の方は
- どのような国土交通省航空局の許可を持っているのか
- 飛行経路を記した配置図を持っているのか
をチェックすることが求められる責任と言えます。
ドローンを学校・病院等で飛行するには?
ドローンは第三者を傷つけてしまう可能性があります。
だからこそ、法律的な制限を入れており、たとえ国土交通省航空局の飛行許可を得たとしても、飛行するための条件が課せられています。
ドローンを学校・病院等で飛行するには、
- 航空法に当てはめると、人口集中地区や人や物件から30mなどの制限にかかる
- 包括申請では学校や病院ではドローンは飛行できないし許可されていない
- 個別申請で飛行日時や飛行場所、補助員の配置図を策定する
- 申請に沿った飛行方法をおこなう
この4点をクリアすることで、不特定多数の第三者が集まりやすい学校や病院にてドローンを飛行することが可能になってきます。
あとがき
近年、事故が起きたことで、こういった飛行制限が強くなってきています。
2~3年前までは、このような学校や病院等の制限はなかったのですが、国土交通省航空局でドローンの飛行方法を改めているフシがあるため、常に情報をアップデートしていかなければなりません。
決して「法律を守るために、仕方なく申請をする」のではなく、本質的なところは「第三者を傷つけない」ためです。
事故が起きたとしても最小限にする。
そのための安全対策や安全措置としての個別申請であることの理解を、操縦者側も施設管理者側も求められているのではないでしょうか。